もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
イリアスベルクを脅かす、魔物盗賊団四天王と激突する戦士達。優勢かと思った矢先、突如盗賊団達が凶悪化した。
その唐突なパワーアップに、戦士達は押されてしまう。だがヴィクトリーとルカは、仲間の助けのお陰でゴブとプチを倒す事が出来た。
さて、ソニアは……
「くぅうっ!」
やはり、苦戦しているようだ。無数に襲いかかるコウモリとヴァニラの魔法攻撃のコンビネーションに、押されている。
「どうした!? その程度か!」
「ちっ……!」
ソニアは猛攻から抜け出し、回復魔法で自分を治癒する。そして、棍を振り回してから構え直した。
「はぁっ!」
更に気を解放し、突進した。
「ほう?」
「はぁあっ!」
見事な棍術で、ヴァニラに猛攻する。右や左、縦横に素早く線を描きながらの、攻撃の連打。
「ふははははっ!」
しかしヴァニラは腕でそれを弾き続ける。弾かれる度にソニアの体は吹っ飛びそうになるが、どうにか踏ん張り続ける。
しかし彼女は最後の一撃を弾かれると同時に体幹を崩し、よろけた。そんな所にヴァニラは足払いをかけ、すっ転ばせた。
「なっ!?」
「くらえぇっ!」
そして、マントを翻しながら後蹴りを放つ。それは、転んでる最中のソニアの腹を打ち抜いたのだった。
「きゃあぁっ!」
ソニアは勢いよくぶっ飛び、遥か後方にあったはずの壁に、一瞬にして叩きつけられる。
「うっ……ぐ……!」
強い……強すぎる……! ラザロおじさんから教わった棍術が、全く通用しない……!!
心中でそう言いながら、無けなしの気力でヴァニラを睨め上げるソニア。しかし、状況は絶望的。
「ふん……終わりか……? ならば、トドメを刺してやろう!」
ヴァニラは手に暗黒の魔力を溜め、ソニアに突撃した。走り、その魔力をソニアに叩きつけようと、腕を振りかぶる。
「……」
そんな所に、突如としておどおどしたインプ──レミが来る。そして、少し足を突き出した。
「のわっ!?」
ヴァニラはそれに思いっきり引っかかり、すっ転んだ。勢いよく転んだので、彼女が頭から激突した地面に亀裂が走る。
「レミちゃん……!?」
「何をするっ!? 我を愚弄する気か!!」
「びくびく……」
レミはびくびくしながら、起き上がってる最中のヴァニラに体当たりした。それも当たり、ヴァニラはまた転倒する。
「ぐぅっ! 小賢しい!」
しかし彼女は起き上がり、突撃し、腕を薙ぎ払ってくる。
「びくぅっ!!」
しかし、レミは頭を押さえてしゃがむ。なんとそれで、腕の薙ぎ払いを避けたのだった。
「っ!?」
「……っ!!」
更に状態から勢いよく伸脚して、ヴァニラの顎に頭突きした。確かにそれは効き、彼女にダメージを刻んだ。
「ぐぅっ!?」
「びくびく……」
レミは頭を撫でながら、ヴァニラを見る。
ヴァニラは顎に攻撃がヒットした事で脳震盪が起きて、よろめいているようだ……
「……ここだっ!!」
ソニアは棍を構え、ヴァニラに突撃する。
「うぐぉおっ!?」
「はぁああっ!!」
そして、疾風怒涛の棍術でヴァニラの全身に棍の連撃を叩きつけた。暴風が如くそれを一通りとして叩き込んだ後に、体を一突きしてぶっ飛ばす。
