もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
『ハァッ、ハァッ……!!!』
しかも、
『第二次断界接触……ただちに消去する』
『だぁあぁあああああ!!!』
訳の分からない事を言ってる敵……茶髪で、肌が白くて、赤い布を纏ったようなお姉さん風の妖女。しかも背中から翼に見立てたような金色の曲がり棘のようなものが飛び出している。この世界に来たばかりの時に襲撃してきた、アイツだった。発言から察するに、彼女もまたアポトーシスなのだろう。
超スピードで肉弾戦を挑むも、攻撃はことごとく捌かれる。その流れで腕を振ったかと思えば、横槍に巨大な球体が飛んできてそれがヴィクトリーを轢いた。
『ぐあぁああっ!!』
その球体は触手のようなものがついており、まるで意思を持つかのようにヴィクトリーに追い縋る。だが、横から何か来てそれをぶっ飛ばした。
『ロザ、ゼノビア!! お願い!!』
そう言ったのは、クイーンラミアと呼ばれるラミアだった。名前も分かる、アリアという。
彼女の言葉で、飛び出す影が二つ。サーベルを持った格式の高いマーメイドと、クイーンスキュラだ。
『私が牽制する……!!』
マーメイドであるロザが言うと、そのサーベルに気が宿る。それが膨大に膨れ上がり、強靭な刃として充実した。
『七海覇斬ッッ!!!』
そこから放たれる、連続攻撃。振ったサーベルから刃が飛翔し、それが敵に何度も直撃する。
『削除する……』
しかし……彼女は余裕の表情を見せながら手を向け、聖なる光を連射してきた。光の波動が何度もロザに直撃し、爆発が連続する。
『ぐ……!!!?』
『はぁあっ!!』
敵の背後から、声が爆ぜる。クイーンスキュラこと、ゼノビアだ。
彼女は敵の背後から急襲しながら全身の触手を伸ばし、全力で彼女を拘束した。
『っ、今よ、ヴィクトリーッッ!!!』
『これで決めてやる!!!』
ヴィクトリーは、手を合わせてそこに渾身の気を込める。
『波──────っ!!!!』
──全身全霊の『超かめはめ波』を撃ち放った。
だが、敵はニヤリと口角を上げる。そして、背中の曲がり棘を振って気を解放し、自身を巻いてるゼノビアの触手を吹っ飛ばした。
『!!?』
動揺するゼノビア。もう敵は動き、高速移動で『超かめはめ波』を避けていた。そして、ヴィクトリーの横に瞬間移動のように現れ……かめはめ波を撃ったその腕を、蹴り上げた。
伸び切った腕が蹴り上げられ、鈍い音を鳴らしながら曲がる。
『ぎゃあああああああああああああっ!!!!』
一緒に戦っていた三人が動揺する間もなく、敵は悶絶するヴィクトリーに二本指を向ける。そこから光が迸ったかと思えば、電源を切られたかのように闇に落ちたのだった。
※
視界が晴れる。見えたのは記憶ではなく、現実。
「……なん、だ……!!?」
「こ、これは……!」
あの、黒い裂け目のようなものが周囲にあった。それも、先程のタルタロスの中より多い。
「こっちの世界も、空間の割れ目だらけ……」
「こんな環境で、生物は生存できるんでしょうか。さっそくサンプルを集めないと……」
ソニアは絶句し、プロメスティンは周囲の土を集め始める。
そんな彼女らを横目に、アリスも息を吐いた。
「予想はしてたが、ひどい光景だな。とりあえず、見晴らしの良い場所に出てみるとしよう」
アリスに頷き、進むルカ。その足に、違和感を感じて周囲を見てみると……なんと、タルタロスを中心に地面がめくれ上がって坂になっていたのだ。
「っ、何か変だと思ったけど……これ、何だ……?」
「タルタロスを中心に凄まじい大爆発でも起きたようだな……」
「…………」
話し合うルカとアリス。ヴィクトリーは、やけに寡黙な様子で周囲を見るばかりだった。
そうしてルカ達は、見晴らしのいい所へ出る。そして、周りを見回した。
