四宮総司は変えたい   作:もう何も辛くない

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 ふと気付けばもうこの小説を書き始めてから二週間以上経ってるんですね。
 そして、二週間以上毎日投稿続けてるんですね。我ながら凄いな…。
 まあ仕事が休みになって、外にも出れないしでする事が限られているのが大きな理由ですが。
 もう少し毎日投稿続けられるかもしれません。


ついにその日はやって来る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かぐやが風邪から復帰してから数日。その間、かぐやと白銀はあの出来事のせいでギクシャクしていたのだが、総司が知らない間に解決していた。

 その事について何があったのか、かぐやに聞いてみたのだが、『秘密です』と凄くご機嫌そうに返されてしまった。あの様子から、とても良い事があったのだろうとは思う。

 だが、どんどん妹が離れていくような感覚に総司は陥った。いや、兄離れは喜ぶべき事なのだろうが、いざ離れられると寂しく感じてしまうのは兄の悲しい性である。

 

 さて、そんな総司は今、白銀と並んで生徒会室へと向かっていた。

 ちなみに、白銀への謝罪はとっくに済ませている。あの時の白銀はかぐやに叩き出されたショックで近くにいた白銀殺害マシーンには気付いていなかったのだが。

 

 その白銀は今日、部活連の予算案会議に出席していた。つい先程まで続いていた会議は、相当白銀に疲労を与えたらしい。いつもよりも目の下の隈が濃くなっている。

 しかしそれも当然と言えば当然だ。部活連の会議に参加している面子は錚々たるものなのだから。

 

 とある宗教法人の浄階一級の孫に、陸上自衛隊幕僚長の息子。広域暴力団組長の娘に警視総監の息子。経団連理事の孫もいれば、ある国の第二王子までいる。

 そんな面子の中、一般家庭出身である白銀が混ざっているのだ。白銀の精神はゴリゴリすり減ったに違いない。

 総司が白銀と共に生徒会室に向かっているのは、会議の議事録を報告用の紙に書き写すのを手伝うためである。

 

「総司」

 

「ん?何だよ」

 

 廊下の角を曲がって、視界に生徒会室の扉が見えてきたところで、白銀が口を開いた。名前を呼ばれた総司が振り向く。

 

「その…、良いのか?手伝ってもらって」

 

「は?いきなりどうした。良いも何も、手伝うためについてきてるんだが?」

 

「いや、だがな…」

 

 どうも白銀の様子がおかしい。これは…、罪悪感だろうか。白銀は総司に対して罪悪感を抱いていると思われる。しかし、何故?

 

「…ハーサカさんから聞いたぞ。お前、当主の仕事を手伝ってるんだってな。夜遅くまで」

 

「…」

 

 これまで、総司は白銀に自身がしている仕事について一度も話した事はなかった。仕事をしている、とも言わなかった。

 先日、恐らく白銀が家に来た時、早坂に聞いたのだろう。総司は今どこにいるのか、とでも。そして早坂は、部屋で仕事をしていると答えたのだろう。

 別に早坂を責めるつもりはない。白銀に仕事について言ってなかった事は早坂には伝えていないし、何より詳しい仕事の内容に関しては早坂も知らないため、それについては当然白銀に伝わっているはずがないからだ。

 

「もし無理なんだとしたら、遠慮せずに断ってくれ。こっちだけで何とかするから」

 

「いや、無理だったら断ってるから。今までに何度か断った事あるだろ」

 

 白銀の気遣いは嬉しいのだが、正直無用な気遣いである。何故なら、とっくに総司は白銀の言葉通りにしていたからだ。

 

 それに、総司は今の生徒会を気に入っている。多少夜更かしする羽目になったとしても、その程度なら躊躇いなく生徒会を手伝う方を選ぶ。

 徹夜になりそうだったとしたら、また話は別だが。

 

「へ?」

 

