もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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テスカトリポカ登場

「よう!」

「うわっ」

 

 突如として皆を連れて瞬間移動してきたヴィクトリーに、プリエステスは思わず素の反応で返してしまう。だが、すぐに真剣になって向き合った。

 

「それで……どうするのですか?」

「ああ……クィーンビーと話し合ったんだけどよ、お互い戦いは止めた方が良いと思うぜ」

 

 ヴィクトリーの言葉に、プリエステスは顔をしかめる。だが、彼の後ろの仲間達も口を開いた。

 

「そうね……元々はテスカトリポカとケツァルコァトルの喧嘩から始まった話だし、これ以上付き合う義理は無いはずよ」

「向こうも、これ以上の戦いは望んでいないようでした」

「このまま戦いを止めれば、レド山を居住地としてこの村には干渉しないとも言っている」

「戦わないで済むなら、それが一番……」

 

 サラ、プロメスティン、シーザー、ヒルデ……口を揃えて言う彼女らに、嘘をついてる様子は無い。

 

「確かに、一度は静まった争乱。このまま穏便に終わるのなら、それが一番ですね……ッスーッ……ハァ──────ッ…………」

 

 プリエステスは、納得した様子で息を吐いた。ようやく、重荷から解放されると言った風に、深く深く息を吐いた。その様子を見たヴィクトリーは、「ははは」なんて苦笑い。

 

「ほ、本当にお疲れ様だな……」

「本当ですよ全く……その条件で戦いを止めましょう。レド山の植物族達を引き上げさせて──」

 

 ようやく話が纏まろうとした、その時だった。

 

「そうはいかないのニャ!」

 

 突如として、プリエステスの後ろ──カナン三姉妹が控えていたその背後──に、強大な気が現れた。

 

 向くと、そこには豹の下半身を有する、鎌を持った猫の魔物娘が居た。彼女こそが、この争乱の原因……伝説の魔物、『テスカトリポカ』だった。

 

「この森の支配者は、あたしなのニャ! 勝手な事は許さないのニャー!」

「おめぇがテスカトリポカか!!」

「ふざけないでください、植物族の長は私です。そして、無益な戦いをこれ以上続ける訳にも行きません」

 

 ようやく上手く話が纏まろうとした所に、乱入してきたテスカトリポカ。それに対し、プリエステスは青筋を浮かべながら立ち上がる。

 

「あたしに逆らうのかニャ? それなら、思い知らせてやるのニャー!」

「……カナン三姉妹!!」

 

 プリエステスに言われた彼女らは、ハッとして構える。そして、気を解放した。

 

「了解……!」

「全力でやるわ!」

「三人がかりなら!」

「ウニャー! 邪魔ニャー!」

 

 だが、テスカトリポカは三人の前に高速移動してくる。そして、鎌の一振りで三人ともぶっ飛ばしてしまった。

 

「……っ!」

 

 カナン三姉妹……彼女らは、植物族の中でも特に戦闘に特化した者達。決して弱い訳ではない。だがそんな三体が、一瞬で蹴散らされてしまった。

 

「く……!!」

「……()()()()じゃねぇか!」

 

 歯噛みするプリエステスの横で、ヴィクトリーはそう言って構える。それを見た彼の仲間達も、構えて臨戦態勢を取った。相手が相手なので、総力戦だ。

 

「何人来ようが、無駄なのニャ! あたしはネコの女王、無敵なのニャー!」

 

 テスカトリポカはそう吼え、襲いかかってきた。

 

「こうなったら、私も戦います……! どうか、ご助力を!」

「言われなくてもそのつもりさ!」

 

 プリエステスが言う隣で、ヴィクトリーは(スーパー)サイヤ人になりながら応える。それを見たテスカトリポカは、ハッとして彼の方に向き直した。

 

「ウニャッ! やっぱりお前、アイツと同じニャ!」

「アイツ?」

「黒い格好でお前と同じ顔の奴と知り合いなのニャ! アイツには手を出すなとは言われてたけど……ここで好き勝手するのなら、容赦はしないニャー!」

 

 テスカトリポカはそう言いながら、両手持ちした鎌を何度も振るってくる。そこから闇のエネルギーが無数に飛んできて、ヴィクトリーに飛んできた。

 

「あだだだだだだぁっ!!」

 

