もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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グランベリア乱入!?

「グランベリア……だと!?」

 

 見ていたアリスが、驚愕する。

 

「魔王軍四天王の、グランベリア……アルマエルマと同格の存在ですよね……」

「アルマエルマの残存体力は94%……マスター達、危ないかも……」

「きゅ…………」

 

 魔王軍四天王が、こんな所に二人も揃い踏んでいる。今から何が起こるのか、コロシアムの観客達には予想もできない。だが……何か行動を起こせば、すぐさま大爆発でも起きそうな──まさに、一触即発の雰囲気だった。

 

「おいアンタ、今は試合の真っ最中だろ。邪魔しねぇでくれよ」

 

 空気を読まないヴィクトリーが言うも、グランベリアはただ目を向けるだけですぐにアルマエルマの方を向いてしまう。彼の言葉は、聞くに値しないらしい。

 

「勇者ルカ、赤のヴィクトリー……」

 

 だが、代わりにグランベリアの後ろから誰かが出てくる。ステレオタイプな魔女の格好に、顔を見るより先にメフィストだと分かった。

 

「盛り上がってる所申し訳ありません。ですが、これも正史通りという訳です」

「メフィスト……!」

 

 その言葉を聞き動揺するルカ達。観客席のアリス達も、メフィストを睨みつける。

 

「正史通りだと……!? 貴様、何を企んでいる!?」

「ふぅん、グランドノアの魔導顧問がグランベリアちゃんを連れて……それで、私をどうしようって気?」

「あなたのような裏切者を、放任できない……そのように、あの方は仰せなのですよ」

「そうだ……私は、不義を正しに来たに過ぎん」

 

 どうやら、メフィストは『あの方』とやらの命にてアルマエルマを粛清しにでも来たらしい。しかも、ご大層に魔王軍四天王のグランベリアまで連れて。

 

 しかし当のアルマエルマは、特に動揺もせず変わらない調子だ。

 

「不義もなにも、私が従うと決めたのは今の魔王様じゃないわ。私は風、好きなように吹くだけよ」

「それが答えだな?」

 

 グランベリアは剣を抜き、アルマエルマに向ける。

 

「そうは言っても……グランベリアちゃん、私に勝てた試しがあるのかしら?」

 

 アルマエルマも左足を後ろに踏み、半身になる。

 

「仲間同士の腕比べと、互いの命を賭けた死闘とは別物! 今回は戯れでは済まん事、その身で知るがいい!」

「あ〜あ、本気ねぇ……」

 

 何やら、温度差のある二人。

 

 目の前の光景を見るしか出来ない、ルカとヴィクトリー。

 

「おいどうする、何か()()()()だぜ?」

「そうは言っても……四天王が二人も揃ってるから、迂闊に動けないんだけど……」

「ねぇ二人とも」

 

 話す二人に、アルマエルマが声をかけてきた。

 

「あなた達も、メフィストに一杯食わされたって感じでしょ? いいように手駒にされて、コロシアムまでめちゃくちゃにされて……」

「う、うん……」

「ああ、そうだな……せっかく最高の試合だったのによ」

「じゃあ、ここは一緒に共闘しない? 決戦に割り込んだ邪魔者を、一緒に叩きのめしましょ♪」

「ほう……貴様達もアルマエルマに荷担する気か?」

 

 グランベリアの気の圧が、ルカ達にのしかかってくる。声だけなのに、まるで重力が倍になったかのように体が重くなる。

 

「ちょっ、僕達はまだ……!」

「問答無用っちゅう奴か……!!?」

 

 グランベリアに気圧される二人を見たアリスが、観客席から身を乗り出す。

 

「アルマエルマ、その二人を頼む!」

「了解、魔王様……♪」

 

 艶のある笑みを浮かべて返事をする、アルマエルマ。彼女は瞬間移動のような速度で、ルカとヴィクトリーの間に立った。

 

「は……!!?」

「え……!!?」

 

 移動の瞬間が、目で見えない。先程まで戦っていた時のスピードとは、次元が違う。

 

「さぁ、やるわよ!」

 

 呆気に取られる二人を置き去りにして、アルマエルマは構える。

 

「いくぞ!!」

 

 グランベリアも気を解放し、突撃してきた。彼女も、その速度は今までの相手とは桁違いだった。

 

 ぶつかり合う、アルマエルマとグランベリア。そして、格闘と剣技が入り乱れる超高速の攻防を展開した。

 

「くそっ!! やるぞ!!」

「ああ!!」

 

 ルカとヴィクトリーも走り出し、グランベリアを挟み撃ちにするように飛ぶ。

 

「むっ……!!?」

「あはっ! ルーレット、スタート!」

 

 アルマエルマもその場を蹴って跳び、その姿を消す。そして、ルカとヴィクトリーとアルマエルマで高速移動を繰り返しながらグランベリアの周りを飛び回った。

 

「蚊トンボのように、ちょろちょろと……」

 

 グランベリアはそう言い、構えていた剣に炎を宿す。それだけで熱気が周囲を焼き、彼女の気が大きく跳ね上がった。

 

「受けよ、我が奥義──【乱刃・気炎万丈】!!!」

 

 グランベリアの姿が、消失する。次の瞬間、炎の斬撃が周囲を無数に走り、高速移動してる最中のルカとヴィクトリーを切り裂いた。

 

