もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「ルカとヴィクトリーが合体して……ルクトリーってトコかな」
光から現れた合体戦士はそう言い、全身に力を込める。
「そして……これが、
その髪を金色に逆立たせ、比類なき黄金の気を立ち上がらせる。とんでもない気の高まりに、アリス達は吹っ飛ばされそうになりながら踏ん張っていた。
「な、なんという力の高まり……!! あれが、ルカとヴィクトリーなのか……!?」
「この世界においても、一、二を争う人間同士……それも、勇者とヒーローが合体しましたか」
「これなら、リリスに勝てるかも……!!」
アリス、メフィスト、ソニアの順でそう言うと、ルクトリーは彼女らの方を振り返った。
「みんな、ありがとう……後は、僕達がリリスと戦う!」
リリスの方は、眉間に皺を寄せてしかめ面でルクトリーを睨んでいた。だが、睨まれている彼はニヤリと笑った。
「時間がもったいねぇ、さっさとやろうぜ!」
「……
そして、この場はルクトリーとリリスの一騎打ちとなった。二人は睨み合い、それだけで大気がピリピリと張り詰め、プレッシャーがこの場を席巻する。
「だっ!!」
ルクトリーは飛び出し、蹴りを放つ。リリスはそれを防御し、淫気を纏った手を彼の股間に伸ばした。
だが、ルクトリーはそれをひらりと躱して着地する。既に、目の前にはリリスが居た。
「あだだだだだだだぁあっ!!!」
「うぐっ……!!?」
そのまま、超高速でぶつかり合う二人。互角の攻防が目にも留まらぬ速さで繰り広げられ、激しさを更に増す。そんな攻防の最中、遂にルクトリーの拳がリリスの顔面を打ち抜いた。
「ぐはっ……!! このっ!!」
すぐに持ち直して手を向けるが、ルクトリーは視界から消えていた。
遠距離攻撃を警戒したルクトリーはすぐさま
「どりゃあぁあっ!!!」
そのまま勢いよく体を廻し、
「〜〜〜〜っ!!!」
目を白黒させながら吹っ飛ぶも、どうにか踏ん張るリリス。そして、両手を向けて力を込め、全力の風魔法でルクトリーを吹っ飛ばした。
「ぐぁあっ!!」
攻防の結果は、痛み分け。お互いに強烈な一撃を貰って、遊んでる場合では無い事を確信する。
「はぁあぁあっ!!!」
「だぁあ──っ!!!」
リリスは更に気を解放し、ルクトリーは
「……加減はしません。本気で行きますよ」
「ああ、僕もだ」
そのまま二人は、再びぶつかり合う。先程よりも激しく、更に速い攻防が繰り広げられ、王宮を縦横無尽に駆けながら何度も激突した。
「ど、どっちが優勢なのか分からん……!!」
「この戦いは、完全に我々の領分を超えています……」
「合体できる時間は、一時間って言ってたよね……お願い、速く決着をつけて……!」
二人が戦っている事を見るしか出来ない、アリスとメフィスト。ソニアは、必死にルクトリーの勝利を祈っている。
そんなルクトリーの蹴りが、リリスの胸を蹴り抜いた。
「くっ!!」
リリスは踏ん張り、その蹴り足を掴んで上にぶん投げる。
「うわっ!?」
「はぁあああっ!!」
天井近くを舞うルクトリーに向け、竜巻を巻き起こす。為す術なく飲み込まれ、渦巻く風が刃となって全身を切りつけてきた。しかも、どんどんリリスの方に引き寄せられていく。
「ちぃいっ……!!」
「おっと」
ルクトリーは、苦し紛れに気弾を放つ。だが、リリスはそれを【エナジードレイン】の手で吸収した。
やはり、気功波の類は吸収されてしまう。
「けど、これはどうだ!?」
ルクトリーがその場で超高速で拳を動かす。すると、風圧が拳の形を取ってリリスの肩を打ち抜いた。
「ぐっ!?」