 ヴィクトリーは、素手でそれらを次々に弾き飛ばす。そして、彼の背後からツタが伸び、それがテスカトリポカをグルグルと巻き上げた。プリエステスのツタだった。

 

「ウニャッ!?」

「アオーンッ!!」

 

 そこに、三つ首で吼えながらシーザーが飛び込んでくる。両腕を振り上げ、勢い付けた強烈な叩きつけをテスカトリポカの頭に叩き込んだ。

 

 テスカトリポカの足が、地面に埋まる。大地が砕け、衝撃波が巻き起こる。だが、その手応えは異様だった。

 

「……ぐ……!?」

「そんな程度の威力じゃ、マッサージにしかならないニャ!」

 

 テスカトリポカは頭にシーザーの手を受けながら余裕の表情を見せ、両手を突き出す。そこから闇の力を込めたエネルギー波を放ち、シーザーを爆破した。

 

「ちっ……やるな!!」

 

 爆煙から後退(あとずさ)り、倒れないように踏ん張って構え直すシーザー。かなりの威力の技だったが、その顔にはまだまだ余裕がある。

 

「だが、そう来なくちゃガッカリする所だ!」

 

 そう言うシーザーの後ろから、ヒルデとヴィクトリーが飛び出してくる。

 

「いくぞ!」

「ビームデスサイズ、起動」

 

 ヴィクトリーは剣で、ヒルデは【ビームデスサイズ】を起動し、二人合わせて無数の斬撃を繰り出す。

 

 幾重もの斬撃がテスカトリポカに襲いかかるも、彼女は自らの得物だけでそれらを凌ぎ続けた。

 

「とろい攻撃だニャ!」

 

 テスカトリポカがそう言いながら、腕に力を込める。それで強烈な横凪ぎを放ってきた。

 

「うわっ!?」

「くっ……!」

 

 ヴィクトリーもヒルデも自分の得物で防御するも、それでも威力を流し切れずに靴を擦らせながら大きく後退する。だが、テスカトリポカはヴィクトリーに迫った。

 

「ウニャー! 【ネコスラッシュ】!」

「!!!」

 

 下半身の豹の前足で、アッパーカットを放ってくるテスカトリポカ。ヴィクトリーは咄嗟に剣でのガードを間に合わせたが、その剣がかち上げられて後方へ飛ばされてしまった。

 

「っちぃっ!」

「シャアーッ!!」

「させないっ!!」

 

 続けざまに攻撃を繰り出そうとするテスカトリポカだが、後方からサラが飛んでくる。しかも先程のヴィクトリーの剣を握って二刀流になっており、それで強烈な兜割りを放ってきた。

 

「フニャッ!?」

 

 だが、テスカトリポカの反射神経がバックステップを間に合わせた。標的を逃したサラの剣は、虚しく地面を叩くだけだった。

 

「外したっ……!!」

「残念だったニャ!」

 

 テスカトリポカは鎌を握り込み、闇のエネルギーを込めて何回も振ってくる。そこから無数の斬撃が飛び、またヴィクトリー達に襲いかかってきた。

 

「っくそぉっ!! 強ぇぞあいつ!!」

「攻撃が重いっ……!!」

 

 一発一発が強烈な斬撃に、ヴィクトリーの気を纏った防御も切り破れそうになる。サラやヒルデも自分の武器でプリエステスを守りながらどうにか凌いでるが、苦しそうだ。

 

「ニャー! このままお前達もろとも、プリエステスもナマスにしてやるのニャー!」

 

 そう言いながら斬撃を連打するテスカトリポカだったが……突如として、彼女の周りの地面から植物のツタが飛び出し、それが拘束してきた。

 

「ニャアッ!?」

「捉えましたよ……!」

 

 声を上げたのは、プロメスティン。テスカトリポカがその方向に向くと……彼女だけでなく、カナン三姉妹が手を向けていた。

 

「ウニャ! さっきの雑草ども!!」

「今は疲労が溜まっていてフルパワーが出せないだけですが……」

「この天使のおかげで傷は多少治りました」

「三人がかりの拘束なら、次の攻撃は当たるはずよ!」

 

 プロメスティンは負傷したカナン三姉妹を医術で治療し、隙を見てカナン三姉妹に拘束させたのだった。

 

