もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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パラドックスは私たちが関心を持つ物事の多くを動かしています。パラドックスと矛盾はまったく違います。矛盾はそこで止まってしまいますが、パラドックスは前進し続けます。なぜなら、私たちが片方の側の真実を知るたびに、別の側の真実に背後から捕まえられるからです。
by スチュアート・ブランド(雑誌『ホール・アース・カタログ(全地球カタログ)』創刊者)


前章〜タルタロス・ミッション〜
不穏な始まり


 絶対に変えてはいけない過去がある。変えてしまいたい過去だってある……

「……?」

 順番待ちをしてた時に、そんな言葉が頭をよぎった。

 

「……」

 ここは、あの世。

 そこに居るヴィクトリーというヒーローアバターは地獄門にて、ブロリーと相打ちになり、死んでしまったのだ。

 それにしても、不憫極まりない。今頃みんなはSDBHの世界で、楽しんでるんだろうな。

 そんな事を考えていたら、すぐに自分の番が回ってきた。

「ヴィクトリー、〇歳……」

「……」

 閻魔のおっちゃんと、何気ない会話を混ぜながら審判する。

 行先は、天国だそうだ。やったぜ。

「それじゃあ、行け。」

「サンキュー!」

 これから、天国でも強い奴と戦うつもりである。どんな奴が居るのか楽しみで、なんだかワクワクしていた。

 その時だった。

「お待ち下さい……」

 不意に柔らかな光が閻魔の間に差し込み、それが降臨する。

「私は女神イリアス。この世界とは別の世界から来た神です。」

「な……」

「神さま……?」

 降臨してきたのは、神様だった……

 

 話を聞くと、世界が魔王の暴虐に晒されてピンチなんだとよ。その為にイリアス様はわざわざ世界を渡り、俺に協力を求めてきた。聞いてみれば、強い奴が沢山いるらしい……それなら面白そうだ。

 閻魔のおっちゃんも快く頷き、俺を別の世界に飛ばす事を許可してくれた。更に閻魔のおっちゃんとイリアス様が力を合わせて、俺を生き返らせてくれた。

 その過程で、レベル1に戻ってしまった訳だが……しかし俺も伊達にドラゴンボールヒーローズの世界で生きてきた訳じゃない。レベル99からレベル1になるなんて、慣れたものだ。

「ヴィクトリー。」

 声を掛けてきたのは、占いオババだった。

「オババ。」

「話は聞いたが……何やら凄く嫌な予感がするぞ。」

「俺なら大丈夫さ……きっと、今よりもっと強くなるから……!」

「ならば、これを持っていくがいい。」

 オババが渡したのは、カプセルケースだった。

「?何だこりゃ?」

「もしもの時のアイテムじゃ。色々と入ってるから、困った時に使うのじゃぞ。」

「ああ、サンキュー!」

 オババからカプセルケースを貰い、ヴィクトリーはそれを腰にかける。

「準備は出来ましたか?」

「ああ、オッケーだ!」

 ヴィクトリーはイリアスの所に走り、手を取る。

「それでは、行きますよ……近寄ってください。」

「近寄るだけでいいのか?」

 そう言いながらイリアスの正面につく。

「……はっ!」

「……っ!?」

 二人は光に包まれ、そしてそのまま姿を消してしまった。異世界に渡った二人を後に、あの世はいつも通りに動いた……

 

「……あれ?」

 いつの間にか、イリアス様がいねぇ。それに、辺りが真っ暗だ。

「おーい、イリアス様ー!?イリアス様ー!」

 暗闇の中で叫ぶが、イリアスは応えなかった。

「……!?」

 いや、暗闇じゃねぇ!辺りは真っ黒だけど、自分の手がくっきりと見える!

 背景だけが、真っ暗な絵画のようで気味が悪かった。

「ど、どうなってんだ……?あ、いや……そんな事よりもイリアス様ー!」

 俺はきょろきょろと探し回り、イリアスを探す。しかし、うんともすんとも応えてくれなかった。

「っかしいな〜……うーん……」

 大体、ここは何処なんだ?まさか、なぞのばしょと言う奴なのか……!?

