四宮総司は変えたい   作:もう何も辛くない

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本誌のかぐや様はバレンタイン編に突入しましたね
色々と気になる事が多いですよ
石上、つばめ、ミコの三角関係の展開とか、キューバリファカチンモとか

後、ショートカット早坂可愛すぎん?
キャラ皆平等に好きだったのに一歩先に行こうとしてるんですあの子助けてください


四宮総司は誤魔化せない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総司先輩って誰かと付き合った経験とかあるんですか?」

 

 そう唐突に問われたのは生徒会室へと向かう途中での事だった。

 

 もうすぐ文化祭が行われるという事で、体育祭直前から生徒会の繁忙期は未だ続いていた。今日はかぐやからヘルプを頼まれ、生徒会の仕事を手伝う事となっていた。

 石上と会ったのは生徒会室がある一階へと階段を降りている途中、二年生の教室がある三階から一年生の教室がある二階に降りた時だった。

 

 バッタリ出会した二人は一言挨拶を交わしてから、並んで生徒会室へと向かったのだが。

 

「急にどうした」

 

「いや、ふと気になって。総司先輩ってモテますけどそういう浮いた話は全く聞かないなと思って」

 

「だろうな。そういう関係に至った事がないからな」

 

 色々吹っ飛ばして先の先まで至ったけど、とは口に出しては言えず。へぇー、と相槌を打つ石上の次の言葉を待つ。

 

「彼女が欲しいなんて思った事もないんですか?」

 

「…ろくでもない女と結婚させられるよりは自分で決めた相手と、とは思ってる」

 

「政略結婚は嫌ですか」

 

「そりゃな。政略結婚から始まる恋、とかよく聞くけどあんなの物語だけの話だろ」

 

 なお、これは総司個人の考えである。

 

「で?」

 

「はい?」

 

「何で急にこんな事聞いてくるんだよ」

 

「いや、だからふと気になって…」

 

「子安つばめの事の相談か?」

 

「!!!?」

 

 石上が信じられないといった表情で総司を見る。見開いた両目とあんぐり開いた口が、石上の驚きの大きさを物語っている。

 

「…四宮先輩ですか?」

 

「かぐやは関係ない。俺独自で知った事だ」

 

「ぱねぇ…」

 

 ぽつりと漏れた石上の一言はしっかりと総司の耳に届いていた。総司は胸を張り、どや顔を浮かべながら石上を上から目線で見下ろす。

 

「また難儀な奴を好きになったもんだな。あの人、恋愛にトラウマ抱えてんだろ?」

 

「え、そうなんですか?」

 

「知らねぇのかよ。…まあ知らないなら詳細は語らんぞ」

 

「いや、聞こうと思ってませんよ。知りたくはありますけど」

 

 三年、子安つばめ。秀知院四大難題女子の一人で、容姿端麗、性格も穏和で裏表のない性格は性別関係なく人を惹き付ける。

 体育祭では赤組応援団の副団長を務めており、恐らくそこで関わりを持って石上は彼女に惚れたのだろう。

 

「ていうか、知ってるなら聞かないでくださいよ。性格悪いっすよ」

 

「四宮だからな」

 

「うーっわ…。申し訳ないですけどものっ凄くその一言で納得できちゃいますよ…」

 

 再びどや顔を浮かべる総司。ドン引きする石上。

 対称的な二人ではあるが、間に流れる空気は決して悪いものではなかった。

 

「…でもそんな人でも普通にモテるんだもんなー。やっぱイケメン妬ましい」

 

「何か知らんがものっ凄く憎悪を向けられてる気がするぞ」

 

 理由は不明だが、涙目で俯き、影が差した表情からは黒いオーラが醸し出る石上からは憎悪が感じ取れた。

 別に総司が某アニメに出てくる新人類に覚醒した訳ではない。誰でも出来る、ごく普通の読心術とすらいえない読みである。

 

「とにかく、恋愛相談なら俺にしても無駄だぞ。大体、相談したいのは俺の方だ」

 

「?それ、どういう事です?」

 

 あっ、と声をあげなかった総司を誉めるべきか、それともあっさりと口を滑らせた阿呆っぷりを貶すべきか。

 どちらにしてもこの時、総司は石上にペースを握られたのである。

 

「もしかして、総司先輩も好きな人が…」

 

「それは違う」

 

 総司が抱えている悩みは好きな人がいるとかそういうのではない。というより、それ以前の問題というか、とにかく石上が考えているものとは違う悩みを抱えている。

 

「じゃあ、誰かに告白されたとか?それとも告白を断った結果、ストーカーされてるとか?」

 

「それも違う。後、もしストーカーされてたら悩む暇もなく部下が断罪する」

 

「四宮家怖い」

 

 総司の悩みが何なのか聞き出そうとする石上。そろそろ脅しをかけて矛を納めさせるか、という考えが浮かび出す。

 

(…いや、ここは石上に意見を聞くチャンスなんじゃ?)

