もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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エスタ調査開始

「あれ、ここは……?」

「…………」

 

 気づけば、二人は町の入口で立っていた。

 

 改めて見た目の前の光景は、人がグランドノアの調査団以外は誰もいない、楽園のような世界とは程遠い、事前情報通りのゴーストタウンだった。

 

「どうしたのだ、二人とも?」

「町に入るなり、心ここに在らずって感じだったわよ」

 

 アリスはルカの、サラがヴィクトリーの顔を覗き込む。

 

 その様子から見るに、町に入ってからは時間は経っていない。先程までの光景は、圧縮された時間のもと見ていたらしいが……

 

「ぁ……なんだ、俺達夢でも見てたんか……?」

「いや……絶対に違う!」

 

 まだぼんやりとしていたヴィクトリーとは違い、ルカは確信していた。

 

 彼はその勢いで、先程まで見た事と聞いた事を仲間に伝えた──

 

「エスタが、天国みたいな場所になってて……そこで、みんな幸せに暮らしてた?」

「いったい、どういう事なのだ……まさか、貴様らの力で並行世界の光景を見たのか……?」

「このエスタで、そのような干渉現象を起こすとなると……これは興味深いですね」

 

 ソニア、アリス、プロメスティンの順番でコメントを返してくる。

 

「じゃあ、その後におっかねぇ天使と妖魔と問答したのも……」

「ああ、僕と一緒に答えたはずだ!」

「……ありゃ夢や幻じゃねぇって言うんか」

 

 先程起きたのが、ただの夢や幻ではないとようやく確信するヴィクトリー。

 

「なぁプロメスティン、沙蛇って前に言ってたよな。ほら、初めて会ったとき、アリスに似てるって……」

「間違いありませんね……沙蛇は、六祖(りくそ)の一人。紛れもなく、伝説の妖魔です」

「その話が事実だとすると……この失踪事件に、天使が関与している可能性があるな。ともかく、入念に町を調べてみよう。タルタロスにも、可能な限り接近してみるぞ。港の方に行けば、小舟の一つや二つはあるだろう」

 

 アリスの先導のもと、ルカ達はエスタの町の調査を始めるのだった。

 

 

 エスタを見て周り……やはり、その状況はルビアナに酷似していた。

 

 争った形跡もなく、神に選ばれたという文言を残し、身辺整理まで終えてから失踪している事。野生の動物はそのままだが、飼っていた動物は消失している事。貯金などの貴重品はそのままで、その身一つで失踪したのが分かる事……その辺に、天使の羽が落ちている事まで。

 

「まるっきりルビアナと同じだな……」

「ああ……」

 

 ヴィクトリーとルカが歩く先は、港。湖で漁でもするために、小舟が置いてある小さな港があるのだ。

 

「あれで出来るだけタルタロスに近付いてみるぞ」

 

 そう言うアリスの提案で、小舟を拝借させてもらうつもりだ。

 

「俺は飛んで見てみる」

 

 小舟にも乗れる人数に限界があるので、ヴィクトリーは飛んで一緒に見る事にする。

 

「面白そうですね、それでは私もお供します」

 

 アリスとソニアとルカは小舟で、ヴィクトリーとプロメスティンが飛んで、タルタロスに接近することになった。

 

「まかり間違ってもタルタロスに落ちないでよ」

「ヒルデとヌルコとサラ、まだ向こうの調査をしてくるよ……」

「きゅきゅ!」

 

 サラ、ヒルデ、ヌルコはその辺の民家の追加調査だ。

 

 二組は分かれ、ルカとソニアがアリスの指示で小舟を漕ぎながら、ヴィクトリーとプロメスティンがその後を飛んで着いていく。

 

「この辺で止まった方がいいな……」

 

 適当な位置で小舟を止め、ルカは身を乗り出す。

 

「湖の真ん中に、こんな巨大な大穴が……これ、水はいったいどうなってるんだろう」

 

 上にいるヴィクトリーとプロメスティンも、注目して見てる。

 

