もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ふしぎないきものと異世界と

 タルタロスに降り立った、戦士達。そこには謎のモンスターや、超過技術の武器があった。そうして進んだ、奥の開かずの扉の向こう……そこは、崩壊し、侵食された空間が広がっていた。

 

 戦士達は今までの事を整理しようと、一番近くの民家に入った。椅子やテーブルなど、会議に使えそうなものがあれば僥倖(ぎょうこう)だとは思ったが……どうやら、ただでは使わせて貰えないようだ。

 

 民家の中は、何かに侵食されてる事以外は普通の民家のようではあったが……奥の方から、ゴソゴソと物音が聞こえる。

 

「奥に何かいるみたい……」

「らしいな……」

 

 やはり、何者かが潜んでいる。休ませてくれる気は、無さそうだ。

 

「しょうがないな、見に行こう……」

「ああ……」

 

 ヴィクトリーとルカ……二人の男を先頭に、物音のする方へ近づく。そして、物音の正体と対面することになった。

 

「むしゃむしゃ……」

 

 少女のようにも見えるが、タコのような触手の髪、やたら発達した胸……要素盛り合わせな、変な生き物がりんごを食っていた。

 

「……」

「……なにこいつ」

 

 外で出会った青年のように、壊れた様子ではない。それでは、何なのだろうか。このヌルヌルとした奇怪な生き物は、何者なのだろうか。

 

「きゅー!」

 

 そう考えていると、変な生き物はルカ達に向き、襲いかかってきた。

 

「ちょっと、私達は敵じゃないわよ……!」

「襲ってくるぞ、気を抜くな!」

 

 ソニアとアリスが言葉を交わしながら、身構える。

 

 変な生き物は気を解放し、地面を触手で蹴り、ルカの顔面に頭突きをしてきた。

 

「ぐぁっ!」

 

 唐突な事で防御が遅れ、直撃を許してしまうルカ。

 

「ルカっ!」

「きゅーっ!」

 

 変な生き物は、走り寄るソニアの足元を触手で薙ぎ払ってくる。それに直撃し、彼女はすっ転び、尻から床に転んでしまった。

 

「あいたぁっ!」

「くっ……!」

 

 突撃に行こうと、レイピアを抜くアリスだったが……ヴィクトリーが、静止する。

 

「ヴィクトリー……? どういう事だ?」

「……あいつ、俺達には敵意を向けちゃいねぇ。指名は、ルカとソニアらしい……何故だか知らねぇけど、そんな気がする」

「そ、そうなのか……? だ、だが……我々も、戦わねば!」

 

 意気込んだアリスが、ヴィクトリーの制止を振り切ろうとする。しかし、ルカは「いやっ!」と声を上げる。

 

「手出しは無用だ!」

 

 変な生き物に対応しながら、アリスに向く。それで、彼女は止まった。

 

「私達ならこんなの、カンタンよ!」

 

 ルカの横に居たソニアが棍を構え、変な生き物に突撃する。そういう訳で、ルカとソニアVS変な生き物とのバトルが始まったのだった。

 

「きゅーっ!」

 

 変な生き物は、体当たりと触手攻撃で猛攻してくる。

 

「はぁあっ!」

「やーっ!」

 

 ルカとソニアは、それぞれの剣技と棍技で応戦した。ぶつかり合いは、互角だった。

 

「しゃっ!」

「はぁっ!」

 

 ルカとソニアの、息の合った攻撃がクロスする。しかし、変な生き物は跳び避け、ルカの剣に乗った。

 

「なにっ!?」

「やぁあっ!」

 

 ソニアが、変な生き物に一撃を放つ。しかし、それは触手に止められた。

 

「な……!?」

「きゅきゅっ!」

 

 変な生き物は触手を束ねて拳のようにして、二人の顔面を打ち抜いた。

 

「きゃあっ!」

「ぐっ……!」

 

 ソニアはぶっ飛ぶが、ルカは踏ん張る。その踏み足から地面を蹴り、一気に変な生き物の眼前へ肉薄し、懐へ入り込んだ。

 

「きゅ……っ!?」

「魔剣・首刈り!!」

 

 そして、鋭く喉元を突き上げ、ぶっ飛ばす。

 

「きゅ……!!」

「はぁあっ!!」

 

