もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
二人は地面を蹴り出し、激突する。そのまま金属音と火花を散らしながら激しく攻防し、高速戦闘を繰り広げた。
「あたしは、落ちぶれた身だけど……これでも、団員たちの命運を背負ってる身なんだよ。簡単には負けられないのさ」
「俺は、ヒーローって以前にサイヤ人って人種でな……その力と誇りを背負ってる。悪ぃが、こっちも譲れねぇ」
「へぇ、金髪に変身するからただの人間じゃあないとは思ったけど……!!」
攻防の最中、唐突にミランダの口から炎が漏れる。
「!!!」
ヴィクトリーは、咄嗟にその場で腕を交差する。そんな彼に、ミランダは炎の息を吐きつけた。激しい炎がその体を包み、炎上させてしまう。
「はぁっ!!」
「!!!」
ミランダはその炎を突き破るほどの勢いで突きを放ち、ヴィクトリーをぶっ飛ばした。額にヒットしたらしく、そこから血が出ている。
「基本的には人間と変わらないねぇ……!」
そう言い、突きの体勢のままニヤリと笑うミランダ。
だが、吹っ飛んでる最中のヴィクトリーもニヤリと笑い、足を振り上げて宙返りし、地面を蹴って炎を振り払いながら突撃。その勢いのままミランダの腹に鉄拳を叩き込んだのだった。
「ッ!!?」
「サイヤ人を甘く見ると、ヤケドするぜ……!!!」
そう言うヴィクトリーを、逆手持ちした短剣で切り飛ばすミランダ。
だが、ヴィクトリーは踏ん張って逆水平チョップを叩き込む。
「っぐ!!」
「だりゃあっ!!」
そのまま左のハイキックを繰り出したものの、ミランダはそれを背を反らして避ける。そして、短剣で足に斬撃した。
「ぐっ!? だぁあっ!!」
かなり深く斬られ、痛みが走る。だがそれを歯を食いしばって耐え、踵落としに繋げる。しかし、それは後ろ跳びで避けられ距離を離されてしまった。
「その足じゃお得意の徒手格闘は出来ないねぇ!」
「どうかなぁっ!!」
ヴィクトリーは無傷の方の足で地面を蹴る。そのまま舞空術による低空飛行で飛び、ミランダの顔に頭突きした。
「ぐあっ……!!」
「っはぁあっ!!」
続けざまに放つ、鉄拳。ミランダも踏ん張って繰り出す、剣の突き。勢いよく放たれた両者の攻撃は、だが半身になって避けようとした互いの胸を掠めた。
「ふっ、やるじゃねぇか……!! マジで惚れちまいそうだ……!!」
「何も考えずにやり合うのも、楽しいねぇ……!! あの頃を思い出すよ……!!」
ヴィクトリーとミランダは笑顔を交わし、また攻防する。打って打たれの乱打戦は、互角のまま進行していく。
だが、息の上がりが激しいのはヴィクトリーの方だ。
「このままじゃと、ヴィクトリーが負けるかものう」
「貴女も気付きましたか」
「足を負傷した状態で、気を要する舞空術でどうにか格闘を続ける……それは、普通に戦う以上に体力を消耗するはずです」
求道者組は、今の戦況を見て難しい顔をする。
「…………」
見ていたルカは……歯噛みしていた。
あんな戦いは、僕には出来ない。真正面から、真っ向勝負……聞こえもいいし勇者らしいが、それは体力にも筋力にも恵まれたヴィクトリーだからこそ出来ている。
激しい炎、頭への剣での突き、足への斬撃……僕が食らったら決定打になるような攻撃を、あいつは受け続けてなお立ってミランダに食らいついている。
「……ねぇ、ルカ」
唐突に、頭に語りかけてくる声があった。風の精霊、シルフだ。
「ルカも、本当は立って戦いたいんでしょ……?」
