もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「それは……アスタロトと戦っていた時に使っていた技ですね?」
リリスは、ルクトリーの変化を見て言う。
「そうだ……だが、今はルカの精霊の力に、ヴィクトリーの
「過去の技に縋るのが、最後の奥の手ですか……呆れたものです」
「そう思うんなら、かかって来いよ」
ルクトリーは笑いながら、挑発的に手招きする。それを見たリリスは青筋を浮かべ、手に淫気を纏って襲いかかってきた。
だがその手首が尋常ではない力で掴み止められ、それでリリスは動けなくなってしまう。そう思っていたら、グンッと引っ張られてルクトリーと顔を近づける形になった。
「なっ!?」
「
先程言われた言葉を返されたリリスは、もう一方の手で強襲する。しかし、唐突に手を離され狙いがズレて空ぶった。
ルクトリーも身を翻して腰を捻り──
「だらぁあっ!!」
勢い付けた蹴りがリリスの顔に命中し、吹っ飛ぶ。ルクトリーはそれに追いついて背後に周り、渾身の蹴り上げで蹴っ飛ばし、遥か後方にあったはずの壁に一瞬で叩きつけた。
「あ、ぐっ……これ程の力を発揮するとは……!!」
「まだまだこんなモンじゃないぜ!!」
突撃してくるルクトリーに、リリスは両手を向ける。そこから、風の刃を幾つも連射した。
だが、ルクトリーはそれらを全て弾き飛ばす。そして、リリスのセーターの胸ぐらを掴み上げ、勢いよく背負い投げた。
それは、投げられるというより着撃するという表現が適当だった。衝撃と轟音と地響きが轟き、玉座の間の床にクレーターが出来上がったのだ。
「っがっはぁあっ……!!?」
全身がバラバラになりそうな衝撃に、悶絶するリリス。
だが、すぐに体勢を整え構え直す。その両手に全力の淫気を纏い、呼吸を落ち着け、遂に本気を出して見せるのだった。
「たぁあっ!!」
「ふんっ」
既に目の前には、ルクトリーの拳が迫っている。リリスはそれを
「っぐ!?」
素手で打たれたはずのそれは、まるで鋼鉄の鞭で叩かれたかのような威力。それに怯んでるルクトリーの顔面に風の魔力が押し付けられ、零距離で炸裂させて吹っ飛ばした。
「っまだまだぁっ!!」
「来なさい、『ヒーロー』!!」
体勢を立て直したルクトリーと気を解放したリリスが、互いに走り寄る。そして、全力の勝負が始まったのだった。別次元の高速戦闘が展開され、二人の姿は消える。
目にも留まらぬ高速移動の応酬。ぶつかり合う力と力、飛び交う攻撃と攻撃、そして鳴り響く炸裂音。余波で床や壁が吹っ飛び、戦塵が舞う。
「リリスが更に底力を見せてきました!!」
「二人も更に気を高めてるよ……! このまま押し切れば……!」
プロメスティンとヒルデが、そう言って盛り上がる。
「押し切ってしまえ!! 何としてでも
もはや肉眼では見えない攻防を、手に汗を握って見守るアリス。
そんな攻防の最中、界王拳の気が発破する「ボッ」という音が彼女の耳に入った。
「む……?」
「あ、まずい」
アリスの横に居たメフィストが、そう言う。
次の瞬間、ぶっ飛ぶルクトリーが姿を現した。
「ぐぅうっ!!!」
二刀流の剣でガリガリと床を削りながらブレーキをかけ、止まる。既に目の前には、リリスが迫っていた。
剣技と格闘を入り交じえ、リリスの猛攻を凌ぐルクトリーだが……また、界王拳の気が発破すると同時に怯み、その動きを止めてしまう。
リリスはその隙を見逃さず、彼の腹に手をつけて【エナジードレイン】を繰り出し、即座に風魔法を炸裂させて切り裂きながら吹っ飛ばした。
「ぐぁぁあぁあっ!!」
「ハァーッ……ハァーッ……!!」
