もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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グランゴルド反攻作戦

 グランドノア城に戻り、エスタ調査で分かったことを女王に報告するルカ達。

 

「──って言うことがあったんです」

「なんと、天使が糸を引いていたとは……分かりました、貴重な報告に感謝します」

 

「さて、グランゴルド反攻作戦の準備も整いました。あなた達にも手助けしてもらいます」

「ああ、早いトコあの国もどうにかしねぇとな」

「それで、作戦は……?」

 

 二人が聞くと、グランドノア女王は横にいたメフィストに向く。すると、彼女は応じるように前に出てきた。

 

「はい、私が説明致します。少し長くなるので、部屋を移しましょう」

 

 メフィストはそう言い、先頭を歩く。そして行き着いたのは、すぐそこにあった作戦会議室だった。

 

「この作戦は、大戦に終止符を打つもの……三大国同盟軍はもちろん、あらゆる勢力を総動員します」

「その「あらゆる勢力」とやらに、我々も含まれる訳だな」

 

 メフィストの説明に、アリスがそう言う。

 

「ええ……そして、あなた達こそが作戦の主軸となるのです」

「僕達が、主軸……!?」

「マジか。ちゃんと聞かねぇとな」

「余が細かい流れはしっかり聞いてやる」

 

 緊張気味のルカとヴィクトリーにそう言う、アリス。

 

「まずは、我が国(グランドノア)、サン・イリア、サバサの三国同盟軍が動きます。大規模な決戦意図は、当然ながら敵にも伝わるでしょう。前線のゴルド砦から、敵の主力軍が迎撃に現れる──いえ、釣り出されてしまうというべきですね」

「つまり、三国同盟軍は陽動……オトリか。ずいぶんと大盤振る舞いだな」

「グランゴルドは全力でブチ当たってくる筈だぜ。どうすんだ?」

 

 アリスとヴィクトリーに、メフィストが向く。

 

「はい、その隙にあなた方はゴルド砦に潜入。砦を抜けて、敵の領地へと入り込むのです」

「私達が、単独で敵地に潜入!? それ、無茶なんじゃない!?」

 

 大胆すぎる作戦に驚く、ソニア。

 

「当然ながら、こちらも全力で支援を行います。敵地にも、我が方の工作員が潜り込んでいますので」

「ええ、女王様の言う通り……あなた達を捨て石にするつもりなど、全くありませんよ」

 

 グランドノア女王とメフィストは、そう言ってくれるが……やはり、大胆な作戦に戸惑いを隠せずにいるソニア。彼女にルカは、「まぁまぁ」と言ってなだめた。

 

「……そんで、ゴルド砦を抜けたら直接グランゴルドに向かうんか?」

「いいえ、抜けたすぐ先に『ゴッダール』という町があるので、まずはそこへ。しかる後、そこに潜む我が方の工作員と接触してください。酒場に居る者ですが──」

 

 作戦の概要は、こうだ。

 

 工作員と接触し、首都グランゴルドを目指す。到着した後、グランゴルド王を惑わせてるであろう、アリの女王の魔物──クィーンアントという奴を討てばいいらしい。

 

「敵の親玉はアリの女王なんか?」

「厄介だな……アリ娘は数も多いし、一体一体が怪力。何より統率の取れた動きによるコンビネーションは脅威の一言に尽きる」

「グランゴルドも、彼女らによって籠絡されたものと見ています」

 

 グランゴルドの主戦力は、このアリ娘と見ていいらしい。そして、それを統率しているクィーンアントこそ、今回のターゲットという訳だ。

 

「この作戦は、暗殺にも近いものです。本来ならばこのような手段を取るべきではないのでしょう」

「当然だな、近代戦にて要人暗殺は下策も下策……敵の戦意は高まり、戦争が泥沼化するだけだ」

 

 やり切れない表情で言うグランドノア女王に、アリスがそう言う。だが、女王はその表情を引き締めてルカ達に向き直した。

 

「しかし、今回の作戦は普通の戦争とは異なります。魔王が裏で手を引いてるという事情があるのです。その糸を断つのが、この作戦の目的。作戦の可否はあなた達の腕にかかってるのですよ」

「うわぁ、すごいプレッシャー……私達が失敗したら、グランドノアも大ピンチなのよね……」

 

 そう言ってるソニアに、メフィストは微笑む。

 

「作戦が失敗した場合、あなた達は我が国には関係ないと突っぱねます。ただの旅人が勝手にやったテロとなりますので、ご心配なく」

「えっ!?」

「心配しかねぇぞ!」

 

 驚くソニアとヴィクトリーに、グランドノア女王は向く。

 

「しかしそうなれば、囮であった三国同盟軍が力押しの決戦をすることになります。大戦が終わるまでに、どれ程の犠牲が出るか……もはや、見当がつきません」

「我々の存在は奇貨であり、失敗すれば普通に決戦……か。余も為政者、それぐらいの政治判断は理解している。だが、敵地での支援はしっかり行ってもらう。早い段階で切り捨てるようなら、我々も命は張れんぞ」

