もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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また二手に

 グランドノア城に戻り、メフィストは女王の前に叩き出される。

 

 やはり抵抗する気も見せず、何もかも洗いざらい吐き出した。

 

 今の魔王──アリスフィーズ15世の命令で、グランドノアの魔導顧問となった事。粉骨砕身の思いで働き、グランドノアを危機から救った事。

 

 サバサの件も、魔王の手引きがあったという事。そしてリリス三姉妹とアリスフィーズ15世は利害の一致により、同盟という形を取っている事。

 

 だが、魔王の企みはメフィストにも分からず……彼女もまた、勇者ルカに倒される事を想定されていたようだった。

 

「……いいでしょう。それでは、最後の質問を。グランゴルドの背後にも、魔王の手は伸びていますね?」

「…………ええ。あの国は、魔王様の手により制圧されたと聞いています」

 

 緊張が走り、長い沈黙からの答え。

 

「なんだと!? グランゴルドは、既に母上の……」

「それって、おかしいじゃない! グランゴルドもグランドノアも、魔王が裏に居るんでしょ? それなのに、両国が戦争するってどういう事!? 魔王がわざと、大戦争をやらせてるっていうの!?」

 

 ソニアの言う通り……それが本当だと言うのなら、これは魔王による陰謀。裏で国同士が戦うように仕向けていたということになる。

 

「答えを聞かせてもらおうか、メフィスト。両国を潰し合わせるにしても、度が過ぎてるぞ」

「さて……燕雀(えんじゃく)たる私に鴻鵠(こうこく)の志など分かりかねます。海よりも深い理由があるのでしょう」

「難しい言葉だなぁ」

「呑気かお前は」

 

 呑気な事を言うヴィクトリーの頭を、ルカはしばく。

 

「答える気はないか……やれやれ」

 

 アリスの言う通り──メフィストは、これ以上語る様子は見られなかった。いや、語れることはもう出し尽くしたといった具合だろうか。

 

「これ以上は、尋問も無駄でしょうね。それでは、メフィストの処遇は──」

「ひょっとして、死刑……? ちょっと、後味悪いかも……」

 

 心配するソニアが言うが、グランドノア女王の様子は崩れなかった。

 

「これまで通り、魔導顧問として遇します。今後もグランドノアのために貢献するように」

「了解致しました、陛下」

 

 グランドノア女王もメフィストも、アッサリとしたやり取りでこの件を終わらせてしまった。

 

「えっ、それで済んじゃうの!?」

 

 驚くソニアに、メフィストは不敵に笑いながら向く。

 

「まず、第一に……優れた為政者は、清濁を併せ呑むもの。グランドノアの利益になる人材は、たとえ何者でも使う……まして今は戦時、選り好みなどしていられません」

「でも、裏切るかもしれないでしょ……!?」

「第二に……友人は近くに、敵はもっと近くに置くもの。裏のある者だからこそ、近くで監視すべきなのです。私を通じ、その裏にいる者の動きも探る事ができるはず……勉強になりましたか、僧侶のお嬢さん?」

「なんか腹立つ……」

 

 そういう訳で、メフィストはこれからも引き続きグランドノアの魔導顧問としてここで働くようだ。

 

「まぁ、悪い事しねぇんならそれでいっか!」

 

 ヴィクトリーも納得し、ルカ達も頷く。メフィストは、これで不問とする事になった。

 

「それでは……我が主、魔王様の名誉にかけて誓いましょう。今後も粉骨砕身、このグランドノアのために尽くす事を」

 

 そう言いながら、グランドノア女王の横につくメフィスト。

 

「そういう訳で、疑念の確証は取れました。グランゴルドにも、魔王の手は伸びていたのです。サバサのサラ女王のように……グランゴルドの王も、心を乱されているのかもしれません」

「その可能性は、高いわね……」

「んでもって、心を乱したのはおそらくリリスか……」

 

 当事者のサラと、三姉妹と因縁のあるヴィクトリーが言う。

 

 心を乱したとなると、やはり思い浮かぶのはリリス三姉妹だ。

 

「そして、こたびの大戦も魔王の企てによるもの。それが明らかになった以上、正面から事を構えるのは下策。勇者ルカ、そしてヒーローヴィクトリー……今後とも、協力をお願いできますでしょうか?」

「はい、もちろんです!」

「ああ、やるんなら全力でやるぞ!」

「感謝します、御二方……共に力を合わせ、魔王の陰謀を打ち破りましょう」

 

 元気な二人の返事を聞いたグランドノア女王は、ニコッと笑顔を見せる。そうしてから、一瞬で真剣な表情になった。

 

「では、これより私は重臣達と協議を行います。明らかになった事情を踏まえ、大幅に戦略を練り直さなければ。あなた達は、エスタへ調査に行ってもらえないでしょうか? 以前の約束通り、調査団参加への手続きは済ませておきました」

 

 ようやく、当初の予定であるエスタ調査の許可がこれで降りたのだった。

 

「うむ、それではエスタへ向かうとしよう。西への道を立て札の表示に沿って進めば、迷う事はあるまい」

 

 エスタへの道のりは、そう遠くは無い。ここから西に行って、南の街道沿いに行けばたどり着くのだ。

 