「やべぇな、もしそうだとしたら出られねぇぞ……!」

 俺は飛び、ひたすらに目の前を進む……飛び?

「……」

 足元を見る。床なんて無い。

「は……!?」

 レベル1になっちまったから、舞空術が使えなくなったんじゃねぇのか……?

「……」

 そう思っている時だった。遠くに、何かいる……

「……何だ、ありゃ?」

 茶髪で、肌が青白くて、赤い布を纏ったような……そいつはゆっくりと振り向き……こっちを見た。

「!!!」

 次の瞬間、辺りの空間がノイズに変わった。テレビの砂嵐のような、視覚的に喧しい、色、色、色が、目に飛び込んでくる。

「な……な……!?」

「……」

 そうこうしている内に、金髪の化け物は高速移動で目の前に来ていた。

「っ!!?」

 不味い、どう考えても普通じゃねぇ!

「な、なんだてめぇは!!」

 ヴィクトリーは構え、女と向く。

「第二種断界接触……世界間の接触は禁止とする……消去する。」

 何だか知らねぇが、俺を殺す気らしい。今のレベルじゃあ、負けるのは目に見えてる。

「ちっ!」

 ヴィクトリーは逃げるが、目の前にまた女が現れた。

「っ!?」

「消去する……」

 女は強大な力を解き放ち、周囲の空間を侵食した。

「ぐっ……でゃあっ!!」

 ヴィクトリーは怯まずに突進し、こめかみに蹴りを入れた。

「……」

「な、なに……!?」

 全く効いてないみたいだ。

「消去、開始……」

 女は笑い、手にエネルギーを溜めてヴィクトリーの腹に添えた。

「!!!」

「……」

 女のエネルギーが爆発し、ヴィクトリーはぶっ飛んだ。

「うわぁああああああーーーっ!!!!」

 勢いよくぶっ飛び、女の姿がすぐに見えなくなった。彼は大ダメージのあまり、失神してしまった……

 

「……」

 目を覚ました。

 全身が痛む。目眩がする。いい感覚と言ったら、この暖かいベッドぐらいか。

「うっ……ぐ……がはぁあっ……!!」

 俺は手を口で押さえながら、大量に吐血した。指の間から溢れる血が滴り、ベッドを汚してしまった。

「あっ……だ、大丈夫かい!?」

「っ!?」

 不意に話しかけてきたのは、俺と同い歳ぐらいの少年だった。

「待ってて!今、何か持ってくるから!」

「……」

 少年は俺を見るなり、どたばたと走って行った。

 周囲を見回してみる……机に椅子……クローゼット……最低限のものが置いてあり、部屋もギリギリ不自由が無いぐらいの広さだ。どうやら、宿屋に運ばれたみてぇだ。

「お、おまたせ!」

 少年が部屋に入ってきて、桶と水の入ったビンを持ってきた。俺は桶に血を吐き、咳をする。咳をする度に体が軋み、ズキズキと痛みが走った。

「うぐっ……!」

「あ、えっと……これ飲んで!」

「あぁ……?」

 渡されたのは、水の入ったビンだった。とりあえず、水ぐらいは飲んどけって事か?

 俺は受け取り、水を飲む……すると、体のダメージがみるみる内に消えてった。

「どうだ……?」

「……何だこりゃ?」

 まるで、仙豆のような効能だ。みるみるうちに傷も痛みも消え失せ、全回復してしまったのだ。

「イリアスヴィルの泉の水さ。どうだい?」

「すげぇな、ダメージがみるみる内に消えちまった……」

「それは良かった……」

 少年はほっとしたように息をつき、椅子に座った。

「君はこの村の外れで、傷だらけになって倒れてたんだよ。それを僕の幼なじみが発見して、ここに運んだんだけど……意外と早く目が覚めたんだね……」

「……」

 ……何だかんだで、ここはイリアス様の言う異世界なのか?

