もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ドン・ダリア達を倒し、フェニックスの尾の密売をとっちめた一行たちは、アミラの所に向かった。
※
「話はすでに聞いたわ。フェニックスの尾の不正密売ルートを壊滅させたようね。それに……」
アミラがそう話している相手方……ルカ達のメンバーの中には、あのフェニックス娘のミニが居た。何故か、ヴィクトリーの頭に乗ってる。
「もふもふしてていいぞー!」
「成り行きで、仲間になっちまった」
「でも、これで密売人には目を付けられなくなったと思うよ」
噴き出しそうな表情のルカが、困惑するヴィクトリーを見てそう言う。確かにヴィクトリーは毛髪の量が多めなので、鳥なんかは羽休めしたら居心地良さそうだ。
そんな下らないことを考えてると、アミラは咳をついて改めて注目を集めた。
「あなた達は情報屋の世界に鮮烈なデビューを果たしたわ。おめでとう、これを受け取って」
そう言って舌を伸ばし、ルカに『情報屋の掟』と書かれた紙を差し出した。
「どっから出してんだよ……」
「えぇ……」
何やらベタベタになったそれを、困惑しながらも受け取る。
「それがあれば、情報屋になったも同然よ。さて……ウサギの情報をお望みだったわね。教えてあげるわ」
アミラのウサギの情報……それは、ポルノフという所に向かうウサギの目撃情報だった。ポルノフとは、イリアスヴィルから更に南東に行った町だ。
「そこに、例のウサギが居るんだな」
「ええ、確かな情報よ。事情は知らないけど、見つかる事を祈ってるわ」
アリスはルカ達の前に出て、パァンッと手を合わせた。
「よし、次の行き先が決まったな! あのウサギを追って、ポルノフに行くぞ!」
「ああ!」
いつの間にか、アリスが先頭になってる。
彼女が指揮を高めてるのを横目に、ヴィクトリーも考える。
確かに、俺もあのウサギからは聞きてぇ事が山ほどある。たまに来る頭痛の正体や、ソニアに対する違和感の正体……教えてくれるといいんだが、どうやら今は追いかける他無いようだ。
こうして戦士達は、ポルノフの村に向かった……
※
ポルノフの村……そこは、たくさんのパンツ一丁の青年が暮らしていた。
「って、何でやねん!」
「へ、変態だー!」
コ〇コ〇コミックのギャグ漫画の中に来た気分だ……それはともかく、この村に例のウサギが居るという。
「え、えーと……」
ルカは辺りを見回し……服を着ている、伯爵風の人に目をつけた。
「あの、こんにちは」
「おや、旅人がこんな村に……」
伯爵風の男は頭を下げ、挨拶する。
「私はローリー伯爵です。何か用ですか?」
「あのさ、ここら辺にウサギの魔物って居なかったか?」
「ウサギの魔物ですか……? 彼女ならば、宿屋に居るはずですよ。しかし私は、年齢的に全くもって興味がございません。あなた達のお連れしている少女など、最高なのですがね……」
ローリー伯爵はそう言いながら、アリスを見ている……
「かぁっ、気持ち悪ぃ……やだおめぇ……」
「こいつ……ロリコンか!」
「ああイタズラしたい……でも剣を持ってる人が怖いので、視姦のみにとどめておきます」
そう言って、舐めるようにアリスを見るローリー伯爵……こいつ、伯爵じゃなくて紳士じゃねぇか。
「ねぇ、ルカ……こんな町、さっさと用を済ませて早く出ようよ……」
ソニアは疲れたようで、がっくりとしたような顔でそう言った。しかしアリスは拳を握り、宿屋の方を見る。
「ともかく、宿屋に居るのは確かなようだ。さあ、こしゃくなウサギを追い詰めるぞ!」
アリスが先頭になり、宿屋に乗り込む。
「ここかっ!?」
そして、部屋に飛び込んだ。そこに居たのは……
「あら、あなた達……私に何か用?」
ピンク色の髪をして露出度の高い服を着た、ただのウサギ娘だった。あの白兎とは、全く違う。てっきり白兎が居るものだと思って意気込んでコレだったものだから、戦士達はずっこけてしまった。
「なんと、別のウサギではないか! あの時のウサギは全く違うぞ!」
「あらあら、どうやらウサギ違いのようね。あなた達の探しているのは、どんなウサギかしら……?」
こんなウサギ娘が知ってるとは思えないが……ルカとヴィクトリーは顔を合わせ、特徴を考えてみた。