 続くように、ソニアは棍をバットのように持ち、変な生き物の脳天をぶっ叩く。

 

「ぎゅっ!」

「だぁあっ!!」

 

 更にルカが、ダメ押しの顔面への両足蹴りを放つ。

 

「きゅーっ!!」

 

 圧倒的なダブルアタックを食らった変な生き物は、ぶっ飛んで壁に叩きつけられる。

 

「や、やりすぎちゃった……?」

「はぁ……はぁ……」

 

 ソニアとルカは、変な生き物の様子を伺う。そいつはというと、きゅーきゅー鳴きながらフラフラと立ち上がろうとしている。しかしまぁ、流石にあそこまでやれば、観念して──

 

「二人とも、気ぃ抜くんじゃねぇ! そいつの気は有り余ってるぞ!」

 

 ヴィクトリーの声で、二人はハッとする。

 

 次の瞬間、変な生き物は猛スピードでルカの腹に頭突きしてきた。

 

「がっはぁ……!!?」

 

 ルカはぶっ飛び、壁に叩きつけられる。

 

「ルカっ!」

「きゅ!!」

 

 ルカの所に向かおうとするソニアに、変な生き物が強襲する。

 

「くっ!!」

 

 その変な生き物とぶつかり合う。棍と触手が入り乱れ、激しい攻防が展開された。

 

 棍を持つ手に衝撃が伝わり、ビリビリと腕まで痺れてくる。このままマトモに打ち合っていたら、こっちが先手を取られてしまう。

 

「ぐっぬぬぬ……!! でやぁっ!!」

 

 思い立ったソニアは、渾身の力を込めて、変な生き物の足元を薙ぎ払った。

 

「きゅっ!?」

 

 変な生き物はその足払いに直撃し、体が半回転する。

 

「うぉおおおッ!!」

 

 ここで、ルカが走ってきた。剣を寝かせながら構え、鋭い走り込みから、その変な生き物の腹めがけて突きを一閃する。

 

「きゅ……!!」

 

 変な生き物はぶっ飛ぶものの、体勢を整えて壁を蹴り、また猛スピードの頭突きを繰り出してくる。標的はルカだったが……彼の横に居るソニアが、「待ってました」と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。

 

「ふふん……!」

 

 彼女は、棍をバットのように持つ。正真正銘、野球の打者のように構え、腰をギリリッと捻り、片足を上げ──

 

「えーいっ!!」

 

 全力のフルスイングで、変な生き物をぶっ飛ばした。

 

「きゅ──ーっ!!?」

 

 変な生き物はぶっ飛び、勢いよく天井に頭が埋まってしまった。その際の衝撃でこの家が揺れ、チリが降ってきた。

 

「ほ、ホームラン……」

「見事だな……」

 

 ヴィクトリーとアリスは、目を点にしてそう言う。

 

「きゅー……」

 

 変な生き物は元気を無くしたようだった。

 

「ふぅ……」

「……ちょっとやりすぎちゃったかな?」

 

 

 戦いが落ち着いた所で、ヴィクトリーが変な生き物の触手を掴んで、天井から引っこ抜く。そうしてから、人形か何かのようにそこら辺に置いた。

 

「…………」

「大人しくなったみたいね。驚いて襲ってきただけで、悪い子じゃないんじゃない?」

 

 ソニアは変な生き物の頭を撫でながら、回復魔法をかけてあげる。これで、傷も治った事だろう。

 

「きゅー!」

「ごめんね、もう邪魔しないから……それじゃあ、私達行くね」

「きゅ……」

 

 ガックリしたような表情で、変な生き物は縮こまってしまう。それを不憫に思ったヴィクトリーが、声をかけた。

 

「……なぁ! おめぇつえぇんだな〜! どうだ? 良かったら一緒に冒険してくんねぇか?」

 

 ヴィクトリーの言葉に、ソニア以外の一行がずっこけそうになった。

 

「お前、誰に対してもアクティブなんだな……」

「そんな事よりヴィクトリー……! そんな得体の知れん奴をスカウトするな!」

「え〜、だって……」

「きゅー! きゅー!」

 

 変な生き物は、嬉しそうに鳴き声を上げていた。

 