「あなた達が帰還した頃には、こちらの軍議も済んでいるはず。大幅に戦略を練り直し、あなた達の手も借りることになるでしょう。それでは、頼みましたよ」

「はい、任せてください!」

 

 グランドノア女王に言われ、ルカはそう答える。

 

「御二方、多忙な所申し訳無いのですが私からも依頼があるのですが」

 

 なんと、ここでメフィストも手を挙げてきた。何やら、頼みがあるようだ。

 

「なに、この人! 図々しい!」

「まぁまぁ……」

「なんだ、急を要することか?」

 

 声を上げるソニアを、なだめるルカ。とりあえず聞く姿勢を見せる、ヴィクトリー。三人に、メフィストは向いた。

 

「あなた達にとっても、悪い話ではないはずです。ここから西の森……その中に、プランセクト村という魔物の集落があります。そこで、どうにもトラブルが発生したようで……村が二つの勢力に割れ、相争っているのです」

「ん? その争いって植物と昆虫が戦ってたっていう奴か? アリスフィーズ17世っちゅうやつが無理くりに収めたんじゃねぇのか?」

「それが、よからぬ者達のせいで再燃してしまったのです。詳しい事情は、かの村に行けば分かりますよ。そういう訳で、プランセクト村の調停を頼みます。領内の乱れは、敵国に付け入る隙を与えますので……」

 

 そういう訳で、再燃したプランセクト村の抗争の解決を押し付けられたようだ。頼まれた手前、引き下がる訳にもいかない。

 

「失礼します!」

「やっと見つけたぞ、勇者ルカとそのパーティ!」

 

 ここで、女王の間に二人ほど魔物が入ってくる。コロシアムで戦った、あのケルベロスとデュラハンだ。

 

「う、うえぇっ!? 僕達!?」

「な、なんだ!?」

「私達の依頼も、それぞれに受けて欲しいのだ!」

「私達を破ったお前達なら、受けてくれると信じている……!」

 

 一斉にそんなことを言われ、ルカもヴィクトリーも困惑するばかり。だが、様子を見るに……ケルベロスもデュラハンも、()()()()な事になっているようだ。

 

「おやまぁ、大人気ですね」

「困っている者の依頼ならば仕方ありません。軍議には時間も要します。二人はグランドノアの精鋭である以前に、この国の民。その依頼も解決してくれるなら、私も助かります」

「だってよ」

「うーん、よし! また二手に分かれて一気に終わらせちゃおう!」

 

 まさかまさかの、エスタの調査前に依頼ラッシュ。そこでルカは、また2パーティに分かれることを提案してきた。

 

「エスタ近くに精霊のウンディーネが居ると言われる禁忌の泉もあるのを忘れるなよ」

「それもあったわね……精霊との契約に、メフィストの依頼に、二人の依頼に、トドメにエスタ調査……」

「ああ……とりあえず、アーサーの依頼は僕が引き受けるからヴィクトリーはシーザーを頼むよ」

「分かった!」

 

 ルカとヴィクトリーは、アーサーとシーザーの依頼を聞きながら作戦を立てるのだった。

 

 

「……よし、作戦は纏まったね」

 

 そう言うルカの後ろには、アーサー……そして、アリスとソニアとヌルコが居る。

 

「ああ!」

 

 返事をするヴィクトリーの後ろには、シーザー……そして、サラとヒルデとプロメスティンが居る。

 

「それじゃあ……僕はヤマタイ村でアーサーの依頼をこなしてから、グランドノアに戻って西に進んで、その北にあるウンディーネの泉で契約をしてから南下してエスタに行く」

 

 アーサーから頼まれたのは、ヤマタイ村で四神社で異変が起きてるのでその対処に当たって欲しいとのことだ。それの後にウンディーネの泉となると、右に行ったり左に行ったりと少し忙しい。

 

「ヴィクトリーはシーザーの依頼をこなした後に、そのまま西に行ってプランセクト村での異変解決だよね。その後に南にちょっといって突き当たりを西へ行けばエスタに着くはず」

 

 シーザーからは、失踪したミノタウロス族の仲間の捜索を頼まれた。なんでも、ミノタウロス族の部下が一斉に姿を消して帰ってこないというのだ。それが終わればグランドノアに飛び、また西に行ってプランセクト村へ……と言った感じになっている。

 

「そんじゃあ、エスタで落ち合うことになるな」

「そういうこと」

 

 それぞれの依頼を終わらせ、エスタで落ち合う。これが大まかな流れだ。

 

「それじゃあ、またエスタで!」

「ああ!」

 

 それだけ確認し、ルカとヴィクトリーは右と左へ別れた。

 

「ずいぶん、信頼してるようだな」

 

 そんな事を、アーサーはルカに、シーザーはヴィクトリーに言う。

 

「ああ、ヴィクトリーは僕以外の男手でいちばん強いからね……それに──」

「ああ、ルカは強い上に俺よりしっかりしてるからな……それに──」

 

 そう言ってから、まっすぐ前を見る。それぞれの進むべき道に向かいながら、二人は笑った。

 

「──僕/俺は、信じられてるから」

 

 同じ事を言いながら、互いを信頼する二人。そんな勇者のパーティは、また二手に分かれるのだった。

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