もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「きゅ……!?」
「魔王軍、四天王……!?」
「そんな大物が、どうしてこんな所に……!?」
驚愕する、ヌルコとヒルデとプロメスティン。アリスも冷や汗をかきながら、武舞台に注目している。
「まぁ、こういう舞台が好きそうな奴とは思っていたが……今は、なんでもいい。生き残れよ、二人とも!」
観客席のアリス達は、緊張しながらも見守るのだった。
「ルカ、ヴィクトリー……きっと、大丈夫よね……!?」
「ソニア、あの二人を信じるわよ」
ベンチに居るソニアとサラも、手に汗握って見守っている。
「おい、聞いたかルカ? 魔王軍四天王だってよ。すげぇ格好だな……」
「アルマエルマか……エッチな格好に惑わされるなよ、ヴィクトリー」
話し合う二人の前で、武舞台のキュバ……もとい、アルマエルマはクスクス笑っている。
「二人ともさっきまでとは大違いね。この戦いで、可能性の壁を突破した……それが伝わってくるわ。今回ばかりは、私も頑張っちゃうかも……はぁあっ!」
アルマエルマが気を解放すると、桁違いの
観客席を守るマキナのバリアにもビリビリと響き、その強大さがコロシアムに居るもの全てに伝わった。
「キュバがこれ程の力を解放するなど……!!」
「……今まで、私たちがどれ程遊ばれていたのかが実感できるな」
例年コロシアムに出場していたアーサーとシーザーも、その力の入りように驚愕する程だ。
「……ふふ、どお? これでも勝てるって思えるかしら?」
アルマエルマが聞くと、ルカとヴィクトリーは驚愕した顔から一変して真剣な目になる。
「今の僕達は、勝てるかどうかで戦いを挑む訳じゃない」
「そうだ……俺達は、おめぇに勝ちたいから戦うんだ……!!」
二人の気が、体の奥底から滲み出す。ここまでの戦い、かつてない程の強敵……何より、コロシアムの頂上決戦なんていう状況。昂る二人の気は、限界を超え──
「はぁあああああっ!!!」
ルカは限界を超えた風の力を、ヴィクトリーは今までに無いほどの
限界を超え、120%の出力を引き出す二人。二人の気が、逆にビリビリとアルマエルマの肌を痺れさせる。それに当てられている彼女は、ゾクゾクと背筋を震わせていた。
「んんんん──っ……最っ高……♡」
自分を抱きしめながらそう言ってから、左足で後ろを踏み、腰を落として拳を構える。
「来なさい」
打って変わって真剣な声で言うと、それに応えるようにルカとヴィクトリーはその場から蹴り出す。次の瞬間、アルマエルマは異様な光景を見た。
ヴィクトリーとルカが点滅するように入れ替わりながら、迫っているのだ。
「!!!」
ルカとヴィクトリーの一撃を、肘と足で受け止めるアルマエルマ。拳は勿論だが、当然のように剣も肌を通さない。
「はっ!」
アルマエルマはその状態で突風を巻き起こし、二人を吹っ飛ばす。
「っち!」
「まだまだぁっ!!」
二人は踏ん張り、それぞれ舞空術と天使の白翼を駆使して飛んで再びアルマエルマに迫る。
「それっ!」
それに対し蹴りで迎撃するも、二人はそれを避ける。そして、アルマエルマの周りを飛び、超高速のルーレットのように回り始めた。
「ああ、そういう……けど、子供だましの域を出ないわよ?」
体格もスタイルも違う、武道家と剣士……いくらルーレットのように入れ替わったとて、行動はだいたい予測できる。
頭上から、斬撃が迫る。これは、ルカちゃんの【天魔頭蓋斬】ね。
アルマエルマはそう思い、その刃を白刃取りする。
「──えっ!?」
剣の主は、ヴィクトリーだった。それに気付いた時には、ルカはアルマエルマの懐に踏み込み、低い姿勢から渾身の突き上げを顎に叩き込んできた。
「──っ!!?」
「【魔剣・首刈り】……!!」
当たった。あのアルマエルマに、初めて、攻撃が。
「だりゃあああっ!!」
続けざまのヴィクトリーの蹴りも顔面に直撃し、アルマエルマは蹴っ飛ばされるが……すぐに着地し、顔の汚れを払った。
