もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
翌日……色々あってヴァニラとゴブが仲間になって、うさとレミがポケット魔王城に吸い込まれた。
「はしょるなーっ!!」
アリスは、ナレーションに突っ込む。しかしそんな彼女の背中を、ヴィクトリーは撫でた。
「しょうがねぇだろ、ここまでおんなじ展開なんだからよぉ……」
「むぅう……」
そんな二人を、ルカは変な目で見ていた……
「……あいつら、何の話をしてるんだ?」
そう思いながら、歩いていると……目の前に、上半身がヘビで下半身が人間の女性のモンスターが現れた。なんとも、残念なラミアだ。
「かぁっ、気持ち悪ぃ……やだおめぇ……」
ヴィクトリーが、明らかに嫌悪を示す。それも当然か。こんなに奇抜なデザインのモンスターなんか、初めて見るものだから。
「あら、あなたが勇者ルカなのね……」
「……お前は?」
ルカに聞き返された残念なラミアは、待ってましたと言わんばかりにキメ顔をする。
「私がアミラ……情報屋よ……」
「君がアミラか……でも、盗賊団に攫われていたっていうのは?」
「ええ……あの時は……」
どうやら酔っ払ってゴミ箱で寝てたら、例の盗賊団に捕まって、途中で捨てられて……って感じらしい。
「じゃあ、誘拐されてた訳じゃねぇのか……」
「そうよ……何処かで噂がねじ曲がったみたい」
「そうなのか……」
アミラは咳をつき、二人に向かい直した。
「ともかく、私に用があったみたいね。何の情報をお望みかしら……?」
「実は、怪しいウサギを探してるんだけど……」
「怪しいウサギねぇ……極上の情報があるわ。おそらく、あなた達が求めている情報のはずよ」
その言葉に、ヴィクトリーは喜んだ。
「おっ、流石情報屋だ! 話が早くて助かるぜ!」
「その情報、ぜひ教えて貰えるかな」
アミラは、少し黙る。そして、改めて二人に向いた。
「……情報量、1500Gよ」
「お金、とるの!?」
「そうか、おめぇも情報
情報の受け渡し……立派な商売だから、当然っちゃ当然だ。しかし──
「だけんど、1500Gって高くねぇか……?」
「そうだよ。そこをなんとかして欲しいんだけど……」
「何とかしてあげたいのは、山々なのだけれど。代金の伴わない情報のやり取りは、ギルドに禁止されてるの。組合勤めの辛いところね、昔はよかったわ……とは言え、方法もなくはないのよ」
「なくはない……? あるって事か?」
「ええ、あなた達も情報ギルドに加入すればいいわ。同業者の間なら、問題なく情報交換できるわ」
アミラの提案に、ルカは迷う。
「それの方が大変そうなんだけど……」
しかし、ヴィクトリーは好反応だった。
「ルカ、どうやら悪い誘いでもねぇらしいぞ。情報というのは、上手く回収出来れば戦いにおいて強みを発揮する。これから先、様々な情報が俺達の中に飛び込んで来るだろう。だったら、わざわざカネを払うよりタダで手に入れた方が楽になるだろうよ……」
「な、なるほど……」
戦いが絡むと早口になるヴィクトリーに少し引きながら、ルカは納得する。
「いいじゃない!」
すると、ソニアがいきなり飛び出してきた。
「やってみようよ、ルカ!」
「ええ……」
その後、アミラから説明を受けた。
情報ギルドに入るには、推薦と実績が必要だとか。推薦の方はアミラにしてもらうとして、実績が少し厄介なものなのだ。
「でも、これさえこなせれば一発よ。危険だけれど」
「おめぇ、仕事を俺達に投げてぇだけじゃねぇのか……」
「ムホッ! 鋭いわね……情報屋に必要な資質、備えていると見たわ」
アミラは説明を続ける……
最近、フェニックスの尾というアイテムの密売が横行しているらしい。これは、読んで字のごとくフェニックス娘というモンスターの尾だという。効果は、戦闘不能になった者を復活させることが出来るとか。
希少なものなのに、流通量がおかしいらしい。調査した所、出所はイリナ山地のスラム街。ドン・ダリアという女が糸を引いてるらしい。そいつは裏世界に君臨するマフィアだとか……
