もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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乾■■擲の■光

 ヒルデとラディオは地形を陰に隠れながら、遠くまで走る。その間にヒルデの体の節々からコードが伸び、腹からキャノン砲を展開したラディオに接続された。

 

 流れ弾が飛んでこない安全圏と思われる場所まで行き、そこでしゃがみ撃ちの体勢を取った。

 

「ユニット接続完了、視覚リンクOK、狙撃モード移行、発射シーケンス開始……」

「エネルギー充填率10%……30%……」

 

 そんな彼女らの前で、ルカ達がアドラメレクに一斉攻撃する。

 

「はぁあぁあっ!!」

 

 ルカは土の力を全開にしながら高速回転し、渾身の『天魔頭蓋斬』を放つ。だがアドラメレクはそれを半身にしただけで避け、合わせざまのその顔を蹴り上げた。

 

「ぐはっ……!?」

 

 吹っ飛ぶルカ。飛んで追い縋ろうとするアドラメレク。だが、彼女のうなじにヴィクトリーの蹴りが叩き込まれた。

 

 アドラメレクは怯むものの、すぐに振り返ってヴィクトリーに両手を向ける。

 

「──消去する」

 

 そして、混沌の瘴気と共に黒いエネルギー波を放ってきた。

 

「ぐぁあっ!!」

 

 直撃し、爆発に飲まれるヴィクトリー。

 

「だ──っっ!!!」

「きゅ──っ!!」

 

 入れ替わるようにソニアとヌルコが一緒になって突撃し、棍と触手の一撃をアドラメレクの腹に叩き込んだ。

 

「消去する」

 

 だがアドラメレクは踏ん張り、二人の顔面を掴む。そのまま手にエネルギーを込め、爆発させた。

 

「きゃあっ……!!」

「ぎゅ……!!」

 

 吹っ飛んでいく、ソニアとヌルコ。だが、アドラメレクの背後から強大な魔力反応。振り向くと、アリスが巨大な炎の玉を掲げていた。

 

「見ろアドラメレクとやら!! 貴様にこれをまともに受ける勇気があるか!?」

 

 アリスはそう言ってから、思いっきりそれをぶん投げてくる。アドラメレクはそれを両手で受け止め、アッサリと上空へ弾き飛ばしてしまった。

 

 だが、炎の玉の陰からプロメスティンが急襲してくる。その手に、魔導科学の力をバチバチと電光させ──

 

「電圧過剰負荷、電子放出……『真空放電』!!!」

 

 瞬間、閃光と共に凄まじい電撃が零距離でアドラメレクに直撃した。

 

「当たった!」

「今のはこたえたはずだ!」

「畳み掛けるのじゃ!!」

 

 見ていたルカとヴィクトリーは、クロムの声で気を解放し、剣を構えて突撃する。二人に遅れ、切り裂きエリスまで参戦してきた。

 

「!!!」

「わっ!?」

 

 プロメスティンが、吹っ飛んでくる。ルカもヴィクトリーもそれを避け、後方のクロムに任せる事にした。当のアドラメレクは少しも堪えた様子は無く、笑みを浮かべながらルカ達に手を向けている。

 

「ぬおぉっ!?」

「す、すみませんっ!」

 

 プロメスティンを、クロムが受け止める。そして、二人でアドラメレクの方に注目した。

 

「あだだだだだだだだ!!」

「うおおおおお……!!」

「斬る斬る斬る斬る斬る……!」

 

 三人の剣技が、斬撃の嵐となってアドラメレクに斬り掛かる。だが、彼女の背から生えた曲がり棘が刃を次々に弾き、通用しない。

 

「こなくそぉっ! くらええっ!!」

 

 ヴィクトリーは刃に気を込め、フルパワーの振り下ろしを放つ。それが、あの曲がり棘を切り落とした。

 

「雷鳴突きィッ!!」

「斬る斬る斬る斬るっ!」

 

 ガラ空きになったアドラメレクに、ルカの『血裂雷鳴突き』とエリスの斬撃が叩き込まれる。だが……直撃したはずなのに、まるで金属に刃を突き立てているかのような感覚。

 

「なっ!!?」

 

 アドラメレクは気を解放し、その余波でルカとエリスを吹っ飛ばす。そして、天に手を向けた。

 

「■■■■……」

 

 何かを詠唱すると、暗黒の天から無数の隕石が降ってきた。それが、ルカ達を襲う。

 

「うわぁあぁああっ!?」

「な、何でもありかコイツはぁああっ!!」

 