「……」
「あたしもだよ!」
シルフの一際強い声に、悩んでる最中の意識が叩かれる。
「あたしも、もっともっと駆け抜けたい……! もっと速く、もっと自由に……! 今のルカなら……いや、
自分の力を信じる……それは、ヴィクトリーにも言われた事だ。
戦いに勝つ為の、第一歩。それは、自分の力を信じること。力量差に負い目を感じず、ただ自分の力を信じてそれを出し切る……少なくとも、ヴィクトリーはずっとそうしていた。
アイツに出来るのなら、僕にだって出来るはずだ。
「もっと速く、もっと自由に……僕が……!」
ルカは目を閉じ、精霊の力を全開にする。その身に旋風を纏い、更に力を充実させ──
「っ、ハァッ、ハァッ……!! さ、さすがにやべぇな……!!」
「息が上がってるよ、ヒーロー……楽しかったけど、所詮はそんなもんかい!」
足を引きずり、肩で息をするヴィクトリー。そんな彼に、ミランダは切りかかる。
──その目を見開き、剣を寝かせる。そのまま気を全開放し、渾身の突きでミランダをぶっ飛ばした。
「っぐあっ……!!?」
「おおっ……!?」
「僕にしか出来ないことを、全力でやる……だったよな、ヴィクトリー?」
割って入ったのは、ルカだった。自身から出ている風の力によって、髪とマントが靡いている。
「ぬおおっ、なんじゃ!? ルカも変わったぞ!?」
「精霊の力……前々から研究したいとは思っていましたが、これ程とは……」
「どうやら、ルカさんも……黒のヴィクトリーと同じ言い方をするなら、
求道者組のレポートを取る手が、早まる。いよいよ迎える戦いのクライマックスに、注目が集まっていた。
「っ……なんだ、チビの勇者の方かい……!? でも、その力は……!!」
「僕も、ミランダに勝ちたい……勇者としてとか、町を脅かす盗賊団を倒すとかじゃなくて、この戦いに全力を出して勝利を得る」
「いいのか、俺はまだ譲る気はねぇぞ?」
「なら、早い者勝ちだ!!」
ルカとヴィクトリーは、並ぶ。ついに並んだ勇者とヒーローを前にミランダは、笑って構え直した。
「……ふ、いいよ、何人でも纏めてかかってきな!
その言葉を合図にルカが走り、猛スピードで激しく剣を振るう。明らかに速度が跳ね上がったそれに、ミランダの二刀流が防戦一方を強いられる。
「っ、はやいっ……!?」
「てぇいっ!」
ルカが放った強烈な切り上げにより、ミランダのガードがカチ上げられる。ガラ空きになった彼女の胸に、ヴィクトリーの飛び蹴りが叩き込まれた。
「ぐあっ!」
「しゃあっ!!」
続けざまに放った蹴り。だがそれは受け止められ、足を掴まれてルカの方にぶん投げられてしまった。
「ごめんっ!!」
ルカはヴィクトリーを受け止めずに避け、その場を蹴って疾走する。そして、ミランダに『血裂雷鳴突き』を放った。
「っぐ……!」
突きのダメージに揺らいでいるミランダに、踊るような剣技を超高速で繰り出す。風の力によって、疾風の如き速度を宿しているのだ。
「がぁあぁあああッッ!!!」
押され気味だったミランダが放ったのは、衝撃波を伴った咆哮。それでルカを、ヴィクトリーの横へ吹っ飛ばした。
「っち……!!」
「こ、このあたしをここまで追い詰めるとはな!!」
ミランダは剣に竜の気を込め、跳びながら振りかぶる。そうして狙うは、並んでるルカとヴィクトリー。
「竜の剣閃、微塵に散りな! 『ヒートウェイブ』!」
横一文字に剣を薙ぎ払うと、剣閃を追うように凄まじいエネルギーの爆発が巻き起こった。あまりの威力に、抉られた地面の底が見えないほどだ。
