もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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いざサファル砂漠へ

 見事にウロコ盗賊団を懲らしめた、ルカ達。二人はプロメスティンやクロムから治療を受けながら、ミランダの話を聞いていた。

 

「ええ──っ!!?」

「ホントさ。このあたしが手も足も出ずに一方的に瞬殺さ」

 

 なんと、このミランダはグランベリアに負けて盗賊団として落ちぶれたが……どうやら、シノギを削ったなんてものではなく、一方的に惨敗したらしい。

 

「お、俺、てっきりそこそこいい勝負したんかと……」

「はっ、おおかたリルかレンが誇張して言いふらしたんだろう。だから言ったじゃないか、この世にはどうあがいても勝てない相手ってのが居るって」

 

 剣も折られて完全敗北を喫したミランダは、バツが悪そうに続ける。

 

「今のあたしに勝ったのは流石さ。だけど、その程度じゃグランベリアに勝つなんて夢のまた夢のまた夢の、そのまた夢さ」

「そ、そこまで言うんか……」

「グランベリアってそんなに強いのか……」

 

 砕けた態度で話し合う、ミランダとルカ達。戦いが終われば、もう張り詰める理由もない。

 

「それで、クリスタルは持ってっていいんか?」

「ああ、好きなだけ持っていくがいいさ。もう、有っても無くても同じさね」

「既にもう回収しています。これだけあれば充分でしょう?」

 

 そう言ったのは、ルシアだった。触手に変異した両腕でレポートを纏めながらクリスタルの原石を巻き上げて持ってきていた。

 

「おお、器用だなぁ!」

「蝕魔導の扱いはマスターしていますので」

 

 そうしている間にも、ルカとヴィクトリーの治療が終わる。クロムとプロメスティンの医術は、完璧だった。

 

「おっしゃあ、サンキューな二人とも!」

「僕も助かったよ」

「礼には及びませんよ。都合よく血液のサンプルも取れましたし」

「儂は医術もマスターしているからな。また怪我したら言うのじゃぞ」

 

 とりあえず、これでクリスタルを持って帰る準備は出来た。後は、ウロコ盗賊団の事だ。

 

「君は、まだ盗賊は続けるつもりなのか?」

「はっ、お頭がそこらの冒険者の男二人に負けたんだぞ。悪い事をさんざんしてきたヤキでも回ってきたのか……あたしも、戦士として身を引くべきかねぇ……」

「そんな、勿体ねぇじゃねぇかそんなに強いのに……」

「情けをかけられると、余計に惨めになるよ……あんた達はもうここに用は無いんだろ? クリスタル持って、とっとと失せな」

 

 完全に意気消沈してしまった、ミランダ。そんな彼女が不憫で、どうしようかと思うルカとヴィクトリー。

 

 そんな二人の後ろから、走ってくる音がした。

 

「お頭!! 聞いてましたよ!!」

「身を引くなんて、そんな……!!」

 

 走ってきたのは、リルとレン。このウロコ盗賊団の幹部二人だ。

 

「おお、あんた達……残念ながら、負けちまってさ。ウロコ盗賊団はここで解体だ」

「お頭……あの時からずっと、剣の鍛錬を続けてきたじゃないですか!」

「そうですよ、ずっとずっと頑張ってきたのに……ここで終わるなんて……!!」

 

 どうやら、ミランダはグランベリアに敗北して尚も剣の修行を続けていたらしい。盗賊団としての悪行をしつつ、というのはあまり感心できないが……その誇りは、健在だったらしい。

 

「…………見られてたのかい、恥ずかしいねぇ……」

 

 ミランダは少し恥ずかしそうに言い、溜息を吐く。

 

 そんな彼女に、ルカが手を差し伸べた。

 

「ミランダ……負い目の無い自信と誇りを剣に乗せて振るう君は、確かに強かった。でも、僕はそれ以上に自分を信じて全力を出して、限界を超えたんだ。これも、ヴィクトリーが僕に自分を信じろって言ってくれたからだ。だから……僕は、ミランダに立ち上がって欲しい。その誇りと力を信じて、剣士として強くなって欲しい」

「…………」

 

 黙ってしまうミランダ。そんな彼女に、リルとレンが詰め寄る。

 

「お頭、お願いします!」

「あなた無しのウロコ盗賊団なんて、ありえません!」

「……ふ、バカだねぇ」

 

 リルとレンにまで言われたミランダは、そう言って笑う。そして、ルカの手を取って立ち上がったのだった。

 

「そこまで言うなら、もう一度立ち上がろうじゃないか! ウロコ盗賊団、世界進出だよ!」

「おおおおおおっ!!」

 

 ミランダはそう宣言し、それに対してリルとレンも大喜びして雄叫びをあげる。三人とも、これで元気になったらしい。

 

「そういう訳で、あたし達を連れていきな」

「お前達の拠点に案内しろ!」

「まずは一から鍛え直す所から始めます」

 

 元気を取り戻したウロコ盗賊団三人は、そう言ってルカに向き直した。

 

「……あれ、話が変な方向行ってねぇか?」

「ああ大丈夫……三人とも、改心するまでポケット魔王城に突っ込んでおくから……」

「何はともあれ、クリスタルも手に入れて一件落着ですね。サルーンに戻りましょうか」

 

 プロメスティンの言葉に、ルカとヴィクトリーは頷く。

 

 彼女の言う通り、行商を脅かす盗賊団も退治できた上にクリスタルも手に入った。ヴィクトリーの剣……もとい、クリスタルの武具で戦力を強化できるだろう。

 

 とりあえずは、サルーンでソニア達と合流する事にしたのだった。

 

 