拳を超高速で突き出すことで、風圧を撃ち出す。この遠距離攻撃ならば、吸収されない。
「あだだだだだだだ……!!!」
「はぁあぁあああ……!!!」
身体を風の刃で切り裂かれながら、ルクトリー。身体を拳の風圧で打たれながら、リリス。二人はジリジリと距離を詰め、そして──
「あだぁっ!!!」
「はぁあっ!!!」
二人の渾身の一撃が、互いの腹に叩き込まれた。
互いに「ごはぁっ!」と吐血し、床を転がって距離を取る。
「……吐血なんて、聖魔大戦ぶりですね」
「こっちはしょっちゅうだぜ……!」
リリスは両手に淫気を集中させ、ルクトリーを捕らえようと迫る。だが彼はそれを次々に避け、腰をギリリッと捻ってから勢い付けた蹴りで脇腹を蹴り抜いた。
「ごっ……!!」
リリスは踏ん張りながら、両手の淫気を一際強くする。
「【サキュバスアーツ】」
そのまま繰り出されるは、流れるような連続淫技。男を骨抜きにするような手さばきの連撃が、超スピードで襲いかかってきた。
「その手にゃ乗らねぇぞ! 【死剣・乱れ星・双龍】!!」
ルクトリーは背中の剣を抜き、二刀流でリリスの連撃を踊るような剣技で次々と切り落とした。そうして最後の一撃を切り落とし、リリスに向く──
「【メルティックキス】」
次の瞬間、リリスはルクトリーの唇を奪った。しかもそこから、急速にエナジーが抜けていくのも感じた。
ルクトリーも、思わず剣を手放してしまう。
「んむぅうぅうっ!!」
「んぶっ!!?」
だが、その状態で何度もリリスの腹を殴りつけた。ドカドカと連続で拳が叩き込まれ、彼女は目を見開いて唇を離す。
「ぶはっ!? 貴方、淫魔のキスをなんだと──」
「だっしゃあぁあっ!!」
リリスの胸に、前蹴りが叩き込まれる。見事に直撃したそれは、彼女を壁にまでぶっ飛ばした。
「ハァッ、ハァッ……血の味がするっ!」
口を拭い、剣を拾ってルクトリーは言う。だが、その前で強大な魔力が募っていた。
「…………」
青筋を浮かべたリリスが手を掲げ、魔力を充実させる。そして、強大なエネルギーボールを掲げた。球状だが竜巻のように力が渦巻き、バチバチと電光している。
「な、なんだその技……!!?」
「技ではありません。貴方への怒りをそのまま出力しました……快楽も受け容れないというのなら、これで押し潰されてください」
リリスはそう言い、手を振り下ろす。すると、エネルギーボールがルクトリーめがけて落ちてきた。
「【かめはめ波】ぁあああっ!!!」
迫り来るそれに対し、ルクトリーは【かめはめ波】を放った。二人のエネルギーがぶつかり合い、辺りに波動した余波で床がめくれ上がり、それでいて尚力を高めながら押し合う。
「だぁあぁああああ……!!!」
「…………」
力を込めるルクトリー……それを見下ろすリリスの目が光り、エネルギーボールに力が乗せられる。そしてなんと、かめはめ波のエネルギーをみるみる押し潰してしまった。
「うっ、嘘だろ……!!! 僕のパワーが、完全に押されっ……!!?」
次の瞬間、ルクトリーにそのエネルギーが直撃し、魔力が炸裂して柱のような大爆発を巻き起こした。
見ていた仲間達は、何とか吹っ飛ばずに踏ん張っていたが……先程の事を確認しており、絶望した。
「お、おい……合体すれば、勝てるんじゃなかったのか!?」
「合体しても、怒らせるのが関の山でしたか……」
「そんな……」
アリスとメフィストとソニアは、口々に言う。
横目に攻防していた玉藻達も、それを見ていた。
「……くそう、あの二人が合体しても敵わんか」
「当然よ、リリスは魅凪と共に聖魔大戦を生き抜いた古参。現世の人間が幾ら小細工を労しても、敵う道理は無い」
苦しそうに言う、味方のたまも。得意気に言う、敵の玉藻。