「ニャー! 小賢しいニャ! 今のお前達の攻撃力じゃ、マッサージにしかならないと言ってるニャー!」

「ほう、ならば堪能して貰おうか」

 

 シーザーはそう言うと、テスカトリポカの下半身──豹の体を有している、その腰部分──を叩いた。

 

「ッフニャア……!?」

 

 快感に全身をびくんっと跳ねさせ、とろけた顔を晒すテスカトリポカ。だが、そこにヴィクトリーが前転(ローリング)で迫っていた。

 

「ッッどりゃあぁあッッッ!!!」

 

 そのまま、テスカトリポカのとろけ顔に渾身の(まんじ)蹴りを叩き込んだ。あまりの威力に大気がビリビリと震え、拘束していたツタもブチブチと千切れ、彼女は吹っ飛んでしまった。

 

「っおっしゃあっ!!」

「決まったわね!」

 

 ようやく決まった、確かな手応え。猫が腰を叩かれてリラックスするように、テスカトリポカの腰を叩いて脱力させ……そこに渾身の一撃。

 

 吹っ飛んだテスカトリポカだが、すぐに体勢を整え着地する。

 

「……フーッ……フシャーッ!!」

 

 テスカトリポカは蹴られた所を撫でながら、ヴィクトリーを睨みつけている。どうやら効いてはいるものの、怒らせただけのようだ。

 

「げ、あんまし効いてねぇな」

「もう許さんニャ!! 黒のヴィクトリーとの約束なんて知らないのニャ! 死ぬ寸前まで痛めつけて性奴隷として飼い殺してやるニャ!!」

「普通に殺してくれ」

 

 構えるヴィクトリーに、気を解放しながら突撃するテスカトリポカ。

 

 しかし、次の瞬間……横から何者かが蹴りを入れ、彼女を蹴っ飛ばした。

 

「ニャ────ッ!!?」

「うおっ……!!? って、おめぇは!!」

「クィーンビー!!」

 

 思わず、プリエステスが前に出てくる。

 

「はぁ、はぁ……すまない、また手を借りたい……!」

 

 そう、この場にクィーンビーが乱入してきたのだ。それも、どうやら味方になってくれるっぽいが……様子が変だ。

 

「……!!!」

 

 そう思っていると、ヴィクトリーの気の察知に強大な気が引っかかる。すぐさまに目を向けると、そこには蛇の下半身を有するハーピーが上空からこちらを見下ろしていた。

 

「ニャッ! コアトリ!!」

 

 バネ細工のように飛び起きたテスカトリポカは、そう言って()め上げる。その口ぶりからして、間違いない。『ケツァルコァトル』が、ここに来たのだった。

 

「おい、マジかよ……!!」

「ケツァルコァトル……神話の魔物が、二体も揃い踏むなんて!」

 

 驚いて、そんな事を言うヴィクトリーとサラ。

 

 一気に、緊張が走るプランセクト村。森全体が強風と異様な空気でざわめき、強者特有の気がこの場を席巻する。

 

「命あっての物種よ……私達は避難するわ」

「はい、充分です」

 

 避難するカナン三姉妹を、プロメスティンはそう言って見送る。

 

 一方のケツァルコァトルは、クィーンビーに向き……その横に居るヴィクトリーを見た。

 

「……なるほど。わざわざ速い逃げ足でレド山から離れたのは……自分の部下を守りつつ、赤のヴィクトリーに助けを求める為ですか」

「その通り……妾の子も、新たな居住地も、貴様との戦いに巻き込む訳にはいかん」

「ここは一時共闘と行きましょう……和平交渉の責任者に死なれては、困ります」

 

 クィーンビーとプリエステスは、揃って構える。

 

「ウニャニャー! コアトリ! あたしの邪魔をする気かニャー!」

「言ってなさい、バカネコ……! そっちこそ、邪魔をするなら諸共蹴散らしますよ!」

「上等だニャ! たまには戦争みたいな喧嘩をしたいと思っていた所だニャ!」

「そうね……この際、洒落にならない奴を思いっきりぶつけ合わせてみましょうか!」

 

 なんと、テスカトリポカまでケツァルコァトルに向いて構えた。

 

「ど、どういうバトルだ……!!?」

 

 ヴィクトリーも、とりあえず構え直すのだった。

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