もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「第二種断界接触……消去する……」
髪がドロドロのスライムで出来た、機械人形風の妖女。
「ここに立ち入ってくる命知らずがまだ居るとはねぇ……」
胴体が縦に裂けた大口になっている、メガネのお姉さん。
「あはっあははははぁ……!」
異形にして異様、口だけの顔と昆虫のような胴体に下半身に得体の知れない粘肉が付いた、笑う者。
「関係ない、消去するまでだ」
全身が機械で出来ており、右腕に武装が集中した戦闘用アンドロイド。
どれもこれも、今までのアポトーシスよりも異形。しかもその強さも、折り紙付きだ。
「牽制する!! はぁあああ!!」
ルカが、早速ノームを呼び出して手を向ける。すると、地面から巨大な岩が突き出てきた。
しかし、アポトーシス達は四散して回避する。それを狙ったルカは、誰か一体にでも攻撃しようとした時だった。
「うぁあぁあああ!!!」
ヴィクトリーが、
「ヴィクトリーっ!!?」
「あやつ、やはり何かおかしいぞ!!」
「けど、そうも言ってられないわよ……!!」
驚くルカ達を横目に、ヴィクトリーは先程の妖女に向き直す。彼女は何事も無かったかのように機械部の頭を再生させ、再びスライムの髪を伸ばしたのだった。
「……何処かで、貴方を見たような……いいえ、思い出せませんね」
「波ぁっ!!」
ヴィクトリーは、『かめはめ波』を放つ。だが、彼女はそれを避けてから腕を振り、粘液を弾丸のように飛ばしてきた。
「うわぁっ!?」
それを、腕をクロスして防御する。
「やるなヴィタエ」
戦闘用アンドロイドがそう言いながら跳び、ヴィクトリーに襲いかかる。だが、ルカが風の力と天使の白翼で飛んで横槍の蹴りを入れた。
「っ、ほう?」
「お前の相手は僕達だ……!」
敵の群れが強襲してきたので、様子のおかしいヴィクトリーにだけ構っては居られない。ルカに続き、その仲間たちも武器を抜いて構えていた。
「……消去するのみだ」
「いくぞ!!」
戦闘用アンドロイドのアポトーシスと、ルカの一撃がぶつかり合う。それが開戦の合図となり、仲間たちも敵陣に切り込むのだった。敵味方入り乱れる大乱闘は、激しさを増していった。
「ハァッ、ハァッ……!!」
頭を抱えるヴィクトリーの前に、あのスライム髪の妖女。そして、別個体のアポトーシスと思われる他の三体が奥から歩き、並んできた。
彼女らを見たヴィクトリーに、
「ヴィタエ、ヴェータラ、シニファ、ヴァルト……!!」
頭に浮かんだ名前を、次々に口にするヴィクトリー。全て、目の前の敵の名前だ。
「……ふむ、私達を知っているのですか?」
ヴィタエ……スライムになっている髪を揺らしながら、彼女は言う。
「物知りなボウヤ……って感じじゃないわねぇ? どうやら、随分器用な事が出来るみたいだけど……まぁ、美味しそうな事には変わりないわぁ……!」
メガネを上げ直し、頭の口と胴体の口と一緒になって舌なめずりする、ヴェータラ。
「あはっ、あははははっ! ひゃーはははははははぁ!」
ヴィクトリーの方を見ながらひたすら笑う異形の怪物、シニファ。
「関係ない……ここに立入るものは、消去するまでだ」
そう言う戦闘用アンドロイドのヴァルトは右手を向け、ビームを放つ。
ヴィクトリーはそれを跳び避け、眼下の爆発を確認してから敵の群れに向き直す。だが、彼女らは既に四散して周りを取り囲んでいた。
「あははははぁっ!」
背後から、シニファが急襲してくる。だが、ヴィクトリーはそれをどうにかいなしながら背中の剣を抜き、振り向く。その先には、ヴィタエ。
「たぁっ!」
続けざまに急襲してきたヴィタエを、剣で切り払う。そのまま着地しながら両手持ちにして剣に気を纏わせ、背後から来た敵に振りかぶった時だった。
一気に気を流し込まれた剣が耐えきれず、バキンと音を立てて砕けたのだった。それを見た敵……ヴェータラが、笑った。
「っ、あはは! 一気に気を込めちゃダメじゃない、ボウヤぁ……! そういうのって、少しずつ慣らすように──」
「だぁあぁあっ!!」
ヴィクトリーは、ヴェータラの顔面に鉄拳を叩き込む。すると彼女は錐揉み回転しながら吹っ飛び、床や岩のあらゆる起伏に身体をぶつけながらゴロゴロと転がったのだった。
