もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「我々は、ひとつの世界が滅びる光景を目にした。そして、滅亡の危機が全ての世界に迫っている事を知った──」
「私達の世界まで、あんな風になるなんて……そんなの、絶対にさせないんだから!」
「同感です、対策を練りましょう」
「ヒルデ、世界を守る……そのために造られたの」
「きゅ〜! きゅ〜!」
真剣な目で、各々は言う。皆、思っていることは大体同じのようだ。
「うむ、みな志は同じのようだな。では、これまで知った事を整理してみるとしよう」
こうして、作戦会議が開始した……
「まぁ、まずはタルタロスの事だよな……結局これ何なんだ?」
ヴィクトリーが、まず最初に切り出す。
「うむ……タルタロスとは、30年前の大異変で出現した時空の裂け目。その正体は、並行世界のトンネルである事が判明した。並行世界は、我々の知る世界とは別の異世界。辿った歴史が異なったり、時間軸が別だったり……」
「私やルカが、既に死んでる世界だったり……今から数十年前だったりしたよね」
「もしかしたら、有り得たかもしれない未来。あったかもしれない過去──可能性により分岐した世界です」
アリス、ソニア、プロメスティンの順で答えが返ってきた。ヴィクトリーは元々タイムパトロールなので、イメージが容易なようだ。
そこまでは、おおむね把握出来ている概要だが……やはり特筆すべきは、あのサバサ地方のタルタロスだった。
「そして、サバサ地方のタルタロスで、我々は滅びゆく世界を目にし……そして、そこで何が起きたのかを知った」
それを目の当たりにしたルカとソニアは、唾を飲む。
「混沌の侵食と、滅亡……そして、全ての並行世界が最終的に同じ道を辿る……」
「私達の世界も、例外じゃないんだよね……」
「その世界で、我々はラ・クロワからノートを託された。これを、この世界のラ・クロワに渡さなければな」
「それも、旅の目的の一つだね。この世界のラ・クロワが何処にいるか、探さないと」
「ラ・クロワの気はどんな感じなのかは分かってる……感じたら、真っ先に向かわねぇとな」
ラ・クロワから託されたノート……それを紐解けば事態は進むのだろうが、その内容はやはり難解。プロメスティンも、頭を悩ませているようだった。
「私は、ノートの内容を色々と検証してみます。今の私の知識では、分からない事だらけですが……」
「やっぱプロメスティンでも難しいんか」
「はい。クロムさんやルシアさんとどうにか解読しようとしてますが、難航してるのが現状です」
流石のプロメスティンも、求道者組に助けを求めているが……どうにも、難しいようだ。
「しかし、パラドックスとは何なのだ……世界が滅亡の危機に瀕している原因は、いったい……などと、考えていても始まらんな。他のタルタロスを調べるより他にない」
「残るタルタロスは、4箇所……これから向かうノア地方にも、タルタロスがあるね」
「全住民消失事件があったっていう、エスタの北でしょ? これ、絶対なにか関係があるよね……」
「そんな事が起きてんのか……確かに、怪しいんじゃねぇか?」
「ともかく、行ってみなければ始まらんな。タルタロスの探索は、何より優先すべき目的なのだ」
「ああ、世界に何が起きてるのか知るためにも……残るタルタロスを探索しよう!」
残り4つのタルタロス──そこは、どんな並行世界に繋がっているのだろうか。
その全てを探索し、パラドックスの原因を探らなければ。何が起きているか知らなければ、滅亡を止める事は出来ないのだ。
「……じゃあ次は、僕の父さんの事について」
次に言ったのは、ルカだった。
「ルカの父親、マルケルス──そもそも貴様が冒険に出たのは、父を探す事が目的だったな」
「うん……それが、まさかこんな事になるなんてね」
「あんな世界で、ようやく出会えたのにすぐにお別れなんてよ……俺も、何て言ったらいいか……」
アリスは腕を組み、目を瞑って息を吐く。
「マルケルスは、異世界を旅していた……そして、世界の謎について何かを知っている……ついでに、別の世界から来たはずのヴィクトリーの事もな」