「む……どうやら、好反応みたいだな……懐かれてしまったか?」

「きゅー! きゅー!」

「一緒に来たいの? それじゃあ、連れて行ってあげようか?」

 

 ソニアは変な生き物を撫でながら、ルカの方に向く。

 

「ねぇルカ、この子を仲間にしてもいいよね?」

「うん。なかなか強かったし、頼りになりそうだからね」

 

 ルカも、快諾してくれたようだ。

 

「きゅー! きゅー!」

「それじゃあ、名前はヌルコね。なんだか、ヌルヌルしてるから……」

「貴様のネーミングセンスは壊滅的だ」

「きゅっきゅっきゅー!」

 

 こうして、変な生き物であるヌルコも仲間となった。

 

「でも……この子、いったい何者なんだろう?」

「そういうのは、仲間にする前に考える事だと思うよ……」

「でも、いいじゃねぇか。なかなかつえぇみてぇだし」

 

 ここで、唐突にヴィクトリーが目を鋭くして、周囲を見回す。不思議に思ったルカが、彼の方を見た。

 

「どうしたんだ?」

「いや……この戦いの音でも聞きつけたのか? あの変な気をしたモンスターが近付いてる……」

「なんだって……!」

 

 情報を整理したいというのに、ここでは落ち着けない。どうやら、まだまだ進むしかないみたいだ。

 

「とりあえず、出るぞ。早いところ進まないと、面倒そうだ」

「ああ……」

 

 アリスの言葉もあり、ルカ達はさっさと民家から出ていったのだった。

 

 

「……おいルカ、見ろよ」

「ん……?」

 

 進んでる最中に、ヴィクトリーがルカに声をかける。

 

 そんな男二人の目線の先……壁に、赤文字で殴り書きされたものがあった。

 

『みんなアポトーシスになる』

 

「アポトーシス……?」

「あの奇妙な魔物どもの名前か……?」

 

 どうやら、ここの不気味な魔物はアポトーシスというらしい。しかし、この壁の殴り書き……アポトーシスに()()とはどういう事なのか。

 

「もしかして、ほっとくと人類全員があの町娘みてぇに変異するんじゃねぇだろうな……」

「ヴィクトリー、こっち」

 

 今度は、ルカがヴィクトリーを呼んできた。

 

 その目の前……紫色の何かに、穴が開いている。例によって、穴の向こうは闇一色だ。

 

「奥に行けるみたいだね」

「ああ……行くしかねぇか」

 

 戦士達はその穴の中に入り、抜ける。酷く暗いが、周囲の何やらがキラキラ光る一本道があった。宇宙を思わせるような光景に、皆は困惑した。

 

「ちょっと……何なのよ、ここ……」

「いったい、どうなっている……? ここは異空間なのか……?」

「ここ、何だか見覚えがある気がする……似たような場所に、来たことあるような……」

「俺にはそんな感覚はねぇな……行こうぜ」

 

 とりあえず、進んでみる。なかなか長い道で、オマケに道の外は星空のような闇に包まれてる。落ちたら、どうなるのか……試そうとは、思えない。

 

 そんなことを思ってたら、神殿のような場所に着いた。その中心部には、魔法陣が展開している。そして進む道も、もう無さそうだ。

 

「行き止まり? この魔法陣は、何なんだろう……」

「これはおそらく、転移の魔法陣だろうな」

 

 そう言ったのは、アリスだった。魔王というだけあり、こういう物には詳しいのだろう。

 

「踏めば、どこかに飛ばされるのだと思うが……」

「ねぇ、もう引き返そうよぉ……」

 

 ソニアは弱々しい声でそう言いながら、ルカとヴィクトリーの肩を叩く。

 

「なぁに言ってんだ。こっからが面白いんだろうが」

「行こう。このまま引き返すなんてできないよ」

「きゅー!」

 

 戦士達は覚悟を決め、魔法陣に足を踏み入れる。次の瞬間、戦士達は光に包まれたのだった。

 

 

 イリアス大陸南の大穴……いつの間にか、戦士達はそこで立っていた。

 

 しかし、様子がおかしい。

 

「あれ、外……? また元のところに戻ってきちゃったのか?」

「でも、なんだか変な感じじゃない? 調査団もいないし、テントも無いし……」

「確かに、妙だ……周囲が妙に荒廃しているし、雰囲気が違う……」

「……」

 