 

 しっかりと言い放つアリスに、メフィストは向いた。

 

「そこはご安心を……突っぱねるというのは、あくまでも最終手段。作戦の各段階で人員と物資の補給は約束します。あなた方が全力で立ち回れるように、最大限のサポートはさせてもらうつもりです」

 

 そういう訳で、絶対に失敗できない状況の作戦を、ルカ達は任された訳である。

 

「まぁー……要するに死なずにグランゴルド城まで行って、クィーンアントっちゅう奴をぶっ飛ばせばいいんだな!」

「ずいぶんザックリした理解ですが……その認識でおおむね間違いないでしょう」

 

 大まかな流れは、ヴィクトリーの言った通りである。

 

「それで、僕達はいきなりゴルド砦に向かうのか? いくら前線に戦力が集中してると言っても、砦を落とすのは楽じゃないはず……」

「それについても、ご安心を……まずは、ゴルド砦近くのリマ村に向かってください。そこに、我が方の工作員が一人いるはずです」

 

 リマ村……そう聞いたヴィクトリー達の表情に、緊張が走る。

 

「……クィーンビーやプリエステスから聞いてる。とんでもねぇ大虐殺があったらしいな」

「ええ。数年前に起きた虐殺の跡が、今でも残ってるって話よ……」

 

 ゲンナリしながら答えるのは、ソニア。二人の会話に、空気が重苦しくなる。

 

「……その目で、見てください。魔王に操られたグランゴルドの蛮行を……暗殺作戦に走る我々の気持ちも、分かるはずです」

 

 グランドノア女王も、そう言うのだった。

 

「その工作員とやらは、腕が立つのだろうな」

 

 仕切り直すようにアリスがそう聞くと、メフィストは「はい」とキッパリと答えた。

 

「それに、あなた達とも顔見知りの筈です。その者に任せればゴルド砦も軽く攻略出来ることでしょう。どうか、ご期待を」

「よっぽど強ぇみてぇだな……心強いぜ!」

「腕が立って、顔見知りかぁ……誰だろう?」

 

 まずは、リマ村でその工作員と接触する事から作戦が始まるらしい。

 

「作戦開始は明日の10時頃。それまで、宿屋で英気を養ってください」

「ええ……戦い続きだから疲れたわ……」

「エスタ調査であんな事が起きたものね……流石に私も休息が欲しいわ」

 

 ソニアとサラは、そう言ってボヤく。特にエスタ調査では皆命懸けのギリギリだったから、尚更だ。

 

「ほんじゃ、俺は先に飯屋でメシ食ってくる。たらふく食って、(リキ)付けねぇとな!」

「ふん、貴様が食いすぎんように余も着いて行ってやる……」

「ホントにこの腹ペココンビは……」

「まぁ、エスタでは二人共頑張ってたから……」

 

 ヴィクトリーとアリスとソニアとルカで話しながら、作戦会議室を去ろうとした時だった。

 

「──お待ちなさい、ヴィクトリー。他の者と女王陛下は外してください」

 

 メフィストが、なんとヴィクトリーを指名して止めてきた。

 

「メフィスト……?」

「もう、相変わらず流れを読まないわね!」

 

 グランドノア女王には奇異の目で見られ、ソニアには抗議される。だが、メフィストは真剣な顔だった。

 

「少し、確認したいことがあるだけです。すぐに終わりますので、ご安心を」

「あ、ああ……(わり)ぃなルカ、ちっと話すみてぇだし先に行っててくれよ」

「分かった……すぐそこで待ってる」

 

 ルカ達もグランドノア女王も、会議室から出ていく。そして、この場に残ったのはメフィストとヴィクトリーだけだった。

 

「そんで、確認っちゅうのはなんだ?」

「…………グランゴルドを影から操る魔王……そこに、リリスが絡んでいるのは何となく貴方も察している事でしょう」

 

 リリス……その名前を聞いたヴィクトリーの顔が、真剣なものになる。

 

「……グランゴルドに、居るのか?」

「その可能性が高いです」

 

 確か、魔導学園でメフィストはリリスと密会していた。魔王とリリスが同盟であるという事も、そこで聞いている。ならば、リリスがグランゴルドに居るというのは充分に有り得る話だ。

 

「それに差し当たって、私は貴方に質問したい事があります。答え次第では、貴方を作戦から外す事になるのでどうか冷静に答えてください」

「面接みてぇだな……」

 

 装ってるのか、単に呑気なのか、計り知れない様子でヴィクトリーはメフィストの方を見る。

 

 少し間を置き、メフィストは──

 

「貴方は……リリスに『復讐』したいのですか?」

 

 ──そう、質問するのだった。

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