問題は、仕入れ先が何処かだ。フェニックス娘そのものを密売しているとしか思えない……それだけの量を、裏取り引きしているようだ。
ここで、アリスが口を開いた。
「妙だな、フェニックス娘とは神鳥に属する魔物。人間などに大人しく密売されるなど考えられん」
「だから不可解なのよ……」
「それを、俺達に調べて来いって話だな。分かった、ドン・ダリアっちゅう奴は何処に?」
「イリナ山地の洞窟を抜けた先よ。あなた達が盗賊を退治したのは、イリナ北の洞窟。そこから南にも洞窟があって、イリナ盆地に抜けられるのよ」
「おっしゃルカ! 面白そうだ、行ってみようぜ!」
「うん。もし本当にフェニックス娘が密売されていたら、黙っていられないからね……行くぞ!」
一行は、動き出す。
目指すはイリナのスラム街。果たして……
イリナ北の洞窟……
「ここを抜ければ、問題のスラムに着くという話だったな。フェニックス娘の密売……本当だとしたら、放置は出来んぞ」
アリスはそう言って、拳を握った。そして、新たに仲間になったヴァニラとゴブ……
「まさか、密売事件を調査する事になるとは……見習い商人の血がたぎるのだぞ!」
「それにはまず、この洞窟を抜けないとね。よ〜し、がんばるぞ〜!」
こいつらが居れば、心強い。
襲いかかってくる狼娘や、ネズミ娘を倒しながら進む道中……面白い光景が、目の前で展開していた。
「そんなに私について行きたいのですか? それでは、特別に使ってやりましょう……」
あのちっちゃいイリアスが、スライム娘相手にえっへんと貧相な胸を張っていた……
「……イリアス様?」
「な、なぁにやってんだおめぇ……」
「……はっ!? な、何を見ているのです!?」
「おやおや……魔物嫌いのイリアス様ではないか。いよいよ窮も極まり、魔物を供にでもするのか?」
アリスは嫌な笑いを浮かべながら、イリアスにそう言った。彼女は睨み返し、歯軋りする。
「地を這う者達などに、神の意図など分からぬものです。この私の遠大な計画など、あなたには理解できないでしょう。ところで……」
イリアスは俺とルカの方を見て、手招きする。
「ルカ、ヴィクトリー、少しひそひそ話が。ひそひそしますので、腰を屈めて下さい」
「何だよ……」
二人は、言われるがままにイリアスに耳を傾け、腰を屈める。
「二人とも、あの娘を信用してはなりませんよ。ルカの幼馴染み、ソニアという娘の事です」
「……!」
「……えっ? ソニアを?」
ヴィクトリーは、反応する。ソニアに関しては、自分も違和感を感じていた所なのだ。
「私は創世の女神、この世全ての人間を知っています。記憶に欠損が出ている今も、老若男女全て把握済みです。もちろん、異世界から来た人間も……そんな私ですが、あのソニアという娘は知りません。それはつまり、歴史に存在するはずの無い人間という事。ソニアという少女は、この世界に存在しないのです」
「……」
存在しない少女……?
ヴィクトリーの胸のもやもやが、再燃してきた。何だろう、この違和感は……もしイリアス様の言うことが本当なら、何で自分だけがこんなに違和感を感じてるんだ?
「でも、僕はソニアの事を幼い頃から知ってるし……」
「ソニアの様子を見る限り、騙している素振りはありません。おそらく、自分でも自覚できていないのでしょうか……ともかく、心を許してはなりませんよ。これは、あなた達への忠告です」
イリアスはそう言ってから、息を吸い、微笑んだ。
「それでは行きなさい、勇者ルカ、武闘家ヴィクトリー。決して、魔王に踊らされてはなりませんよ」
そう言ってから、イリアスはさっさと進んでしまった。
「まってー!」
スライム娘もそれを追いかけるように、走って行った……
「あの子がイリアス様だなんて……やっぱり、ちょっと信じられないなぁ」
ソニアはそう言いながら、苦笑いする。その横で、アリスがクスクスと笑っていた。
「愉快なぐらい力を失っているが、紛れもなくイリアスだ。いったい、誰が奴に六祖大縛呪を掛けたのか……」
「……」
そんな事はどうだっていい。今気になるのは、ソニアだ……果たして、この胸の違和感が取れることはあるのか……?
