もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ウロコ盗賊団のミランダ

 廃鉱を進み、最奥へと歩む。大きい気を感じる方へ歩けば、すぐだった。

 

 そして、広い間に出た。

 

 地面には豪華なカーペットが敷かれ、玉座がある。そこには、凄まじい剣気を醸しているリザード娘がふんぞりかえっていた。そして、その左後ろにはキラキラと輝くクリスタルの原石がある。

 

「あれか……オッス!」

「ずいぶん、うちの手下が世話になったみたいだねぇ……あたしが、ウロコ盗賊団のお頭さ」

 

 人間と同じ色の肌に、一瞬見間違えそうになるものの……よく見ると、肩や背中から脇腹にかけて、竜人族特有のウロコがあり、トカゲのような尻尾まであった。

 

 そして、放たれる剣気からして間違いなく、ここのボスだろう。

 

「お前がここのボスか……お前達の盗賊行為で、みんなが迷惑してるんだ! こんな事、もうやめろ!」

「残念だけど、そうもいかないねぇ……この稼業、簡単に止められやしないよ。それに、ここまで暴れたあんた達を黙って帰しやしないさ。あたしと手下共の慰み者になってもらうよ!」

 

 ルカは試しに説得してみるものの、やはり彼女は(かたく)なだ。

 

「どうやら、やるしかねぇみてぇだな……」

「ああ……」

「どうします? 二人でやるなら観察も出来るので都合が良いのですが」

 

 プロメスティンがルカとヴィクトリーに聞くと、二人は頷く。

 

「相手はグランベリアとやり合った事があるって言うぜ……とことんやってみてぇ」

「そうだな……僕も全力でやらせてもらうよ」

 

 ヴィクトリーとルカが、揃ってミランダの前へ歩み寄る。

 

「……ふぅ、ようやく二人の観察をゆっくり出来そうです」

(スーパー)サイヤ人に、精霊の力……興味深いですね」

「儂も、(スーパー)サイヤ人の底力を見てみたいのじゃ」

 

 求道者組は下がり、何やらレポートやらメモやらを取ろうとしている。ルカとヴィクトリーは、とことんまで研究対象らしい。

 

「……グランベリア……か。そんな事もあったねぇ。リルかレンが口を滑らせたんだろう……」

 

 ミランダは表情に影を落とし、呟く。そうしてから二人に向き直した。

 

「まぁいいや、後ろの頭良さそうな奴らの助けは借りないのかい?」

「まぁな……」

「僕は、勇者として相手するつもりだよ」

「そうかい……なら、あたしが勝ったら二人揃って慰みものになってもらおうか!」

 

 リザードボスは立ち上がり、右手に剣を、左手に短剣を持つ。剣をこちらに向け、短剣を逆手持ちして構えた。その瞬間に剣気が増し、二人を威圧する。

 

「ふん、後悔させてやるさ……その可愛い顔といい面、グチャグチャにさせてやるよ……!」

「全力で行くぞ……!」

「へへ、わくわくすんなぁ!」

 

 ルカとヴィクトリーの二人は、気を解放する。そして、全力の姿を晒した。

 

 天使と精霊の力を全開に、ルカ。

 

 金髪と碧眼を輝かせながら、ヴィクトリー。

 

 二人の気が凄まじい突風を巻き起こし、それがミランダの髪を靡かせた。

 

「……来な!」

「おっしゃあ!」

「いくぞ!!」

 

 ヴィクトリーとルカは地面を蹴り出し、高速移動を繰り返しながら入り乱れ、ミランダの左右に来る。そして、一撃を放った。だがそれは左右の武器によって止められる。

 

「いいスピードじゃないか……! しゃあっ!」

 

 ミランダはそのまま回転撃を繰り出し、二人を切り払う。

 

「見切られたっ……!?」

「ちっ!!」

 

 吹っ飛ぶ、ルカとヴィクトリー。しかし、ヴィクトリーの方は着地するなり両手を向け、エネルギー弾を連射する。

 

 だが、ミランダはそれを二刀流で次々に弾きながら突撃してきた。

 

「うわっ!?」

「せぇいっ!!」

「させないっ!!」

 

 重い踏み込みから放たれる斬撃。ルカが割って入り、剣でそれを受け止めた。

 

「うっ、ぐ……!?」

 

 しかし、竜人族特有のパワーによってルカは跪く。剣を持ってる手がビリビリ痺れ、気力をゴッソリと吹き飛ばされそうになる。それなのに、未だに力を込められ、押し潰されそうな感覚に陥っていた。

 

「でぇいっ!!」

 

 繰り出された、ヴィクトリーの蹴り。だが、それも短剣で止められる。

 

「んなっ!?」

「っかぁああぁああッッ!!!」

 

 その状態でミランダが繰り出したのは、衝撃波を伴った咆哮。それで二人は吹っ飛ばされてしまった。

 

「うわぁあっ……!」

「ちくしょうっ!」

 

 ルカもヴィクトリーも、何とか着地して構え直す。そんな二人を前に、ミランダは得意気なしたり顔で見下してきた。

 

