もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「ドアホ、具体的な作戦を言え」
アリスに言われたヴィクトリーは、「へへへ」と誤魔化し笑いする。それから、一瞬で真剣な顔になった。
「俺が何とかしてアイツに隙を作る。その間にソニアはルカにかけられる限りのバフをかけて、アリスとヌルコは流れ弾がルカ達に当たらねぇようにしてくれ。そして……ルカは目いっぱい気を溜めて『紅蓮炎舞』でも『死剣・乱れ星』でもなんでもいいから、確実に当たるタイミングで一番自信のある技をアイツに叩き込んでくれ」
ヴィクトリーの提案を聞いたルカ達は、頷く。
「ああ、分かった!」
「分かったわ。でもいざとなったら出張らせて貰うわよ」
「余達を露払いに据えるとはな……」
「きゅっきゅー」
「そう言うなよ、露払いは強いヤツにしか務まらねぇ」
話し合っていると、アドラメレクが気を爆発させながら姿を現してきた。天にまで届くような禍々しい混沌の力を身体から噴き上げ、世界をカオス化させながらこちらを捉えている。
ルカ達は、ヴィクトリーを盾にするように後ろへ飛ぶ。
「……こっからが、本番だ!!」
ヴィクトリーは仙豆を食べて気を解放し、中途半端に破れてる赤い道着を破り捨てる。
「これで全てが決まる……!!」
ルカも仙豆を食べて、気を溜め始めた。アリスとソニアも『エルフの霊薬』を飲んで魔力を回復させる。
「消去する……」
アドラメレクは猛スピードで飛んできて、迫り来る。ヴィクトリーも飛び、腕同士を激突させた。
その際の余波が爆発のような旋風を巻き起こし、ルカを守ってるアリス達に瓦礫が飛んでくる。
「ちぃ、派手にやりおって……!」
「きゅーっ!」
「任せるわよ!」
アリスもヌルコは、大きな瓦礫を攻撃して粉砕する。その後ろにいるソニアは、白魔法でルカにバフをかけ続けていた。
「どりゃあっ!! あだだだだだだ!!」
ヴィクトリーはアドラメレクの頬に肘を叩き込んでから、その体に拳を連打する。
「消去する──」
だがアドラメレクも、残った右腕を振って反撃してきた。
しかしその一撃を見切り、彼女の後頭部に蹴りを入れた。
「っよし、片腕だから攻撃力が落ちてる……!」
このまま猛攻すれば、自分だけでも勝てるかもしれない──そう思いかけてた所に、巨大な球体が横から衝突してきた。
「ぎゃあっ!?」
「■■■■……」
アドラメレクはその球体から無数の触手を展開する。そして、ヴィクトリーを叩き潰すように飲み込んでしまった。
「だぁあっ!!」
だがすぐに球体内部から斬撃が走り、バラバラになりながらヴィクトリーの解放した気で弾け飛ぶ。
ヴィクトリーはそのまま剣を構えて突撃し、アドラメレクの胸に斬撃した。
「消去する」
アドラメレクは意に介する様子もなく、片手で聖なる光を放ってヴィクトリーを爆破した。
「ぐあっ……!!」
「消去、消去、消去……」
怯むヴィクトリーの腹に、腹筋を突き破る程のパンチが叩き込まれる。続けざまに顔面を頭突きされ、乱暴に蹴っ飛ばされた。
ヴィクトリーはどうにか着地するも、苦しそうに吐血する。
「ぐっは……!!」
なんて、速く重い一撃。前の自分は、こんな奴とやり合っていたのか。だが、今になってみれば分かることがある。
「……おめぇが何で、俺がルカと出会う前に襲いかかってきたのか分かったぜ……おめぇ、この状況を恐れていたからだろ」
「…………」
「手ずから相討ちになった相手が、また立ちはだかる……しかも今度は、ルカとセットだ。失敗したなぁ、おめぇは俺があの程度で死ぬとタカを括り、トドメを刺そうとしなかった……だからこそ、俺がいまここに──」
