もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「はぁあっ!!」
「どりゃあっ!!」
ルカとヴィクトリーが、その場を蹴って飛び上がる。グノーシスと目が合う高度まで飛んで高速移動で姿を消し、次の瞬間には挟み撃ちの一撃を放った。
しかし、その一撃は止められてしまう。機械の翼でアッサリと受け止められてしまっていたのだ。
「その程度の速度と威力ではどうにもならん……」
「ちっ……!!」
「くそっ!」
ならばと次の攻撃を放とうとしたが、グノーシスはそれよりも先に体に気を集約する。
「【ショックウェイブ】」
そのまま雷のエネルギーが込められた爆発波を放ち、二人を吹っ飛ばした。
「うわっ……!!」
「ぎゃあっ!!」
ルカもヴィクトリーも直撃してしまい、地面に墜落する。
「ルカさん、ヴィクトリーさん!!」
プロメスティンが二人のところへ駆け寄る。それに目をつけたグノーシスが、身体に組み込まれたマキナを起動する。
だが、彼女の顔に闇の魔力が叩きつけられ、爆発した。
「【ダークネス】……!! 少しはこたえたか!?」
アリスが飛び上がっており、グノーシスの顔面に闇技を放ったのだ。
不意打ちの一撃にも関わらず、晴れた爆煙から見えた顔は無傷。表情も変わっていなかった。それ所か、標的をプロメスティンからアリスに変えたようだ。
「【ドリル】」
グノーシスの身体から、ドリルが発射される。高速回転しながら猛スピードで飛んでくるそれを、アリスは寸前で受け止めたが──
「がぁあぁああ……!!!?」
受け止めている手が、ガリガリと削れていく。勢いも殺せず、吹っ飛んでしまい……尚もドリルはアリスを穿たんとしている。
「っだぁあああ!!!」
彼女は勢いよく背筋を反らし、ドリルを上空へ投げ飛ばした。だが、その背後にグノーシスが既に回り込んでいた。
「■■■■■……」
「!!!」
口角が耳まで裂け、大口を開けるグノーシス。そこからエネルギー波を吐き出し、アリスを爆破した。
「ぐはぁっ……!!」
爆煙から、落下するアリス。だが、ルカが疾走して彼女をお姫様抱っこで受け止めた。
「ソニア、頼む!!」
「ええ!!」
「回復役は、優先的に潰す……」
グノーシスが、ソニアに狙いをつけたその時だった。
「どりゃああっ!!」
ヴィクトリーが飛んできて、その顔に蹴りを放ってきた。
グノーシスはそれを首を傾げて避け、距離を取る。
「サラ────!! 調査団のみんなを避難させろ──っ!!!」
「ええ、今しているわ!!」
「きゅきゅー!」
飛べない者達に調査団の避難を任せ、ヴィクトリーはグノーシスに勝負を挑んだ。
「あだだだだだだだだだ!!!」
格闘技の連続攻撃を繰り出し、グノーシスに迫る。だが、彼女は頭をカシャカシャ鳴らしつつも全ての攻撃を軽々と避けていた。
「ヴィクトリー……断界乖離32%……34%……上昇中。その変身、やはり今の段階では早すぎる」
「なぁに訳わかんねぇ事言ってんだぁっ!!」
痺れを切らしたヴィクトリーは、右の拳に渾身の力を乗せてグノーシスの顔面にパンチを放つ。
だがグノーシスはそれをひょいと避け、すっぽ抜けたヴィクトリーの背中を頭突きで叩き下ろす。
「うわぁあぁあっ!!」
猛スピードで地面に叩き落とされるヴィクトリー。だが途中で体勢を整え、どうにか着地する。
既にグノーシスも彼の前に着地しており、身体から一本の棒を出してくる。それが「カチッ」という音を出したかと思えば、半三日月状の刃が現れ、大鎌となった。
「【ビームデスサイズ】」
「くそっ!!」
ビームデスサイズによる初段の横凪ぎを、ヴィクトリーは瞬間移動で避ける。
すぐさま背後を見たグノーシスだが、そこに居たのはヴィクトリーではなくヒルデ。
「切り裂くよ……! 【ビームデスサイズ】!」
目には目をと言わんばかりに、ビームの大鎌でグノーシスに切りかかるヒルデ。だがそれは受け止められ、鍔迫り合いになった。
「ふん」