 ルカとヴィクトリーだけでなく、アリス達も悲鳴を上げながら降り注ぐ隕石の衝撃に晒され続ける。

 

「っ、ラディオ……! 出力を限界まで引き上げるよ、いい!?」

「最初から、そノツもりです……」

 

 遠くからエネルギーを高め続けるヒルデとラディオは、戦況を見て覚悟を決める。そして、二人の身体に残ってるエネルギー全てをラディオのキャノン砲に込め始めた。

 

「EMLモジュール全点接続、エネルギータービン全開放、リミッター解除!」

「照準ヨシ、充填率80%……90%……緊急弁全閉鎖、リミッター解除。115%……120%……」

 

 限界を超えたエネルギーが、二人の体を輝かせる。膨大な気の高まりを感じたヴィクトリーとルカは、ハッとして降り注ぐ隕石の衝撃の中でアドラメレクを見る。

 

「っ、俺が奴を抑える!!」

「ダメだ、危険すぎる!!」

「なぁに当たる寸前に瞬間移動してやるさ!!」

 

 ごちゃごちゃ話し合う二人の横から、クロムが飛び出す。そして、アドラメレクを見て両腕を突き出した。

 

「はぁっ!!」

 

 すると、アドラメレクの周囲に魔法陣が展開し、そこからゾンビの腕が這い出て彼女を拘束した。ゾンビの四肢の、部分召喚だ。

 

 アドラメレクは背中の曲がり棘で腕を切り飛ばそうとするが、それより早く新たなゾンビの腕が彼女を拘束し、身動きが取れない状態になっていた。

 

「反省した手前、二度と使わんと思っていたが……この時ぐらいは、許せ!!」

「ッッッやれ────ッッッ!!!!」

 

 ヴィクトリーの声が、爆ぜる。それは、遠くで構えていたヒルデとラディオの耳にも届いた。

 

「ターゲットロックオン……ハイパーメガラディオキャノン、いつでも発射でキマす」

 

 凄まじいエネルギーをその腹のキャノン砲に込め、ラディオは今さっき命名したこの技の準備が出来たことを口にする。それを聞いたヒルデは、一際目を鋭くして──

 

「──これで決める」

 

 そう言い、『ハイパーメガラディオキャノン』を発射したのだった。

 

 ラディオの腹のキャノン砲から、二人の限界以上のエネルギーが籠った波動が、閃光と同等の速度で飛翔する。それは周囲に凄まじい衝撃波を放ちながら、アドラメレクを目指す。

 

「っ、はなれろ────っ!!!」

 

 そう言ったのは、アリスだった。ルカ達は飛んだり、飛べないものは走ったりして、一斉にアドラメレクから離れる。

 

「■■■■……」

 

 ここで、アドラメレクが身をよじりながら気を解放し、左腕だけ解放してしまった。その左手で、迫り来るエネルギー波を受け止めたのだった。それでもとてつもない衝撃波が巻き起こり、この世界全体が震えているような地響きが続く。

 

「うわぁっ……!!」

「受け止めやがった……!!?」

 

 衝撃と閃光によって、腕で顔を覆いながらもアドラメレクの方を見るルカ達。

 

「きゅーっ!! きゅっきゅっきゅきゅきゅーっ!!」

「頑張れ、ヒルデーっ!! 頑張れ、ラディオちゃーんっ!!」

「行っけぇえええええっっ!!!」

 

 ヌルコとソニアとアリスは、喉が焼き切れそうな程の声量で二人を応援する。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!! す、すまん、限界じゃった……!!!」

「大丈夫ですか……!? 腕がっ……!」

 

 エリスに抱えられ、腕がガタガタになっている様子のクロム。プロメスティンが診てみるも、かなり無茶をした様子の腕は簡単に治療できそうにない。

 

「はああぁああああああああああ──────ッッッッ!!!!」

 

 ヒルデが、()える。世界を救うという使命のために生まれた彼女は、今こそ使命を果たそうと……それ以上に、ラディオやルカ達を守る為に命を燃やす勢いで力を込める。

 

 その力に、アドラメレクの左手に亀裂が走る。

 

 次の瞬間、閃光がほとばしる。そしてとてつもない大爆発により、この島全土に衝撃波が轟いた。

 

 ルカとヴィクトリーはそれに吹っ飛ばされまいと、踏ん張る。ヌルコが吹っ飛ばされそうになるが、ソニアが触手を掴んで踏ん張っている。アリスはその辺の岩に蛇体を巻き付け、吹っ飛ばないようにしている。エリスがクロムとプロメスティンに覆いかぶさり、身を呈して衝撃に耐えた。

 