「あ、当たった……」
「キュバに、攻撃が当たった!!」
アーサーとシーザーは、驚愕した。
コロシアムでも初の光景らしく、観客席が大きく盛り上がった。
「あ、当たりました!! 二人の技が、直撃です!!」
「きゅーっきゅきゅきゅーっ!」
「凄いよ、マスターとヴィクトリー……!」
プロメスティン達も、大盛り上がりだ。
「すごいすごいすごいわん!」
「凄いバトルで、ぷるぷるしちゃう……!」
「…………」
犬娘のわんこ、スライム娘のぷるこが盛り上がる中……イリアスは、ただポカーンとするしかできなかった。
「いったぁ……飾りとは思ってなかったけど、油断したわ!」
というか、ヴィクトリーちゃんが当然みたいに自由に吹く風の力に速度で追いついてるわ。こうなってくると、厄介……慣れるのは、普通の魔物じゃまず無理ね。
ルカとヴィクトリーは、既にアルマエルマの周りを飛んでいる。
そして、剣の突きが放たれた。
「ふんっ!」
アルマエルマは肘と膝で、刃を挟み止める。剣の主はヴィクトリーだ。
「やべっ!?」
「ふんっ!」
そこから突風を纏った蹴りでヴィクトリーの腹筋を打ち抜き、蹴っ飛ばす。拳を構え、残ったルカを迎撃しようと探すが……居ない。
「うしろっ!!」
「ぎゃあっ!?」
後ろ蹴りを繰り出したアルマエルマだが、当たったのは先程蹴り飛ばしたハズのヴィクトリーだった。
「なんでっ……!?」
混乱するアルマエルマに、ぶっ飛ぶヴィクトリーの陰からルカが飛び出してくる。
ヴィクトリーが突きを放った時から、彼の背中に張り付いていた。瞬間移動で共に移動し、そして蹴りの後隙を狙って急襲したのだ。
「たぁああっ!!」
放ったのは、【瞬剣・疾風迅雷】。自由に駆け抜ける風の、トップスピードをもって放つ、瞬速の突き。
アルマエルマは半身になって避けようとするも、胸の先をかすらせてしまう。すぐにルカの背に手を向けるが……その背後から、気が高まる気配。
「かめはめ波────っ!!!」
ヴィクトリーの【かめはめ波】が、アルマエルマに迫る。だが、彼女は振り向き手を向ける。そして、その手に青白い気の奔流が「ズキュン」と吸い込まれてしまった。
「ちっ……!!!」
「残念ね、ヴィクトリーちゃん!」
ヴィクトリーちゃんの不可解な速度のカラクリが分かった。瞬間移動的な魔術(?)を持っている。移動の瞬間が私でも見えないのはそういう事ね。
この能力は、厄介極まりないわ……だからまず、ヴィクトリーちゃんから落とす!
アルマエルマはその場を蹴り、瞬歩のような速度でヴィクトリーに迫る。
「返すわ!」
そして、先程吸収したかめはめ波のエネルギーを目の前で爆発させた。
「ぐああぁあっ!!」
ヴィクトリーはぶっ飛んでゴロゴロ転がりながらも体勢を整え、指で地面にブレーキをかけて止まる。ステージギリギリで止まり、だがもうアルマエルマがすぐそこまで迫っている。
「おりゃあぁあああっ!!」
ヴィクトリーは抜剣し、放つは【死剣・乱れ星】。踊るような無数の斬撃が、アルマエルマに迫り来る。
だが彼女はその斬撃を全て手で弾き、ヴィクトリーの目の前に迫ってきた。
「まずは、ひと──」
ここで、アルマエルマの足元に違和感。それを感じた次の瞬間には、ステージ端が切り裂かれてヴィクトリーとアルマエルマの立っていた場所が崩れた。
「──りっ!!」
一瞬だけ動揺するアルマエルマだったが、そのまま踏み込む。そして、正拳突きを放った。だが、ヴィクトリーは既に瞬間移動で消えていた。
「っ!?」
「でぇいっ!!」
「だりゃあっ!!」
しかも、ルカとヴィクトリーは同時にアルマエルマの後頭部に蹴りを叩き込んだ。
「きゃ……!!?」
「っ落ちろぉっ!!」
武舞台に戻る二人。落ちゆくアルマエルマ……
「っあはあっ!!」
だが彼女は笑い、凄まじい突風を体から放って急上昇し、飛んで武舞台に戻ったのだった。
「惜しいっ……!!」
「っちっくしょうっ!!」
悔しそうに言う二人だが、その表情は何処か嬉しそうでもあった。