 消えた調査団、荒廃した土地……入口から見た時とは違う風景に、皆が困惑している。

 

 ヴィクトリーは、何か手がかりになるものが無いだろうかと周囲を探索しようとした……その時だった。

 

「ばばーん!」

 

 いきなり、白兎が目の前に現れた。

 

「こんな所まで追いかけてきたの? 君達も、がんばるねー」

「何を白々しい……意図的に、ここまで誘導したのだろう?」

「正直、ここまで来るかどうか五分五分だったんだけどね。やっぱりあの扉、開けちゃったかぁ……」

「ルカが開けてくれたんだよ。どういう訳だか知らねぇけどな」

 

 アリスはヴィクトリーの言葉を聞き、思い出したようにハッとする。

 

「そうだ……なぜルカは、あの扉を開けることができた? あれは、常人には破れないレベルの結界なのだぞ?」

「常人には破れない? そんなレベルじゃないよぉ。あの扉を生身で超えるのは、神様だってムリ」

「それがなぜルカに出来たのだ! こいつが神以上とでも言うのか! 答えろ!」

「もちろん、ルカ君が神の力を持ってるわけじゃないよ。これは、性質の問題かな? ルカ君は出生のゴニョゴニョでアレコレだからね。次元の扉なんか、簡単に超えていけるんだよ。偶発的に扉の向こうに飛ばされるケースはまれにあるけど……自分の意志で行けるなんてのは、前代未聞だよね」

「ええい、分かるように説明しろ! このセリフ何度目だ!」

「ボクは導き手であって、説明役じゃないんだ。分からないことは、自分で確かめなよ……それじゃあ、バイバイ!」

 

 白兎はそう言って手を振り、消えてしまった。嵐のように現れて、嵐のように去っていくのは……まぁ、いつもの事だろうか。

 

「待て……! ぐっ、また逃げられたか……」

「これじゃあ、キリがないよ。追っても追っても逃げられるんじゃ……」

「つっても、追うしかねぇんだろ? 行こうぜ」

「単に戻ってきたようにも見えるが、どうにも違和感がある。この場所は、知っているようで知らない気がするのだ……」

 

 ルカとアリスとヴィクトリーでそう話し合ってから、周囲の探索に踏み出そうとした時だった。

 

「おっと言い忘れっ!」

 

 白兎が、また現れた。

 

「わぁっ!? びっくりさせんな!!」

「あはは、ごめんごめん〜。外はとっても怖い連中がうろついてるから、注意してね。あいつらはお高くとまってるから、土が嫌いなんだ。歩くなら荒れ地とか、土のある場所がオススメだよ。それじゃあね〜!」

 

 そう言って、また消えてしまった。

 

「ぐっ、どこまでも馬鹿にしおって……まぁいい、行くぞ」

 

 イラつきを隠せないアリスの言われるがままに、まずはタルタロスから離れる事にした。

 

 

 そして、道中……

 

「……!!」

 

 ヴィクトリーが、真っ先に鳥肌を立てた。彼の気の察知は、周囲に散在している凄まじい気を捉えていた。今、白兎の言い伝えを破ったら、確実に死ぬことも、嫌でも確信することになる。

 

「気を抜くなよ……この周囲は、危険な気配に満ちているぞ」

 

 アリスの声を受けながら、土の上を歩いて進んでいく……

 

「……」

 

 この散在するやべぇ気は何なんだ……!? どう考えても、普通じゃねぇぞ……!! いったい、ここで何が起こった……!? 

 

 

 果たして、ここは何なのか……戦士達は、いったい何処に辿り着いたのか……

 

 パーティは今、ルカを先頭にして進んでいる。土の道だけを歩き、靴を汚しながら。

 

「……所でルカ、何処に向かってんだ?」

 

 ふと、ヴィクトリーがそんな事を聞いてみる。それに対し、ルカはこっちに向いて、真剣な顔をして……

 

「決まってるだろ……イリアスヴィルだ」

 

 そう言った。

 

 そうか。ここら辺の地形はイリアスヴィル周辺と同じ……だったら、ある筈だ。この地にも、イリアスヴィルが……

 

「……」

 

 とてつもなく嫌な予感がする……パーティの皆がそんな心境を心の奥にしまい込み、進んだのだった。

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