 閃光がおさまり、爆煙が薄れ、視界が晴れる。

 

「………………」

 

 そこには……左腕を失っただけのアドラメレクが、動揺した顔を浮かべていた。

 

「……っそんな……!!?」

「ふ、二人が、命懸けであんな技まで放ったのに……!!」

「きゅ…………」

「よ、ようやく……腕、一本……!?」

 

 ルカとソニアとヌルコとアリスが、絶望する。

 

「そ、そん、な……バカな……!!!」

「……これは、苦しい状況ですね。それに、あの二人も……!!」

 

 クロムとプロメスティンは、ヒルデとラディオの方を見る。

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ……!! う、ぐぅ、うぅ……!!!」

「ガガガ、ピー、エネルギー残量、0.004%……戦闘続行、不可能……」

 

 ヒルデは、ぐったりとしてるラディオを抱えながらも『ビームデスサイズ』をカチカチと起動しようとしている。だが、ビームの刃は点滅するだけで、機能していなかった。

 

「──消去する」

 

 アドラメレクはそんな二人に目をつけ、飛んで突撃する。

 

「まずいっ!!」

「ここからじゃ間に合わ──」

 

 ルカとアリスが言いかけた、その時だった。

 

「やめろぉおおおおッッ!!!」

 

 アドラメレクの前に瞬間移動してきたヴィクトリーが現れ、その顔を殴りつけてぶっ飛ばした。殴られたその体が勢いよく吹っ飛び、地面に墜落した後もガリガリと大地を削りながら遥か後方まで吹っ飛んでいく。

 

「っ、俺は……俺はっ……!!! 二度と、俺の前で、誰一人として死なせねぇっ!!!」

 

 皆が絶望する中、ヴィクトリーはそう啖呵を切る。そして、腰に携えた袋から仙豆を二粒取り出し、ヒルデに渡した。

 

「あぅ、ヴィクトリー……?」

「そいつを半分こして食え! 早く!」

「ダメです、ヴィクトリーさん!」

 

 飛んできたのは、プロメスティンだ。後ろに、ルカ達もいる。

 

「二人とも、機械生命体……ヒルデさんはまだ生体部分が多いものの、ラディオはほぼ全身が機械です! 生体部分が治せても、機械部分が直せなければ意味はありません!」

「ぐ……!!」

 

 そうだ、仙豆は食い物……生物にしか、効能が無いのだ。特に身体のほぼ全てが機械のラディオには、効果はほぼ無いだろう。

 

「ですが……私が二人をポケット魔王城に連れ帰れば、直せます……! 今なら、間に合います!」

 

 プロメスティンがそう言うと、ヴィクトリーはルカを見る。彼は、迷いなく頷いた。

 

「……すまぬ、儂もその手伝いをした方が良さそうじゃ。腕がこんなんになってしもうたし……エリスも、そろそろ限界じゃ」

 

 申し出てきたのは、両腕を負傷しているクロムだ。確かに彼女にもからくり人形師の心得があるので、機械生命体を直せるかもしれない。彼女のそばに居る切り裂きエリスも、息を切らして傷付いた場所を押さえている。

 

「仙豆はヒルデに一粒、儂とプロメスティンで半分こした方が良いじゃろう。腕さえ治れば、からくりの修理もちょちょいのちょいじゃ」

「それでは、頼みます……! 必ず、勝利を!」

 

 プロメスティンはヒルデを、切り裂きエリスがクロムとラディオを連れ、ポケット魔王城に待機する。

 

 残されたのは、ルカ、ヴィクトリー、ソニア、アリス、ヌルコの5人。

 

「話してる間に、作戦を思いついた……! 俺とルカで仙豆を食う。他に欲しい奴は?」

「要らん。余は『エルフの霊薬』で事足りる」

「私もよ。魔力さえあれば自分で回復できるわ!」

「きゅきゅっ」

 

 残り5粒の仙豆……食うのは、ルカとヴィクトリーだ。

 

「ヴィクトリー、仙豆をくれるのは助かるけど……どうするんだ?」

 

 ルカに聞かれたヴィクトリーは、ニッと口角を上げる。

 

「……この世界にはいろんな平行世界があって、その世界一つ一つに同じルカが居るんだろうけどよ……おめぇは、その色んな世界のどのルカよりも、一番強い。少なくとも、俺はそう信じてる」

「…………」

「あのクソッタレに見せつけてやろうぜ、今までの旅路で作り上げてきた力をよ!」

 

 ヴィクトリーに言われたルカは笑い、頷いた。

 

「ああ……! その為にも、何としてでも勝たないとな……!!」

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