「そうね、流石に今のは私もヒヤッとしたわ!」
アルマエルマも笑いながら、構える。
ルカとヴィクトリーはまた迫り、超高速で彼女と攻防したのだった。
「あだだだだだだ!!」
「うおおおおおお!!」
格闘と剣技が入り乱れ、だがアルマエルマもそれを凌ぎ続ける。
しかし……彼女は、感じていた。二人の力が、指数的に急上昇している。この攻防で更なる限界を超え、もっと進化しようとしているのだ。
「うっふん♪ 【ピンクタイフーン】!」
それを感じたアルマエルマは、淫気混じりの旋風を巻き起こして二人を吹っ飛ばそうとする。だが、それが当たるよりも先に二人はバックステップして避けた。
先に走り出したのは、ヴィクトリーだった。
「楽しいなぁ!!」
「ええ、そうね!!」
そう言い合ってから、目にもとまらぬ速度で格闘戦を繰り広げる。入り乱れながらぶつかり合う拳と拳、蹴りと蹴り。
そんなアルマエルマの背後から、瞬速でルカが来る。そして、剣を振り下ろした。
「だぁあっ!!」
その一撃に合わせるように、ヴィクトリーの拳も飛んでくる。
だがアルマエルマは二人の一撃を手のひらで受け止め、流し投げた。
すっぽ抜けたルカとヴィクトリーだったが、すぐに跳んで高速移動を繰り返しながらアルマエルマに迫る。そして、また超高速ルーレットが始まった。
「むっ……!!」
さっきより速い。しかも、ヴィクトリーちゃんまで剣技を使えると分かった今……何が飛び出るか、分からない!
そう思っていたら……気の高まりを感じる。全身のエネルギーを一点に高めるこの予備動作には、覚えがある。先程ヴィクトリーが放った、【かめはめ波】だ。
「ならっ!!」
アルマエルマは、高速移動してる最中のヴィクトリーの腹に正拳突きを叩き込んだ。風の力を纏ったそれは、会心の一撃となって彼の腹に直撃したが──
「っ!!!?」
手応えに、違和感。
「ごぼはぁっ……!!!」
ヴィクトリーは全身の気を腹に集中させ、最低限のダメージでそれを耐えていた。
「え…………」
あの技は、全身の気を両手に凝縮させる必要があるはず。それを、ヴィクトリーはしていなかった。
「残念だったな……その距離ならエナジードレインも出来ねぇな!!!」
ヴィクトリーが言うと、ルカがアルマエルマの懐に踏み込んできた。しかも剣を納めており、低く切り込みながら合わせた両手には、渾身の気が凝縮されている。
「しまっ」
「かめはめ波──────ッッ!!!!」
ルカが、【かめはめ波】を放った。至近距離で全エネルギーを、アルマエルマの全身に浴びせた。
直撃し、大爆発し、アルマエルマは吹っ飛ぶが……爆煙が晴れ、腕を交差しながら踏ん張っている彼女が見えた。なんと、あの一瞬でガードを間に合わせていたのだ。
「っ、今のもっ……ちょっとヤバかったかもっ!!」
「くぅーっ、これでもダメか!!」
「次だ、次!!」
再び、ぶつかり合おうと二人は気を解放する。半ばゾーンに入った二人は、まだまだ気を上昇させていた。
「あはっ、凄いわ二人とも! こんなに楽しいの、私初めてよ!」
「ああ、俺もだ!!」
「いくぞ!!」
ルカとヴィクトリー、そしてアルマエルマ。三者はその場を蹴り、激突しようとした時だった。
それぞれを引き裂くように、突如として強大な気がステージに乱入したのだった。
「ッッ!!?」
「なっ……!!?」
突然の乱入者と、肌が焼けるような熱い気。驚いたルカとヴィクトリーは足を止め、そこを凝視する。
「んもう、いい所なのに……」
アルマエルマも変わらない調子で足を止め、気の主に向かう。
「アルマエルマ……何を遊んでいる?」
そう言う気の主は、重厚な鎧に身を包んだ竜人の魔剣士。
「お、オイ……マジかよッッ……」
「あ、あ、ああ……」
初めて見るハズのその姿に、ルカとヴィクトリーは絶句する。
「嫌ねぇ……楽しい事は楽しまなきゃ疲れちゃうわ。グランベリアちゃん?」
アルマエルマの言う通り……何と、この場にグランベリアが乱入してきたのだった。