もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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集う戦士達

 コロシアム開催までの三日間、ルカ達はトレーニングがてらに龍鱗装備を作る為に化石洞窟に潜ったり、徹底的に身体を休めたりして最高のコンディションを整えた。

 

 そうして迎えた大会の当日……いつものメンバーが、コロシアムの前で並んだ。

 

「さて……参加するのは、僕とヴィクトリーとソニアとサラだよね」

 

 ルカが、皆に確認する。

 

「おう!」

「優勝は頂きよ!」

「私も保証すると言った以上、やれる限りの事はしないとね」

 

 ルカの所から参加する戦士たちは、奇しくもみんな人間だ。というのも、前日にグランドノア女王から「人間がコロシアムの優勝を飾る場面が見たい」というリクエストをされたのが故である。

 

「余達は観客席で見守っている……まぁ、ルカもヴィクトリーも余が育てたようなものだし、監督とでも思うがいい」

「私もこの戦いをレポートに纏めたいです」

「きゅきゅーっ! きゅきゅーっ!」

「頑張って……ヒルデも、今後の戦闘に活かすためにデータ収集するよ」

 

 冷静に言うアリス、興味津々な様子のプロメスティン、応援用の旗を触手で振りながらヌルコ、内心わくわくした様子のヒルデ。

 

 ソワソワしているのは、ルカだけじゃなかった。

 

 観戦を楽しみにする一般人、グランドノアの衛兵達、各地から集まった魔物娘、手練と思われる冒険者パーティ、やる気満々のたつのこ海兵達、フードとマントを被った謎の女性……コロシアムに出場する選手も、観戦目的の客もさまざまだ。

 

「……よし、行こう!」

 

 そんな中を、ルカ達は行くのだった。

 

 

 ステージには、既に選手達が居た。

 

「一番乗りじゃねぇんだな」

「まぁ、昼前だもんね」

 

 開会までにはステージに居ればいいとのこと。その間に緊張で仲間と話す選手やストレッチをしている選手が沢山居た。

 

「いろんな選手がいるわねぇ……」

「人も魔物も、腕自慢の手練ばかりよ。油断は出来なそうね」

 

 ソニアとサラも、もれなく緊張した様子で話していた。

 

「おーい!」

 

 ここで、観客席からルカ達に声がかけられる。声の主は、アリスだった。彼女の横には、他の仲間も並んでいる。

 

「おお、アリス! いい席とったなぁ!」

「ここなら貴様らの戦いを間近で見れる。存分に戦うがいいぞ」

「ああ、全力で戦うよ!」

 

 そう話し合うルカ達の背後から、歩き寄る影が一つ。

 

「おやまぁ、能天気な事ですね……勇者ルカ?」

 

 その声の主は、イリアスだった。その左右には、いつもの犬娘とスライム娘が居る。

 

「イリアス!!」

「い、イリアス様!? 戦うんか!?」

「こんな姿になっても私は創世の女神ですよ……残念ですが、優勝は私のものです」

 

 無い胸を張り、得意気に言うイリアス。

 

「がんばるよ〜!」

「優勝して、ほねつき肉を沢山食べるワン!」

 

 彼女の仲間も、気合を入れているようだ。

 

「ふん、おおかたこのコロシアムで優勝して仲間を募るのが目的だろう……」

「そんなあなたはステージには立たずに見物ですか……このコロシアムが怖いのですか?」

「なんだと、今すぐ降りてやり合うか!? 今なら貴様ごとき一発で粉砕してくれるわ!」

「何ですって、このむらさきロリ! 上等です、肩慣らしには丁度いいでしょう!」

「ああもう、また喧嘩する! こんな所で騒ぎを起こさないでよ!」

 

 ヒートアップしながら言い合う二人の間に、ルカが割って入る。確かに、こんな所でまたプチ聖魔大戦を繰り広げるわけにはいかない。

 

「そうよ、私達が頑張ればいいんだから……」

「え、ええそうね……お互い、頑張りましょう」

 

 ソニアもサラも、呆れた様子で言う。

 

「戦う時になったら、いの一番にイリアスを場外に吹っ飛ばしてやれ!!」

「そこで見てなさい、あなたが育てたという人間どもが私に蹂躙される様を……!」

 

 イリアスとアリスは、ステージと観客席という位置関係でバチバチと睨み合っていた。

 

 そんな彼らを、遠方から眺める者が居た。それも、この国では有名なグランドノアの精鋭。第一連隊の隊長である女剣士アーサーと、その親衛隊だ。

 

「……試合開始前から、騒がしい連中だな」

「あの勇者パーティって、祝福なき勇者って奴だろう?」

「厄介なのは、あの派手な格好の男だろうか……」

 

 話す親衛隊に、アーサーは「いや」とキッパリ言う。

 

