もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「いくぞ!!!」
「ああ!!」
ヴィクトリーとルカが、真っ先に左右へ跳んでどっか行ってしまった。
「えっ、ちょっ!? こういうのってチームワークじゃないの!?」
「人数が多い内は、ひとところに留まってたら袋叩きにされる可能性の方が高いわ! 私達も散らばりましょう!」
サラに言われるがまま、ソニアも「ええいままよ!」と言いながら跳ぶ。
ヴィクトリーは、冒険者の集団に急襲する。狙ったのは、鎧を着た戦士だった。
「え、うわっ!!?」
剣を構えて対抗しようとするも、激しい格闘のコンビネーションにより手も足も出ない。そのまま胸を真っ直ぐ蹴り抜かれ、場外へ吹っ飛んでしまった。
「イヨワさん!! くそっ!!」
彼の仲間と思わしきハーピーが、ヴィクトリーに弓を向ける。だが、そんな彼女を火の玉が撃ち抜いた。飛んできた方を見ると、人間の魔法使いの女が杖を向けている。
「うおっ……!?」
「余所見厳禁なのです!!」
驚くヴィクトリーの横から、たつのこ海兵の槍が来る。だが、彼はそれを半身にしただけで避けた。だが、続けざまの突きが次々に襲いかかってくる。
「おさかな海賊団のヴィクトリーだな! お前達を連れてこいと大将がうるさいのです!」
「やっぱ俺逮捕状出てんのか!!」
そう話しながら、槍を避け続けるヴィクトリー。
その後ろで、ルカは人間の女剣士達に囲まれていた。
「あら、可愛い男の子じゃない……」
「ねぇ、戦いが終わったらイイコトしない?」
「それとも、今この場で、恥ずかしい思いしちゃう……?」
「ううっ……僕は負けないぞ!! はぁあああっ!!」
ルカは、風の力を解放する。そのままフルパワーになり、その余波だけで女剣士達を吹っ飛ばしてしまった。
「きゃーっ!?」
「ひえーっ!?」
「ちょっ!?」
女剣士三人は、そのまま場外へ落ちてしまった。
「よし、次の相手は……!」
「私ですよ」
ルカの背後から、声がする。マーメイドが既に背後についており、両手を向けて水撃を放った。
「うわぁっ!?」
「もらった!!」
直撃し、体勢を崩すルカ。そこに、すかさず武道家の男が飛び蹴りを放ってくる。
「くっ!」
だが、ルカは手から聖なる光を発射する。
「うわっ!?」
武道家の男はそれに直撃し、吹っ飛ばされてしまう。それを見たルカはその場から蹴り出し、その男を思いっきり蹴っ飛ばして場外にしてしまった。
「よし、戦えてるぞ……!」
ルカはそう言いながら着地し、構え直した。
その後方……ソニアが、ジト目で対戦チームを見つめていた。
「うぅ……こんなルールになっちまうなんて!」
「俺は本当は、今頃獣人娘に激しく犯されてたんだ!」
「俺は少女系の魔物娘に……」
「スライムちゃんに皆が見てる前で犯して欲しかった……!」
「ええい、この変態共!!! 消え失せなさい!!」
ソニアは、棍棒を振り回して衛兵達をボカボカ殴りまくる。
「うわー! 何をするおにこんぼう娘!!」
「誰がおにこんぼう娘よ、このド変態どもぉ!!」
怒りに任せたソニアは棍棒を大きく振りかぶってから、フルスイングする。そして変態衛兵四人を纏めてぶっ飛ばし、観客席前のバリアにまで叩きつけた。
「まったく、何で男ってみんなこうなの!?」
「変態なりの矜恃があるんですよ!」
ソニアにそう声をかけたのは、オーク娘だった。その手には、棍棒が握られている。
「……むっ!? あなたも、また……」
「ブヒヒ、どうやらそっちも棍棒の魅力に取り憑かれたみたいですね……!」
出会ってしまった、棍棒使い二人。凄まじい気迫がぶつかり合い、周りの選手の肌をビリビリと痺れさせる。
「だっっ!!!」
「ブヒッッ!!!」
二人の棍棒が、ぶつかり合う。その余波が衝撃となり、激しい旋風が吹き荒れた。
「うわっ!?」
「なんだ、オーク娘同士で戦ってるのか!?」
目にも止まらぬ棍棒同士の激突は、激しさを増す。
だが、激しく攻防しているのはソニア達だけではない。
「はぁあぁああっ!!」
サラは、普段の様子からは想像できないほどの剣幕で疾走して迫り来る敵を次々に切り伏せる。だが、その剣を止める戦士が一人。
「サバサの女王か……初に見える、グランドノア第一連隊隊長のアーサーだ」
名乗りを上げたのは、あのグランドノアの精鋭……その隊長格の剣士だ。
「相当の腕前のようね……」
「いざ」
サラとアーサーは横走りしながら、剣戟する。無数の斬撃が入り交じり、激しく攻防するが……その横から、何と犬娘が参戦してきた。
「わうっ!!」
「きゃっ!?」