アドラメレクは今度は、混沌の力を集約した闇の波動を放ってきた。
「うおぉっ!?」
ヴィクトリーはローリングしてそれを避け、地面に片手をついて前傾姿勢のまま向き直す。
会話による時間稼ぎも、出来ないらしい。そもそも、会話出来てるのかも分からないが……
「そういう事なら……!!」
ヴィクトリーはその姿勢のまま地面を蹴り出し、超スピードで飛んでアドラメレクの所まで来る。そして、渾身の蹴り下ろしで彼女を地面まで蹴っ飛ばした。
墜落を確認したヴィクトリーはその横に瞬間移動し、『かめはめ波』を放つ。
「■■■■■」
アドラメレクはそのエネルギーの奔流の中を泳ぐようにして突き破り、急接近して右ストレートをヴィクトリーの腹に叩きつけた。渾身の拳が彼の腹筋を突き破り、その背を盛り上げている。
「おううぅうっ……!!?」
「消去する」
彼女の背の黄金の曲がり棘が翼のようになり、それで強烈な一撃を放ってヴィクトリーをぶっ飛ばした。彼の体が錐揉み回転しながらぶっ飛び、そのままどしゃりと倒れる。
「ヴィクトリーっ!!」
「来るなルカ!! その程度じゃアドラメレクは倒せねぇ!!」
飛び出そうとするルカを、倒れたままのヴィクトリーはそう言って止める。
「うっ……!!」
「ルカ、まだか!! ヴィクトリーが死ぬぞ!!」
「きゅっ、きゅうぅ……!!」
「お願い、もう少し頑張って……!!」
焦る仲間たちをよそに、ヴィクトリーはよろめきながら立ち上がり、拳を握る。アドラメレクはすでに迫ろうと走り出している。
「へ、へへへ……何なら俺がこのまま倒しちまうつもり、なんだけどなぁ……!!」
それが無理な事を承知し、ヴィクトリーも走り出す。
そのままアドラメレクとヴィクトリーは、右ストレートのクロスカウンターが入ったのだった。
「がっ……!!!」
ヴィクトリーは手放しそうになる意識を、歯を食いしばって手繰り寄せる。だが、ダメ押しの攻撃が一発、二発、三発と、続けざまに彼を穿った。
「あ、あぐぅうっ……!!!」
「消去……」
アドラメレクが指パッチンすると、ヴィクトリーの周囲の空間から複数の黒い穴が空く。そこから触手が飛び出し、鞭のように振るわれ、彼を滅多打ちにした。
「ぐあぁあぁあああああ!!!」
「きゅ────っ!!」
ここでヌルコが、青筋を浮かべながらアドラメレクに突撃する。
「馬鹿っ、くそっ!!」
アリスも飛び出し、レイピアを抜く。
先に到達したヌルコの頭突きがアドラメレクの顔に直撃するも、彼女は揺らぐこと無く踏ん張る。
「消去……」
そう言いながらヌルコを持ち上げてぶん投げ、聖なる光を放って爆破した。
「ぎゅ…………」
「うおぉおおおおっ!!」
アリスが、レイピアに雷を纏いながら突撃する。
「響け雷鳴……『ケラヴトゥリア』!!」
雷を纏った、レイピアの三連打。それがアドラメレクに直撃し、僅かに彼女を揺るがせる。だがすぐに持ち直して翼に見立てた曲がり棘でぶっ飛ばす。
「うぐぁっ……!!」
ヌルコと同じ所に吹っ飛んだアリス。そんな二人にアドラメレクは指を向け、そこに隕石を落とした。
「ぎゅうぅう……!!」
「ぐはぁああ……!!」
二人は吹っ飛び、倒れてしまう。
「ソニア、頼む!! 後は僕が気を溜める!!」
「っ、分かったわ!!」
ルカの言葉に、ソニアが飛び出す。だが、回復役が出てきたのをアドラメレクは見逃さず、すかさず闇のエネルギー波を放つ。
「なんのぉっ!! どっせぇいっ!!」
ソニアは棍棒に魔力を込め、それを打ち返す。だが、既にアドラメレクは背後に回り込んでいた。
「はっ!?」
そして、背中の曲がり棘でソニアを連続攻撃する。
「うぐっ、く、く、この、邪魔っ……!!!」