グノーシスの目が光る。そこから光線が伸びて、ヒルデの身体に着弾し──
「!!!」
──大爆発により、ヒルデは吹っ飛ばされた。ゴロゴロと転がってから体勢を整えるも、膝をついて被弾場所を押さえて血と思われる液体を吐く。
「ガハッ……!!」
「例外はない、処刑させてもらう」
グノーシスが突撃しようとしたが、横槍が入る。ルカの、疾風を伴った雷鳴のような突き──【瞬剣・疾風迅雷】だった。
「ぐ……!!!」
間違いなく、トップスピードの突きだったが……なんと、グノーシスは眉ひとつも動かさずにビームデスサイズで止めている。
「勇者ルカ……ここで処すには惜しいが……」
「ぐぅうぅううぁあああ……!!!」
ルカは土の精霊の力も解放し、腕に青筋を立ててグノーシスと押し合うが……なんと、彼女の膂力の方が上回っており、ジリジリと圧し潰されそうになっていた。
「ルカぁっ!!」
ヴィクトリーが、剣を抜いて加勢する。ルカの剣と交差する形でグノーシスを押し始めた。
「はぁあぁあああ……!!!」
「だぁあぁあぁあ……!!!」
「……!」
ルカもヴィクトリーも、一歩、また一歩と踏み込んでいる。二人の力で、グノーシスを押しているのだ。
「予想以上の力……だが」
ここで、グノーシスの目が光る。あのヒルデを爆破した、両目からのビームだ。
しかし、二人はそれを見切って左右に避けながら後退する。かと思えば地面を蹴って剣を片手持ちにして、再び切りかかってきた。
当然のように受け止められてしまい、刃はグノーシスの身体に届かない。
「その程度……」
グノーシスが言いかけた時だった。
ルカとヴィクトリーは、剣を持ってない方の手に気を集約させていた。
「はぁっ!!!」
二人揃ってその手を勢いよく突き出し、エネルギー波を放った。それに直撃し、気の奔流の光に飲み込まれるグノーシス。
「だぁあぁああああ──っ!!!」
「うおぉおおぉおお──っ!!!」
ルカとヴィクトリーは、更に力を込める。見上げるほど巨大なエネルギーが、更に大きくなった。
「あの二人、町ごと消す気!?」
「後ろは湖なので平気ですが……!!」
傷ついた仲間を癒しながら、ソニアとプロメスティンは戦況を伺う。
尚も力を込めるルカとヴィクトリーだが……エネルギー波の中から、グノーシスはヌッと現れる。
「はっ!?」
顔を上げる二人を、グノーシスは【ビームデスサイズ】で薙ぎ払う。
「ぐぁああっ!」
「がはっ……!!」
二人同時に吹っ飛び、倒れる。グノーシスは無表情を崩さないまま、大鎌を構えたまま動かなかった。
「この……!!」
ここでアリスが飛び込んできて、レイピアの突きを繰り出す。
しかしグノーシスはそれを弾き、身体中に組み込まれた武器をアリスに向けた。
「!!!」
「【フルガトリング】」
身体中の武器による一斉集中放火により、アリスに銃撃が連打される。
「ぐぅぁあぁああぁあっ!!」
「アリスーっ!!」
思わず叫んでしまうルカ。為す術なく横殴りの銃弾の嵐に晒され続けるアリス。
「どっせぇえいっ!! 【剛襲棍】!!」
ソニアが急襲してきて、気を込めた棍棒の一撃をグノーシスの脳天に叩きつける。
「これで決める……【陽斬】!!」
続けざまにサラが駆けつけてきて、熱い光を纏った剣でグノーシスを一閃した。
「きゅきゅっ! きゅきゅきゅっ!!」
休ませること無くヌルコもマキナの【高周波カッター】を起動し、それでグノーシスに抜き胴を決めた。
「……【ヒートラッシュ】」
だが、グノーシスは無表情を崩さない。それどころか赤熱した機械の翼を振るって、三人に反撃した。
「ぐぁっ!?」
「きゃあっ!」
「きゅっ……!!」
それだけで三人は吹っ飛ばされ、倒れ伏してしまった。
「みんなっ……!!」
「皆さんは任せてください!! どうかグノーシス様の気を引いて!!」
動揺するルカに、プロメスティンが走りながら言う。
「わかった!!」
ルカは剣を構え、突撃する。それを見たグノーシスは、無言のまま【フルガトリング】を繰り出してきた。