不意打ちの一撃を、どうにか凌ぐサラ。犬娘は爪を構え、狙うはアーサーの首。掴んで獣人の怪力で場外に押し出してしまおうという算段だった。
だが……なんと、アーサーの首が跳ね上がってしまった。
「わぅっ……!!?」
「え……!!?」
犬娘もサラも、そこを凝視する。首を失ったアーサーは、その場に立ち尽くしたままである。
「わぅ、そ、そんなつもりじゃ……」
「わんこ!! 油断してはなりません!!」
ここで、イリアスの声が弾けた。だが、わんこと呼ばれた犬娘が反応するより早く、首を失ったその体が動き出し、剣を振るってきた。
「きゃいんっ!!?」
強烈な一撃に直撃したわんこは、そのまま場外に落ちてしまった。
「こ、これって……」
「そうだ、私はデュラハンだ」
宙に浮かんだアーサーの頭が、そう言いながら笑っていた。
「成程……少し、油断していたわ!」
「いくぞ、サラ女王!!」
サラとアーサーは、再びぶつかり合う。アーサーの身体による剣技と、宙に浮いた頭から髪が伸びてそれによる攻撃。だが、サラも一歩も退かずに剣一本で攻防して見せた。
「くっ……伝えておくべきでしたね……!」
イリアスは悔しそうに言いながら、自分の戦いに戻る。
「あの人、エルフかと思っていたらデュラハンか……!」
いつの間にかアーサーの親衛隊……ダークエルフ三体と戦っているルカが、そう言う。
「知らなかったのか? 有名な話だぞ」
「リサーチ不足としか言いようがないな……」
「耳の痛い話だなぁ……!」
剣を構えたまま睨み合う、ルカとアーサーの親衛隊。
「あだだだだだだだ!!」
ひたすら戦い、次々に選手を倒していくヴィクトリー。
「おおぉおおおおっ!!」
棍棒対決を白熱させる、ソニア。
ルカ達だけではない。コロシアムのステージ全体が、人魔が入り乱れながら大混戦を演じている。予想よりも見応えのある戦いに、観客も湧いていた。
「凄まじい戦いだな……!」
「ヴィクトリーさんはまだ
「きゅっきゅ! きゅっきゅーっ!」
「がんばれ、マスター!」
アリス達も、多いに盛り上がる。
そんな中……まるで、違う空間に居るかのように静かに立っている者が居た。フードとマントで身を隠した、あの女性だ。
しかもステージ端に立っており、何かあればすぐに場外になってしまうであろう場所で何をするでもなく立ち尽くしている。目の前の戦いに怖気付いてるのかと言えば、そうでもない。
「スキあり!!」
「落ちてもらうわよ!!」
そんな彼女に、剣を持った男と槍を持った女がつっかかる。二人とも人間の戦士だが、手練だ。
「……クス」
フードの下で、彼女は微笑む。そして、柔らかな旋風と共に二人をすり抜けた。
「え……!?」
「は……!?」
次の瞬間だった。
「うわぁあぁあっ!? あひぃいいいいっ!!」
「きゃあぁあぁあああっ!!? イグゥうぅううっ!!」
何と、その二人は情けない声を上げながら快感で全身を痙攣させながら吹っ飛び、そのまま場外に落ちてしまった。
「きゅ!!?」
「今のはっ!!?」
「ヒルデの動体センサーでも、見えなかったよ……!」
ヌルコとプロメスティンとヒルデは、フードとマントの女性に注目する。
その横に居るアリスも、彼女を凝視していた。
「あ、あの凄まじい速さのステップと卓越した淫技……心当たりがあるぞ……!!」
注目していたのは、アリスだけではない。周りの観客も、ざわめき始めた。
「あ、あの身のこなしって……」
「まさか、コロシアムの女王・キュバ……!!?」
「出場していたの!?」
観客席だけでなく、ステージ上も静まり返って彼女の方に注目していた。
「な、なんなのあの選手……わ、私達とは次元が違うじゃない……」
「ブヒ……シーザー隊長が優勝を諦めた原因ですよ……コロシアムの女王・キュバ。彼女からすれば、私達なんて有象無象です」
ソニアとオーク娘は、棍棒で鍔迫り合いながら話す。
「……それはそれとして、今回のコロシアムで私達は民を鼓舞する。そして、その強さを示しに来た……が、ああまで次元が違うと、霞んでしまうな……!」
「コロシアムの女王……そんなのに、戦いを挑む戦士なんて……!!」
アーサーとサラが話し合っていると、唐突に何処からか凄まじい気が噴き上げた。
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
「眩しいのですっ!?」
唐突な黄金の気とその余波に当てられて怯む、選手達。その上を切るようにして飛びながら、金色の戦士がキュバの前に着地したのだった。
「よう」
案の定、
先程の次元の違う早業を見せられて、怖気付くどころか……ウキウキで、キュバに挑むのだった。