「いや、へ?じゃなくて。今までに何度かお前の頼みを断った事あるだろ?それ、仕事が長引きそうだったからだから」

 

「…あ、そうなの!?」

 

 早坂からその話を聞いた時にその考えに至らなかったのだろうか。

 白銀は頭が良いから、彼もまた変な所でポンコツを発揮してくれる。

 

「だから、別に遠慮なんてしてない。無理そうなら断る。俺は自分が大事だからな」

 

「…そうか。それなら良い」

 

 扉の前で立ち止まり、白銀の方を向いてから総司は断言する。これっぽっちも白銀達に遠慮なんてしていないと。

 そして白銀は、その総司の言葉を聞き、どこか嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「おーっす、会長様のお帰りだぞ~」

 

「総司…。やっぱりお前は少し遠慮してくれ」

 

「は?何つい数秒前に言った事覆してんだ…ん?」

 

 ノックもせず扉を開けてずかずかと生徒会室へ入っていく。余計な台詞と共に。そんな総司の様子を見て、白銀はため息を吐きながら掌を返した。

 そして総司が白銀にツッコミを入れようとした時だった。総司はふと生徒会室の様子がいつもと違う事に気付く。

 

 今、生徒会室にいるのは総司と白銀を含めて五人だ。総司、白銀、かぐや、藤原。石上はもう仕事を持って帰っていったのだろう。そしてもう一人。

 

「君は?」

 

「あ…え、あっ…」

 

 総司達とは違う白い制服を着た銀髪の女子生徒がいた。

 この白い制服は、秀知院学園中等部のもの。つまり、この生徒は中等部の生徒。一体何の用でここまで来たのだろう。

 

「あれ、圭ちゃん?何しに来たんだ」

 

「おに…、兄さん…。無事だったのね」

 

「え、何が?」

 

「兄さん…。あ、もしかして白銀の妹か?」

 

 総司と中等部の女子生徒が視線を交わしていると、総司の背後から前に出た白銀が女子生徒に話し掛ける。

 圭、という名前なのかと知ったのも束の間、その女子生徒は白銀に対して兄さん、と呼び掛けた。

 その前に何かを言い淀んだのがちょっぴり気になるが。

 

 総司は白銀に妹がいる事は知っていた。というのも白銀から直接聞いたのではなく、白銀から聞いたかぐやから聞いたのだが。

 

「は、はい。中等部生徒会の会計、白銀圭と申します」

 

「おぉ~…。しっかりした子だな、白銀」

 

 綺麗にお辞儀をする女子生徒、圭に感心する総司。ちらりと横目で白銀を見遣ると、何故か苦笑いしていた。いや、本当に何故?

 

「総司君!今日はお仕事を手伝いに来たんですか?」

 

 総司を呼びながら近付いてきたのは藤原だ。いつもの柔らか笑顔で話す藤原は生徒会の癒しである。

 時に場を混沌とさせる劇薬にもなるが。

 

「あぁ。白銀が泣いて頼んできたからな」

 

「え!?会長、泣いたんですか!?」

 

「泣いてない」

 

 総司の嘘を信じてしまう藤原。藤原の問いかけをすぐに否定した白銀は呆れの視線を総司に送る。

 

「ほら、そんな事より白銀。早く資料半分寄越せ。後、書き写す紙も」

 

「…手伝いを頼んだ俺が言うのも何だが総司。やっぱりお前は少し遠慮するべきだ」

 

 ソファに腰を下ろし、ふんぞり返る総司にため息を吐く白銀。

 

「…?」

 

 白銀が資料を分別している間、総司はふとある事に気付く。

 

「随分ご機嫌だなかぐや。どうした?」

 

 総司の正面に座っていたかぐやの機嫌がとても良いのである。目を輝かせ、頬を赤くさせて少し興奮すらしている様子。

 

「白銀さん…、妹さんと夏休みに買い物に行く約束をしたんです。今からもう楽しみで仕方ないんです」

 