「……おい、まだ負けた訳じゃねぇぞ」
爆煙から聞こえた声──それは、ルクトリーのものだった。彼はボロボロになりながら、腕を組んで瓦礫に座っていた。
「ルカ、ヴィクトリー!」
「とりあえずは、一安心だけど……状況は、最悪ね」
ソニアが二人の名を呼んでホッとするが、横に居たサラは顔をしかめている。
ルカとヴィクトリーの合体は、凄まじかったが……リリスには、通用しなかった。太古の伝説の大淫魔が、これほどの化け物だったのは完全に想定外だ。
「原型を留めているだけ大したものですね……しかし、力の差は歴然なのは分かったでしょう」
「……っ、ハァ────……やんなっちゃうなぁホントに」
「ふふふ、さっきまでの威勢は何処へやら……もう降参しておきますか?」
「そうじゃねぇよ……ポタラっていうのは、
「へぇ……大したことないのですね。貴方も、貴方の世界も」
笑いながら言うリリスに、ルクトリーは小さく「カッチーン」なんて言う。そして、顔を上げて立ち上がった。
「そこまで馬鹿にされちゃ、流石に黙ってられねぇな……仕方ねぇ、最後の最後、ホントに最後の切り札を切るしかねぇな」
自信満々に言うルクトリーに、その場が張り詰める。
「なっ……あそこまで強くなっておいて、まだ切り札を隠していたのか!?」
「ルカもヴィクトリーも、ハッタリを言うようなタイプじゃないわ……」
アリスとサラは、驚きながら言う。それぞれの活躍を近くで見てきた者ゆえに、彼の言葉がデマカセやハッタリの類では無いことは見抜いていた。
「それがあるなら、早く切りなさいよー!」
「……ああまで言うということは、恐らくは自爆に近いモノでしょうか。それは勘弁願いたいのですが」
急かすソニアの横で、メフィストがそう危惧する。
だが、リリスは依然としてクスクス笑っていた。
「まだそんな事を言える気力があったのですか……言っておきますが、瞬間移動で逃げても追跡は可能ですよ?」
「誰が逃げるなんて言った……見とけよ、その薄ら笑いを消してやる」
ルクトリーはそう言い、
「……?」
「来い、ノーム……!」
疑問を表情に出すリリスを前にルクトリーは、土の力をその身に宿した。その身体に大地の剛力が宿り、金剛の如き強靭さを得る。しかもそれは
「
「どうでしょうか……決定打になり得るとは思えませんが」
アリスは驚くが、メフィストは冷静にそう分析する。
「確かに風の力を得意とする淫魔には、土の力が有効ですが……先程のツンツンした頭の方が強そうに思えます。まさか、変身の段階を落としてまで見せたそれが、切り札ではありませんよね?」
「勘違いすんなよ……
ルクトリーがそう言いながら腰を落とし、その場に踏ん張る。
「……!」
そして、流石のリリスも確信した。ハッタリではないと。
「かぁあぁあぁあああああ……!!!」
ルクトリーの気が高まる。額に青筋が浮かび、身体中のパワーが充実して膨れ上がる。発破する気が線香花火のように「ボボボッ」と鳴り、更に荒々しく勢いを増す。
そうして跳ね上がるオーラを身に纏いながら、ルクトリーは口角を上げ──
「はぁあぁあああああっっっ!!!!!」
身体中に募った気を解き放つ。彼が纏っていた黄金の気の上から、燃え盛るような紅蓮の気が顕れ、それが台風の如き旋風を巻き起こし、圧倒的な気の波動が周囲に吹き荒んだ。
「!!!!」
アリス達も、リリスも目を見開いて驚愕する。
「ほほう! 赤と金が入り交じって、綺麗じゃのう!」
「現世の人間が、これ程の気を……!?」
玉藻達も、思わず注目するほどの気の高まりだった。
体力をゴッソリ持っていく代わりに、圧倒的な戦闘力の増強を為す技。
「界王拳……いきなり10倍だ!!!」
──そう、ルクトリーは