もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ミノタウロス族集団失踪事件

「……それでは、改めて事件の概要を説明する」

 

 シーザーは、改まってヴィクトリー達に向いた。サラとヒルデとプロメスティンも、聞く姿勢を見せている。

 

「ここ最近、我が隊のミノタウロスが失踪しているのだ。いや、我が隊の者だけではなく、ミノタウロス族達が謎の失踪を続けている。彼女達は我が隊の中でも特にパワーがあり、居ないと私達も困る」

「それは……妙な事件ね。失踪しているのはミノタウロス族だけなのよね?」

「集団でどっか行っちゃった……?」

「でも、全員じゃねぇだろ? 鍛冶屋にもミノタウロスが居たぞ」

「失踪した彼女らに、何か共通項があるのかもしれません。探りを入れる必要がありますね」

 

 事件は、思ったよりも深刻。このご時世に、国の戦闘員でもあるミノタウロス達が失踪したまま帰ってこないとなると、少し危ない状況なのかもしれない。

 

「そのために、まずは街の情報源である酒場に向かおうと思っているのだ。べ、別に酒が飲みたい訳ではないぞ!」

「俺も酒は飲めねぇよ……」

「私も、あまり羽目を外せない身分だから……」

「私達のパーティは全員下戸(げこ)ですからね」

「げこ……? ヒルデ達、カエルなの?」

 

 ヴィクトリーもサラもプロメスティンもヒルデも、酒の類は飲まない。だが、情報とはたいてい酒場にあるものだ。先程までの情報だけでは詳細は分からないので、向かうしかない。

 

「そーいや、前も情報集めに酒場に行ったりしてたなぁ。なんで酒場なんだ?」

「酒場には色々な大人が集まるからよ。平民はもちろん商人や衛兵も……その客層は非常に広いものになるわ」

「そういう場所なので、様々な情報が錯綜していて……たいてい、情報屋がそれを整理して売っていたりもしてます。このご時世、情報とは兵器以上の強い力にもなりますからね」

 

 サラとプロメスティンの説明を聞きながら歩いてると、あっという間に酒場。グランゴルドは戦時中なので、前線に行く前に飲みに行く衛兵が沢山いる。

 

「昼なのに賑わってるわね」

「衛兵からしたら、最後の一杯になるかも知れんからな」

 

 サラの言葉に、シーザーは真剣な顔でそう返す。平和に見える街並みのこういう光景は、嫌でも今が大戦中ということを思い出させた。

 

「情報屋さん、居るかなぁ?」

「一応情報屋ギルドには加入してっから、金出す必要はねぇらしいぞ」

 

 ヒルデと一緒に周りを見るヴィクトリーがそう言い、シーザーは「ほう」と言いながら彼を見た。

 

「都合がいいのだな」

「上半身が蛇で下半身が人間のラミアに世話になったからなぁ」

「それ、ほとんど化け物じゃない……」

 

 話していると、シーザーは一人の男に目をつけた。静かに酒を飲んでるその男は、何やらメモ書きを整理している。

 

「お前が情報屋か?」

「ああ、如何にも……売って欲しい情報はあるか?」

「売って欲しいっちゅーか、同業者だぞ」

 

 ヴィクトリーは、情報屋に『情報屋の掟』を見せる。

 

「それは、アミラの……あぁ、確かに同業者のようだな」

「何か情報をシェアする必要あるか? 黒のヴィクトリーはヴィクトリー本人じゃねぇとか」

「いつまで根に持ってるんですか」

 

 ヴィクトリーの言葉に、呆れるプロメスティン。だが、情報屋は笑って首を横に振った。

 

「いや、平気だ……今はそれほど困ってないし、大戦中とだけあって売れ行きも良くて気分もいい」

「太っ腹だね……」

「あまり手放しでは喜べないけど……」

 

 ヒルデもサラも、都合がいいが難しい顔。

 

