もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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海軍本部に殴り込め!

「さて、約束通りグランドノアまで送ってやろう」

 

 ボニーは、約束通りこのおさかな号をルカ達の為に貸してくれるらしい。

 

「しかし、ノア大陸に何の用事があるというのだ?」

「えっと、それは──」

 

 ルカは、旅の事情を話した……

 

「お父さんの背を追って、冒険の旅を……ううっ、いい話だなー!」

 

 ボニーは、ルカの話を聞いて感動し、涙を流している。

 

「お嬢、おさかな海賊団が名を挙げるチャンスだぜ。この連中にくっついて、世界を救うなんて事になれば……」

 

 そこにアシェルが、そうボニーに耳打ちした。

 

「よし、決めた! お前達の冒険を助けてやるぞ! お前のお父さん、一緒に探そうな!」

「こりゃビッグチャンスだぜ! 世界中に名を売って、上手くいきゃ天下の英雄だ!」

 

 おさかな海賊団の二人は、こうして正式に仲間となったのだった。

 

「ボニーはともかく、アシェルは名を売る事しか考えてねぇみてぇだな……」

「ま、まぁとにかく、仲間になってくれるのなら歓迎するよ! これからよろしく!」

 

 

「そういう訳で、おさかな号の操作は預けるよ。今後は、運命を共にする仲間さ」

「海賊は約束を違えん!」

 

 どうやら、ノア地方に送ってくれる所かこれからの旅にもおさかな号を貸してくれるらしい。有難い限りである。

 

「あと、これはこっちの都合だがな……あと一つ、やって欲しい作戦があるんだ」

「ああ、奪われた旗のアレか……」

 

 ボニーとアシェルは、改まってそう切り出してくる。

 

「どういう事だ?」

 

 アリスが聞いてみると、二人は頷いた。

 

「少し前に、海軍の軍艦と小競り合いが起きてな。その時に海賊旗を奪われてしまったんだ」

「それを取り戻したいのだが……それは、海軍の本部に殴り込みをかけるという事にもなる。だが、ルカ達と一緒ならきっと大丈夫だ!」

 

 どうやら、おさかな海賊団は既に海軍に借りがあるらしい。その時に海賊旗も奪われてしまったらしいが……それを取り戻すために、海軍本部へ殴り込みをかけようというらしい。

 

「海賊旗は、海賊にとっての誇りでもあるもんな……行ってやろうぜ、ルカ!」

「ああ!」

 

 ルカは頷き、アシェルが操舵しておさかな号で海を走るのだった。

 

 

 空は快晴、風も静か、気温も穏やか。だが、これは嵐の前の静けさに過ぎない。

 

 船から降りてすぐの所に、ルカ達は歩く。

 

 そして、荘厳な王城を思わせる海軍本部の前に、ルカとヴィクトリー……そして、ボニーとアシェルが揃い踏んだ。

 

「む……!?」

 

 物々しい雰囲気を感じた門衛のたつのこ海兵が、槍を構えてくる。

 

「裏切り者の勇者と、海賊なのです!」

「何をしに来たのです!?」

 

 門衛に聞かれたルカは、剣を抜いて構える。

 

「おさかな海賊団の海賊旗を取り返しに来た!!」

「そういう事だ!! 押し通らせてもらうぞーっ!!」

 

 便乗するようにボニーが言うと、海兵たちがぞろぞろとやってくる。

 

「おさかな海賊団の敵襲なのですっ!」

「人魚の海兵が居ないって時に限って……!」

「私達だけで戦うのですっ!」

 

 ぞろぞろとやってくる海兵達に、構えるルカ達。

 

 人数差なら圧倒的に不利だが……アシェルが、手を挙げた。

 

「おさかな号、砲門構えっ!! 撃て──っ!!」

 

 なんと、彼女の合図でおさかな号の砲台が火を噴く。それが大きな放物線を描き、敵陣のど真ん中に直撃して大爆発した。

 

「おおっ!?」

 

 大砲の威力は、やはり本物。纏まっていた群れが、散らばっている。

 