「これ、何……? いったい、どうなってるの……?」
見えたのは、暗黒。そして、激しい戦いの跡。
「なんなのだ、これは……!? 世界が、闇のようなものに侵食されてる……? 見渡す限り、全て暗黒……この世界で残されてるのは、この島だけなのか?」
「状況を見るに、かなり激しくやりあったらしいのう……アポトーシス共と生存者で、戦争でもしていたのか……?」
絶句する、アリスとクロム。
「サーチ不可能……この島以外、反応なし……」
ヒルデも周囲を見回し、頭の中からピピピと鳴らしながらサーチしてみるも、何も引っかからないようだ。
「嘘でしょ……? ここ以外、全部この黒いのに飲み込まれたっていうの……?」
「じゃあ、この世界の人間は……!? もしかして、もう……」
「……俺の気の察知も、この島以外から何も感じねぇ」
ソニアとルカが話す横で、ヴィクトリーが言う。
「これは、生物が存在できる環境ではないですね……いたとしても、せいぜい微生物レベルでしょう」
「きゅ……」
プロメスティンも周りを見て、そう言う。最早ここは、滅びた後の死の世界と化しているのだ。
一同の間に、しばらくの沈黙が続く。今まで渡った異世界のどれよりも異質な光景に、唖然とするしか出来ないのだ。
「…………」
ヴィクトリーは、腕を組んで考える。
先程の記憶の中では、ここで戦っていたのだろうか。それなのに、この有様とは……
「……警戒しながら、探索してみよう。町はなくても、建物くらいは残っているかもしれん」
「ああ……気を消してるだけで、生き残ってる奴もいるかも知れねぇ……」
「体を休める場所も、あればいいんだけど──」
ルカがそう言って、進もうとした時だった。
急に、謎の爆発音と共に地震が巻き起こった。
「っ!?」
「ちょっと……今のなに!? 地震にしては、大きくない……!?」
「普通の地震とは思えませんね……初期微動を感じ取れず、P波にS波、表面波が同時に来ました」
「なら、爆発による地鳴りか……!? にしては、爆心地が分からん……!!」
プロメスティンの分析とクロムの補足により、ただの地震では無いことは明白。
ここで、ルカの中にいるノームが首を振る。その隣のシルフも、泣きそうな顔で出てくる。
「………………」
「大地の力を感じない、今のは地震じゃない……だって。それに、風の力も感じないよ……この世界、風も土も死んじゃったの……?」
「尋常ならざる世界のようだな……それに、周囲にはアポトーシスの気配もする。万全の注意を払いながら、探索するとしよう……」
「分かってる……行こうぜ」
ヴィクトリーは、先頭を歩き出した。続くように、ルカが彼の隣に来る。
「アテはあるのか?」
「ああ……さっきの地震の時、向こうの方角から気がポッと出てきた気がするんだ……」
「よし、ならばそこへ行こう!」
ヴィクトリー達は歩き出し、崩壊した世界を進む。
「ほ、本当に何も無い……どうなったんだ、この世界は……!?」
「俺だって、こんなの知らねぇ……それなりにタイムパトロールはやってきたけど、こんなの初めてだぞ……」
二人は話し合いながら、歩く。
ヴィクトリーは、ふと周りの暗黒の前に手を向ける。
「どうしたんだ、ヴィクトリー?」
「……光源がないのに、俺たちの姿はハッキリ見える」
そう言われたルカはハッとして、ヴィクトリーと同じ事をする。
「ほ、本当だ……!! これって……!?」
「……どうやら、色々なモンがズレちまってるみてぇだな……」
「ねぇ二人とも、アレ!」
二人の後ろでソニアも真似していたのか、その続けざまに何か発見したようだ。彼女が指す先には、大きな塔が建っていた。
「こんな所に、塔が……」
「やはり建物はあったか……気がポッと出てきたとも言ってたな。この中からか?」
「ああ、行くしかねぇだろ」
「……そうじゃな、行って見てみるのじゃ」
ルカ達は、その塔へ走るのだった。