その場で残心しながら、肩で息をするリリス。ルクトリーはどうにか着地しながら構え直そうとするも、界王拳の気が腕の中で発破した。
「ぐぅあぁあっ……!! くそっ!!」
「やはり……その技は、長く持たないようですね」
拳を握ってどうにか気の暴走を収めるルクトリーと、それを見て笑うリリス。
戦況を見ていたアリス達は、また歯噛みする。
「どういう事だ……! なぜ、押されている!?」
「ふーむ……どうやら、あの技は我々の想像以上に身体に負担がかかるようです。その上、リリスはダメージを覚悟でカウンターに転じてきました」
冷静に言う、メフィスト。ソニアは、彼女の方を向く。
「それじゃあ……やっぱり、リリスには勝てないって事……!?」
「……どうでしょうか。
そう言うメフィストが見てる先で、リリスがラッシュをかけた。ルクトリーはそれを避け、防ぎ、防戦一方を強いられている。
「その程度ですか!?」
痺れを切らしたリリスが、振りかぶってくる。だが、ルクトリーはその隙を見逃さず前蹴りを繰り出す。見事に直撃したそれで、思いっきり蹴り飛ばした。
「ぐはっ……!」
「この程度で底を見てもらっちゃ困る!」
ルクトリーは拳を放ち、リリスの顔を打ち抜いた。
「ぐ……!!!」
リリスはキッと睨み返し、二本指を向ける。そこから巨大な三日月状の斬撃が飛んだ。
「だぁあっ!!」
しかしルクトリーはそれを剣で弾き飛ばし、その場で勢いよく拳を突き出す。そこから風圧が飛び、リリスの腹を打ち抜いた。
「げぅっ……!!」
リリスは直撃したにも関わらず羽根を羽ばたかせて強引に突撃し、顔面を掴もうと腕を振る。
だがルクトリーはそれをしゃがみ避け、反撃のボディブローを叩き込んだ。
「がっ……ぐぅぅっ!!」
悶絶するリリスだったが、腕を上げて魔力を解き放つ。そこからまた巨大なエネルギーボールを掲げ、それをぶん投げてきた。
「うおっ!?」
ルクトリーは、それを両手で受け止める。しかし勢いを殺し切れず、靴を擦らせながらどんどん後退していく。
「どっせぇいっ!!!」
だが何とか踏ん張って、背を反らしてエネルギーボールを後ろに投げ飛ばした。
そんな彼の頬を、リリスは優しく添える。笑いながらその目を合わせ、光らせてくる。
「かぁあぁあっ!!」
「は!!?」
だが、魔眼のエナジーがルクトリーの気合いによって弾け飛ぶ。驚いてるリリスの顔を、勢いよく頭突きしてぶっ飛ばした。
身体に負担が掛かってるにも関わらず、旗色がルクトリーに傾きつつある。
「……ふむ、攻撃の瞬間に気を解放するようにしましたね。修行の成果が出ています」
メフィストは、前日の野営での修行を思い出しながら言う。「必要な時に必要なだけの力を〜」というものだ。彼はそれを実践し、どうにかリリスとの戦闘で間に合わせているのだ。
「後は、リリスの体力を削り切るのが先か、限界を迎えるのが先か……」
「何でもいい、とにかく攻めまくるのだ!!」
「そうよ、このまま倒しちゃって!」
「きゅっきゅ! きゅきゅきゅー!」
「ルカ、ヴィクトリー!! 貴方たちなら勝てる!!」
アリス、ソニア、ヌルコ、サラ……仲間の声援が聞こえる。それが、
「だりゃあぁあっ!!!」
「!!?」
攻防の最中、一瞬の隙を見切ったルクトリーがリリスの顔に拳を叩き込む。その拳を振り抜いてぶっ飛ばし、その場で二刀流になる。その刃に勇気の炎が巻き付き、熱く燃え上がった。
「いくぞ!!! 【10倍超紅蓮炎舞】!!!」
ルクトリーは高速移動でぶっ飛ぶリリスに追いつき、紅蓮の斬撃を連打し、ダメ押しの交差斬りを叩き込む。すると、斬られた所から赤熱し、大爆発が巻き起こった。
「うぐぁぁあっ……!!」
リリスは吹っ飛び、ルクトリーは剣を振り抜いたままのポーズで静止する。
