もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「牛魔王……牛魔王って、あの
「
間抜けに言うヴィクトリーに、斉天大聖は呆れたように言う。
聞いていたサラ達は、これまた驚いていた。
「牛魔王……それも、神話の怪物よね。まさか、ここにいるのも……?」
「あいや、ここにいるのは直系の子孫さ。初代が俺に討たれてからは、今代まで斜陽の一族だったが……今回になってこうしてミノタウロスを集めて軍団を結成し、動き出そうとしているんだ」
「なるほど、それですきやきパーティか……うーむ……」
シーザーは、唸りながら周りを見る。
ミノタウロス達は、牛魔王の野望など知らんといった風ですきやきを食べ続けていた。
「まぁ、上手くはいってねぇみてぇだけどな……さて、どうするんだお前達は?」
「無論、牛魔王を倒してミノタウロス達を解散させる。我がグランドノアは今も戦火の最中なのだ」
「牛魔王って奴も強ぇのか、確かめてぇしな」
シーザーとヴィクトリーが立ち上がり、他のメンバーも続いて立つ。
「牛魔王はこの上だろ? どうにかしてこのすきやきパーティもやめさせて、グランドノアにミノタウロス達を返さねぇとな」
「へぇ、そうか……お前達が、牛魔王に……」
斉天大聖はそう言って、考える。
「……」
勇者ルカならばその場で戦っても良かったが……相手がヴィクトリーなら手を出すなと
「おっしゃ! それじゃあ牛魔王との戦い、この俺が立ち合ってやるよ!」
「ほぇ?」
「立ち合うって……あなたは戦わないの?」
「ああ、お前達の実力も気になるしな……それともなんだ、この俺の実力も気になるのか?」
斉天大聖が挑発的に言うと、ヴィクトリーも考える。そこで、プロメスティンが彼の隣に出た。
「ヴィクトリーさん、ここは提案に乗りましょう。まだ敵か味方かも確定していませんが、交戦しないと言うならそれに越したことはありません」
「そうだな……ほんじゃ、牛魔王と俺とで決闘だな」
「おっしゃあ決まりィ! この孫悟空さまが、サイヤ人と牛魔王の決闘を見守ってやるよ!」
そうして、斉天大聖がそう言って仕切ろうとした時だった。
「誰と誰の決闘が何だって?」
そんな声が聞こえたと思った瞬間、斉天大聖の
「なっ!!?」
「きゃ……!!!」
「うおぉっ!!?」
驚くシーザーとサラを背後に置いたヴィクトリーは、腕を交差して衝撃を受け止める。
「……これはっ……」
「巨大な生体反応……牛魔王みたいだね」
プロメスティンとヒルデが見上げた先……そこには、巨人のようなミノタウロスが居た。
長い金髪を揺らしながら金の装飾を身に纏い、高い格式を表している。そして、彼女こそが牛魔王であると誰もが判断した。
「……おいおい、焦んじゃねぇよ! 戦うのは俺じゃねぇって!」
土煙の中から、斉天大聖の元気な声がする。その煙が晴れると、片腕で牛魔王の大斧を受け止めていたようだった。
「なに……!?」
「……!」
巨大な刃が腕に食い込んでるのにも関わらず、出血も何もしていない。腕の力だけで、牛魔王の巨体から放たれるパワーを止めたようだった。
「お前が戦うのは、あっちだ」
斉天大聖はそう言いながら、ヴィクトリーを指す。指された彼は、「オッス」なんて言って牛魔王を見上げていた。
「ほう……美味そうな男じゃないか」
「アイツに勝てたら、俺もこの場は見逃してやるさ」
斉天大聖がそう言うと、牛魔王は斧を彼女の腕から離してヴィクトリーに向かう。
「俺、ヴィクトリー! 一応頼んでおくけど……ミノタウロス達はグランドノアの大事な戦力なんだ! グランドノアは戦争中だし、これだけの人数のミノタウロスが居なくなったら困っちまうよ! だから返してくれ!」
元気に言うヴィクトリーを、牛魔王は見下し嘲笑った。
「ふん、人間同士の戦争など妾は知ったことでは無い。それより妾はこの地の獣魔を束ねて世界最強の軍団を作りあげ、初代様の栄光を取り戻すのだ!」
「やっぱし聞いちゃくれねぇか……」
「聞き入れて欲しければ妾を倒す事だな」
睨み合う、ヴィクトリーと牛魔王。二人の好戦的な視線がぶつかり合い、バチバチと見えない火花が散る。
「ちょっと、ヴィクトリー……こんな巨体の相手に、一人で挑むつもりなの……!?」
「ああ。相手の体がでかいからって勝負から逃げてちゃ、ヒーローは務まらねぇよ」
心配するサラに、そう言うヴィクトリー。臆することなく牛魔王に向き、かつかつと歩く。
「あいつ、性格はいいな」
斉天大聖も、彼の言葉に感服していた。
「外に出ようぜ。そんな巨体でこの室内だと、本気出せねぇだろ」
「とことんまで本気でやりたいようだな……良いだろう」
牛魔王とヴィクトリーはミノタウロスの迷宮から出て、外で相見える。それを追ったサラ達や牛魔王の配下とすきやき目当てに集まったミノタウロス達は観戦する姿勢を見せた。むろん、観戦飯はミズタウロスお手製のすきやきだ。
ヴィクトリーと牛魔王。子供と大人どころではない体格差の二人が向き合い、構える。その間に斉天大聖が着地して背中の棍を取り回した。
「それじゃあ、準備はいいな?」
斉天大聖が聞き、ヴィクトリーと牛魔王の目が鋭くなる。二人とも、もう既にやる気満々のようだった。
「それじゃあ、よぉいっ! 始めぇッッッ!!!」
斉天大聖の棍が、地面を叩く。大地を揺らすその一撃が、開戦の銅鑼代わりとなって戦いが始まったのだった。