もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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サファル砂漠の遺跡

 サファル砂漠、その遺跡……砂をかぶった建物が並ぶ、古代の様相を呈した遺跡群。物言わぬ彼らだが、精霊信仰の痕跡があったことをその姿で語っていた。

 

 そして何より、この土地そのものにシルフと似たような力を思わせる雰囲気がある。精霊の居る場所は、皆このような不思議な力で満ちているのだろう。

 

「ここが、サファル砂漠遺跡……このどこかにノームが居るんだね」

「ああ……」

 

 ヴィクトリーは、既に奥の方にシルフと似た気を捉えていた。おそらく、これがここの精霊、ノームなのだろう。

 

「この地域で、やるべき用はタルタロスを残して全て済んだ」

 

 アリスは一息ついてから、言う。

 

 サバサ王国の女王の乱心、マギステア村の騒動、サルーンの盗賊団退治にクリスタルの武器の獲得……彼女の言う通り、全ては済んで万端の状態だ。

 

「さぁ、ノームを探して契約するぞ!」

「おうっ!」

 

 アリスに返事して、ルカは歩き出した。

 

「それにしても、こんな広い遺跡のどこかにノームが……大変だな……」

「奥の方に居るのは確かだから、進むしかねぇよ」

 

 ルカとヴィクトリーは、先頭で周りを見回しながら言う。

 

「不思議な力を感じるのう……精霊の力、ルシアが興味を持つのも頷けるのじゃ」

「測定マキナが完成したら、研究にご一緒させてもらいましょうか」

 

 クロムとプロメスティンも、周りを見ながら言う。彼女らの場合、周囲の警戒ではなく現地の観察をしているという感じだろうか。

 

「それにしても、砂と廃墟しかないわね……」

「きゅーっ! きゅきゅきゅーっ!」

 

 ソニアとヌルコは、並んで歩いている。ヌルコの方は、精霊の森の時みたいに何やらやけに元気だ。

 

「精霊信仰自体が廃れて久しいものだからな……まぁ、サバサやサン・イリアを見る限りでは、近年になって徐々にその信仰も戻りつつある。いっその事ここも整備しておいしい名産でも作れば……余も信仰するかも……」

「アリス、食いしん坊……」

 

 冷静に言うアリスに、ヒルデが言う。

 

 何気ない会話を交わしながら、一行は進んでいく。そうして進んでいると、急にヴィクトリーが振り返った。

 

「な、なんじゃ!?」

 

 ヴィクトリーの背後に居たクロムが驚くが、彼女を見た訳ではない。その後方……来た道の、曲がり角の方に注目していた。

 

「っかしいな……」

 

 ヴィクトリーは不思議そうな顔をしながら、辺りを見回し始めた。当然、辺りには何も無い筈なのだが……

 

「どうしたのだ、ヴィクトリー?」

 

 アリスが不審に思い、ヴィクトリーに聞いてみる。

 

「いやさ、さっきそこで何か動いてた気がすんだけど……気のせいか?」

「僕の風の探知にも引っかかってるよ……何かいる」

「敵のモンスターか……?」

 

 警戒する、ヴィクトリーとルカとアリス。

 

「それは、きっとノームちゃんの使い魔の泥人形だよ」

 

 不意にシルフが出てきて、そう言った。

 

「シルフ、何か知ってんのか?」

「うん。ノームちゃんは泥人形を作って遊んでるんだ。ノームちゃんの魔力で動くんだよ」

「なるほど……」

 

 どうやら、そういう事らしい。ノームの泥人形が、こっちを見ているようなのだ。

 

「とっ捕まえるか?」

「いや、あえて泳がせてその後を辿る。そうすれば簡単にノームの所に行けるかも」

 

 そう話すルカとヴィクトリーの横……砂漠で泥人形がクロールしていた。

 

「おお、ホントに泳いでるぜ!」

「そんなバカな!?」

「いや、そういう意味じゃないんだけど……」

 

 驚いて言うヴィクトリー、突っ込むソニア、困惑するルカ。そんな彼らに、アリスは冷静に向く。

 

「人間組、どうするのだ? 追うのか?」

「ま、まぁ……追ってみよう!」

 

 ルカがそう言って飛び出すと、ヴィクトリーもそれに合わせて砂漠へ飛ぶ。そして、二人が足をつけた次の瞬間だった。

 

 突如として流砂が発生し、二人はバランスを崩した。

 

「っ!?」

「なっ!?」

 

