もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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■戦■■して決着■

 イリアスベルクを脅かす、魔物盗賊団四天王と激突する戦士達。優勢かと思った矢先、突如盗賊団達が凶悪化した。

 その唐突なパワーアップに、戦士達は押されてしまう。だがヴィクトリーとルカは、仲間の助けのお陰でゴブとプチを倒す事が出来た。

 さて、ソニアは……

 

「くぅうっ!」

 

 やはり、苦戦しているようだ。無数に襲いかかるコウモリとヴァニラの魔法攻撃のコンビネーションに、押されている。

 

「どうした!? その程度か!」

「ちっ……!」

 

 ソニアは猛攻から抜け出し、回復魔法で自分を治癒する。そして、棍を振り回してから構え直した。

 

「はぁっ!」

 

 更に気を解放し、突進した。

 

「ほう?」

「はぁあっ!」

 

 見事な棍術で、ヴァニラに猛攻する。右や左、縦横に素早く線を描きながらの、攻撃の連打。

 

「ふははははっ!」

 

 しかしヴァニラは腕でそれを弾き続ける。弾かれる度にソニアの体は吹っ飛びそうになるが、どうにか踏ん張り続ける。

 

 しかし彼女は最後の一撃を弾かれると同時に体幹を崩し、よろけた。そんな所にヴァニラは足払いをかけ、すっ転ばせた。

 

「なっ!?」

「くらえぇっ!」

 

 そして、マントを翻しながら後蹴りを放つ。それは、転んでる最中のソニアの腹を打ち抜いたのだった。

 

「きゃあぁっ!」

 

 ソニアは勢いよくぶっ飛び、遥か後方にあったはずの壁に、一瞬にして叩きつけられる。

 

「うっ……ぐ……!」

 

 強い……強すぎる……! ラザロおじさんから教わった棍術が、全く通用しない……!! 

 心中でそう言いながら、無けなしの気力でヴァニラを睨め上げるソニア。しかし、状況は絶望的。

 

「ふん……終わりか……? ならば、トドメを刺してやろう!」

 

 ヴァニラは手に暗黒の魔力を溜め、ソニアに突撃した。走り、その魔力をソニアに叩きつけようと、腕を振りかぶる。

 

「……」

 

 そんな所に、突如としておどおどしたインプ──レミが来る。そして、少し足を突き出した。

 

「のわっ!?」

 

 ヴァニラはそれに思いっきり引っかかり、すっ転んだ。勢いよく転んだので、彼女が頭から激突した地面に亀裂が走る。

 

「レミちゃん……!?」

「何をするっ!? 我を愚弄する気か!!」

「びくびく……」

 

 レミはびくびくしながら、起き上がってる最中のヴァニラに体当たりした。それも当たり、ヴァニラはまた転倒する。

 

「ぐぅっ! 小賢しい!」

 

 しかし彼女は起き上がり、突撃し、腕を薙ぎ払ってくる。

 

「びくぅっ!!」

 

 しかし、レミは頭を押さえてしゃがむ。なんとそれで、腕の薙ぎ払いを避けたのだった。

 

「っ!?」

「……っ!!」

 

 更に状態から勢いよく伸脚して、ヴァニラの顎に頭突きした。確かにそれは効き、彼女にダメージを刻んだ。

 

「ぐぅっ!?」

「びくびく……」

 

 レミは頭を撫でながら、ヴァニラを見る。

 ヴァニラは顎に攻撃がヒットした事で脳震盪が起きて、よろめいているようだ……

 

「……ここだっ!!」

 

 ソニアは棍を構え、ヴァニラに突撃する。

 

「うぐぉおっ!?」

「はぁああっ!!」

 

 そして、疾風怒涛の棍術でヴァニラの全身に棍の連撃を叩きつけた。暴風が如くそれを一通りとして叩き込んだ後に、体を一突きしてぶっ飛ばす。

 

「〜っ!!」

「終わりよっ!」

 

 ソニアは走りながら、棍をバットのように持つ。それを見たヴァニラが察し、手を前に突き出した。

 

「ま、待てっ……!!」

「えーいっ!!」

 

 ヴァニラの待ったなど聞かず、力任せに、脳天に棍を叩きつけたのだった。

 

「ぎゃあんっ!!!」

 

