もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
道中……
「急げ! ここも危険だぞ!」
アリスが声を上げ、みんな走る。ボロボロと崩れる道を、どうにか走り続ける。崩壊しゆく世界は揺れを増しており、それでまた道が崩れていく。もう、時間の余裕は無さそうだった。
「間に合え……! 絶対、生きて帰るぞ……!!」
「ああ……!」
ヴィクトリーとルカがそう言い、走る足に力を込めようとした時だった。不意に、正面から何かが現れた。
「んなっ!?」
「!?」
二人は止まってしまい、アリス達も足を止める。
なんと、消滅したはずのアドラメレクが現れたのだった。左半身を失っていて、全身がボロボロの傷だらけなのに、尚もまだ邪魔立てしてくるらしい。
「そんな、まだ生きて……」
「きゅ……」
ソニアは、絶望した顔をする。だが、ヌルコは目を鋭くしてソニアを守ろうと前へ出る。
「逃しはしない……私もろとも、ここで消滅せよ……」
アドラメレクは戦ってる時とは打って変わって饒舌に言い、迫ってくる。
「おめぇ、ちょっとしつけぇぞ!」
「くそ……僕に、戦う余力は……」
「戦うどころか、時間の余裕もないぞ!」
ヴィクトリーとルカとアリスは、一応剣を構えておく。
だが、地響きが鳴り、世界が揺れる。崩れ始めた世界が、収縮していく。
「消滅せよ……消滅せよ……消滅せよ……」
周囲の足場も崩壊し、孤立無援状態になる。これでは、もう助かる見込みはない。
「くそっ!! ここまで戦ったってのに、こんな所で詰みかよ!!」
「うっ、ぐ……!!」
覚悟を決めた、次の瞬間……何者かの剣が、アドラメレクを両断した。
「!!」
それは、まさに刹那の一閃だった。両断されたアドラメレクの残骸は、亜空へ消える。
「……」
目の前に立った、剣技の主……ルカに似た、半サイボーグの男だった。
「おい、ルカ……」
「ま、まさか……!」
ルカにとって、絶対に忘れるはずのない、懐かしい顔。これまでずっと、その背を追い掛けてきた。
「と……父さん!?」
「……」
ルカの父親……マルケルスは、ゆっくりとルカの方を見る。
「ルカ……お前は、自分の世界を守れ。それ以外は、私が守る……」
そう言ってマルケルスは、今度はヴィクトリーに向く。
「君が、ルカの……一目会えて、良かった」
「え……?」
「……ルカと共に、世界を守ってくれ。頼んだぞ」
彼はそう言ってこちらから背を向け、消え行く異空間の中へと歩み去っていく。
「…………」
「父さん、待って……!!」
呆然とする、ヴィクトリー。その横でルカは追おうとしたが、アリスがその手を掴んだ。
「ルカ、そっちは危険だ!! 今は、脱出するしかない!」
「……」
ルカは、マルケルスの背中を見る。その姿が、異空間に消えるまで……
崩壊に巻き込まれたわけではない。また、別の異空間に旅立ったのだ。
「……行こうぜ」
「ああ、僕達も脱出しよう!」
「もはや猶予はない! 脱出するぞ!」
アリスに言われるがままに、一行は走る。まだ残ってる道があり、その先から光が差している。
その光を目指して走り、滅びゆく世界から脱出するのだった。
※
元の世界、タルタロス前……既に、深夜と朝の間の時間。
崩壊する世界から脱出したルカ達は、そこで一息ついていた。
「なんとか、無事に戻ることが出来たな。どうなる事かと思ったぞ……」
「助かったのはいいけど……父さんは、いったい……」
アリスとルカが話してる横で、ヴィクトリーが未だに呆然とした顔で何かを考えているようだ。
「…………」
「……ヴィクトリー? 平気か?」
ルカが、ヴィクトリーに声をかける。それで彼はハッとして、「ああ」と生返事した。
「ほら、ルカの父ちゃん……何故か知らねぇけど、俺の事知ってたみてぇだし……ほら、白兎にも似たような事言われてたしよ」
「そうだな……異世界の住人であるはずのヴィクトリーを、どういう訳か面識の無いはずのマルケルスは知っていたようだった」
「でも、悪印象じゃなかったみたいだし……それに、僕と一緒に世界を守れって……」
マルケルスの事は、まだ謎が多い。彼は、何を知っているのか。そして何処から現れ、何処へ消えたのか……今は、その答えは出せそうにない。
「ルカのお父さんだけじゃなくて……ラ・クロワさんや、ラディオちゃんとヒルデとクロムが居なきゃどうにも出来なかったよね……」
ソニアの声で、アリスは頷く。
「うむ……今回は本当に運と仲間に恵まれた。奇跡に奇跡が重なって、今がある」
「本当のヒーローは、あいつらかも知れねぇな」
「きゅっきゅっ」