身体中の気が、暴走しそうだ。それを無理矢理押さえつけている土の力も、そろそろ限界を迎えるだろう。
「さて、そろそろ僕の必殺技を見せてやる!」
ルクトリーの気が渦巻き、更に爆発する。紅蓮と黄金が入り交じったオーラが強大な輝きを放ち、そんなものを纏いながら飛翔する。
「っはぁあぁあっ!!」
リリスも全力の淫気を爆発させ、手を振りかぶりながらルクトリー目掛けて突撃する。
そして、二人の一撃が交差した。鼓膜を
「ふっ……!!」
「っぐ……!!?」
クロスカウンターになっていたかに思えたが、違った。リリスの一撃は頬を掠め、ルクトリーの拳は見事に命中していたのだ。
「やります……ねぇっ!」
リリスは自分の頬に叩き込まれた拳を振り払い、立ったまま犯そうと疾風を伴った動きで足で腰をホールドしにかかる。
だが、ルクトリーはその足を掴み止めた。土の剛力と界王拳と
「!?」
「うぉりゃあぁああああ!!!!」
驚くリリスをよそに、ルクトリーは飛び上がる。天井近くまで飛んだかと思えば、床を目掛けて思いっきりぶん投げた。
「〜〜〜〜っっ!!!?」
空気との摩擦で顔が痛くなるほどの急降下。一瞬で床に叩きつけられるかと思った次の瞬間、ルクトリーはリリスの横に現れた。
「たぁっ!!!!」
「!!!!」
リリスの胸に、膝蹴りが叩き上げられる。未曾有の急降下の最中の蹴り上げは、彼女の胸筋を突き破って背中を盛り上げる。ルクトリーはそのまま足を伸ばし、思いっきり蹴り上げた。
猛スピードで天井目掛けて吹っ飛ぶリリスだったが、ルクトリーはそれよりも速く雷の様な速度で回り込む。その両手に、渾身の気と土の力を込め──
「っ、はぁあっ!!!」
リリスはそれを見越したかのように振り向き、両手を向けて全力の魔力を解き放つ。竜巻のように渦巻く魔力がエネルギー波となって、ルクトリーに迫ってきた。
「【かめはめ波】──────っっっ!!!!」
ルクトリーはそんなリリスを目掛け、全力のかめはめ波を撃ち下ろす。
二人のエネルギーがぶつかり合い、拮抗する。互いに一歩も譲らぬ押し合いで城は揺れ、大気がウネり、気が
「ふんっ、ぎぎぎ、ぎぎぎぎぎ……!!!」
「はぁああああああっ!!!」
ここでリリスが全ての力を出し切り、一気に力を込めてきた。それで、みるみる内にルクトリーのかめはめ波が押されてしまう。
「魔力は私の方が上のようですね……さぁどうします、『ヒーロー』!?」
「ぐぐぐ、ぎぎ、がぁぁぁぁぁぁ…………!!!!」
今にも押し負けそうな状況。悲鳴を上げ続ける身体。勢いを失いつつあるかめはめ波……最後の最後で押し合いになったのが裏目に出たか──
「がっがぁあぁああああ……!!!」
ルクトリーは吼え、身体の内の気を滾らせる。限界をとうに超えた身体を更に鞭打ち──界王拳の倍率を上げ始めた。
「え……!!?」
「かぁあぁあああああ……!!!!」
紅蓮に燃え滾る気が、倍々に大きくなる。それが一気に爆発し、見上げる程巨大になった。
「20倍だぁあぁああああ──────ッッッ!!!!!」
界王拳を20倍にまで引き上げたルクトリーのかめはめ波が、更に巨大になる。それで、リリスのエネルギーをあっという間に押し返してしまった。
「!!!!」
強大すぎる気の奔流に直撃するリリス。その姿が光に融け、一瞬で床に着弾すると同時に閃光が王の間を覆い、凄まじい大爆発が巻き起こった。轟音と衝撃が響き渡り……パキンと、何かが砕け散る音が鳴った。
もくもくと爆煙が晴れ、そこには倒れるリリスの姿。そして──
「あ、あれ……?」
「ありゃ……流石に20倍はやりすぎたか?」
剣を杖にして、何とか立つルカとヴィクトリーが居たのだった。