「ホントに俺はあんな人知らねぇぞ。あそこが初対面だ」
ヴィクトリーは、そう言う。これについてはもう議論のしようがない。
「歴史を正しい流れに導け……って、言ってたよね。そのために、四精霊と契約を結べって……」
ソニアが言い、ルカの方を見る。彼が四精霊と契約を交わせば、時流とやらが安定するらしいが……
「正史のルカは、四精霊と契約を結んだという。それと同じ行動をする事により、時流を安定させる──」
「時流が乱れれば、混沌が広がる事は間違いないはず。つまり、正史通りの行動をすれば破滅は遠のく──逆に、正史と反する行動を取れば破滅が早まる……以上のような仮説が見出せますね」
プロメスティンが、眼鏡を整えながらそう言った。
「父さんの言う通り、四精霊と契約を結ぶべきだね。それで、世界の破滅が遠のくなら──」
「ルカには引き続き精霊との契約をしてもらうしかねぇみてぇだ。まぁ、それでも強くなれるし、一石二鳥じゃねぇか?」
そういう訳で、シルフとノームと契約を結んだのだ。次の目的地であるノア地方には、ウンディーネが居るという。
「しかし……正史通りの行動を取る事だけで、世界の崩壊を防げるのかどうかは疑問だな」
「破滅を伸ばす事は出来ても、防ぐ事は出来ない……そんな感じのニュアンスに受け取れますね」
「根本的な解決にはならねぇのか」
「でも、少しでも破滅を遅らせるに越した事は無いよね」
破滅の到来を遅らせ、その間に根本的な解決法を探る──不明点が多い以上、今はそうするしかないのだ。
「何にせよ、マルケルスを探さねばなるまい。貴様の本来の目的通りにな」
「ああ……父さんは、きっと何かを知ってるはずだ!」
マルケルスについても、そのような感じで纏まった。
「現在、世界を揺るがす大戦争が起きている。四大国の一つグランゴルドと、残る三大国の戦いだ」
アリスが切り出したのは、ノア地方で起きている大戦争の事だった。
「魔導大国グランゴルドは、突如隣国のグランドノアに侵攻。グランドノアはサバサ、サン・イリアと同盟を組み、グランゴルドの侵略に対抗した──そのような成り行きだな」
「サン・イリアでもサバサでも、練兵所はその話で持ち切りだったな……派兵で誰が死んだとか、次は自分が行くとかで、ゲンナリする話だったぜ」
ヴィクトリーが言うと、不安そうにソニアも見てくる。
「次の目的地は、ノア地方だよね。当然、グランドノアにも行くだろうし……」
そう、ノア地方は大戦の真っ最中。ルカ達はそこに飛び込む事になるのだ。
「本来、大国間の戦争など関わる筋はないのだが──この大戦は、色々と怪しい点が垣間見える」
アリスはそう言い、人差し指を立てた。
「まず、グランゴルドの異常な行動だ。かの国は現在の国王となって以来、鎖国体制となった。そして、突然の侵略行為──ゴルド軍は、アリ娘や魔導人形で構成されているという。更にグランゴルド王自身、人間ではないという噂を聞く。強力な魔導を用い、刃が体を貫いても死ななかった──など」
「何だそりゃ、ホントだったら不死身じゃねぇか!」
「絶対、普通じゃないよね……」
ヴィクトリーとソニアが言う前で、アリスは二本目の指を立てた。
「一方、グランドノアだが……女王を補佐する魔導顧問は、人間ではなく妖魔だという。妖魔の身で、人間の国の政治に深く関わるなど……魔王としても、良い前例だとは思えんな。それにサバサでは……サラ女王が、リリス三姉妹に操られていた事が判明した」
「色んな妖魔が、この大戦に裏で関わっている……それは、間違いなさそうだね」
「……戦争っちゅうのは混乱だからな。革命が起きようとしてんのか、はたまた愉快犯が変な事してんのかは分からねぇが、ロクな事になりゃしねぇだろ」
そう言うヴィクトリーに、アリスは向く。
「特に、リリス三姉妹の動きは気になるな……あの連中は、世界を乱すレベルの暗躍を見せている……今回の大戦、我々も関わることになるのかもしれん。グランドノアに行く際には、覚悟しておくべきだな……」
「覚悟って言われても……戦争に関わるなんて、やだなぁ……」
「……ああ、俺もだ」
大国間の戦争──その裏に、陰謀が渦巻いているようだ。ノア地方では、そういう所でも気を付けた方が良さそうだ。