もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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これからの事

 ルカがダウンするも、会議は続いていた。重要な事なので、手を抜く訳にはいかない。

 

「異世界そのものの存在と、あの異世界の惨状は切り離して考えた方が良いのかもしれん」

「あの世界は、分岐した世界線の一つ……今は、そういう事でいいと思う」

 

 とりあえずは、あの世界は並行世界の一つ。今は、そう捉える事しか出来ない。

 

「うむ。余もヴィクトリーと同じ意見だ……」

「イリアス様が、イリアスヴィルを滅ぼした未来があった……そういう異世界に、トンネルが繋がっちゃったって事?」

「イリアスなら、やりかねん……」

「結局、何も分かんなさそうだ。あの世界を調べんのは危険だし、俺も嫌だ」

 

 並行世界については、これで落ち着いただろうか。

 

「……」

 

 ルカが起き上がり、皆を見る。

 

「向こうの人達も、こっちの事を知らないんじゃないかな。あっちはあっちで、唯一の世界だと思ってるのかも」

「その可能性は、極めて高いな。タルタロス内の扉を超えん限り、他の異世界には行けんのだ」

 

 アリスの言葉に、ヴィクトリーは頷く。

 

「そりゃあ、普段こっちに住んでいる人達が自分達以外の世界があるなんて、マジで思ってる奴なんか居ねぇだろうしよ」

「いや……あっちのルカなら、こっちの世界に来られるのか? どちらにしろ、あちらは故人だから確かめようもあるまい……そして……」

 

 アリスは、俺の方に向いた。

 

「あの世界の貴様は、何をしている?」

 

 アリスの言葉に、場が静かになる。そう言えばと言わんばかりに、ヴィクトリーに注目が集まった。

 

「ぇ……?」

「ああ、そう言えばヴィクトリーも異世界の出身だったね……妙に、事情に詳しいし……」

「つってもな……あの日記だと俺は一人で旅立ったんだろ? その後の話とかも分からねぇままだしよ」

「……」

 

 皆の視線を受けながら、ヴィクトリーは続けた。

 

「俺はそもそも、こことは何次元も違う『ドラゴンボールヒーローズ』の世界から来たんだぜ? 元々この世界の住人だった訳でもねぇんだ。この世界の歴史に織り込まれてるのがそもそもおかしいはずなんだよ」

「むむむ……貴様については、まだ情報が少なすぎるな……」

「例の日記にも、その後の事は書かれてなかったしね……グランベリアに、殺されちゃったんじゃ……」

「縁起でもねぇ事言わねぇでくれよ……」

 

 グランベリアが占拠した、イリアスベルク。イリアスヴィルから旅立って、旅を続けるのならば嫌でも通らなければならない町だ。ならば、グランベリアとの激突も避けられない。

 

 果たして、彼はどうなったのだろうか? 

 

「俺の事は、このコトの視野から外してもいいだろ。そんな事より今はルカの方が関係大アリだと思う」

 

 ヴィクトリーの言葉で、今度はルカに注目が集まった。

 

「そうか……ルカは、異世界を開く能力がある……それは間違いないようだな。あの扉は、通常の手段で開くものではない。神さえ不可能と、あのウサギも言っていた」

「そう言った当のウサギも、ぴょこぴょこ超えてたけどね……」

「奴は、魔王を導くという伝承を持つウサギ……そうした能力があっても、まだ納得できる。しかし、全く理解できんのは貴様だ。人間の身で、なぜ異世界の扉を開けられるのだ?」

「僕に聞かれても、なんとなくしか……」

「なんか、そういう血統なんじゃないの? お父さんは英雄だし、お母さんは美人だし……」

「英雄と美人の子というだけで、そんな力が身につくか。神でさえも不可能とまで言われているのだぞ……たまもがいれば、調べてもらえるのだがな。ええい、奴はどこで何をしているのだ?」

 

 アリスはバツが悪そうに頭を掻きながらそう言った後、ルカに向いた。

 

「唯一の手段は、貴様の父親に聞いてみる事だ。貴様の話を聞く限り、色々と知っていたようにも思える。やはり、貴様の父に会ってみる必要があるだろうな。それが貴様自身の、本来の冒険の目的なのだろう?」

「うん……」

 

 そう言えばそうだ。本当なら、父親を追ってイリアスヴィルから出たのだ。まさか、こんな事に巻き込まれるとは思ってもみなかったが……後には、退けないだろう。

 

