もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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新たな依頼

 グランドノアの王城に呼ばれたルカ達は、まだ浮かない表情だった。

 

「すげぇ戦いだったけどなぁ」

「うん……」

 

 エリクサーを飲んで全快したヴィクトリーとルカが、低いテンションでそう話す。そして、グランドノア女王の居る玉座の前まで来た。

 

「よくぞ、優勝を果たしました。まずは賞品の『グリーンオーブ』を授けましょう」

 

 グランドノア女王から授かったのは、『グリーンオーブ』……読んで字のごとく、緑色の水晶玉だった。

 

「おお、綺麗だな」

「そうだね……」

 

 ヴィクトリーは、ルカの受け取ったオーブを見てそんなコメントをする。二人の声色には、やはり元気がなかった。

 

 そして、グランドノア女王は改めてこちらに向いた。

 

「さて……女王杯に優勝すれば、エスタの調査団に入れるという話でしたが……その前にもう一つ頼みたい事があるのです」

「コロシアムの優勝が、調査団参加の条件だったはずだが……ここに至って、また頼み事だと?」

「きゅー! きゅきゅー!」

 

 不満そうに言うアリスと、抗議するかのように鳴くヌルコ。だが、グランドノア女王は真剣な顔だった。

 

「しかしこれは、あなた達にも関わりのある事。依頼というのは、魔導顧問メフィストについてなのです。ずいぶん前から、あの者の行動には疑念がありましたが……先の大会において、それは決定的になりました」

「確かに、メフィストは魔王15世と繋がりがある……すると、魔王の手先がこの国の政府内に入り込んでいたことになるな。なんともキナ臭いな」

 

 メフィスト……あのステレオタイプな魔女の、妖魔。そして、その話ぶりから察するにかなり高位、魔王直属かそれに近い位置の魔物だろう。そんな魔物が、政府内で何をやっているのか……それは、気になる所だった。

 

「サラ女王の一件にも、謎の妖魔の暗躍がありました。そして、このグランドノアの中枢にも、魔王の手の者が……この闇は何処まで広がっているのでしょうか。今回の大戦にも、魔王が関わってると思えてなりません」

「グランゴルドとの戦争もか……? 思ったよりやべぇ事になってんだな」

 

 確かに、サラが乱心したのはリリス三姉妹という古代の魔物のせいで、彼女達もまた魔王の手先だった。サバサ、グランドノア……と来れば、グランゴルドにも何か魔物が潜んでいて、それがメフィストと繋がっているのだろうか。

 

「あなた達には、極秘裏にメフィストの身辺を調べて欲しいのです。彼女の活動拠点、魔導学園に潜入してもらえないでしょうか」

「アイツの正体をつきとめりゃいいんだな」

「だとすると、魔導学園って……北にある大きな学舎だったかな?」

 

 グランドノア城の北……そこに、魔導師の養成学校がある。メフィストの活動拠点ということは、彼女は先生か何かをやっているのだろう。

 

「その魔導学園に潜入し、証拠や情報を集めてほしいのです。この困難な任務は、あなた達にしかこなせないでしょう」

「……メフィストの正体は、確かに気になるな」

「ああ、その行動も探りを入れる必要がありそうだ」

「決まりだね……すぐ行ってみます」

 

 ヴィクトリーもアリスも言い、ルカは承諾する。

 

「潜入にはくれぐれも気をつけてください。学園内にはメフィストの教え子達が大勢いるはずです。彼女達は、修行中とはいえ強力な魔術師ですから」

 

 グランドノア女王はそう言うと、『魔導学園の鍵』を手渡してきた。

 

「それでは、任せましたよ……その間、あなた達をエスタ調査隊に加える手続きを進めておきます」

「今度こそ、その約束守ってもらうぞ。よし、魔導学園に乗り込むとしよう!」

 

 魔王の陰謀が関わってるとなれば、放ってはおけない。

 

 メフィストの牙城、魔導学園……まずは、そこに向かう事にしたのだった。

 

「あぁすみません、調査団入隊の打診とは関係なしに一つだけ個人的なお願いをしたいのですが」

 

 歩き出そうとするルカを、呼び止めるグランドノア女王。

 

「えっ、個人的なお願い……?」

「はい……知っての通り、『サバイバル・オブ・グランドノア』はアクシデントによりああいう幕引きを終えてしまいましたが……本来、コロシアムの優勝者とは常に一人であるものです。二人もあんな結末は不服でしょうし……いつか、二人で『決勝戦』を演じてくれないでしょうか?」