「えっと……白毛に青髪で……」
「マントを羽織ってて、時計を持ってた」
「あと……なんだか、せわしない感じかな」
「そのウサギの話なら、聞いたことがあるわ」
ウサギ娘の口から出てきたのは、予想外の言葉だった。
「知ってんのか!?」
「ええ。仲間にしては変わっていると思って、覚えていたの。大陸南のタルタロス付近で、よく出没するそうよ。調査班の人達が、よくうろついているのを見たとか……」
「タルタロス……?」
ヴィクトリーの頭の中に、違和感のようなものが走る。
そんなもの、俺は知らねぇ。そう言えば、あの白兎もそんな事言ってたような……それにしても、この胸中の違和感は何なんだ? 俺は、タルタロスなんて初めて聞いたのに……胸が、ザワザワする。
「あれだよね……30年前の大異変で各地に出現した、謎の大穴……」
「うむ、タルタロスか……謎の多い場所だが、いかにもありそうな話ではあるな」
「よし、行ってみよう! 場所は、大陸南のタルタロスだったね」
ルカ達の間では、もう目的地が決まっているらしい。
「イリアスヴィルから、ずっと南の地点よ。ここから東にもタルタロスがあるけど、間違わないようにね」
「しかし、アミラの情報はガセだったではないか……文句を言ってやらねば、気が澄まんぞ」
「まあまあ、有益な新情報を得られた事だし……まあ、間違ってた事ぐらいは伝えに行ってもいいかな?」
「イリアスベルクに行く機会あったら、文句でも叩きつけてやろうぜ」
そうは言えども、親切なウサギ娘にも、アミラにも感謝せねば。結果的には前進する事となったのだ。
一行は宿を出て、迷惑にならない所で輪を囲む。
「それじゃあ、南のタルタロスに行ってみようか。今度こそ、ウサギが見つかればいいんだけど……」
ここで、アリスが待ったをかけた。そして、自分の獲物である刺突剣に、手をかける。
「まあ待て。この町近くの鉱山で、鉄の塊が採れるという話を聞いた。入手すれば、鉄製の装備を作ってもらえるはずだ。タルタロスに行く前に、強い装備を揃えておきたいな。なにせタルタロスは、謎に満ちた場所なのだから……まぁ、どうするかはルカの判断に任せるが」
「イリアスベルクの鍛冶屋にいるあのドラゴンも仲間にしねぇか? つえぇ奴になる気がするぞ」
ヴィクトリーの提案に、ヴァニラとゴブが反応する。
「パピも仲間になるの!?」
「そう言えば、パピは鉄の塊が欲しいとか言っていたな……それさえあれば、仲間に出来るかもしれん!」
これで、盗賊団が三人揃う事になる。後は、諸事情でサザーランドを離れられねぇプチだけか。
「あと、修行もしねぇとな〜。万全のレベルで挑まねぇと、すぐおっ死んじまうぞ」
「それなら、ポルノフ鉱山に出てくるモンスターを相手にすればいいかも。よーし、頑張っちゃうぞ〜!」
ソニアはそう言いながら棍棒を握り、気合を入れた。彼女の口ぶりからして、ポルノフ鉱山に出てくる魔物もそれなりに強いらしい。
「よし、決まりだね……」
この先の方針としては……まずポルノフ鉱山に向かい、鉄塊を採取。そしてイリアスベルクに向かい、パピを仲間に勧誘しておく。ついでにアミラをぶん殴る。装備を整え、いざタルタロスに……って感じになる。
「よっしゃ、行こうぜルカ! 面白そうな事になってきたぞ!」
「ああ、行こう!」
ルカを先頭に、一行は動いたのだった。
※
ポルノフ鉱山……明かりもない、暗い山だ。暗いというだけで、心無しか湿度も高く感じるし、何よりも不気味だ。
「むっ、やけに暗い洞窟だな……これでは視界が制限されてしまうぞ。べ、別に怖くはないぞ……」
「わ、我もこわくないぞ!」
アリスの横で、ヴァニラが震えていた。
「ヴァンパイアなのに、暗闇を怖がってどうするのさ……」
呆れたように、ゴブがヴァニラに苦笑いした……そんな事を話しながら進んでいると……
「出たぞっ!」
「こんな視界なのにか……!」
羊娘とウサギ娘が、周囲を取り囲んでいた。視界の悪さが相まって、勘づかれる前に囲まれていたらしい。どうやら、この舞台での戦闘は心得ているらしい。
「囲まれていたか……!」
「くっ!」
ヴィクトリーとルカとソニアとアリスは背中を合わせ、構えた。そして気を解放し、敵の群れに突っ込んだ。ヴィクトリーは羊娘の腕を掴み、敵の群れにぶん投げる。