 ヴァニラは頭に星を回らせながら、失神してしまった。それと同時に、邪悪な気が消散し、凶悪化が解けた。

 

「あちゃ〜……やりすぎちゃったかも……」

「おどおど……」

 

 レミが心配して、ヴァニラに回復魔法をかけた。

 ソニアも、何とかなったようだ……

 

「はぁっ……はぁっ……!!」

「うがーっ!」

 

 アリスがズタボロになりながら、パピに向かっている……

 

「くっ!」

 

 アリスはレイピアを構え、攻撃する。しかしパピはレイピアの刃を掴んで止め、彼女のこめかみに蹴りを入れる。

 

「ぐぁあっ!」

「がぁあっ!!」

 

 そして、よろけたアリスの体に鉄拳を連打した。

 

「ごぶぅっ……!!」

「ふんっ!!」

 

 更に口を膨らませてから、火球を吐き放つ。火球はアリスに直撃し、爆発した。

 

「ぐぅうっ!!」

 

 アリスはぶっ飛ぶが、よろめきながらレイピアを地面に突き立て、何とか倒れずに済んだ。

 

「く、くそ……こんな体で無ければ……こんな奴……!!」

「がおーっ!!」

 

 パピは飛び上がり、アリスにかかと落としを放ってくる。

 

「ちっ!」

 

 アリスは跳び避ける。目標を逃したパピの踵落としが、大地を砕いた。大地が砕け、砂煙が巻き上がる。

 

「な、なんという……!!」

「そこかぁっ!」

 

 アリスが声を発し、パピがそれを聞いて振り向く。そして、間髪入れずに火球を吐き放ってきた。

 

「ちっ!」

 

 アリスは、それをレイピアで弾き飛ばした。弾かれた火球が天井近くに当たり、爆発する。そして、瓦礫がガラガラと落ちた。

 

「やぁあっ!」

「!!」

 

 パピは既に眼前に迫っていた。

 

「くそっ!」

 

 そのまんま、インファイトの攻防を繰り広げる。しかしパワーで押されて、どんどんと劣勢になってしまう。あっという間に防御しか出来なくなり、地に踏ん張る蛇体も限界を迎えそうだ。

 

「こ、このまんまじゃ……!」

「うがぁあ……!!」

 

 そして、防御が崩される──次の瞬間だった。

 

「うさぁっ!!」

 

 不意に、バニースライムのうさがパピの背後から足払いを放った。

 

「っ!?」

 

 パピはそれに直撃し、すっ転び、倒れる。

 

「大丈夫!?」

「た、助かった……」

 

 うさの薬草で、アリスは回復する。

 

「一緒に戦うぞ! うさうさぁっ!」

「わ、分かってる……!」

 

 うさとアリスが、並んで構える。

 

「うがぁあっ!!」

 

 パピは起き上がってから、暗黒の魔力をその身に凝縮し、爆発波の範囲攻撃魔法を放った。

 

「うわっ!?」

「くそっ!」

 

 うさとアリスはそれを避け、隠れる。

 

「ど、どういう事だ……!? なぜあんなのが、暗黒の魔力など操っているのだ……!?」

「わ、分かんないよ……ただ、私の憶測だけど……あれは、何者かに操られてるんだ」

「なに……?」

 

 周辺に、怪しい存在は居なかった筈だ。それに、ここのモンスターだってこんな事が出来るような連中ではない。じゃあ、いったい誰が……? 

 

「見つけたぞ!」

 

 パピが、うさの前に躍り出てくる。

 

「くっ!」

「くそっ!!」

 

 正面から挑まれたので、迎え撃つしかない。ゆえに、二人は構える。

 

「すぅっ……!」

 

 パピは息を吸ってから、火の息を吐いた。

 

「任せてっ!」

 

 うさはそう言ってから、迫り来る火の息を相手に、両手を勢いよく廻す、空手の防御術──『廻し受け』で、炎を霧散させた。

 

「うがっ!?」

「あちち……!」

 

 うさは手をぶんぶんしながら、驚くパピに足払いする。それは綺麗に決まり、彼女はすっ転んだ。

 

「ぐっ……」

 

 しかし、二度も受けた技。すぐに起き上がり、対応しようとする──

 

「チャージ……はぁっ!!」

 