「〜っ!!」
「終わりよっ!」
ソニアは走りながら、棍をバットのように持つ。それを見たヴァニラが察し、手を前に突き出した。
「ま、待てっ……!!」
「えーいっ!!」
ヴァニラの待ったなど聞かず、力任せに、脳天に棍を叩きつけたのだった。
「ぎゃあんっ!!!」
ヴァニラは頭に星を回らせながら、失神してしまった。それと同時に、邪悪な気が消散し、凶悪化が解けた。
「あちゃ〜……やりすぎちゃったかも……」
「おどおど……」
レミが心配して、ヴァニラに回復魔法をかけた。
ソニアも、何とかなったようだ……
「はぁっ……はぁっ……!!」
「うがーっ!」
アリスがズタボロになりながら、パピに向かっている……
「くっ!」
アリスはレイピアを構え、攻撃する。しかしパピはレイピアの刃を掴んで止め、彼女のこめかみに蹴りを入れる。
「ぐぁあっ!」
「がぁあっ!!」
そして、よろけたアリスの体に鉄拳を連打した。
「ごぶぅっ……!!」
「ふんっ!!」
更に口を膨らませてから、火球を吐き放つ。火球はアリスに直撃し、爆発した。
「ぐぅうっ!!」
アリスはぶっ飛ぶが、よろめきながらレイピアを地面に突き立て、何とか倒れずに済んだ。
「く、くそ……こんな体で無ければ……こんな奴……!!」
「がおーっ!!」
パピは飛び上がり、アリスにかかと落としを放ってくる。
「ちっ!」
アリスは跳び避ける。目標を逃したパピの踵落としが、大地を砕いた。大地が砕け、砂煙が巻き上がる。
「な、なんという……!!」
「そこかぁっ!」
アリスが声を発し、パピがそれを聞いて振り向く。そして、間髪入れずに火球を吐き放ってきた。
「ちっ!」
アリスは、それをレイピアで弾き飛ばした。弾かれた火球が天井近くに当たり、爆発する。そして、瓦礫がガラガラと落ちた。
「やぁあっ!」
「!!」
パピは既に眼前に迫っていた。
「くそっ!」
そのまんま、インファイトの攻防を繰り広げる。しかしパワーで押されて、どんどんと劣勢になってしまう。あっという間に防御しか出来なくなり、地に踏ん張る蛇体も限界を迎えそうだ。
「こ、このまんまじゃ……!」
「うがぁあ……!!」
そして、防御が崩される──次の瞬間だった。
「うさぁっ!!」
不意に、バニースライムのうさがパピの背後から足払いを放った。
「っ!?」
パピはそれに直撃し、すっ転び、倒れる。
「大丈夫!?」
「た、助かった……」
うさの薬草で、アリスは回復する。
「一緒に戦うぞ! うさうさぁっ!」
「わ、分かってる……!」
うさとアリスが、並んで構える。
「うがぁあっ!!」
パピは起き上がってから、暗黒の魔力をその身に凝縮し、爆発波の範囲攻撃魔法を放った。
「うわっ!?」
「くそっ!」
うさとアリスはそれを避け、隠れる。
「ど、どういう事だ……!? なぜあんなのが、暗黒の魔力など操っているのだ……!?」
「わ、分かんないよ……ただ、私の憶測だけど……あれは、何者かに操られてるんだ」
「なに……?」
周辺に、怪しい存在は居なかった筈だ。それに、ここのモンスターだってこんな事が出来るような連中ではない。じゃあ、いったい誰が……?