「アリス、おめぇの部下はどうしてんだ?」

「おっと、そうだったな……それにしても、四天王は何をしているのだ……たまもなど、余の状況を嗅ぎ付けてもいい頃だぞ」

「魔王様が行方不明って、一大事のはずだよね。もしかして、配下に慕われていないとか……」

 

 ソニアの言葉に、アリスは動揺する。

 

「な、何を言うか! 余は全ての魔物に好かれているのだぞ!」

 

 そう言った彼女だが、動揺した表情を冷静なものへ変えた。

 

「などというのは、少し言い過ぎかもしれん。だが、余に対する四天王の忠誠は本物のはずだ。余が魔王である事を、大っぴらに喧伝はしておらん。下克上を狙う輩が押し寄せてきては、危険だからな。しかし、完全に素性を隠している訳でもない……現にこれまで、何度か余は魔王であることを口にした。四天王の中で最も悪賢いたまもの情報網ならば……とうの昔に、余の元に辿り着いてもおかしくないのだ。ウサギに何かされたのか……? しかし、そう簡単に不覚を取るというのも考えがたいが……ともかく、魔王の立場での増援は期待できそうにないな。四天王の連中も、どこぞで足止めを食らっているかもしれん」

 

 アリスはそこまで話してから、また皆に向いた。

 

「さて、これからだが……情報の整理によって、為すべき事は(おの)ずと見えたな。まずはウサギの捜索。奴にはまだまだ聞き出さねばならんが、行方は不明だ。次に、ルカの父親の捜索。彼は事態の鍵を握っていると、余は睨んでいる。しかし両者とも、足取りは取れんのが現状だ。行く先々で、聞き込みを続けるより他にあるまい」

「そうだね、地道に情報を集めるしかないか」

「結局、当初の目的通りになっちまったけどな」

 

 まぁ、やる事は変わらないという事だ。分かりやすくて、学がないヴィクトリーには助かるというものだった。

 

「地の文に馬鹿にされた気がする」

「だが、新たに明確な目的が出来た。各地に存在する、タルタロスの探索だ。まずは、イリアス大陸に存在するもう一つのタルタロス……大陸東のタルタロスを目的にするべきだと思うが」

 

 意味不明な独り言を言うヴィクトリーを無視し、アリスがこれから行く先を口にする。

 

「それって、ロストルム村の近くにあるのよね。あそこ、東の山脈で隔絶されてたんじゃなかったっけ?」

「山脈を抜ける洞窟がある……が、かなり険しい道となる。今の我々の戦力では、厳しいかもしれんな。あくまで目安だが、黄金製の装備くらいは欲しいところだ。そのくらいの準備はしてから、山脈越えに向かうべきだろう」

「あの、金って鉄より柔らかかった気が……」

「黄金製の装備か……大陸北部のミダス村に、金を鋳造する技術があるんだっけ」

 

 ヴィクトリーのツッコミが拾われず、無視されっぱなしの彼を置いて、どんどんと話が進む。

 

 とりあえずハーピーの集落から北上して、ミダス村に到着するらしい。そのハーピーの集落だが……どうもハーピーが集団失踪したらしいのだ。修行ついでに、問題も解決出来るといいが……

 

「つまり、今後の予定をまとめると……」

「まずはイリアスベルクから東に向かい、ハーピーの集落。すぐ隣にハピネス村もあるので、事件について調べるぞ。カタがついたら、北上してミダス村。ここで、黄金製の武具を作ってもらえるはずだ。そうすれば、戦闘経験も武装も充分のはずだ。大陸東の山脈越えに挑み、僻地のタルタロスに乗り込むぞ」

 

 アリスが、そうまとめてくれた。

 

 とりあえず、こういう事になった。実際の進路はルカ次第だが、彼がこの事件を見逃す訳が無い。

 

「とりあえず、当面の目標は東のタルタロス……それでは、行くとしよう!」

 

 アリスが皆をまとめて、立ち上がった。

 

「ああ、行こうぜルカ! 俺、わくわくしてきたぞ!」

「おう!」

 

 準備を終えた戦士達は、ポケット魔王城から発つ。

 

 次の目的は、ハーピーの集落だ。ハーピーの集団失踪とは、いったい……

 そして、何が戦士達を待ち構えているのか……

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