 錐状に砂が流れ、その中心点からアリジゴクの特徴を有した魔物娘が現れた。

 

「アリジゴク娘か! 砂漠ならではだな!」

「二人とも!!」

「きゅーっ!」

 

 見ていたアリスと、声を上げるソニアとヌルコ。彼女らの前で、ヴィクトリーとルカと、ついでにクロールしていた泥人形が必死で流砂に抵抗する。

 

「久々に男が二人も引っかかったわ……!」

「ヤバいぜ! あんなでけぇハサミで挟まれたら、下半身とバイバイする事になるぞ!」

「やるしかない!!」

 

 男二人でアリジゴク娘に対抗している間に、仲間達の所にも魔物娘達が襲撃してくる。

 

「おやおや、冒険者なんて久しぶりですね〜!」

 

 下半身が透けて見えなくなっている、蜃気楼娘。

 

「女の子からも吸っちゃうわよ〜!」

 

 スキュラが砂漠に適応し、独自進化したデザートスキュラ。

 

 強力なモンスター達が群れになって、襲いかかってきたのだった。

 

「今こそ儂のからくり人形の出番なのじゃ! 行け、『切り裂きエリス』!!」

 

 クロムは棺桶をドスンッと正面に構える。その蓋に斬撃が走ったかと思えば、それを切り飛ばしながらドレスを着た少女が刀を持って飛び出し、敵の群れに突撃した。

 

「幽霊系の敵には、これ……『キルリアンレンジ』、起動」

「きゅきゅきゅーっ!」

 

 ヒルデとヌルコは、同時に同じマキナを起動する。すると、蜃気楼娘達が固まっている場所に電磁フィールドが形成され、それが霊体をバリバリと焼いた。

 

「はぁあぁあっ!! どっせーいっ!! むっしゅむらむらぁあっ!!」

「余も負けておらんぞ!」

 

 ソニアは怪力で棍棒を振り回し、敵を寄せつけないまま無双している。彼女の背をカバーしているのは、アリス。

 

「ヴィクトリーさん、ルカさん!!」

 

 プロメスティンはその指に聖なる力を込め、二人が囚われている流砂の中心を指差す。すると、そこに一条の落雷がアリジゴク娘に直撃したのだった。

 

「きゃあぁあっ!?」

「おお、サンキュー!」

「助かった……!」

 

 ヴィクトリーもルカも、どうにか這い上がって流砂から脱出する。

 

 そして、魔物の群れとの戦いに参戦しようとした時だった。不意に、地面が揺れ始めたのだ。

 

「な、なんだ……!!?」

「で、でけぇ気が下から来る!!」

「自然現象ではありませんね……巨大なモンスターが出てきます!!」

 

 動揺する二人に、そう言うプロメスティン。彼女の宣言通り……アリジゴク娘が居たところが大きく盛り上がり、巨大な魔物娘が姿を現したのだった。

 

「な、なっ……!?」

「巨人……いや、下半身がイモムシみてぇになってやがる!」

「サンドワーム娘ですよ!」

 

 巨大な女の上半身に、下半身がこれまた巨大な芋虫。人体部分だけでも20m近くある、規格外の超巨大モンスターだ。

 

「ちょ、ちょっと! あんなのと戦うつもりなの二人は!?」

「そうでもせんと切り抜けられんだろう!」

「きゅーっ! きゅきゅーっ!」

「でっかい……ヒルデも、たくさん食べればこれぐらいになれる……?」

「いや、無理があるじゃろ……」

 

 仲間達も、彼女らと戦っていた魔物達も、一旦は止まってサンドワーム娘を見上げて凝視する。

 

「…………」

 

 サンドワーム娘はというと、大きな瞳でルカとヴィクトリーを見つめていた。二人は、余りにも巨大な彼女に気圧され気味だった。

 

「お、オッス! は、はじめまして……」

「え、えっと……こんにちは……?」

「…………おいしそう」

 

 サンドワーム娘はそう言うと、ヴィクトリーをつまみ上げる。

 

「わ────っ!!!?」

「ヴィクトリ────っ!!?」

 

 絶叫する二人など露知らず、おやつのように食べてしまおうと口を開ける。

 

「ち、ちくしょう!! 食われてたまるか!! だぁあぁああああ!!!」

 

 ヴィクトリーは(スーパー)サイヤ人となり、サンドワーム娘の指を振り払う。そのまま舞空術で同じ目線まで来て、構えた。

 