「外はあたしらが引き受ける!! 中にある海賊旗を頼む!!」

「あたしもアシェルと一緒に戦うぞーっ!!」

 

 アシェルとボニーは、背中を合わせて剣を構えている。その剣を振り、おさかな号からの砲撃を指示しながら、囲んでくる海兵を蹴散らしていた。

 

「いくぞ!」

「ああ!」

 

 走って、正門に向かうルカとヴィクトリー。だが、そこに三体ばかりの海兵が立ちはだかってきた。

 

「海兵として、ここを通す訳にはいかないよ!」

「出来れば帰って欲しいのです!」

「手加減しろなのです!」

 

 そう啖呵を切る海兵たちだったが、後ろからソニアが棍棒を振りかぶって飛び出してきた。

 

「そぉれ、ずさーっ!!」

 

 振りかぶった棍棒を振り下ろし、地面を抉りながら海兵達を薙ぎ払う。足元から薙ぎ払われた海兵達は、その場で半回転してしまう。

 

「きゅきゅ──っ!!」

 

 そこにヌルコが飛んできて、触手で彼女らを払い飛ばしてしまった。

 

「きゃあーっ!」

「あーれーっ!」

「やっぱこうなるのですーっ!?」

 

 思い思いに言いながら吹っ飛ぶ、海兵隊。

 

「派手にやるよ……」

 

 ヒルデが、【ビームデスサイズ】を起動しながら躍り出る。そして、一瞬にして正門を切り刻んで吹っ飛ばした。

 

「くっ、本部に入られた……!!」

「怯まないのです! 一本道を物量で塞ぐのです!」

 

 正面廊下に、これでもかというほどの量の海兵達が来る。分厚い壁のように立ちはだかり、押し寄せるそれを前に……ヴィクトリーとルカが、全ての力を解放した。

 

「やってやろうぜ、ルカ!!」

「おうっ!!」

 

 ヴィクトリーは(スーパー)サイヤ人になり、ルカは天使の力を解放する。そのままヴィクトリーは【かめはめ波】の構えを取った。

 

「っっ、波────っ!!!」

 

 放った【かめはめ波】は、敵の大群を押し返す。そして、大爆発を巻き起こした。

 

「そこだぁあぁあっ!!」

 

 それに便乗するようにルカはシルフの力を解放し、疾走する。そして、残っていた海兵を次々に撫で切った。

 

「ぐわーっ!?」

「やばいのです! 色んな意味で止められないのです!」

「ひぃーっ!」

 

 騒ぎながら、蜘蛛の子を散らすように逃げる海兵たち。

 

 中の様子を伺うと、自分達以外に戦っている海賊マーメイド達が居た。

 

「おめぇら、何処から!?」

「元々ここの牢屋に囚われていた海賊マーメイドだよ!」

「おかしら達も来てるんでしょ!? 便乗しちゃうもんね!」

「海賊旗は二階の倉庫だよ! この階は任せて!」

 

 海賊マーメイドに言われ、ルカ達は本部の二階へ駆け上がる。

 

「……リヴァイアサンが動く様子が無さそうだな」

 

 アリスが不意に、そんな事を言う。

 

 彼女の言う通り……あれだけ強大な力を持ってるリヴァイアサンが、本部の襲撃という緊急事態に出張らないのは、少し違和感がある。

 

「ああ、何か妙だけど……都合がいいぜ、このまま海賊旗も回収しちまおう!」

「リヴァイアサンの部屋はすぐそこだからな……! すぐに回収して、おさかな号に走るぞ!」

 

 ヴィクトリーとルカは、倉庫へ走る。そして、仲間の皆でその辺をひっくり返し、海賊旗を探し……

 

「あっ、あった! これよ!」

 

 ソニアが、おさかな号の海賊旗を見つけた。

 

「きゅっきゅ!」

「よし、それではとっととずらかるぞ!!」

「ああ、行くぞ!」

 

 目的を達成したルカ達は、すぐに来た道を引き返す。

 

「こっちも終わったよ!」

「私達もおさかな号に戻るわ!」

 

