もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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エスタ調査へ……

 事が終わって、プリエステスとクィーンビーが話し合う。

 

「では、私はプランセクト村を……あなたはレド山を領地として、お互いに領域を侵すことなく、時には協力し合う」

「ああ、それで構わん」

 

 その話はすぐに纏まり、二人は握手を交わしたのだった。

 

 それを見ていた昆虫族、植物族……そしてヴィクトリー達は、拍手を送る。長きに渡る因縁が、遂にここで終焉を迎えたのだった。

 

「ありがとうございます、ヴィクトリー。貴方には、なんと礼を言ったらいいか……この身を捧げて既成事実を……」

「幾ら礼をしても足らんと思うな……そちらさえ良ければ、是非とも一晩を共にしてもいいぞ?」

「ははは、ヒーローとして為すべきを為しただけだ。気にすんなって!」

 

 何処か(いや)らしい目で礼をする二人に、ヴィクトリーは気付かないで笑いながらサムズアップで返す。

 

「御二方」

 

 そこに真剣な声のサラが入ってきて、ヴィクトリーの横についた。

 

「礼を受けたいのは山々なのだけど、私達には次の目的があるわ」

「ああ、そうなんだよ。実はエスタってトコ調べなきゃならねぇんだ」

 

 そう、ヴィクトリー達には本命の目的があったのだ。

 

 エスタ調査……このプランセクト村の南西にエスタというゴーストタウンがあり、その近くにはタルタロスもある。この村で色々な事を調査して、ルビアナとの類似点やマルケルスの足跡を追えるかもしれない。また、タルタロスの中にも入れたら入りたいところだ。

 

「エスタですか……詳しい事は分かりませんが、今やグランドノアの調査団しか居ないとは聞いています。リマ村と同じようにグランゴルドの仕業ではないかという噂もありましたが……それは、絶対に違うでしょう」

「グランゴルドの砦近くの村だったな……妾達も惨憺(さんたん)たる様子であった事は聞いている。だが、エスタにはそう言った殺戮や破壊の痕は無く、人だけが居なくなっているという話だ」

 

 プリエステスとクィーンビーも、真剣になってそう言う。

 

 リマ村に関して……戦争中で村の外の事をよく把握し切れてない彼女達ですらそう言うという事は、その悲惨な噂はやはり有名らしい。

 

 それとはまた毛色の違う、不気味な町エスタ。聞けば聞くほど、ルビアナと同じ状況なのが目に浮かぶ。

 

「やっぱしただのゴーストタウンじゃねぇって事か……」

「ルビアナはサバサの調査隊が調べていたけど……結果は出てないわ」

「ヒルデ、しばらく退屈……」

「私は調査と聞いてワクワクしています。もしかしたら、思いもよらぬモノや発見があるかもしれませんからね……!」

 

 思い思いに言う、ヴィクトリー達。そんな彼らに、シーザーが向いた。

 

「それでは、私はグランドノアに戻って女王陛下にこれまでの事を報告する。そちらのエスタ調査が終わり次第に、ポケット魔王城という所にも行かせてもらおうか」

「おお、本当か!?」

「また修練場が賑やかになりそうね」

 

 そういう訳でシーザーは、これにて一時離脱。ヴィクトリー、サラ、ヒルデ、プロメスティンの見慣れた面子でエスタに行くことになる。

 

「まぁ、急がずとも少しぐらいは休憩してもいいのでは? 休息しないと私のようになりますよ」

「凄い説得力ですね……」

 

 プリエステスの言葉に、プロメスティンがそう言う。

 

 ヴィクトリーも「はは」と笑ってから、向き直した。

 

「それもそうだけど、ルカ達が待ってるかもしれねぇんだ。早く行かねぇとな」

「なんと、待ち合わせでしたか……それなら仕方ありませんね」

「妾達は自らの領土でひっそり暮らす。用があれば気軽に訪ねるがいい」

 

 プリエステスとクィーンビーに見送られながら、ヴィクトリー達はプランセクト村を出るのだった。

 

 

 プランセクト村から出て南下し、突き当たった街道を西に進む。

 

「ねぇヴィクトリー、この旅が終わった後の事って考えてるの?」

 

 唐突に、サラがそう聞いてきた。

 

「ん? あぁ、そう言えば考えてねぇなぁ……一人で世界をもう一周しようかなとは考えてっけど、いつまでも流浪する訳にもいかねぇだろうしな」

「かつてのヒーローがホームレスですか……」

「それは悲しい……」

 

 プロメスティンとヒルデにも言われ、ヴィクトリーは「むむむ」と難しい顔。サラはそんな彼の横顔を覗いた。

 

「ねぇ、もし行く宛てが無かったら……サバサの近衛(このえ)にならない?」

 

 そう提案するサラに、ヴィクトリーは間の抜けた様子で「コノエ……?」なんて言う。

 

「サバサの兵士になるっちゅうことか?」

「そうよ。衣食住に不自由はさせないわ」

「そりゃ魅力的な提案だなぁ……」

 

 そう言いながら、悩むヴィクトリー。

 

「別に今すぐなれって言う訳じゃないわよ。でも、困ったらサバサに来て欲しいわ」

 

 そう後押しするサラに、プロメスティンが向いた。

 