「きゃあっ!」
「くっ!?」
「かめはめ波ーっ!!」
そこにかめはめ波を打ち込み、直撃したそれは爆発し、周囲の魔物を吹っ飛ばした。
「やぁあっ!」
ルカは持ち前の剣技で、敵を次々になぎ倒していく。身を低くして駆けながら、すれ違い際に斬り捨て、向こうからの攻撃は当たらないように足は止めない。
「くっ!」
ウサギ娘の群れが、ルカに矢を放った。
「はぁあっ!」
ソニアがルカの前に入り、棍で矢を払い落とす。そしてウサギ娘達に突っ込み、高速の突きで次々に敵を打ち抜いた。
「そぉらっ! 受けてみろ!」
アリスは高速の尖剣術で、ハチのように敵をどつき回す。更に尻尾で周囲を薙ぎ払って、辺りをぶっ飛ばした。
「な、なんなのよこの化け物ども……!!」
「ひぃい……!!」
圧倒的なパワーでモンスター達を薙ぎ払う一行に、モンスター達は怖じ気付く。そして、どんどん逃げていってしまった……
「……ふぅ」
「こんなもんかな……」
戦士達の周囲に倒れているのは、叩きのめされて気を失っているモンスター達。しかも、誰の命をも奪っていない。
「よし、進むぞ。もう襲ってこない筈だよ」
「いや、暗闇から奇襲してくるかも知れねぇ。気を付けねぇと」
戦士達は、奥に進む。
※
奇襲を何度か受けながら、再奥……
「おお、これだな!?」
ヴァンパイアゆえに暗闇でも目が利くのか、ヴァニラが真っ先に発見した。そこにあったのは、大きくて非常に良質な鉄だった。
「かなりの大きさだな……どれだけ装備を造ってもらっても、なくなる事はあるまい。さあ、イリアスベルクの鍛冶屋に行くぞ。これで、鉄製の装備を造って貰えるはずだ」
「それに、パピの所にも持って行ってあげないとね」
「わ〜い、久しぶりにパピと遊べるね!」
「それで、誰が持つんだ? これ」
ヴィクトリーはその鉄塊と、みんなの顔を交互に見る。
「……」
みんなは、視線を逸らしながらも、チラチラとヴィクトリーを見る。このメンバーの中では、彼が一番筋肉量があるのだ。
「お、俺かよ……」
「仕方ないだろ……このパーティだとお前が一番力持ちなんだから……」
「そんな理由かよ……」
グチグチ言っていても、進まない。ヴィクトリーは、もしかしたらこれも修行になるかもしれないと思い、その鉄塊を抱えて運ぶ事にしたのだった。
※
そうしてイリアスベルクの鍛冶屋……入るなり、ヴァニラとゴブがパピの所へ駆けつけた。
「パピ、いいものを持ってきたのだ!」
「じゃじゃ〜ん、鉄の塊だよ!」
ヴァニラとゴブに催促されるまま、ヴィクトリーは鉄塊をパピの前に下ろした。パピより先に、親方がそれに目をつけた。
「おお、それは最高品質のポルノフ鉄じゃないか!」
「うが! これで良鉄の打ち方を伝授してもらえるのだ!」
「はぁ……はぁ……つ、疲れた……だけど、いい修行になったな……ははは……」
ヴィクトリーはへばりながら、邪魔にならない所に座り込んだ。そんな俺に、親方が水を持ってくる。
「ありがとう、少し借りるよ。これだけあれば、ほとんど減ることもないさ」
「借りるなんて言わずに、全部持ってってくれよ……」
親方は笑ってから、パピに向く。そして、鍛冶道具を持った。
「それじゃあパピ、俺のやり方を見ておけ。しっかり頭と体で覚えるんだぞ……」
今から、パピに鉄の打ち方を教えるらしい。
「……こうか、親方!?」
「まだまだ甘い、こうだ!」
「うががー!」
そして、数分後……
「……親方、こうだな!?」
「そうだパピ、上出来だぞ! 勇者君、パピの打った剣は君が受け取ってくれ」
親方は、ルカに剣を差し出した。よく打ち込まれた、アイアンソード……切れ味も抜群で、いい感じだ。
「これで良鉄が打てるようになったのだ! 約束通り、修行の旅に出てもいいか!?」
「おう、行ってこい! ちょくちょく帰ってこいよ!」
「それじゃあ……」
パピはルカの方を向き、頭を下げる。
「よろしくなのだ!」
「ああ、よろしく!」
「いいかパピ、無理はするなよ!」
「お世話になったのだ、親方! 立派な鍛冶屋になって、戻ってくるのだ!」
パピは親方にも頭を下げ、ルカ達のパーティに参加した。これで、準備は整った。向かうは、南のタルタロスだ。
謎に包まれた大穴に待ち受けるものとは……