 

 しかしここで物騒な考えを引っ込め、逆にこの状況を利用しようかという考えも浮かぶ。

 

 以前、帝にはああ言われたが、もしかしたら石上はまた別の考えを持つかもしれない。

 

「…なあ石上。これは俺の友達の話なんだが」

 

「そう切り出されると総司先輩の話に聞こえますよ。ていうかそれ、生徒会の誰かの話ですよね?総司先輩他に友達いませんし」

 

「お前ぶっ殺すぞ、社会的に」

 

 無表情の総司に告げられ怯える石上をそのままに、総司は帝に話した事をそのまま話した。

 怯えを収めた石上はうんうんと時折頷きながら総司の話に耳を傾ける。

 

「…どう思う?」

 

「総司先輩、爆発四散してください」

 

 そして、総司の話を聞き終えた石上の答えはこれだった。

 

「何ですか、めっちゃアオハルしてんじゃないっすか。何ですか、片想い真っ最中の僕への当て付けですか。もう青春の中の青春すぎて訓読みしちゃったじゃないですか」

 

「落ち着け石上。スイッチを切るんだ」

 

「一緒に水着を買いに行く?そんなのに好意を持ってない男を誘う女がいたらそいつはとんでもない尻軽ビッチっすよ。僕もつばめ先輩と行きたいです」

 

「だから落ち着けって。願望漏れてるぞ」

 

 暴走が止まらない石上を宥める総司。その苦労の甲斐あってか、それとも総司の苦労は関係なしにか、石上は直後に落ち着きを取り戻す。

 

「総司先輩、もしかしてその話って藤原先輩との話ですか?」

 

「!!!?」

 

 藤原先輩の話ではなく、藤原先輩()の話と来た。総司は驚きを隠せず目を見開いてしまう。

 それは、洞察力の高い石上相手には致命的であった。

 

「あ、やっぱりそうなんですね」

 

「…石上、この話は」

 

「解ってますよ、誰にも言いません。言ったら後が恐ろしすぎるんで」

 

 総司の脳内で目まぐるしく思考が巡る。結果、何をしても無様な言い訳にしかならないと結論付け、総司は無駄な抵抗を止めた。大体、石上には以前、千花とのキス未遂事件を目撃されている。これで誤魔化すとかどだい無理な話である。

 ただし、千花との話であるとは認めるがもう一人、圭の存在は出さない。これは絶対である。

 

「じゃあ、もう一人は会長の妹さんですか?」

 

「!!!!!?」

 

「あ、こっちも当たりですか」

 

 総司、再びの驚愕。何故、と問いた気な総司だが、石上にとってこの謎解きはあまりに簡単すぎた。

 まず先程の総司の話だが、総司は帝にした話を()()()()石上にした。そう、始めから相手はともかく、誰かに好意を向ける女子が二人存在する事を総司は話してしまっているのだ。

 しかし、それでも石上が圭の存在に辿り着く事は難しい。ならば何故、石上は圭の存在に辿り着く事が出来たのか。

 

「会長がめっちゃ悩んでましたよ。『もしかして、圭ちゃんは総司の事を…』なんて言って」

 

「…」

 

 もう一人のシスコンのせいだった。恐らく、期末試験前の勉強会についての話だろう。

 これは今日の生徒会は荒れるかもしれない。あの超絶シスコンが今、総司をどう思っているかなんて想像するに難くない。

 

 しかし、忘れてはいけない。白銀は、総司の妹に手を出そうとしている事を。

 

「今日は戦争だな」

 

「え、何ですかいきなり」

 

 そうこう話している内に二人は生徒会室の前に辿り着く。すると石上は真剣な顔付きで総司の方を振り向いた。

 

「総司先輩がどういう答えを出すかは知りませんけど、ちゃんと二人の好意には向き合ってくださいよ」

 

「…解ってるよ。そこから逃げるつもりはない。ていうか、逃げるつもりないから悩んでんだよ」

 

「それもそうですね。逃げるつもりなら悩む必要もないですもんね」

 

 最後は笑みを向け合ってから、石上が前に出て扉を開けて中へ入る。続いて総司も中に入り、先に来ているはずのかぐやと白銀に挨拶をしようとして──────

 

「うっわ、藤原先輩…。猫耳メイドってだいぶステレオなコスですね…」

 

「…」

 

 出来なかった。生徒会室には何故か猫耳メイド服姿の()()()。それと何故か気を失って倒れている白銀の姿があった。

 

「それ学校で着ますか?藤原先輩は恥というものが欠落…総司先輩、どうしました?」

 

「石上。あれ、かぐや」

 

「え?」

 

 かぐやを千花と勘違いしたまま、石上は言葉のナイフをかぐやに突き立て続ける。羞恥が増すごとに頬を染める赤が濃くなっていくかぐや。

 さすがに見ていられなくなった総司はソファに鞄を下ろす石上の肩を叩き、振り向いた石上にあの恥というものが欠落した存在がかぐやであると教える。

 

「…えええええええ!?ど、どうしちゃったんですか!?すみません!イカれた格好してるからつい藤原先輩かと…」

 

「恥が欠落…イカれた格好…」

 

「あっ!いえ、それは言葉の綾で…!」

 

 崩れ落ちるかぐやを見て、フォローの台詞のつもりが追撃の一撃となってしまった事を悟る石上。

 ちなみに、追撃どころか止めになってる事までは気付けていない様子。

 

「…?何だこれ」

 

 石上が必死にフォローしようと努める中、総司は白銀の左手辺りに変なものを見つける。赤い文字、だろうか?遠くて判別できない。

 総司は近付き、しゃがんでその文字を改めて見る。

 

「かわえ…河江?誰だ?」

 

 この学園に河江なんて生徒はいただろうか。総司は脳内を巡らせ思い出そうとする。

 ちなみに、この学園に河江という生徒はいない。それにたとえいたとしても、この文字とは全く関係がない。

 何故ならこれは、『かわええ』と書こうとして途中で白銀が力尽きただけなのだから。

 

「…後で赤木に調べさせてみるか」

 

 しかしそんな事を知る由もない総司は無駄な行為を続けようとしていた。

 

 その後、河江という名前について何も掴めなかったという赤木の報告に頭を悩ませる事になるのはまた別の話である。

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