「見つけたぞ!」
パピが、うさの前に躍り出てくる。
「くっ!」
「くそっ!!」
正面から挑まれたので、迎え撃つしかない。ゆえに、二人は構える。
「すぅっ……!」
パピは息を吸ってから、火の息を吐いた。
「任せてっ!」
うさはそう言ってから、迫り来る火の息を相手に、両手を勢いよく廻す、空手の防御術──『廻し受け』で、炎を霧散させた。
「うがっ!?」
「あちち……!」
うさは手をぶんぶんしながら、驚くパピに足払いする。それは綺麗に決まり、彼女はすっ転んだ。
「ぐっ……」
しかし、二度も受けた技。すぐに起き上がり、対応しようとする──
「チャージ……はぁっ!!」
しかし、アリスの力を込めたレイピアの一撃が、起き上がりざまのパピに一閃した。
「ぐぁあっ!!?」
「はぁあっ!」
うさはパピの所に高速移動し、体に正拳突きを連打する。
「うがぁあっ……!!」
「やぁあっ!!」
更に胸に蹴りを連打してから、思いっきり殴りかかった。
「ぐっ!」
しかしパピはその拳を掴み、うさを乱暴に地面に叩きつけた。大地が砕け、地響きが轟く。
「くそっ!」
アリスはパピに切りかかるが……
「邪魔なのだーっ!!」
なんとパピはアリスにタックルしてから体を掴み、バックドロップを決めた。
「ぐぁあっ……!!」
「うさぁ……っ!!」
うさが起き上がり、パピに攻め込もうとするが……
「っ!!」
パピは火球を吐いて、うさを爆破した。
「きゃああっ!」
「そこだぁっ!!」
アリスは蛇体で、パピの足元を薙ぎ払った。
「うわぁっ!?」
「はぁあっ! クロスアンブル!!」
そして、強烈な突きを二発も放った。
「うがぁっ……!?」
パピはその突きをもらって、よろける。
「うさぁっ!」
その隙に、うさは飛び上がって天井を蹴った。すると天井が砕け、パピの脳天に落石した。
「うがぁあっ……!!」
パピは脳天を押さえ、悶絶する。そこに、拳を合わせたうさとアリスが並んで突撃した。
「これで終わりだっ!!」
アリスとうさは渾身のストレートを放って、パピをぶっ飛ばした。
「ッッ!!」
パピはぶっ飛び、地面に倒れた。
「うがが……」
そして、戦意を失ってしまった……それと同時に、凶悪化が解けた。
なんとか、凶悪化した魔物盗賊団を倒したようだ……
盗賊団四人は並び、レミやソニアに治療してもらう事になった。
「はぁ……はぁ……」
「うぐっ……身体中が……いたい……」
「うぐぐ……わ、我は……何を……!?」
「うがぁ……」
どうやら、凶悪化した時のことを覚えていないらしい。
「……何がどうなっている?」
この四人の急激なパワーアップと、残忍性の向上──この現象に、ヴィクトリーは心当たりがあった。
「……心当たりならある」
ヴィクトリーがそう言うと、一同はそこに視線が殺到した。
「なにっ!?」
トワとミラ、そしてドミグラ……そいつらは、ドラゴンボールの歴史を改変しようとした悪い奴らだった。どう改変するのかというのが、さっきの凶悪化という方法だ。その歴史の人物を凶悪化させ、パワーアップさせて、本来の歴史とは外れた結末を迎えさせる……
以上の事を、ヴィクトリーは簡潔に説明した。
「凶悪化だと……!?」
「ああ……だけど、なんでそんな事を……?」
「それは分かんねぇよ……俺みたいに異世界から来て、何かやってる奴が居ねぇとも言い切れねぇしよ……」
自分が異世界から来れるのだ。自分以外が来れてもおかしくは無い。
「だが……周辺に、怪しい者は居なかった筈だ……いったい、誰がこんな事を……」
「……」
敵の唐突な凶悪化……果たして、これを引き起こした奴と会えるのだろうか。
「それより、魔物盗賊団がこんなちっちゃい子達だったなんてねぇ……」
「そう言えばそうだった。さぁ、情報屋アミラを解放するんだ!」
ルカが凄みを持って言うが、盗賊団は首を傾げる。
「アミラ? そんなの、知らないのだ……」
パピが代表して、そう言う。どうやら、すっとぼけている様子も無さそうだった。