「確かにあの男もまた脅威になるだろうが……人に従うようなタチには見えん。そんな奴を連れている勇者ルカは、どれほどの度量なのか……」

「ほう、珍しく同じ事を思っていたぞ」

 

 アーサーにそう言って話しかけたのは、三つ首の犬の獣人──第二連隊の隊長である、ケルベロスのシーザーだった。やはり彼女の横にも、親衛隊が三人いる。

 

「私と貴様が同じ事を思うとはな……だが、試合が始まったら容赦はせんぞ」

「言ってろ……第二連隊と第一連隊、どちからが優れてるのかがコレでハッキリする」

 

 バチバチと睨み合う、アーサーとシーザー……そこに、空気を読まないヴィクトリーが来る。

 

「オッス! グランドノアの精鋭さん達だよな!?」

「……あ、ああ。何の用だ?」

「ちょっくら挨拶回りだよ! これから戦うんだからさぁ!」

 

 呆気に取られる二人に、ヴィクトリーは手を合わせて会釈する。

 

「言っとくけど、負ける気も優勝を譲る気もねぇ……最高の試合にしようぜ!」

「殊勝なのは褒めてやりたい。残念だが……優勝は諦めた方がいい」

 

 ヴィクトリーに、アーサーが得意気に言う。その感じは、彼女もまた優勝を譲る気が無いという風だ。

 

「……そうだな。私も優勝は諦めている」

 

 だが、続いたシーザーは重く言うのだった。

 

「なに……?」

「……」

「なんだ、やべぇやつがいるのか?」

 

 シーザーが振り向いた先……そこに、フードとマントで体を隠した女性が静かに立っていた。

 

「……まさかっ!?」

「そのまさかだ……」

「……? あいつ、そんなやべぇのか?」

「ヴィクトリー、時間だよ!」

 

 アーサーとシーザーの様子を見たヴィクトリーは、気になって挨拶に行こうとしたが……時間がもう迫っていた。ルカに言われ、仕方なく戻る。

 

「全員に挨拶は無理だなこりゃ……」

「そうだな……どんな奴が参加してるのか、把握しきれないや」

「何よ、とにかく戦いが始まったら全力で棍棒をフルスイングするだけよ!」

「そこまで一筋縄で行けるといいけど……」

 

 始まる前となって、いっそうステージに緊張が走る。

 

「皆さん、揃いましたね」

 

 ここで、観客席からグランドノア女王が来た。何と、彼女も直々に観戦するらしい。

 

「それでは、今回の女王杯のルールを改めて説明します。1チームにつき参加人数は1〜4人。またチーム同士で同盟を組むことも認められています。制限時間は1時間。そして今回はこの場に居る全員が、一つのステージで戦ってもらいます」

 

 女王からの言葉に、コロシアムの選手達は驚く。雰囲気を察するに、どうやらひと味違うルールのようだ。

 

「例年とは違うな……」

「バトルロイヤルという事か」

 

 アーサーとシーザーも、真剣に言う。

 

「失格条件は、降参か場外……もちろん選手を殺傷しても同じです。有利に進めるのに手っ取り早いのは、とにかく落として落として落としまくる事です。また、場外の方は専用のベンチで観戦できます」

 

 グランドノア女王はそこまで説明してから、突如として観客席に火石を投げる。驚く観客の前で火石は発火するが、それは見えない防壁によって防がれた。

 

「また、大混戦による派手な魔法や攻撃が飛ぶと予想される事から観客席にはマキナによるバリアの防壁が張られています。遠慮なしに派手な大技を使ってもいいですが、この防壁に触れても場外とさせて頂きます」

 

 大混戦の遠慮なしのバトルロイヤル……今回のコロシアムは、そんな感じだ。

 

「なるほどな……実際の戦場により近い形でのコロシアムか。優勝出来ないにしろ、強者ならばより注目されるだろう」

「これは……まさに、生き残りをかけたサバイバルゲームですね! 興味が湧いてきました!」

「きゅきゅーっ!」

「わくわく……」

 

 観客席のアリス達も、今から巻き起こるであろう戦いに期待を寄せている。

 

「仲間の手前だから、カッコつけさせてもらうよ」

「ああ……派手にやってやろうぜ」

 

 ルカとヴィクトリーはそう話し、笑顔を浮かべた。

 

「題して、『サバイバル・オブ・グランドノア』! 勝ち残り、優勝するチームは誰なのか……皆さん、準備はいいですね?」

 

 グランドノア女王が聞くと、選手達は身構える。もう皆、準備は万端。その時を今か今かと待っている状態だ。

 

 それを見届けた彼女は、跳躍ひとつで自分の観客席に戻る。そして、ステージを見下ろしながら手を高々に天へ向けた。

 

「それでは、『サバイバル・オブ・グランドノア』……はじめ!!!」

 

 そう言いながら、手を振り下ろす。

 

 そう、グランドノア女王が切り落としたのは──戦いの火蓋だった。

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