「ヴィクトリーっ?」
「あ、ああ! すまねぇ!」
そんな事考えてる暇も無さそうだ。
今は、目の前の問題を片付けねば。
イリナ北の洞窟を抜け、イリナ盆地……そこにある、名も無きスラム街に一行は到着した。
「この薄汚いところが、目的のスラム街よね。さぁ、スパイ大作戦を始めましょー!」
ソニアはでかい声で、嬉しそうにそう言う。
「なんでそんなノリノリなの……?」
ルカは、ジト目でそれを見ていた。
「美少女スパイの私としては、まず情報から攻めないと。そういうわけで、酒場に行ってみるわよ!」
「……」
ソニアのテンションに引き気味になる、男ふたり。
「……おめぇの幼馴染み、こういうの好きなんか?」
「うん……僕以上にね」
アリスはソニアの後ろで、腕を組みながら息を吐く。
「ちまちま探りを入れるなど、性に合わん。そのドン・ダリアとやらの元に乗り込んだ方が早いぞ」
「そう言うなよアリス。これからがかかってんだから、慎重に行かねぇとな」
「ああ、情報集めから入らないとね。情報が集まる所と言えば……酒場よね!」
ソニアの言う通り、一行は酒場に入る。
「……」
「ハァハァ……ドン……」
「……」
「……」
変なのが一匹紛れてるが、それ以外は商人やシーフや怪しい男が黙々と酒を飲んでいた。
「……おい、あんた達」
怪しい男が、俺達に目をつけて手招きする。
「ん……?」
「あんた達、旅人だろ? フェニックスの尾、いっぱいあった方がいいよなぁ……?」
「……」
「まぁ、はい……」
「それじゃあ、面白い取引の話をしてやるよ。武器屋の近くのテントで、フェニックスの尾が激安だ」
「!」
早速、お目当ての情報っぽい。
「詳しく聞かせてくれねぇか?」
「ああ……だが、誰にでも売るって訳じゃねぇんだ。この取引には合言葉ってのが必要なんだよ。その合言葉だが……今ここで20G払うなら、教えてやる。さぁ、どうするね?」
「げーっ、金とんのか!? おめぇ、情報屋って奴か……」
「でも、アミラよりは良心的だね」
ルカはそう言って、20Gを差し出した。
「毎度あり……」
怪しい男はそれを受け取り、懐にしまう。
「それじゃあ、教えてやろう。合言葉は『おっぱいもませろ』だ」
ヴィクトリーとルカは、素っ頓狂な言葉にずっこけそうになる。
「てめぇ、嘘言ってんじゃねぇだろうな!」
俺は怪しい男の胸ぐらを掴み、揺すぶった。
「いやいや、本当だって……! まったく、ドンも冗談が過ぎるぜ……」
とりあえず、これしかアテが無さそうだ。
一行は酒場を出て、例の武器屋の近くのテントに入った。
「……ん?」
居たのは、ガラの悪そうな女だった。
「オレのテントに、何の用だ?」
「わっ、怖そうな人……」
ソニアは、ルカの背後でそう呟いた。
「ほら、とっとと要件を言えよ。オレだって、暇なわけじゃないんだよ」
「あの……えっと……」
「おっぱいもませろ」
ルカが迷うから、ヴィクトリーがきっぱりとそう言った。
「ちょっ、ヴィクトリーっ!?」
「しょうがねぇだろ、これしか情報がねぇんだから!」
「なるほど……お客ってわけか」
ガラの悪そうな女は立ち上がり、ヴィクトリーの目の前に来る。
「ほぉら、好きなだけ揉みなよ」
そう言い、大きな胸を揺らしながら突き出した。
「ぇ……?」
「どうした? この胸、揉みたいんだろ……?」
ヴィクトリーは胸を見てから……ぶんぶんと頭を振る。
「そうじゃねぇんだ」
「はははっ、少しからかっただけだよ」
女は笑い、元の所にどしんと座る。
「さて、オレがドン・ダリアだ。フェニックスの尾でいいんだな?」
「まさか、ドン・ダリア自身が売ってるの……? 供もつけず、こんな汚いテントで……?」