「っはぁっ……これでどうだい……!?」
「見切ってる」
ルカが横から飛んできて、すれ違い際にミランダに斬撃した。
「っ!?」
「俺もだ!!」
額に指を当てたヴィクトリーが現れ、ダメ押しのパンチでミランダをぶっ飛ばした。
「っぐうっ……!! あ、あんた達……戦いの中で、強くなったってのかい……!?」
「知らねぇのか? 強敵に出会うほどヒーローは強くなるんだぜ?」
「そうだ、僕達はどんな相手でも『勝つ』事は諦めない!!」
二人は地面を蹴り出し、ミランダに突撃する。そして、二人同時に激しく猛攻した。
「ちぃいっ!!」
ミランダの剣に、炎が宿る。それで、回転斬りを繰り出してきた。
ルカは後ろ跳びでそれを避け、ヴィクトリーは腕で受け止める。
「っ!!!」
腕に食い込み傷口を焼く刃。しかしそのダメージをものともせずに、もう一方の拳をミランダの脇腹に打ち込む。
「がはっ!? このっ!!」
「ヴィクトリー、下顎!」
「分かったぁ!!」
揺らぎながらも炎を吐こうとする、ミランダ。ルカがその頭を踏みつけ、ヴィクトリーが顎にアッパーをすることで、彼女の口が強制的に閉じる。そのまま、口の中で炎が暴発した。
「──っ!!」
ミランダはダメージに悶えながら後退するが、まだ倒れずに踏ん張る。そして短剣をその辺に投げ捨て、両手持ちした剣に全力の気を込めた。
「タフなやつだな!!」
「自分の吐き出した息にやられるほど、間抜けじゃないよ……!!」
剣の気が充実し、強大な力と化す。竜の怒りと全力を込めた、まさに
「竜の怒りで真っ二つさ……!! 『極竜斬』!!」
「全力でやってやる!! うおぉおおおっ!!!」
渾身の必殺技を放つ、ミランダ。だが、ヴィクトリーは鉄拳に気を込めてそれを迎撃する。
衝撃波を伴った旋風が巻き起こる。二つの力がぶつかり合い、拳と剣で鍔迫り合いとなったのだ。
「な、なにっ……あたしの剣を、拳でっ……!!?」
「ぐぅうぅううう……!!!」
ヂリヂリと押し合う、拳と剣。だが拳の方には刃が食いこんでおり、このまま振り抜かれたらぶった切られてしまうだろう。
「っ、なら!! この拳、叩き斬って……!!!」
「うがぁああ────!!!」
ヴィクトリーが、咆哮する。まるで巨大な獣のような咆哮は、竜人であるミランダですら気圧され──拳が、剣の刃を打ち砕いた。
「っ、な…………!!!?」
「今だ────!!!!」
ヴィクトリーは拳を振り抜いたまま、その勢いで黒髪に戻りながら倒れる。しかし、彼と入れ替わりにルカが飛んでくる。しかもその剣には、紅蓮の炎が滾っていた。
「しまっ!!!」
「紅蓮と化して舞い踊れ!! 『紅蓮炎舞』ッッ!!!」
ルカの剣技が、疾風のようにミランダに一閃する。遅れて彼女の身体に無数の斬撃が炸裂してそこから炎が迸り、大爆発したのだった。
「そ、そんな……まさか、不覚を取るなんて……!!」
剣を折られ、隙だらけの所に渾身の必殺技が直撃。それでミランダは膝をつき、倒れたのだった。
「は、ははは……!! や、やった……!!」
ヴィクトリーは倒れながらもそれを見て、ガッツポーズする。
「はははは! やったのう二人とも! お陰で戦闘用からくり人形のいい研究データが取れたのじゃ!」
「ここで精霊のデータも取れたのは、
「ふふ……
求道者組も、取っていたレポートを纏めて一息ついた。
激戦の末、遂に盗賊団のボスを倒した。
これで、ウロコ盗賊団を成敗することができたのだった。