もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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女王陛下に直談判

 野営を終えたルカ達はそのまま進み、グランドノア城に辿り着く。そこで出迎えたのは、見張りの衛兵だった。

 

「旅の方ですね。ギルドの在籍履歴か、もしくは通行許可証はありますか?」

「えっと、洗礼を受けた教会公認の勇者です。出身はイリアスヴィル、洗礼年月日は1455年5月1日……」

「ちょっとお待ちを、洗礼リストは……」

 

 入国する前に、身分証明……当たり前の事ではあるが、それを武装した衛兵がやっているとなると、その厳戒さがうかがえる。

 

 衛兵は何かのリストをパラパラとめくり、そしてその一つに目をつける。

 

「あったあった、勇者ルカですね。どうぞ、ご自由にお通りください。ただ戦時下につき、王宮への立ち入りは禁止されています」

 

 入国は許可されたものの、やはり厳戒態勢だ。

 

「ふむ……一応聞いておくが、タルタロス近くの町、エスタに行く事はできるか?」

 

 アリスが一応聞いてみるが、それに対し衛兵は驚いた顔。

 

「エスタへ……!? あの町は消失事件の発生以来、かたく封鎖されています。女王陛下に任命された公式の調査団以外は、いっさい立ち入り出来ません。その点、ご理解を」

「まぁ、余の予想通りだな……」

「きゅ」

 

 やっぱりと言わんばかりに、ヌルコも短く鳴く。やはり、戦時下ともあって事情は相当に面倒な事になっているようだ。

 

「でも、エスタは調べておきたいよね。調査の許可のために、女王陛下に談判しよう」

「王宮の立ち入りも任せて」

 

 ルカ達は、城下町に立ち入る。そして、ヴィクトリーが周囲を見回した。

 

「おー……」

 

 のどかな城下町ではあったが……街の至る所に、衛兵がいる。その上に人の往来もあり、その中にちょいちょいと大きな気を感じる。その中にも、人ではない者の姿も散見された。

 

「戦時中だからか、衛兵が多いな……」

「僕たち以外の冒険者も沢山いるよ。コロシアムが開催されるからかな……」

「そうね。魔物も人も入り交じってるわ……」

「戦時中なのにコロシアムなんてやって大丈夫なのかな……」

 

 ヴィクトリー、ルカ、サラ、ソニアの人間組は、街の様子を見ながら言う。

 

「まぁ、戦時だからこそ士気を高めるために開催するのだろう。それに、大会にかこつけてテイよく志願者を募る事も考えているのではないか?」

 

 そこにアリスも言い、皆は納得する。

 

 世界中から腕に覚えのある戦士が来るイベントとなれば、志願兵を募るのにはもってこいなのだろう。

 

「くっそー……出てぇな〜、コロシアム……! すんげぇヤツらが、沢山いるんだろ!? 出れねぇでも、せめて見るだけ……!」

「気持ちは分かるけど、僕達には使命があるんだ……僕も出たいけど、先を急がなきゃね」

 

 コロシアムに出れない事を悔やみながら、進む。大通りをそのまま真っ直ぐ行けば、グランドノア城だ。

 

 そして、扉にさしかかった所を衛兵に止められた。

 

「旅の方、お待ちを」

「現在、戦時下につき王宮への立ち入りは制限されています。場内の見学や陛下への謁見は許可されていません」

 

 二人の衛兵が、ルカ達を呼び止める。ここで、サラが前に出てきた。

 

「まぁ本当は気は進まないけど……私はサバサの女王サラ。極秘裏に、女王陛下とお話をしに参りました」

「えっ、サバサのサラ女王……? 申し訳ありませんが、国章を拝見します……」

 

 サラは、鎧に着けている国章を見せる。すると、衛兵は心底に驚いた様子を見せた。

 

「これは、確かに本物! 失礼しました、お通りください!」

 

 サラのおかげで、女王陛下への謁見もどうにかなりそうだ。

 

「突破する必要は無くなったね……戦闘モード、解除」

「きゅきゅ〜!」

「おめぇら、説得できなきゃ暴れるつもりだったんか……?」

 

 ヒルデとヌルコが言い、ヴィクトリーは引き気味にツッコむ。

 

 とにかく、城へ入って真っ直ぐ進む。赤いカーペットの敷かれた道を進んで階段を上がり、謁見所へ。

 

 一際広い部屋で、衛兵達が左右に立ち並び……その真ん中の玉座に座す女王が一人。

 

 高貴な雰囲気で、格式の高いドレスに身を包んだ女王……彼女は、ルカ達のパーティの内のサラに、目をつけた。

 

「これは、サラ女王……ようこそ、我が城に。先の事件では、たいそう苦心されたようですね」

「……お久しぶりです、グランドノア女王。全ては、この私の至らなさが招いた事です」

「一旦女王位を退いた後……議会の決定により、あらためて女王位に復帰されたとか」

「ええ、サバサの民はまだ私を慕ってくれているようです。我が国は、議会と王制が両立する国家となりました」

 

 世間話もそこそこに、サラは本題を切り出した。

 

「それはさておき、エスタで起きた事件に関して……またタルタロスについてもお話があります」

「それは興味深いですが……彼らの紹介をお願いできますか?」

「えっと、僕は──」

「オッス、俺は──」

「彼らは旅の勇者にして、タルタロスに関わる事件の専門家。その能力は、サバサとサン・イリアが保証します」

 