「え? おめぇらがとっ捕まえたんじゃねぇのか?」
「そんな事、してないのだ……」
しつこいようだが、嘘をついている様子はない。
「いったい、どういう事なの……?」
ソニアが、そう言いながら頭を抱える。
「とにかく、町を脅かす魔物盗賊団は倒したんだ。とりあえず……」
「ぐすっ……」
「ぐすん……」
「ひぐっ……えぐえぐ……」
退治された魔物盗賊団は、ぐすぐす泣き続けている。これでは、まるでルカ達のほうが悪者だ。
「さて、どうしたものか……」
「余は知らん、貴様らに任せる。売るなり殺すなり犯すなり食うなり、好きにしろ」
アリスの言葉で、盗賊団達はびくびくする。
「そんなのやだぞ……うわーん!」
「……ひぐっ……うぇぇぇん!」
「うぇーん、うぇーん……」
「わーん、わーん……」
ついに、大泣きしてしまった……
「あーあー、泣かしちゃった……」
「ふむ、流石洗礼なき勇者サマはやる事が立派だな。こんないたいけな少女達を泣かせて英雄気取りとは」
呆れるソニアを横目に、アリスはそう言ってヴィクトリーとルカを見た。
「泣かしたのはおめぇだろ!」
「えっと、ともかく……とりあえず、イリアスベルクの人達に謝りに行こう。いっぱい迷惑を掛けたんだから……分かったね?」
ヴィクトリーは抗議し、ルカは盗賊団達に
「あやまるぞ……ぐすっ」
「私も、一緒に謝ってあげるから……それじゃあ、町に戻りましょうか」
こうして一行は、少女四人を連れて町に戻ったのだった……
外……
上空に、謎の影が二人。
「失敗したか?」
「いいや、この作戦に失敗も成功もありません……」
彼らが、町に向かうルカ一行を遠くから見ていた。
「まぁ、私個人としては成功した……と言った所か」
「どういう事だ……?」
「分からんのか……? ドミグラよ」
謎の二人組の、一人……ドミグラ。魔神の一人であり、言わずもがな盗賊団を凶悪化させた張本人だ。
「奴は戦えば戦うほどに強くなる……奴が強くなれば強くなるほど、私の愉しみも増えるのだ」
「それも、貴様のサイヤ人の本能がそうさせている……と言った所か」
「ああ……」
男は、ヴィクトリーをその目に見据えた。
「ヴィクトリーよ……この冒険で、サイヤ人のその力を全て解放してみせろ……その時が、貴様の息の根が止まる時だ……!!」
「……それで、続けるつもりか?」
「ああ……お前は
男はそう言い、カードケースを取り出して開ける。
「ふん……」
ドミグラは笑い、その体が闇に包まれる。そしてカードとなり、その男のカードケースに吸い込まれるように戻って行った……
「くふふふ……」
男はカードケースを懐にしまい、飛んだ。
「勝手な行動を、お許しください……これも全ては、アリスフィーズ様に尽くす為……そして、あなたに尽くす為なのです……」
男はそう言い、飛び去った……
そんなこんなで、盗賊団を倒した戦士達。しかし、アミラという情報屋の姿は無かった……
「……」
ルカやソニアが、盗賊団のみんなと一緒に謝ってる間にヴィクトリーはそこら辺でお茶を飲んでた。考え事をしているのだ。
盗賊団の不意な凶悪化……そして、あの凄まじい力……もしかしたら、ドミグラがこの世界に居るのかも知れない。だとしたら、大変な事になる。旅を急ぐ必要があるけど……今の自分が急いだ所で、何もならない。
ここは、ルカ達のペースに合わせてやるしかない。遠回りな気がするが、それが一番いい気がしてきた。
「おい、ヴィクトリー!」
「?」
ルカが来て、ヴィクトリーを呼ぶ。何やら、嬉しそうな感じだが……
「おかみさんの好意で、高級宿の『サザーランド』で泊まる事になったよ。お前も来い!」
「ふぇえっ!? ちょっ、あのっ、カネ置いとくぞー!」
一行は今夜、サザーランドとやらで泊まる事になった。高級宿というぐらいだから、期待できるというもの。それに、ベッドで寝るのも久しぶりの気がする。
色々な事がありすぎて疲れた戦士達は、サザーランドで一晩を過ごしたのだった……