「そんな…。私も、楽しみです」

 

「私と萌葉も忘れないでください!?」

 

 どうやらかぐやは圭に懐いているらしい。まあ、圭には白銀の面影もあるし、かぐやのタイプにドストライクだろう。

 

「夏休み…、そうか、夏休みか。もうそんな時期か…。夏休みかぁ…」

 

「お、おい総司?どうした?何でそんなにテンション下がってんだ?夏休みにトラウマがあるのか?」

 

 そう、もうすぐ夏休みなのだ。正確に言えば、来週一杯で一学期が終了するのである。全国ほとんどの学生が楽しみにする夏休みがやって来るのである。

 

 だが、この四宮総司にとって夏休みなどただの繁忙期でしかないのである。

 

「あぁ、総司は長期休みに入ると仕事が大量に降りてくるんです。だから総司にとって夏休みは休みじゃないんですよ」

 

「そうなの!?」

 

 心配そうな白銀兄妹に藤原。一方のかぐやは普段と変わらぬ凛とした様子で総司の現実を白銀達に伝える。

 

 驚愕する白銀。

 

「四宮先輩…、可哀想です…」

 

「総司君…」

 

「いいよ…、もう慣れたから…」

 

 同情の視線を総司に向ける圭と藤原。同級生だけでなく、中等部の後輩にすら同情の視線を向けられる総司は今、彼らにどう映っているのだろう。

 少なくとも、今の総司は鬼才と呼ばれるような学生には見られないだろう。

 

「…総司君」

 

 ホロリと一滴の涙を落とした総司に、遠慮がちに藤原が近付いて小声で話しかけてきた。

 

「…どうした」

 

「あの、今の総司君にこんな事言うのはちょっぴり心苦しいのですが…。あの約束を覚えてますか?」

 

「約束…?あ」

 

 耳元で問いかけてきた藤原が口にした約束は、すぐに思い出した。

 もう二ヶ月も経つ。藤原と、新しい水着を一緒に選ぶと約束してから。

 

「覚えてる。というか、思い出した」

 

「それなら良かったです。それで、その約束なんですが…、次の日曜日で良いですか?」

 

 来た。来てしまった。ついに、この時が。避けられない、男にとっての試練の日が、ついに定められた。

 

「…日曜日なら問題ない」

 

「…じゃあ、その日に一緒に行きましょうっ。買い物に行く場所や待ち合わせ場所はこちらで決めておくので、後日に連絡しますっ」

 

 小声だが弾んだ声で言いたい事を言い終えた藤原が総司から離れる。総司から離れた藤原に圭が何を話してたの?

と聞いていたが、藤原は笑顔で秘密ですっ、と答えている。

 

「おい総司、持ってきたぞ」

 

「ん、おう。んじゃ、始めるか」

 

「あぁ。…藤原書記と何を話してたんだ?」

 

「いや、別に何も」

 

 資料と書き写す用の紙を総司に渡した白銀は、それ以上何も聞かなかった。

 白銀が会長席へと戻り、議事録の書き写しを始める。総司もまた、白銀より一足先に書き写しを始めていた。

 

 そんな総司を、かぐやは紅茶が入ったカップを片手にじっと見つめていた。




圭ちゃんをヒロインにはしませんでした。理由は、私の力では三人のヒロインを平等に輝かせる事は出来ないと悟ったからです。
今ですら、少し藤原に出番が片寄ってる感じがするのに、これで圭ちゃんまで加わったら悲惨な事になりそう…。
圭ちゃんファンの方、ごめんなさい。でもいつか圭ちゃんに焦点を当てた話を投稿するので許して。

そして、皆さんは覚えてましたか?総司と藤原の約束を!
ちなみに私はこの話を書くまで忘れてませんでした。
忘れてませんでしたよ?(笑)

もう何も辛くないも選びたい(藤原の水着を)
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