ラ・クロワ、ヒルデ、ラディオ、クロム……アドラメレクを追い込みに追い込んだ彼女らは、今回の戦いのMVPと言っても過言では無いだろう。
特に、ラ・クロワはその身を呈してまで戦ってくれた。この戦いを無駄にしてはいけないのだ。
残った彼女らは、ポケット魔王城でプロメスティンに修理されている事だろう。クロムも手伝うようなので、大丈夫なはずだ。
「それにしてもルカ、貴様のあの覚醒は……」
「僕にも分からないよ……みんなやられて、頭がカーッとなって、気付いたらああなってた。それに、今はあの状態になれないから……何か、よく分かんないや」
「自分の身体なのに曖昧だな!?」
「仕方ないだろ、本当に分かんないんだから!」
言い合う、アリスとルカ。そこに、ヴィクトリーが「ハイ」と手を挙げた。
「カオス化した世界は、因果律が崩壊してるんだろ? そしたら、その世界の中では道理やら何やらがねじ曲がって、何が起きてもおかしくねぇって訳だ。それが、都合のいいように作用したんじゃねぇのか?」
「それで納得できるかドアホ……と言いたいが、カオス化の事について謎が多いから頭ごなしに否定する事もできんな……」
「まぁ、今はそう思って納得するしか無いわね……事実、そうなったんだから……」
「きゅっきゅ……」
カオス化についても、分からない事だらけだが……鍵は、託されたノートに記されているだろう。
ここで、ヴィクトリーがルカに向き直した。
「それにしてもおめぇ、アドラメレクに放ったありゃ何だ? いつから練習してたんだ」
「かめはめ波の事? まぁ、お前ばっか僕と同じ剣技覚えるのも悔しかったし、気の扱い方は教えてくれたし、何回も見てきたから出来るかなって思ったんだけど……どうだった?」
得意気に聞いてくるルカに、ヴィクトリーは笑う。
「……最高にシビれた!」
「あはっ!」
笑う二人に、アリスは手を叩く。
「水を差すようで悪いが、これからどうするのだ? このまま放っておけば、世界はいずれああいう風になるのだろう?」
「……」
ルカの懐に入ってるノート。これは、あの絶望に満ちた世界から託された最後の希望。約束通り、これを届けなければならない。どこかに居るであろう、この世界のラ・クロワに……
「またまた、やるべき事が増えたわね。なんとも用事の多い冒険なこと……」
「きゅっきゅ」
ソニアが息を吐きながら、やれやれという表情をする。横で、アリスが口を開いた。
「……しかし、ある意味では収束しつつある。こちらの世界も、滅亡が迫っているという事が分かったのだ。正しい歴史から外れるほどに、滅亡の危険は早まる」
アリスはそこまで言い、ルカの方へ向いた。
「貴様の父もそれを知り、並行世界を旅しているようだ……白兎の目的も、おそらくは世界の正常化……やはり全ては、一本の糸で繋がっていたのだ」
「この世界を、あんな風にはさせない! そのためにも、やるべき事をやらないと……!」
ルカは拳を握り、顔を上げる。
「世界の危機なんだから……とことんまで付き合ってみせるわよ!」
「きゅきゅっ!」
「うむ、余も協力しよう!」
ソニアとヌルコとアリスは、ルカにそう応える。
ヴィクトリーも、拳を握った。
「……俺も、色々託されてるものがあるんだ。後戻りはしねぇって言っちまったし──」
そこまで言い、ルカの方を見る。
「──俺はとことん止まらない!」
力強く、そう言ってみせた。
ルカ、ソニア、アリス、ヌルコ……この場の勇者パーティ全員で笑顔になる。
そして、その場の五人の顔に光が差してきた。夜が明け、朝日が姿を現したのだ。
「それじゃあ……みんな、行こう!」
「ああ、行くぞ!」
「ガンガンいくわよ〜!」
「きゅっきゅっきゅーっ!」
元気よく返事する、ルカと仲間達。
「よっしゃあ、ワクワクするなぁ!」
ヴィクトリーも応え、ルカの横につくのだった。
※
迫り来る破滅、そして託された希望。
未知なる強敵と、そして心強い仲間。
マルケルスの背中と、謎に満ちたパラドックス。
太古の妖魔に、異世界からの天使……
この冒険で何を目にし、その果てに何を迎えるのか……希望と信念を胸に、ルカ達は一歩を踏み出したのだった。
どうも、悶絶ヒーロー専属調教師のジョーカーと申します。
今回のもんぱらとドラゴンボールヒーローズのクロスオーバー二次創作は如何だったでしょうか。ほぼ自分のもんぱら日記ではありますが、楽しんでくれている人が居てくれて有難いです。
リメイク前を覚えて貰えていたら、それと比べてみるのも面白いかもしれません。
中章もこんな感じのノリでやっていくつもりですので、よろしくお願いします。
【挿絵表示】