「すみません……サラさんは、ヴィクトリーさんに恋愛感情を抱いているのですか?」

 

 単刀直入、あるいはノンデリカシーにそう聞いてきたプロメスティンだが、サラは動揺した様子は見せずに至って冷静だった。

 

「そんなんじゃないわ。ただ、これまでの旅路で助けられっぱなしだったから……サバサの女王として、何か返せないかと思ったのよ」

 

 サラがそう言うと、ヴィクトリーは「ははは」と笑った。

 

「別に見返りなんて求めて戦ってた訳じゃねぇけど……どうしても困ったら、お言葉に甘えちまおうかな!」

「ふふ、遠慮しなくていいのよ。私とヴィクトリーの仲なんだから」

「ふーむ、あくまで友情という訳ですね……」

 

 笑うヴィクトリーとサラだが、残念そうなプロメスティン。

 

「なんでそんなテンションなんだ……?」

「だってほら、もしサラさんとヴィクトリーさんが子作りすればサイヤ人と淫魔のハーフが誕生するじゃないですか。そうなれば、より研究が捗りますよね!」

「ますよね、じゃねぇ! このマッドサイエンジェル!」

「人の子供を研究対象にしないでよ!」

 

 嬉々として言うプロメスティンに、怒るヴィクトリーとサラ。相も変わらず、マッドサイエンジェルに人の心はあまり無い模様だ。

 

「難しいおはなし……ヒルデ、わからない……」

 

 なんとなしに会話を聞きながら、そうボヤくヒルデ。

 

 そうしながら歩いていると、間もなくエスタが見えてきた。村の前にはグランドノアの憲兵が居り、関係者以外の立ち入りを禁止しているというのが分かる。

 

「ルカは……」

「おーい!」

 

 ヴィクトリーの横から、声がかかる。皆でそちらに向くと、やはりルカのパーティが歩いてきたのだった。

 

「おお、ルカ! もしかして待たせちまったか?」

「いや、僕達も今終わった所だよ」

 

 ルカとヴィクトリーは向き合い、そうしながら互いに気を探る。

 

 すると、ヴィクトリーの気の察知に慣れない精霊の気が引っかかった。

 

「……もしかして、そいつがウンディーネっちゅう奴か?」

「ああ……扱いはどの精霊よりも難しいけど、強力なんだよ」

 

 ルカは、どうやら無事にウンディーネとの契約に成功したらしい。着実に、マルケルスの言伝が遂行されている。

 

 ここで、ルカの体から小さい水のエネルギーが浮かび上がる。そして、その姿を晒した。

 

「……あなたがヴィクトリーね。話は聞いてるわ」

「おう、よろしくな!」

 

 新たなルカの仲間にも挨拶を済ませ、改めてエスタの入口に向かう。

 

「こっちは、ほぼお使いだったわね……デュラハンのアーサーもグランドノアに報告しに帰っちゃったし」

 

 そう言うソニアの足元で、ヌルコは「きゅきゅっ」と鳴く。

 

「だが、四天王のたまもとエルベティエに会えた。二人とも、尋常ではない様子だったがな」

 

 アリスがそう言って、ため息を吐いた。

 

「他の四天王にも会えたんか」

 

 ヴィクトリーも、とりあえずそう返しておく。

 

 魔王であるアリスにとって、四天王は元々信頼できる部下。それが尋常ではない様子で目の前に現れたとなれば、思うことは色々あるのだろう。

 

「……話すには少し時間が欲しい」

「僕も共有しておきたい事が幾つかあるし、調査が終わったら休憩できる場所で話し合おうか」

 

 複雑な表情をするアリスを見かねたルカが、そう言う。

 

「大変だったんだな……俺達なんか戦ってばっかだったぞ」

「特筆すべきは、黒のアリスの部下に接触できたぐらいでしょうか」

「黒のアリスか……」

 

 プロメスティンの言葉に、ルカは眉をひそめた。未だに動きを見せない魔王……だが、その部下と接触したとなると只事では無い。

 

 大変な戦いを乗り越えたのは、ルカもヴィクトリーも同じだ。

 

「お互い、戦い続きで疲れてるけど……エスタの調査が終われば一段落よね」

「ええ。頑張りましょう」

 

 ソニアとサラがそう話し、足元に居たヌルコも「きゅきゅっ!」と可愛らしく鳴いた。

 

「戦わないのなら……ヒルデ、センサーをピコピコするだけになるよ。ぴこぴこ」

「ならヒルデさん、私が試しに作った調査用のガジェットを装備できますか? まずは右腕を取り外して……」

「ヒルデに変な改造施さないの!!」

 

 ヒルデを改造しようとしたプロメスティンが、ソニアにしばかれる。

 

 見慣れた光景に戻りつつあるパーティを引き連れたルカ達は、憲兵の所へ歩いた。

 

「すみません、調査をしたいんですが……」

「勇者ルカの一行ですね、話は聞いています」

 

 既に話は通されているようで、何事もなくエスタに足を踏み入れる。

 

 その時だった。

 

「え……!?」

「なっ……!!」

 

 突如として、先頭を歩いていたルカとヴィクトリーの視界が反転し──切り替わるように見えたのは、人々が往来する活気に満ちた町だった。

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