「!!!!」

「がっ……!!!?」

 

 身体に斬撃が叩き込まれ、そこから炎上する。炸裂した威力は、気力ごと吹っ飛ばすかのように強力で、二人は吹っ飛んだ。

 

「ぐあぁあぁあっ……!!!」

 

 ルカはゴロゴロとステージを転がり、その端ギリギリで倒れてしまう。

 

「ぎゃあぁあぁあああっ!!!」

 

 ヴィクトリーは大きく吹っ飛び、観客席のバリアに叩きつけられてしまう。そのまま黒髪に戻り、場外の地面に伏せてしまった。

 

「一人落ちたか……自らの実力と見合った相手と戦うのだったな、名も無き戦士よ」

 

 そう言うグランベリアの背後に、無傷のアルマエルマが現れる。何と、今の技を全て避けたようだ。

 

「……少し、やりすぎよグランベリアちゃん」

「ハッ!?」

 

 グランベリアが振り返ろうとした時──既にアルマエルマはその姿をすり抜け、着地した。

 

「──っっぐぁあぁああああああ!!!?」

 

 遅れてグランベリアの身体中に無数の淫技が炸裂し、彼女は全身を震わせながら腰砕けになり、その場にしゃがみこんでしまった。竜人という種族特性上、快楽ダメージには弱い故だった。

 

「くっ……! う、うぅ……!」

「力量は確かに互角だけど、得意技の相性が悪すぎるみたいね。グランベリアちゃんじゃ、やっぱり私には勝てないわ……」

 

 アルマエルマはそう言ってから、メフィストに向く。

 

「……消耗した隙を狙っても勝てないとは。アルマエルマの力、見誤っていましたか」

 

 メフィストは、動揺した様子で後退りする。アルマエルマの眼光に、圧されているのだ。

 

「ごめん、時間がもったいないわ。戦う気が無いのならグランベリアちゃんを連れて失せてくれる?」

「そう言うのなら、そうさせてもらいましょう……」

 

 メフィストは、グランベリアの傍に寄る。だが、彼女は剣を杖にしてガクガク震えながらアルマエルマを見ていた。

 

「ま、待てっ……アルマエルマ、なぜ魔王様に従わない? 私からも取り直してやる、魔王城に戻ってこい!」

「ごめんね、グランベリアちゃん。風は自由に、気まぐれに吹くものよ。それに、今の魔王様のやり方には気が乗らないの。残念だけど、例の計画には関わらないわ」

「いつまでそんな事を言って……」

「あと……私は、グランベリアちゃんを人殺しにしたくないの」

 

 アルマエルマはそう言い、自ら場外に着地する。倒れているヴィクトリーを抱え、アリスの元に渡した。

 

「すみません、一人守り切れず……」

「良い、こちらで預かる! プロメスティン、エリクサーを!」

「分かりました!」

 

 何やら色々やっているアルマエルマを、グランベリアは恨めしそうに睨めつける。

 

「逃げられんぞ、アルマエルマ……魔王様の追っ手からではない、四天王としての責任からな……」

「……行きましょう」

 

 そして、メフィストとグランベリアはこの場から消え失せたのだった。

 

「……これは、どう言う事でしょうか」

 

 ここで、グランドノア女王が降りてくる。

 

「う、うぅ……はぁっ、はぁっ……!!」

 

 ルカが、ようやく剣を支えに立ち上がる。そして、キョロキョロと周りを見回した。

 

「ヴィクトリー……あと、アルマエルマは!?」

「ここよ」

 

 アルマエルマの声のする方に向くと……彼女は場外で、ヴィクトリーは観客席のアリスが預かっている。となると、ステージに残ったのはルカ一人だけという事になる。

 

「え……これって……僕達の、優勝ってこと……?」

「そのようですね……『サバイバル・オブ・グランドノア』の優勝を飾ったのは、この勇者ルカのパーティです!」

「…………」

「なんだか、勝った気がしない……」

 

 優勝を宣言されても、実感が湧かない。ルカはただ呆けて、ベンチにいるサラは黙ってしまい、ソニアは溜息を吐く。

 

「……これからどうするのだ、アルマエルマ。聞く限り、現在の魔王に反旗を(ひるがえ)したらしいが……」

「反旗を(ひるがえ)す、なんて大層なものじゃないわ。風は風、思うがままに吹くだけよ……私は私で、自由に動くわ」

「そうか……まぁ、そう言うとは思ってはいたが」

 

 アルマエルマは、そう言うアリスに会釈をする。そして、ふわりと浮いて空を飛んだ。

 

「それじゃあ、さようなら。もしかしたら、またどこかで会うことになるかもね……」

 

 そう言って、風のように消え去ったのだった。

 

「うーむ、メフィストも母様も……何を企んでいるのだ……?」

「きゅ……」

 

 観客席のアリス達も、大歓声を浴びるルカも、浮かない表情をしている。

 

 ヴィクトリーと揃って戦っていたアルマエルマは、全く本気ではなかった。その気になればいつでも自分たちを落とす事ができた……それが、グランベリアとの攻防で嫌でも実感できる。

 

 圧倒的に格上の相手から勝ちを譲られたかのような敗北感、多くの謎……それらを抱えながら、コロシアムは終わったのだった。

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