「はぁあぁあああ……!!」
迫る銃弾の嵐を、剣を超高速で振って弾きながら突っ走るルカ。無数の火花を散らしながら、確実に走り──ついに、グノーシスに肉薄した。
「でやぁあぁあっ!!」
剣に紅蓮の気を纏わせ、渾身の力で振るう。
グノーシスはそれに対し、差し出すように首を曲げる。そして、刃が首筋に直撃したが……なんと、それで刃が「ガキンッ」と止められてしまったのだ。
「え……!!?」
「■■■■■」
グノーシスの異形の大口が開く。そこから巨大なエネルギー波が迸り、ルカを飲み込んで大爆発を巻き起こした。濃い爆煙と戦塵が、視界を奪う。
「くそぉおっ!! かめはめ──」
ヴィクトリーが、かめはめ波を放とうと気を高めた次の瞬間──爆煙から、【ドリル】が猛スピードで飛んできて、彼の頬を掠めた。
「は…………!!?」
「眼中に無いと思ったか……?」
そうして晴れた爆煙から見えたグノーシスは、身体中の銃器をヴィクトリーに向けている。そのまま、【フルガトリング】を放ってきた。
「うぎゃぁあぁあああああっ!!!」
ヴィクトリーの体を、銃弾が次々に穿つ。彼女のフルガトリングをワンマガジン受け続けた彼の身体は、ボロボロになっていた。
「はぁっ……は、ぁっ……!!」
「あぐ、うぅぅ……!!」
ヴィクトリーは
そんなボロボロの二人を、グノーシスは見下した。
「やはり、それが限界か。理を外れてまで奔走したようだが……まるで無意味。理の外に排除されるのが道理だ」
限界、まるで無意味……その言葉が、二人の胸に突き刺さった。
ここまでの冒険で、戦い続けてきた。その過程で、幾人かが散り際に自分達に意志を託してくれたのだ。
ミカエラさん、ヴィクトリーと約束していたラダイト村の少年、管理者の塔で奔走していた人達、そしてラ・クロワ……皆、僕達に色々なものを託してから散っていった。自分達が倒れたら、彼女らの意志は無意味になってしまう。
「無意味になんか、させない……!!」
ルカが、地面に剣を突き立てて立ち上がる。
「僕達は……僕達に託して散って行った人達の為に、ここに立ってるんだ!!」
「そうだ……ルカの言う通りだ!!」
ヴィクトリーも、肩で息をしながら立ち上がった。
「そんな人達の思いを、ここで無意味にする訳にはいかねぇ……俺達は、絶対引く訳にはいかねぇんだ!!」
ボロボロのまま立ち上がる、ルカとヴィクトリー。それを、ただ真顔で見るだけのグノーシス。
「「いくぞ、グノーシス!!」」
二人は、命を燃やす勢いで気を高めた。凄まじい気の高まりにより、天は唸り、大地が揺れ、風が吹き荒ぶ。
「ウンディーネの力、ここに……!!」
ルカの気が、一瞬で無に消える。だが、それは彼の身体に水の精霊の力が宿ったのが故。新たな力を見せ、静かにグノーシスを睨み直したのだった。
「お、俺はぁあっ……!!!」
『ワクワクが詰まったこの世界を、守って!!』
それは、自分が道すがらに助けたラダイト村の少年から言われた言葉。自らが殺される間際に、ヒーローに託された意志。
「あの子は、殺される寸前でも……俺を信じてくれたんだ!! だから俺は──ヒーローの俺が、ワクワクの詰まったこの世界を守るんだ!!!」
ヴィクトリーの金髪が、荒ぶる。上昇する気が、大気と擦過して
「無意味と言うなら勝手に言いやがれ!! 限界があるならぶち破ってやる!! だぁあぁああぁあああ────っ!!!!」
その黄金の気は輝きを増し──ひときわ強大な力が波動し、彼は
「……お前を倒すぞ、グノーシス!!」
金髪が更に荒々しく逆立ち、身体に青白い
「なんだ、あのヴィクトリーの姿は……!! あやつまで新たな力に目覚めたというのか!?」
「以前の
動揺するアリスに、プロメスティンが盛り上がりながら言った。
新たな力を解放した二人は、並んで歩く。かたや水の精霊の力により水面も揺らさないほど澄み切った力を宿したルカ。かたや
「来るがいい」
静かな水と轟く雷のような二人を前に、グノーシスは構え直したのだった。