棍棒でそれをどうにか弾き、渾身の力を込めて振るう。だがアドラメレクはそれを避け、合わせざまにソニアの腹に手を添えた。
「っ!? しまっ──」
次の瞬間、混沌の魔力がその手に集約し、爆発が巻き起こった。
「ぐはっ……!!」
ソニアも、呻きながら倒れてしまう。
「っくそ……!!!」
「来るな、ルカ!!! 全てを無駄にしてぇのか!!!」
飛び出そうとするルカは、また静止される。フラフラになってるヴィクトリーが、アドラメレクとぶつかり合った。
「ヴィクトリーっ! このままじゃお前まで……!」
「いいから集中しろ!! 気を溜めるんだ!!」
そう言ってるヴィクトリーの頬に、パンチが入る。だが彼は踏ん張って耐え、アドラメレクを殴り飛ばした。
「っ波────っ!!!」
ぶっ飛んだアドラメレクに、『かめはめ波』を放つ。だが彼女はそれを避け、瞬間移動のような速度でヴィクトリーの横に来て、伸び切った腕を蹴り上げようとしてきた。
しかし、それが当たる寸前にヴィクトリーは瞬間移動し、アドラメレクの背中に両足蹴りを叩き込んだ。
彼女は勢いよく吹っ飛び、地面に墜落する。そのまま大地をガリガリと削りながら吹っ飛んで行った。
「バッキャロー!! 二度も同じ手が通用するかーっ!!」
そう言うヴィクトリーだったが、アドラメレクはすぐに瓦礫をかき分けて出てくる。そして、手を向けてきた。
「!!!」
次の瞬間、破壊したはずの球体がヴィクトリーの背後に再出現し、触手で彼を捉えてしまった。
「──消去する」
アドラメレクは向けている手から光と闇のエネルギー波を交互に連射してくる。ヴィクトリーはそれに為す術なく直撃し続け、爆発が連続した。
「く、くそっ……まずい……!!」
「きゅっきゅう……!」
「うぐぐ……お、『オールメガヒール』……!」
ソニアが、
「や、やめろ……!!!」
声を上ずらせる、ルカ。
「きゅ──っ!!」
「ヌルコっ!? 行っちゃダメ──っ!!」
ヴィクトリーの所へ飛び出す、ヌルコ。止めることも間に合わず、手を伸ばすしか出来ないソニア。
「っ、まずい、間に合わ──」
アリスが言い終わるより先に、ヌルコはヴィクトリーを庇うように覆い被さる。
次の瞬間、隕石が二人を目掛けて目掛けて落ちてきた。残存した聖なる光と混沌の闇のエネルギーはサーモバリック爆薬の役割を果たし、爆轟遷移によって超広範囲に渡り超威力の大爆発と衝撃波が巻き起こった。
「────」
範囲外に居たルカは、無事だった。
だが、回復した傍から倒れる羽目になったソニアとアリス。ヌルコとヴィクトリーの姿は、見当たらない。
それ以前には、ラディオ、ヒルデ、ラ・クロワ……一人、また一人と倒れる仲間達。そして、今もアドラメレクのエネルギーによって世界はカオス化し、崩壊していく。
湧き上がるのは……無力感。それによる自分への怒り。それが、ルカの胸で渦巻く。口の中が乾き、鼓動が早くなり、瞳孔が狭まり、全身が沸騰しそうな程の熱を持ち──何かが、ブチ切れた。
「ッッッうぅうううぁああぁああああああああ──────っっっっ!!!!!」
今まで溜め込んでいた力が、爆発する。その背から今までとは格の違う天使の白翼が広がり、片目が金色になり──今、ルカの中に眠る熾天使の血の、片鱗が目覚めた。
「な……なん、だ……!?」
「ウソでしょ……あれが、ルカ……!!?」
叫び声と爆発する気で目を覚ましたアリスとソニアが見たのは、変わり果てたルカの姿。
比類なき聖なるオーラが無限のように湧き上がり、荒ぶる気と大気が擦過しバチバチと
敵も味方も関係なく、威圧し恐怖させるその姿は……間違いなく、『明けの明星』の異名を持つ熾天使の力だった。