「え…………!!?」

 

 何とグランドノア女王は、ルカとヴィクトリーにあの舞台で戦って欲しいというのだ。

 

「でも俺、グランベリアに落とされちまってんだぞ」

「そのグランベリアの乱入がアクシデントですから……あの戦いでの場外は無効です。ただキュバは戦いを終えた後に自分から場外に行きましたので、あの場で残っていたのはあなた達二人という扱いにしております」

「コロシアムで、ヴィクトリーとかぁ……」

 

 ルカは、呆けたように言う。

 

 確かに……ヴィクトリーと戦ったのは、ミダス廃坑で黄金をどっちが運ぶかで揉めた時以来だったか。あの時から、自分達はずいぶん成長したはずだ。

 

「気になる所ではあるが……我々にはやるべき事がある。その願い、だいぶ後の話になるだろう」

 

 悩んでいる二人に代わり、アリスがそう言った。

 

「いえ、構いません。私の個人的な頼みなのですから……待っていますよ」

 

 グランドノア女王はそう言い、微笑む。それに対しルカ達は、会釈をした。

 

「そうだなぁ……本気のアルマエルマと戦って勝てるぐらいになったら、やろうぜ」

「そうだな……僕達、遊ばれてたばかりだからね……」

「うーむ、そうなると実現が恐ろしく後になりそうだ……」

 

 ルカとヴィクトリーとアリスはそう話し合いながら、女王の間から出るのだった。

 

 

「それにしても、強かったよなぁアルマエルマもグランベリアも」

「うん……今の僕達じゃ、絶対に勝てない相手だったって嫌でもわかるよ。生きてるだけ奇跡だと思う……」

 

 王宮を歩きながら、先頭のルカとヴィクトリーは話す。

 

「不完全燃焼って感じが半端じゃないわ……やり直せるのなら、もう一回参加して、今度こそ棍棒の強さを世に知らしめるわ!」

 

 ソニアは、棍棒を振る真似をして気合いを入れ直している。

 

「私も……魔の力をコントロールできるようになれば……」

 

 その横のサラも、難しい顔をして頭を抱えていた。そんな彼女に、ヴィクトリーが向く。

 

「あれ、サラはスフィンクスさんの血で淫魔化できるんじゃねぇのか?」

「まだ魔力の制御が上手くいかないし、あの変身をすると欲しくなっちゃうのよ……その、精液が」

「あ、ああそうなんか……変な事聞いちまって悪かった……」

 

 恥ずかしそうに言うサラに、申し訳無さそうにするヴィクトリー。だが、彼女は笑顔を見せた。

 

「今更よ。それに、ソニアもヴィクトリーから搾るぶんには何も言わないって言ってるから平気よ」

「ええ……」

 

 しれっと言うサラに、困惑するヴィクトリー。申し訳なく謝ったのがバカみたいだ。

 

「……優勝できたからと言って調子に乗るでないぞ、みたいな事を言おうと考えていたのだが……そう言うのも野暮なようだったな」

 

 聞いていたアリスが、そう言う。横にいた観戦者組も、うんうんと頷いていた。

 

「ルカさんとヴィクトリーさんの気の高まりは、確かに凄まじいものでしたよ。アドレナリン、エンドルフィンの分泌が常人の何倍もの速度で行われて……予想以上の試合でした!」

「マスターも、ヴィクトリーも……いや、ソニアとサラも凄かったよ。戦闘データとして、非常に良質だよ」

「きゅーっきゅきゅ!」

 

 なんだかんだあったが、戦いっぷりは褒めて貰えて嬉しいルカ達。

 

「そうだな……俺達はまだまだ強くなるさ!」

「ああ……! いつかアルマエルマも超えて、その先のステージに行くんだ!」

「そうよ、私の棍棒の道はこれで終わりじゃないわ! 新たな始まりをここから切るのよ!」

「ふふ、お父様もきっとこんな気分だったのかも……私も戦士として精進するわ」

 

 色々あって結末もあんなんだったコロシアムだったが……その戦いは決して無駄ではなかったし、剥き出しの力で心ゆくまで戦えたのも事実だ。ルカ達にとって、大きな成長のきっかけになったに違いない。

 

「よし……行こうか!」

「ああ!」

 

 反省会もそこそこに、ルカ達はグランドノア城を後にする。

 

 そして、向かうは北……魔導学園だ。

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