 しかし、アリスの力を込めたレイピアの一撃が、起き上がりざまのパピに一閃した。

 

「ぐぁあっ!!?」

「はぁあっ!」

 

 うさはパピの所に高速移動し、体に正拳突きを連打する。

 

「うがぁあっ……!!」

「やぁあっ!!」

 

 更に胸に蹴りを連打してから、思いっきり殴りかかった。

 

「ぐっ!」

 

 しかしパピはその拳を掴み、うさを乱暴に地面に叩きつけた。大地が砕け、地響きが轟く。

 

「くそっ!」

 

 アリスはパピに切りかかるが……

 

「邪魔なのだーっ!!」

 

 なんとパピはアリスにタックルしてから体を掴み、バックドロップを決めた。

 

「ぐぁあっ……!!」

「うさぁ……っ!!」

 

 うさが起き上がり、パピに攻め込もうとするが……

 

「っ!!」

 

 パピは火球を吐いて、うさを爆破した。

 

「きゃああっ!」

「そこだぁっ!!」

 

 アリスは蛇体で、パピの足元を薙ぎ払った。

 

「うわぁっ!?」

「はぁあっ! クロスアンブル!!」

 

 そして、強烈な突きを二発も放った。

 

「うがぁっ……!?」

 

 パピはその突きをもらって、よろける。

 

「うさぁっ!」

 

 その隙に、うさは飛び上がって天井を蹴った。すると天井が砕け、パピの脳天に落石した。

 

「うがぁあっ……!!」

 

 パピは脳天を押さえ、悶絶する。そこに、拳を合わせたうさとアリスが並んで突撃した。

 

「これで終わりだっ!!」

 

 アリスとうさは渾身のストレートを放って、パピをぶっ飛ばした。

 

「ッッ!!」

 

 パピはぶっ飛び、地面に倒れた。

 

「うがが……」

 

 そして、戦意を失ってしまった……それと同時に、凶悪化が解けた。

 なんとか、凶悪化した魔物盗賊団を倒したようだ……

 

 

 

 盗賊団四人は並び、レミやソニアに治療してもらう事になった。

 

「はぁ……はぁ……」

「うぐっ……身体中が……いたい……」

「うぐぐ……わ、我は……何を……!?」

「うがぁ……」

 

 どうやら、凶悪化した時のことを覚えていないらしい。

 

「……何がどうなっている?」

 

 この四人の急激なパワーアップと、残忍性の向上──この現象に、ヴィクトリーは心当たりがあった。

 

「……心当たりならある」

 

 ヴィクトリーがそう言うと、一同はそこに視線が殺到した。

 

「なにっ!?」

 

 トワとミラ、そしてドミグラ……そいつらは、ドラゴンボールの歴史を改変しようとした悪い奴らだった。どう改変するのかというのが、さっきの凶悪化という方法だ。その歴史の人物を凶悪化させ、パワーアップさせて、本来の歴史とは外れた結末を迎えさせる……

 

 以上の事を、ヴィクトリーは簡潔に説明した。

 

「凶悪化だと……!?」

「ああ……だけど、なんでそんな事を……?」

「それは分かんねぇよ……俺みたいに異世界から来て、何かやってる奴が居ねぇとも言い切れねぇしよ……」

 

 自分が異世界から来れるのだ。自分以外が来れてもおかしくは無い。

 

「だが……周辺に、怪しい者は居なかった筈だ……いったい、誰がこんな事を……」

 

「……」

 

 敵の唐突な凶悪化……果たして、これを引き起こした奴と会えるのだろうか。

 

「それより、魔物盗賊団がこんなちっちゃい子達だったなんてねぇ……」

 

「そう言えばそうだった。さぁ、情報屋アミラを解放するんだ!」

 

 ルカが凄みを持って言うが、盗賊団は首を傾げる。

 

「アミラ? そんなの、知らないのだ……」

 

 パピが代表して、そう言う。どうやら、すっとぼけている様子も無さそうだった。

 

「え? おめぇらがとっ捕まえたんじゃねぇのか?」

「そんな事、してないのだ……」

 

 しつこいようだが、嘘をついている様子はない。

 

「いったい、どういう事なの……?」

 

 ソニアが、そう言いながら頭を抱える。

 

「とにかく、町を脅かす魔物盗賊団は倒したんだ。とりあえず……」

 