そんな彼女めがけ、剣だったものをぶん投げるヴィクトリー。だが、彼女の胴体の口が開き、舌で剣の持ち手を巻き上げてキャッチする。
「っ、
殴られた所を手で抑えながら言い、ヴィクトリーに投げ返す。高速回転しながら飛んでくるそれを、彼は難なく避けた。
だがヴァルトがその背後に付き、胸部を開いて捕獲形態に変形する。そのまま、ヴィクトリーを捕らえてしまった。
「うわっ……!!?」
「
「ほぉら、男の子なら耐えてみなさぁいっ!」
拘束されて動けなくなっているヴィクトリーの前に、ヴェータラが迫る。その長い足で、さっきのお返しと言わんばかりの蹴りがヴィクトリーの腹に叩き込まれる。
「ごはぁあぁあっ……!!」
「あはっ、あはっ、あははははは! ひゃーははははははぁっ!!」
「追撃に参加します」
吐血するヴィクトリーの前に、残りのアポトーシスも迫ってくる。絶体絶命のピンチだ。
「ヴィクトリーっ!!」
「儂が行く!!」
名前を呼ぶルカに、クロムが言って躍り出る。そして、『切り裂きエリス』を起動しながら自分も鎌を持って突撃し、シニファとヴィタエを止めたのだった。
「あはぁっ!?」
「ふむ」
「すまんな、その男には借りがあるのでな……! 邪魔させてもらうぞ!」
そう言いながら、クロムはその二体を押しとどめる。
ヴィクトリーは、ヴァルトに拘束されたままヴェータラの攻撃を、辛うじて自由な足だけで防いでいる。足技同士がぶつかり合う攻防を繰り広げていた。
「やるわねぇボウヤぁ! でも、これでどうかしらぁ!?」
ヴェータラは離れ、手に異様な力を集中させる。それが充実し、死の魔力を纏う『デスクロー』と化したのだった。
「今の貴様に逃れる術は無いな」
「うぐ……!!!」
「食らいなさいぃっ!!」
地面を蹴って突撃してくる、ヴェータラ。死の爪がヴィクトリーに迫ったが、彼はそれを待っていたとばかりに動き出した。
「ふんっ!!」
「!!?」
足を勢い付けながら、ヴァルトの股下に通す。その勢いで背負い投げの要領で体勢を変え、死の爪がヴァルトの背を貫いたのだった。
「っがはぁっ……!!?」
「なっ!!?」
ヴァルトの機檻拘束が緩み、ヴィクトリーはすかさず脱出する。
「っ、かめはめ波────っ!!!」
そして、ヴァルトを貫いたままのヴェータラに『かめはめ波』を放つ。
「そ、そんな……きゃあぁあぁ……!!」
その青白い気の奔流に二人は飲まれ、そのまま融け消えたのだった。
ヴィクトリーはすかさず、次の敵に目をつける。クロムが押しとどめてる、ヴィタエとシニファだ。
「だあぁあああっ!!!」
「!!!」
舞空術で飛び、シニファに飛び蹴りの一閃を叩き込む。それで彼女は勢いよく吹っ飛び、壁に激突した。
「来ましたか」
そんな彼にヴィタエが、髪に見立てたスライムを揺らめかせる。その粘液がピキンッと硬質化し、それが刃となって襲いかかってきた。
「エリス!!」
クロムが言うと、切り裂きエリスが反応して刀でその粘液の刃を抑えた。
「その女体部分は機械ユニットじゃな。本体は、さしずめその刃……もとい、スライム部分か」
「その通りです」
「なら、話が早い……!!」
クロムが言うと、その背後から飛び出してくる影が一つ。ソニアだった。
「『スライム潰し』よ!! どっせぇえいっ!!」
ソニアは棍棒を振りかぶり、粘液を叩き潰す技である『スライム潰し』をヴィタエの髪に叩き込んだのだった。
「っ!!?」
「これで、三体目ぇっ!!」
効果はてきめんで、明らかなダメージリアクションを取るヴィタエ。追い討ちにもう一発叩き込み、そのまま倒しきってしまった。
「あはははははははははぁ!」
「きゅーっ!」
そんなソニアの背後から、シニファが迫る。しかしヌルコが割り込んできて、触手を鞭のようにして振った。
シニファはそれを避け、両手を向ける。その掌の中心部にも口が開いており、なんとそこから闇の霧を噴き出して視界を奪ってきた。
「きゅっ!?」
「あはははははは!」
「っ、そこだぁっ!!」
なんとヴィクトリーが闇の霧の中で、正確にシニファを捉えて殴りつけた。横槍のパンチで吹っ飛び、その先で剣を構えたルカが疾走してきた。
「はぁあぁあっ!!」
剣に気を込め、抜き胴の一閃。それでシニファを両断し、倒したのだった。
それを最後に、敵の群れの襲撃は収まった。
「……」
ヴィクトリーも