「なら、言葉に甘えさせてもらう。ミノタウロスの集団失踪事件の事で何か情報は無いか?」

 

 シーザーが聞くと、情報屋は手早くメモ書きを整理して並べ直す。

 

「……ああ、これか? 確かにその件についての情報はある。なんでも、ミノタウロス族に片っ端から招待状が届いているらしい。鍛冶屋のミノタウロスは多忙で招待を断ったらしいから、そこを当たればなんか分かるかもな」

「おお、鍛冶屋のミノタウロスだな! ありがとう!」

 

 思ったよりも早く、本命の情報が見つかった。

 

 招待状が、ミノタウロス族に片っ端から……彼女達はまんまとその招待を受け、そして帰ってこなくなってしまっているのだろう。

 

「招待状って、何のだ……?」

「さぁな。俺もそこまでは分からん……それを知る為にも、鍛冶屋に行くのが手っ取り早いんじゃないか?」

 

 情報屋はそう言い、ヴィクトリーもそれに「ああ」と頷く。

 

「ミノタウロス族が行って帰って来れなくなってるって……絶対、文面通りの招待じゃないわよね」

「そうだな……裏があると見ていいだろう」

 

 サラとシーザーはそう話し、酒場を後にする。

 

 次に向かうのは、当然鍛冶屋。足早に向かえばそこまで距離が無いので、すぐに着いた。

 

 そこには、鍛冶屋のオヤジとその弟子のミノタウロスが居たのだった。

 

「オッス!」

「おお、コロシアムの優勝パーティと、第二連隊隊長の! 見ていたぜ!」

 

 オヤジはそう言って、ヴィクトリー達を歓迎する。

 

 あの戦いは、街では世紀の一戦として刻まれている。ヴィクトリー達は、すっかり有名人だ。

 

「ああ、悪いが今日は鍛冶を頼みに来た訳ではない。少しそこのミノタウロスから話を聞きたくてな」

「おお、そうか!」

 

 シーザーとオヤジがそう話すと、ミノタウロスがこっちに向いてきた。

 

「ん、あたしに何か用か?」

「何か変なところから招待状来てねぇか?」

 

 ヴィクトリーに言われた彼女は、「ああ!」と元気よく返事する。そして、ごそごそと自分の机を漁ったと思えば、一枚の紙を出てきた。

 

「これだ! すきやきパーティの招待状!」

「す、すきやき……ミノタウロスが……?」

「ミノタウロス()なのでしょうか、ミノタウロス()なのでしょうか……」

「すきやき……おいしそう……」

 

 困惑するサラと、不穏な事を言うプロメスティンと、呑気なヒルデ。だが、ミノタウロスは残念そうな顔を浮かべる。

 

「すきやきは美味しそうだけど、あたしは鍛冶の修行で忙しいんだ! よかったら行ってすきやき持って返ってきてくれよー!」

「お、おう……す、すきやきか……」

 

 そうして、ヴィクトリーに招待状が渡された。シーザー達はその内容を、覗き込む。

 

 ミノタウロスの迷宮という場所で、すきやきパーティを開催するという旨の内容だった。

 

「ミノタウロスの迷宮……?」

「ああ、たしか西の洞窟を超えた先にそんな廃城があったな。この紙にも書かれてる」

 

 地元民であるシーザーは、そう言う。

 

「それって……街から離れて洞窟を隔てた先の廃城までミノタウロス達を誘い込んでるって事?」

「そこで行われる『すきやきパーティ』……これは意味深ですね」

 

 サラとプロメスティンの言う通り、これは何やら不穏な感じがする。戻ってこないミノタウロス達は、もうすきやきにされてしまったのだろうか。

 

「とにかく、行かねぇと」

「ああ、すぐに向かうぞ!」

「ヒーローズ、出動だね。やー!」

「まだそれ覚えてたんですか……」

「ヒーローズって……私達も?」

 

 向かうべき場所が分かったので、ヴィクトリー達は動き出すのだった。

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