「なぁ、ここは何処なんだ?」

「ん?ここはイリアスヴィル。イリアス様の〜」

 少年の長ったらしい話を聞き流しながら、考える。イリアスヴィル……聞いたこともねぇな。名前的にもイリアス様と何か関係があんのか……?

「君は何処から来たんだ?」

「どこから来たんだって言われても……俺は、イリアス様に連れてこられたからなぁ……」

「イリアス様……!?」

 食いついてきてくれた。それが引き金になり、俺は少年と話し合ったのだった……

 

 この世界の事、俺の世界の事……なぜ俺が連れてこられたのか、そして何故俺があんな目にあったのか……

「……そうか、そんな事が……」

 少年の名前はルカ。この村の住人の一人で、勇者見習いらしい。俺の事は、異世界から来た素人武闘家って説明しといた。

「それにしても、勇者か……当然、旅に出るんだろ?」

「うん……いつか、父さんに追いつくんだ!」

 ルカの父ちゃんも勇者で、今現在は行方不明らしいが……それでもルカの父ちゃんはルカにとっての憧れみてぇだ。父の背を追う勇者……なんか、かっこいいな。

「あのさ、よかったら俺もその旅に連れてってくんねぇか?」

「え……?」

「俺、この世界で強い奴と戦ってもっともっと強くなりてぇんだ!いいだろ?」

「えぇ……」

 少年は困惑していた。この男、単なる戦闘狂なのか……?

「あ、えっと……イリアス様にもルカという男について行った方がいいって言われたんだ!な、頼むよ!」

「イリアス様……それならしょうがないか……」

 一人旅は心細いと思ったのか、ルカもあっさりと了承してくれた。

「おっしゃあ!サンキュールカぁ!これからも宜しくな!」

「ああ……宜しく、ヴィクトリー!」

 勇者見習いと素人武闘家は握手した。

「……でも、旅に出るのは三日後だよ。」

「三日後?」

「ああ……」

 三日後に勇者になる儀式を行うらしい。俺としてはそんな儀式せずにとっとと旅に出たい気分なんだが……まぁ、そこら辺はルカに従っていこう。異世界から来た俺が偉そうに口を挟むモンでも無さそうだしな。

「ルカ〜!」

 女の声が聞こえた。

「例の男の子、無事なの〜!?」

「ああ!元気になったみたいだよ〜!」

 入ってきたのは、短髪の僧侶っぽい女の子だった。いや、女の子っつっても身長は俺やルカより高そうだ。

「えっと……おっす!俺ヴィクトリー!あんたは?」

「あんたって呼ぶな!」

 女の子は棍を出して、俺の頭をぶっ叩いた。

「っでぇっ!?」

「あはは……この子はソニア。僕の幼なじみだよ。」

「そして、この村の神殿僧侶よ。あんたを見つけたのも、私なんだからね。」

「あ、あぁ……ありがとう。」

 ……こいつは誰だ?

 俺の中で、モヤモヤとした違和感が湧いてきた。違和感の正体は分からない。ただ、腹の中で違和感がぐるぐるしている。何もおかしい所なんてないはずなのに……っかしいな……

「まぁ、無事で何よりね。ここの事はルカから聞いた?」

「あ、ああ……」

「なら、暫くゆっくりしていきなさいよ。三日後にはルカも旅立つんだし。」

「あ〜……ソニア。一応ヴィクトリーも僕の旅について行く事になってるから。」

「そうなの……?ふーん……」

 ソニアは俺の顔をまじまじと見てくる。

「……」

「まぁ、無事で良かったわ。分からないことがあったらルカや私に言ってね。」

「あ、ああ……サンキュー!」

 意外と親切にしてくれた。それでも、胸の違和感は消えねぇ……

 

 とにかく、三日間はここでルカの宿屋の手伝いをする事になった。三日後、俺達は旅立つ。

 どんなつえぇ奴が居るんだろうな……俺、わくわくしてきたぞ!

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