 サルーンに戻ったルカ達。ソニア達はもう既にアクセサリ屋の娘を救出して、ここで待っていた。

 

「おっっそいわよ!! ルカに何かあったら許さないんだからね!!」

「わ、わりぃわりぃ……盗賊団のボスがやたらめったらに強いもんで……」

「まぁまぁソニア、本当に強かったんだから……」

 

 ソニアに詰められる、ヴィクトリー。それをたしなめようとするルカ。

 

「貴様とヴィクトリーが居ておきながら、そこまで言う程の者か……だが、苦戦しただけあって成果もあったようだな」

「ああ……ヴィクトリーのおかげさ」

 

 未だにギャーギャーわめくソニアに、詰め寄られて小さくなるヴィクトリー。そんな彼のお陰で、窮地を脱する事が出来たのだ。

 

「何があったかは後で聞くとして……こっちは特に苦戦もしなかった。単に足を滑らせて転んで気絶してただけで、起こしたらハーピーの羽で帰って行ったわ」

「無事でよかったね……」

 

 アリス達の方は、何やらアッサリ終わった模様。特に苦戦もしなかった様子だ。

 

「少し早いですが、私はまたポケット魔王城に籠らせてもらいます」

 

 キリが良いと見たルシアは、ルカにそう言ってきた。

 

「えっ、何かあったんですか?」

「はい、今回の戦いで精霊の力の研究データが取れましたので……それを深堀りするために、専用の測定マキナを作りたくて。これがまた時間がかかりそうなので……」

「ずいぶん研究熱心なんだなぁ」

 

 どうやら、ルシアは精霊の力の研究に力が入っているようだ。短い時間だったが、本人が言うならば仕方がない。

 

「ふふ、凄いですね。私はまだまだ研究しますよ」

「儂はまだまだ試してないからくり人形があるのじゃ。ノームとやらの所にもついて行ってやる」

 

 求道者組は、プロメスティンとクロムの二人になってしまった……が、二人でも心強い事には変わりは無い。

 

「ほんじゃ、作ってもらおうぜ! 新しい武器が楽しみだ!」

 

 ヴィクトリーの言葉でルカは頷き、鍛冶屋に向かったのだった。

 

 

「へぇ、本当に取ってくるなんてな。それに盗賊団も大人しくなったと聞いた……サラーンの言う通り、ただの冒険者じゃねぇみたいだな」

「いやぁ、それほどでも……」

「そんじゃあ、早速だけどこの鞘に合わせて剣作ってくれ!」

「ああ、これだけあればいくらでも作れそうだ」

 

 鍛冶屋のお姉さんは感心した様子で言い、そして早速ヴィクトリーの剣を作りにかかった。

 

「今この場では認めてやるが……慢心するなよ。この世にはクリスタルよりも上質な素材がある……それに見合う冒険者になれるように、精々レベルアップを重ねるんだな」

「言われなくても……この世界には、とんでもねぇ奴が沢山いるってのが分かってる。だから俺、燃えてんだ!!」

 

 強敵だった、ミランダ……そんな彼女を圧倒したという、グランベリア。この世界にはまだまだ想像も出来ないような強敵が沢山居る。それが分かったヴィクトリーはサイヤ人としての(サガ)もあり、燃えていた。

 

 その横で、冷静なルカ。

 

「……僕はヴィクトリーみたいな戦闘狂じゃないけど……冒険を続けて先の道に行くのなら、強くなり続けなければならないってのは分かってるよ」

 

 冒険者として……そして勇者としての矜恃が、すっかり身についたルカ。色々な物を見たり託されたりした事で、成長したのだろう。

 

 だが、不敵に笑ってから横のヴィクトリーの方に向いた。

 

「それはそうとして、ヴィクトリーには負けるつもりは無いけど」

「なんだと、剣が直ったらやり合うかぁ!?」

 

 男としてのプライドか、同じ勇者(ヒーロー)としてか、対抗心は少なからずある。お互い、負けず嫌いなのだ。もっとも、ルカの方はヴィクトリーに影響されての事だが。

 

「はは、要らん忠告だったな……二人なら何処までも行けそうだ」

 

 鍛冶屋のお姉さんは笑い、剣を打ち続けたのだった。

 

 

 ルカ達は、新たにクリスタルの武具を手に入れた。レイピアも棍も剣も、全てクリスタルで新調したのだ。

 

「にっひひひ、強い強い!」

 

 ヴィクトリーは、クリスタルの剣を試し振りする。やはりその強さは評判通りで、丈夫なのが分かった。

 

「よし、これでクリスタルの武具が手に入ったね!」

「これだけ準備すれば、サファル砂漠にも挑めるだろう。さあ、ノームを従えに行くぞ!」

 

 アリスもクリスタルのレイピアを腰に携え、言う。

 

 ここで、ルカの中の風の気が出てきた。ミランダとの戦いで頑張ってくれた、シルフだ。

 

「わーい、ノームちゃんと遊べるよ〜!」

「嬉しそうだなぁ、シルフ!」

 

 ヴィクトリーはルカの背中に手を当てて、シルフに言う。

 

「うん! 契約したら私と同じ感じで仲間になるだろうから……ノームちゃんと、()()一緒に冒険できるのが楽しみだよ〜!」

 

 ノームのいるサファル砂漠は、サルーンから西に戻り、南下したところにある。いよいよ土の精霊と契約を結び、その力を手に入れるのだ。

 

「よーし、サファル砂漠だな……! 今度は、どんな奴が待ち構えてんだろうなぁ……わくわくしてきたぜ……!」

「ああ、行こう!」

 

 ルカとヴィクトリーは並んで先頭に立ち、仲間達と歩く。そして、サファル砂漠へと向かうのだった……

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