「ぐすっ……」

「ぐすん……」

「ひぐっ……えぐえぐ……」

 

 退治された魔物盗賊団は、ぐすぐす泣き続けている。これでは、まるでルカ達のほうが悪者だ。

 

「さて、どうしたものか……」

「余は知らん、貴様らに任せる。売るなり殺すなり犯すなり食うなり、好きにしろ」

 

 アリスの言葉で、盗賊団達はびくびくする。

 

「そんなのやだぞ……うわーん!」

「……ひぐっ……うぇぇぇん!」

「うぇーん、うぇーん……」

「わーん、わーん……」

 

 ついに、大泣きしてしまった……

 

「あーあー、泣かしちゃった……」

「ふむ、流石洗礼なき勇者サマはやる事が立派だな。こんないたいけな少女達を泣かせて英雄気取りとは」

 

 呆れるソニアを横目に、アリスはそう言ってヴィクトリーとルカを見た。

 

「泣かしたのはおめぇだろ!」

「えっと、ともかく……とりあえず、イリアスベルクの人達に謝りに行こう。いっぱい迷惑を掛けたんだから……分かったね?」

 

 ヴィクトリーは抗議し、ルカは盗賊団達に(さと)す。

 

「あやまるぞ……ぐすっ」

「私も、一緒に謝ってあげるから……それじゃあ、町に戻りましょうか」

 

 こうして一行は、少女四人を連れて町に戻ったのだった……

 

 

 

 外……

 

 上空に、謎の影が二人。

 

「失敗したか?」

「いいや、この作戦に失敗も成功もありません……」

 

 彼らが、町に向かうルカ一行を遠くから見ていた。

 

「まぁ、私個人としては成功した……と言った所か」

「どういう事だ……?」

「分からんのか……? ドミグラよ」

 

 謎の二人組の、一人……ドミグラ。魔神の一人であり、言わずもがな盗賊団を凶悪化させた張本人だ。

 

「奴は戦えば戦うほどに強くなる……奴が強くなれば強くなるほど、私の愉しみも増えるのだ」

「それも、貴様のサイヤ人の本能がそうさせている……と言った所か」

「ああ……」

 

 男は、ヴィクトリーをその目に見据えた。

 

「ヴィクトリーよ……この冒険で、サイヤ人のその力を全て解放してみせろ……その時が、貴様の息の根が止まる時だ……!!」

「……それで、続けるつもりか?」

「ああ……お前は()()()()()

 

 男はそう言い、カードケースを取り出して開ける。

 

「ふん……」

 

 ドミグラは笑い、その体が闇に包まれる。そしてカードとなり、その男のカードケースに吸い込まれるように戻って行った……

 

「くふふふ……」

 

 男はカードケースを懐にしまい、飛んだ。

 

「勝手な行動を、お許しください……これも全ては、アリスフィーズ様に尽くす為……そして、あなたに尽くす為なのです……」

 

 男はそう言い、飛び去った……

 

 

 

 そんなこんなで、盗賊団を倒した戦士達。しかし、アミラという情報屋の姿は無かった……

 

「……」

 

 ルカやソニアが、盗賊団のみんなと一緒に謝ってる間にヴィクトリーはそこら辺でお茶を飲んでた。考え事をしているのだ。

 

 盗賊団の不意な凶悪化……そして、あの凄まじい力……もしかしたら、ドミグラがこの世界に居るのかも知れない。だとしたら、大変な事になる。旅を急ぐ必要があるけど……今の自分が急いだ所で、何もならない。

 ここは、ルカ達のペースに合わせてやるしかない。遠回りな気がするが、それが一番いい気がしてきた。

 

「おい、ヴィクトリー!」

「?」

 

 ルカが来て、ヴィクトリーを呼ぶ。何やら、嬉しそうな感じだが……

 

「おかみさんの好意で、高級宿の『サザーランド』で泊まる事になったよ。お前も来い!」

「ふぇえっ!? ちょっ、あのっ、カネ置いとくぞー!」

 

 一行は今夜、サザーランドとやらで泊まる事になった。高級宿というぐらいだから、期待できるというもの。それに、ベッドで寝るのも久しぶりの気がする。

 

 色々な事がありすぎて疲れた戦士達は、サザーランドで一晩を過ごしたのだった……

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