「分かんねぇな……よく見えねぇし、穴は真っ暗だし……本当に不気味だな……」

「この量の水が落ちたなら、その音も聞こえるはずですが……これ、大きさだけではなくて深さも今までのタルタロスより段違いかもしれませんね」

 

 湖のど真ん中に大きく空いたタルタロス……その雰囲気は、今までのタルタロスと比べても一際異質だ。ゴーストタウンと化したエスタの近くにあると言うのだから、尚更である。

 

「ねぇルカ、もっと近づく?」

「い、いや……これ以上は落ちちゃうよ……」

「やはりな……こんな小舟で無理をすれば、穴の底に真っ逆さまだ。仕方ない、大人しく戻って対策を立てるぞ」

「俺達も引き返す。アドラメレクみてぇなのと戦うことになったら、シャレにならねぇかんな……」

「ふーむ、今日の所はここまでですか……」

 

 取れる手段が無いので、仕方なく蜻蛉(とんぼ)返りで港に戻る。小舟から降りたルカ達の横に、ヴィクトリーとプロメスティンも着地してきた。それを見てたサラ達も、駆け寄ってきた。

 

「お帰り……こっちは余り情報を得られなかったわ」

「ルビアナと状況が酷似……というか、まるっきり同じだよ……戦闘の形跡も無いし、皆で何処かに行っちゃってる」

「きゅう……」

 

 どうやら、向こうも調査の結果はあまり芳しくない模様。こういう事までルビアナの時と同じだ。

 

「めぇったな、出来ることが全くねぇぞ……」

「ああ……タルタロスにも入れない、エスタの事も分からない……八方塞がりだよ」

「だが、仕方あるまい……一旦グランドノアに──」

 

 アリスがそう言いかけた時だった。

 

「──!!?」

 

 突如として爆発のような音と共に、地面が大きく揺れた。

 

「なんだ……!?」

「おい、タルタロスの方からなんか来るぞ!!」

「高度の聖エネルギー、接近中……戦闘形態に移行するよ」

 

 ヴィクトリーとヒルデの言葉で、皆はタルタロスに注目し……丁度見ている所の空間が裂け、ソイツが姿を現す。そして、ルカ達の方目掛けて飛び、見下ろしてきたのだ。

 

「そんな、お前は……!!」

「グノーシス!!」

 

 聖山アモスで姿を現した、三大天使が一人……グノーシス。彼女がここに現れたのだった。

 

「神に弓引く罪人よ……ここは、お前達が踏み入れていいような場所ではない」

「タルタロスから現れるとはな……まさか、ここを通ってきたのか!?」

 

 レイピアを抜きながら啖呵を切るアリス。だが、グノーシスは辛気臭い無表情のまま、頭をカシャカシャ鳴らしながら何かを計算していた。

 

「現在のルカおよび魔王の断界乖離77%──現状で、大きく平均値を逸脱──全員を処刑した場合、第三種断界接触に該当──カオス化の進行率103%、侵食範囲8%増──処遇、決定──」

 

 言葉が進むにつれ、その無表情に殺気が募る。そして──

 

「──これより全員を処刑する」

 

 そう言いながらルカ達を見下ろし、気を解放してきた。

 

 強大で聖なる気がこの場を押し潰すかのように席巻(せっけん)し、ルカ達の身体にのしかかる。気に当てられた肌がビリビリと痺れ、鳥肌を誘う。

 

 これだけで、格の違いを思い知らされるが……ルカ達も対抗するように武器を構え、気を解放した。

 

「ぐっ……問答無用か! 来るぞ!」

「格上の相手だけど……絶対に引き下がるものか!」

「おう、やってやるぞ!」

 

 アリスの言葉に続き、ルカは風の力を、ヴィクトリーは(スーパー)サイヤ人となる。怖気付く気は無く、徹底的に対抗するようだ。

 

「罪人よ、この世から消えよ。その魂、輪廻に還す──」

 

 ゴーストタウンと化したエスタで、三大天使の一人とぶつかり合うのだった。

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