「まぶしい……」

「これでもまだおいしそうって言えるんか!?」

「うん」

「マジかよ」

 

 サンドワーム娘は、再びヴィクトリーを掴もうと手を伸ばす。だが、ヴィクトリーもそれを飛んで避け、『かめはめ波』を放った。

 

「ふっ!!」

「!!!?」

 

 なんと、『かめはめ波』がサンドワーム娘の息に吹き返され、ヴィクトリーに返ってきた。

 

「くそっ!!」

 

 ヴィクトリーは、それを受け止める。だが、勢いを殺せずに大きく後退するのだった。それに追い縋るサンドワーム娘だが、横から光翼をはばたかせたルカが飛んでくる。

 

「!」

「烈火天翔閃!!!」

 

 サンドワーム娘の手に剣を叩きつけ、ヴィクトリーへの追跡を止める。だが、ルカはそこで止まらずに勢い付け、回転しながらサンドワーム娘の腕を滑るように切り裂いた。

 

「いたい……」

 

 肩から抜けたルカを掴もうと、手を伸ばす。だが、ルカは風の力を全開にしてその場から逃げ、姿を消す。

 

「はやい…………」

「こっちだ!!」

 

 ルカはサンドワーム娘の死角から現れ、一撃する。そして、また疾風のように駆け抜けて姿を消した。

 

 巨体と怪力に圧倒されそうになるが、そのぶん素早さは無い。ゆえに、ルカには与しやすい相手だ。

 

「むぅ…………」

 

 サンドワーム娘は唐突に地面に潜り、8の字に潜行して地ならしする。そして、イモムシ部分の下半身をラミアの尾のように振り上げてきた。

 

「な…………!!!?」

 

 冗談じゃない、あんなの振り下ろされたらここら一帯が潰れてしまう。しかも、巨大なので自分が避けれても、仲間が危ない。

 

「任せな」

 

 そう言って来たのは、ヴィクトリーだった。瞬間移動してきて、ルカの前に現れたのだ。

 

「お、おい……!! 行けるのか!?」

「下がってろ……!! (スーパー)サイヤ人の真の力を見せてやる!!」

 

 そうして、振り下ろされるイモムシの部分を……ヴィクトリーは、受け止めたのだった。その瞬間、力と力がぶつかりあった事による衝撃波が、サファル砂漠遺跡全土をビリビリと揺らした。

 

「お、おおおおおおおおっ!!?」

「な、なんてパワーじゃ……!!」

「そのまま、押し切っちゃいなさーいっ!!」

「きゅきゅ──っ!」

 

 驚愕するルカに、盛り上がる仲間達。

 

 全力の力のぶつかり合いだったが……ヴィクトリーに、変化が訪れた。

 

「かぁああぁああああ……!!!!」

 

 額に青筋が浮かび、筋肉が盛り上がる。吹きあがる黄金の気がバチバチと大気と擦過し、その身に更なるパワーが宿る。そんな力で、サンドワーム娘を持ち上げ始めた。

 

「…………!!!?」

「だりゃあぁああああああ────っ!!!!!」

 

 なんと、サンドワーム娘の身体が持ち上がっている。それどころか、その巨体がグンッと引っ張られてアーチを描くように投げられ、そのまま地面に思いっきり叩きつけられた。

 

 巨体が叩きつけられたことにより、凄まじい衝撃と地響きが轟く。砂塵が巻い、廃墟の一部はガラガラと崩れていく。

 

「…………いたい。かえる…………」

 

 サンドワーム娘はそう言い残し、地面へ潜って行ってしまった。

 

「はぁっ、はぁっ……な、なんとか、なったぜ…………」

「凄いやつだなお前は……」

 

 黒髪に戻ったヴィクトリーを、ルカが支える。そんな二人に『回復の魔眼』と『オールメガヒール』が当てられた。アリスとソニアだ。

 

「大したものだな、二人とも」

「さすがよね……この調子なら、ノームの試練もへっちゃらじゃない?」

「まぁ、今回もヴィクトリーに助けられたからね」

「へ、へへへ……お、俺もうパワー使い切っちまったぞ……」

 

 他の皆も、武器をしまって身体のホコリを払ったり、毟りとった敵の身体の一部をしまったりと色々している。どうやら、これで敵の群れは押し返せたらしい。

 

 一息つくルカ達だったが……そこに、拍手の音。

 

「……ん?」

 

 ルカがそこに目を向けると……先程泳いでいた泥人形が、拍手していたのだった。

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