 海賊マーメイドも、ついでにルカ達に着いてきた。

 

 彼女らを引き連れ、本部から出る。そこには、無数のたつのこ海兵達が目を回しながら倒れていた。

 

「むきゅう……」

「やられたのです……」

「大人しくメザシを食べてれば良かったのです……」

 

 倒れてる海兵達は、そんな事を口々に言っている。どうやら、死んだ奴も居ないらしい。

 

「わぁ、死屍累々……!」

「おさかな海賊団、ちゃんと強ぇんだな……」

「おーい、こっちだ!!」

 

 走るルカとヴィクトリーに、アシェルが声をかける。

 

「戻ってきたのか! あたし達の海賊旗は!?」

「ちゃーんと持ってきたわよ! ホラ!」

 

 隣にいたボニーに、ソニアは海賊旗を広げて見せる。

 

「おお、それはまさにおさかな号の海賊旗! ありがとう!」

「よし、部下も戻ってきた事だし……船に乗り込め!!」

 

 アシェルの指揮で、ルカ達はおさかな号に乗り込む。海軍側からの追撃は、来ていない。

 

「それじゃあ、行くぞ……!」

「ああ……おさかな号、ノア大陸に向けて全速前進! 野郎ども、出航だーっ!!」

 

 ボニーが可愛らしく気合を入れて言うと、海賊マーメイド達も「おーっ!」と可愛らしく返してくる。

 

「ノア大陸か……モンスターも、手強くなりそうだね」

「ああ、わくわくするなぁ!」

 

 ルカとヴィクトリーも、船の行く先を見詰めてそう話し合う。

 

 こうして、おさかな号はノア大陸に向けて発進したのだった。

 

 

 海軍本部……リヴァイアサンの部屋。

 

「……ぐ、がはっ……き、貴様……!!」

 

 傷だらけになって壁に叩きつけられたリヴァイアサンが、目の前を()めあげる。

 

「リヴァイアサン……貴様に出張られたら、勇者ルカのパーティは全滅してしまうのでな……」

 

 そう言っているのは、黒のヴィクトリーだった。多少の傷を受けているものの、それはすぐに煙と共に再生してしまう。

 

 おさかな海賊団に肩入れしたルカ達が襲撃してきたと聞き、すぐさまに動こうとしたリヴァイアサンだったが……突如現れた黒のヴィクトリーに襲撃され、この場から動けなかったのだ。

 

「こんな時に私を妨害し……何が目的だ?」

「安心しろ、別に殺しが目的じゃない。強いて言うなら、究極の力を得ることだ」

 

 黒のヴィクトリーの言葉に、リヴァイアサンは困惑する。

 

 漠然とした野望とそれに見合わない行動に、失笑した。

 

「ふっ……それが、どう今の行動に繋がるというのだ。この場で私を痛めつければ満足か?」

「貴様に幾ら説明した所で理解は得られまい……さて、そろそろか」

 

 そう言って、踵を返す黒のヴィクトリー。すかさずリヴァイアサンは体を起こし、槍を構える。

 

「ま、待て……! 逃がさん!!」

 

 リヴァイアサンは、歩き去ろうとする黒のヴィクトリー目掛けて槍を投げる。猛スピードで真っ直ぐ飛んだ槍が、その背中を貫いた──かと思えばそれは既に残像で、黒のヴィクトリーはこの場から消えていたのだった。

 

「……ち……!!」

 

 残されたリヴァイアサンは、歯噛みするしかなかった。

 

「大変なのです〜!」

 

 すると、入れ替わりのようにたつのこ海兵が来る。しかも、物々しい様子だ。

 

「なんだ……!?」

「おさかな海賊団とその一味になった勇者ルカ達が襲撃し……捉えていた海賊マーメイドも逃がしてしまい、倉庫からおさかな号の海賊旗も取られて、そのまま逃走されたのですっ! 被害も甚大なのですっ!」

「ッッ……そう、か……!! 負傷者の手当を優先し、体勢を立て直せ!」

 

 嵐が去った後の海軍本部だったが……その緊張は、一層に高まるのだった。

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