 被ってグダグダになりそうな挨拶を、サラが食い気味に言って纏める。こういう所は、流石女王と言った所か。

 

「どうか、彼らをエスタ住民消失事件の調査団にお加えください。間違いなく、貴国の利益ともなるはずです」

「………………」

 

 グランドノア女王は少し考えたが……すぐに、納得した顔を見せた。

 

「よろしいでしょう、さっそく──」

「お待ちください、女王陛下」

 

 突如として、声が響く。そして、何者かがここにテレポートしてきた。

 

「……!?」

 

 ヴィクトリーは、気を感じ取ってソイツを睨む。接近するのが分からなかったのと、体から滲み出しているオーラから只者ではないと察したようだった。

 

「メフィスト、何か異論でも……?」

「陛下に対して異論など、滅相もない……しかしまずは、勇者ルカ一行にご挨拶をさせてください」

 

 メフィストと呼ばれた彼女は、濃い緑色のローブと帽子を被ったステレオタイプな魔女……だが、下半身が二股に別れた蛇の尻尾のようになっており、その尾に目のようなものが付いている。

 

「私はグランドノア魔術顧問メフィスト。魔術師の育成や、女王陛下の相談役を務めております」

「僕は勇者ルカです、よろしく……」

「オッス、俺ヴィクトリー!」

「仲間のアリスだ」

 

 先頭の三人の挨拶に、メフィストは笑顔と会釈で返す。

 

「よろしくお願いします、若き勇者達。さて、エスタの調査団に加わりたいという件でしたね……」

「やっぱダメなんか?」

 

 ヴィクトリーが言うと、メフィストは調子を崩さずに「いえ」と返す。

 

「この事件はグランドノアの最重要事案。グランゴルドの秘密作戦という噂も流れています。そのような事件に外部の人間をイタズラに関わらせるのはいかがなものか……」

「つまり、彼らの調査団参加には反対だと……?」

「いいえ、滅相もない。ただ、彼らには実力を示す必要があるのではないか……と」

 

 グランドノア女王が疑問を持つも、メフィストは続けた。

 

「ちょうど三日後、コロシアムで女王杯が行われます。その大会に参加し、力を示してもらうのはいかがでしょう? なにせ、サバサやサン・イリアが保証したほどの者達。大会の優勝など、たやすきこと。そうですよね、サバサ女王?」

「ええ、それは……」

 

 サラは、横目でルカとヴィクトリーを見る。

 

 二人とも、やる気に燃えていた。

 

「参加すんなら、優勝かっぱらうぜ!」

「ああ!」

「……とのことです。大会で力を示せば、調査団への参加を認めてもらえるのですね」

「ええ、その通り……ですよね、女王陛下?」

「メフィストの言う通り、女王杯で優勝を果たせば、調査団への参加を認めましょう」

 

 話が纏まり、メフィストは笑顔を見せた。

 

「このように女王陛下は仰せです。それでは三日後、コロシアムでお会いしましょう……」

 

 愉快な様子でそう言うと、またテレポートで消え失せてしまった。

 

「……それでは、下がりなさい。必ずや、女王杯で優勝を果たしてくださいね」

「ええ、勝利をお約束致しましょう……それでは、失礼致します」

「武道大会か……」

 

 ルカは、何か感慨に触れたように呟く。

 

「おっしゃーっ! まさか参加するっきゃない状況になるなんてよ! こりゃ腕が鳴るぜ!」

「ヴィクトリー、嬉しそう……」

「戦闘民族なんですねぇ……」

 

 テンションの高いヴィクトリーに、ヒルデとプロメスティンがコメントした。

 

 魔術顧問メフィストの提案により、コロシアムに参加することになったルカ達。そんな彼らを、グランドノア女王は眺める。

 

「……今回の女王杯は、より派手な戦いを演出するために特別ルールとなっております。まずはコロシアムで選手登録をお願いします」

「だってよ、ルカ! 行こうぜ!」

「あ、ああ……」

 

 テンションの高いヴィクトリーに押されるように、ルカ達は城を出る。

 

「女王杯で優勝か……なんだか、おかしな話になっちゃったなぁ」

「私の棍棒が唸り声を上げる! コロシアムの歴史を棍棒が塗り替える!」

「ワクワクが止まらねぇぞ! どんな奴が来んのかなぁ!」

「ノリノリだね君達……」

「そう言う貴様も、本心ではノリノリではないか。高揚する心は隠しきれんぞ」

 

 ヴィクトリーだけではなく、ソニアやルカもノリノリな模様。アリスはそれを呆れるように眺めてから、(いぶか)しげな表情を浮かべた。

 

「ともかく、あのメフィストは怪しいぞ。ルカが名乗る前から、名前を知っていたしな」

「あの魔導顧問、確かに胡散臭いわね……グランドノア女王ほどの賢君が、言われるがままなのも変よ。かと言って洗脳されている様子でも無さそうだったわ」

 

 メフィスト……あの如何にも『魔女』といった風貌の彼女は、果たして何者なのだろうか。なぜ、グランドノア女王は彼女の言うことを素直に聞いているのか……謎は、深まるばかりだ。

 

「まぁ、まずは女王杯優勝のために選手登録をせんとな……新しい武具なんかも買えれば揃えたいものだ」

「猶予は三日あるからね……そうと決まれば、選手登録しよう!」

 

 とにかく、ルカ達はコロシアムで選手登録に向かう。そして、三日後の大会本番に備えるのだった。

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