「……どうあがいても、勝てない相手ってのはいるものさ。小細工を要した所で、竜人のフィジカルには遠く及ばないよ」

「ぐ……!!」

「やってみなきゃ分かんねぇ!!」

 

 ルカは歯噛みするが、ヴィクトリーは啖呵を切って突撃する。

 

 刃と鉄拳が超スピードで飛び交い、激しい攻防が展開された。気を纏った腕と刃が火花を出して、ほとんど線香花火のような光景になる。

 

「ちっ!」

 

 埒が明かないと踏んだヴィクトリーは猛攻から抜け出し、再び手を向けて気弾を連射する。

 

「それはさっきもやっただろう!?」

 

 ()()()のように、両の剣でそれを次々に弾き飛ばすミランダ。だが、ヴィクトリーは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「……!?」

 

 気付けば、弾き飛ばしたはずの気弾が宙に浮いており、それがミランダを囲っていた。

 

「逃げ場はねぇぞ!!」

 

 その気弾が、ミランダに殺到する。爆発が何度も続き、最後に派手な大爆発が巻き起こった。

 

 直撃を確信したヴィクトリーだったが……その地面から自分の真下を通り過ぎていく気を捉える。

 

「はっ!?」

「ふっ……!!」

 

 ミランダはヴィクトリーの背後から飛び出してきて、強烈な横薙ぎを放ってくる。だが彼は即座に振り向き、両腕を盾のように構えてそれを受け止める。だがあまりの威力に、靴を擦らせながら後退した。

 

 それで、丁度ルカの横に来た。

 

「っぢぢぢぢ……!! あいつ、地面掘って来やがった……!!」

「大丈夫か……!?」

 

 ヴィクトリーの両腕は痺れ、しかも斬撃が当たった所に僅かながら切り傷が出来て血が垂れている。纏っていた気が、圧倒的な力で削られているのだ。

 

「めぇったな……気を纏ってもこのダメージか……!」

「力量でゴリ押したのか……!? なんて奴だ……!!」

 

 エナジードレインや吸精といった小細工を要する者には、苦戦を強いられるルカ達だったが……正直、フィジカルパワーで真正面からゴリ押されるのが一番厄介だ。

 

 そして、確信した事がある。

 

 グランベリアとやり合ったというのは、嘘ではない。

 

「……けど、そこまで絶望的な戦力差じゃねぇみてぇだぞ」

「えっ……!?」

 

 (スーパー)サイヤ人の状態でも苦戦するような敵を相手に、そう言い切るヴィクトリー。彼は、一息置いてからルカの方を見る。

 

「おめぇは、自分の弱点を知りてぇから俺と一緒に戦うって言ってたよな?」

「……痛感してるよ、そもそものパワー不足……! 僕とお前じゃ体格も身長も違うし……ミランダに至っては、種族も違う……! 技量で覆せる力量差には、限界があるんだ……!!」

「違う」

 

 苦しげに言うルカに、ヴィクトリーはきっぱりと言う。

 

「そりゃ相手の力と自分の力には差がある……そんな事は当たり前だ。世の中には、俺よりもパワーのある奴なんてゴロゴロいる……けど、俺はそこに負い目を感じちゃいねぇ。問題はそこじゃねぇからだ」

 

 ヴィクトリーはそう言ってから、ミランダの方へ向いて構え直した。

 

「戦いに勝つ為の第一歩は、自分の力を信じる事だ。俺に出来ねぇ事で、おめぇにしか出来ねぇ事が有るはずだ。おめぇはおめぇの出来ることを全力でやればいい」

「っ、どうすれば……!!」

「それは自分で考えろ……その答えが見つかるまでは、ミランダは俺のモノだ!!」

 

 ヴィクトリーが、真剣な目でミランダに言い放つと……彼女は、驚いた表情で顔を赤く染めた。

 

「えっ……え……あ、あたしが……お前の……!? ば、馬鹿っ! いきなりそんな事言うんじゃないよ! 本気にしちまうじゃないか!」

「えっ」

「えっ……?」

 

 モジモジし出す、ミランダ。それに困惑して目を点にする、ヴィクトリーとルカ。

 

「ほう……なかなかどストレートに行くのう」

「あらまぁ……恋沙汰は奥手という噂でしたが」

「そう言えばヴィクトリーさんは高身長で強い女性が好きでしたね。丁度ミランダさんがそのタイプですが」

 

 求道者組は、何やらニヤニヤしながらレポートを取り続けている。

 

 そう、今のヴィクトリーの言葉は……傍から聞いたら、ただの愛の告白なのだ。

 

「あ、いや、そうじゃなくて、あの、今のはちょっとした言葉のアヤで……」

「なんてね、分かってるよ……とっとと来な! あたしが勝ったら真っ先にお前から可愛がってやるさ!」

 

 二人は真剣な表情になって、構え直す。同時に気を解放し、辺りに旋風が吹き荒んだ。

 

「僕にしか、出来ないこと……!?」

 

 そんな二人の戦いを見ながら、ルカは考え始めるのだった。

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