ソニアの言葉に、ドン・ダリアは頷く。
「しばらくは、単身でこのシノギをやって行きたくてな。手下率いるのは、もう飽きたんだよ」
彼女はそう言い、フェニックスの尾を取り出した。しかも、三枚も。
「オレの身の上話なんぞ、どうでもいい。ほら、フェニックスの尾三個……セットで、60Gだぜ」
「……じゃあ……」
ルカは60G支払い、それを買った。
「ははっ、毎度あり。これからも頼むぜ」
そう言った瞬間、彼女の目が鋭くなった。
「……と思ったが、取引は今回だけだ。お前ら、どうにもうさん臭いな……商人ギルドの回し者か、
俺達は、ドン・ダリアの言われるがままにテントから追い出されてしまった……
「美少女スパイ大作戦、見事に失敗……」
ソニアはそう呟きながら、がっくりと肩を落としていた……
「おのれ、必ず尻尾を掴んでくれる。改めて情報を集めるぞ。怪しい場所も、入念にチェックする必要があるな。不審な建物など、探してみた方がいいだろう……」
アリスの言う通り、怪しい場所を探してみる……どうやら、ドン・ダリアは街の隅にある空き家に出入りしてるとかどうとか……とりあえず、そこに向かう。
「……鍵がかかってるよ」
「やっぱりな……」
ヴィクトリーとルカはその扉を開けようとするが、どうやら鍵がかかって開かないようだった。
「おい、そこで何やってんだ?」
「いっ!?」
二人が振り向くと、そこにはドン・ダリアが居た。
「どきな」
「は、はい……」
「……」
彼女は鍵を使い、空き家に入った。
「この建物、やっぱり怪しい……」
「そう言えば、酒場にスリの請負人が居たような……」
そいつに頼んで、鍵をスッてもらおうか……そう提案しようとしたが、ヴィクトリーは違った。
「そんなん必要ねぇ、どいてろ」
「え……!?」
彼は、扉に思いっきり蹴りを放った。扉吹っ飛び、建物内の床に倒れる。
「っ!?」
「なにっ!?」
その先の光景……ドン・ダリアが、小さなフェニックス娘の尾を抜いている最中だった。
「……やっぱりな」
ビンゴ……こんなにも早く、真実にたどり着けるなんて。
「そこまでだ、その子を解放してもらおう!」
「てめぇら、テントで会った……!」
「誰なの、この人達……!?」
ドン・ダリアとフェニックス娘は、ルカ達に向く。
「おいミニ、そいつらは悪い奴だ」
「分かったぞ、ドン! こいつらはあたしを捕まえて、密売する気なんだな!?」
「ああ、そうだ……やっちまいな、ミニ!」
「よし、あたしがやっつけてやるぞ〜!」
ミニと呼ばれたフェニックス娘は気を解放し、ルカに突っ込んだ。
「違う、君は騙されているんだ……! くっ、聞く気は無いか……!」
「見事なまでに飼い慣らされおって……! 仕方ない、ドアホな鳥はしつけてやらねばな。ルカよ、怪我をしない程度に叩きのめすぞ!」
ルカやアリスは構え、フェニックス娘と激突した。
「よっしゃ、俺も……!!」
ヴィクトリーも、ミニに攻撃しようとした時だった。ドン・ダリアが高速移動で彼の横に飛んできて、横っ腹に蹴りを放った。
「っ!!?」
その蹴りに直撃してしまい、壁に叩きつけられた。
「ぐっ……!?」
「ふふふ……」
ドン・ダリアは不敵に笑い……そして、その目を赤く光らせ、邪悪なオーラを波動させた。
「な、なんだと……!?」
「お前の相手はこのオレだ……ふっふっふっふ……」
「ヴィクトリーっ! くそっ!」
ルカが駆け寄ろうとしたが、ミニに邪魔されてしまう。
「ちょっと油断しただけだ! そっちはフェニックスの方を!」
そしてヴィクトリーは立ち上がり、豹変したドン・ダリアに向いた……