もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ハーピー達はどこへ?

作戦会議を終え、ポケット魔王城から発った戦士達。戦士達は、イリアスベルクの東にあるというハピネス村に向かったのだった。

 

 

「ひゃ〜……ハーピーの村なんだよな?」

「ああ……」

 

 しかし、ここにハーピーは居なかった。居るのは人間と妖精と犬娘ぐらいだ。

 

 異常を感じた戦士達は解散し、まずは詳しい情報をかき集めに走った。

 

 

 村人から聞き込みを終えた戦士達は、情報を交換し合った。

 

「……ふむ、例のハーピーの集団失踪事件で話題は持ちきりみたいだな」

 

 アリスがそう言って、息を吐く。

 

「後で念のためにハーピーの集落にも行ってみようよ。何か分かるかもしれないし」

 

 ルカは皆にそう言い、さっそく準備を整えている。

 

 ヴィクトリーとソニアは並んで、頷いた。

 

「ああ……それと関係あるかどうかは分かんねぇけど、ここから離れたところにある謎の塔も気になるから行ってみようぜ。面白そうだ」

「お、面白そうて……ルカの言う通り、まずハーピーの集落に行って見るのが一番かもね」

 

 どちらにせよ、これ以上の情報を集めるには集落を探るしかない。事件現場にこそ、有益な情報というのは落ちているものなのだ。

 

「きゅー」

 

 聞き込みが出来ないヌルコは、ソニアの足元でりんごをもしゃもしゃと齧っていた。

 

「おっしゃあ、そうと決まれば行ってみようぜ!」

「ああ……」

 

 ルカ達は、ハーピーの集落へと向かった……

 

 

 ハーピーの集落……噂通り、ハーピーは一匹も居ない。自分達の足音と風だけが音を鳴らし、妙な閉塞感が包み込んできた。

 

「噂に聞いた通り、誰もいないね。全く気配もしないや……」

「ああ、気も感じねぇ……それにしても……」

 

 ここは、巨大な樹木がそのまんまハーピーの巣になっているのだ。神精樹よりかは小さいが、それでも集合住宅地として扱える程には大きい。

 

「念のため、隅々まで調べてみるぞ。なんらかの手掛かりがあるかもしれんからな……」

「ああ……」

 

 ここでは、何がいきなり飛び出してくるかが分からない。なので、戦士達は固まって、集落の調査を始めた。

 

 

 宿屋……

 

「……」

 

 部屋に、争った形跡は無い。しかし、一枚の貼り紙が目に付いた。

 

『当宿は、しばらく休業します』との事である。

 

「……貼り紙を貼るだけの余裕はあったみてぇだな」

「だな……突発的に消えた訳でも無さそうだ」

 

 ヴィクトリーとルカがそう言葉を交わすと、アリスが入ってきた。

 

「ああ……『しばらく休業』ということは、戻る意志もあるようだが……何ヶ月も戻らない、というのも想定外だったと伺えるな」

「……何が起きたんだ……? まさか、伝説の超サイヤ人が攻めてきたって事は有り得ねぇだろうし……」

 

 だいいち、そんな事があったらここに気が残っている筈だし、ここも村も……下手すればこの星が跡形もなく破壊し尽くされてる筈。

 

 戦士達は、調査を続けた……

 

 

 とある民家……そこにも、争った形跡はないが……

 

「おい、見ろよこれ」

 

 ヴィクトリーはそう言いながら、一枚のメモ用紙を取った。そこには汚い字で、『すぐ戻ります、心配しないで下さい』と記されていた。

 

「ふむ……」

「しかし、何ヶ月も戻っていない……何か、想定外の事態でもあったのか?」

 

 ルカとヴィクトリーとアリスが首を傾げる。それを横目にソニアは、部屋を見回していた。

 

「……突然消えるにしても、こんなに部屋を綺麗に整理してから消えるのかな……」

 

 言われてみれば、そうだ。ここの民家の全ては綺麗に整頓されており、争った形跡はない。

 

 さっきの宿屋の貼り紙といい、やはり消えるまでには余裕があった……? 

 

 

 一番大きい民家……おそらくは、村長の家であろう。ここにも、荒らされた形跡はない。

 

 しかし……奥の方に、誰かが居た。

 

「オッス!」

「おや、あなた方は……」

 

 そいつはメガネを上げ、こちらに向いた。そう、ネロとかいう青年が座っていたのだ。

 

「きゅー!」

「貴様、ここで何をしている……? もしやハーピー達の失踪も、貴様の仕業か!?」

 

 アリスの言葉に、ネロは首を横に振った。

 

「いえいえ、それは誤解です。私は事件の事を耳にし、調べにやってきたのですよ」

「ホントかな……それで、何か分かったの?」

 

 ソニアが半信半疑のまま聞いてみたら、彼は「ええ」と返事する。

 

「だいたいの事情は掴めました。ここは女王の家、記録を示した日誌が隠してあったのですよ。それによると……失踪より一ヶ月ほど前から、集落に奇病が流行り始めたようです。理性を失い淫乱化、男を見ると襲ってしまう病気……アルケQ5淫熱という鳥類のみの伝染病だったようですね」

「……」

 

 ヴィクトリーの世界にも、存在しない病気だ。

 

「伝染病だと……? 魔物に感染する伝染病は、すべて撲滅されたはずだが……」

 

 サラッと、アリスがとんでもない事を言ったので、ヴィクトリーは驚くが……そんなリアクションを出す暇も無く、ネロは頷く。

 

「ええ、アルケQ5淫熱は千年も前に撲滅された太古の病気です。それが、突然に猛威を振るい始めたのですよ。理性を失い、凶暴化するハーピー達……女王は子細に文献を調べ、絶滅したはずの奇病を知りました」

「それで、ほっとくとどうなるんだ? 死んじまうのか?」

「いえ、この病気は死に至るようなものではありません。しかし、ホルモン分泌に作用し、繁殖本能を過剰促進させるようです。治療法は、人間男性との接触を断っての療養のみ。そういうわけで、ハーピー達は自身を隔離したのでしょうね。隔離場所は、ここからまっすぐ北にあるハーピーの塔。そこに閉じこもり、今も療養しているのでしょう」

「きゅ……」

 

 長すぎる話に、ヌルコは寝てしまっているようだ。

 

 しかし、事情は分かった。ヴィクトリーが見た塔も、そういう事のようだ。

 

「しかしなぜ、そんな奇病が現代に復活したのだ? 太古に撲滅された伝染病なのだろう?」

 

 アリスは腕を組みながらそう言って、首を傾げた。

 

「ウィルスキャリアが居たのでしょうね。太古のウィルスを、その体に持った者が……」

「……要するに、太古の魔物がここら辺をウロついてるって事か」

「その通りです……というより、それしかありません」

「……まさか、そんな……」

 

 太古の魔物が、ここら辺をウロついている……その情報にうろたえる戦士達。

 

「太古の魔物か〜……どんな奴なんだろうな……」

 

 その中で一人、ヴィクトリーだけがわくわくした表情でそう言った。強そうな奴のことを聞くと、ワクワクせずには居られないサイヤ人の(さが)だった。

 

「……そんな事より、今はハーピー達の事です。現在もまだ、ハーピーの塔に閉じこもっていますが……」

「ああ、そうだったな。特効薬とかねぇんか?」

「薬か、2代魔王様が植えた世界樹ならば……あの霊樹になる実ならば、万病を癒せるはず。しかし、あそこはクィーンアルラウネの管轄。今の我等の実力では、とても行くことはできんぞ」

「そりゃ困ったな……」

 

 二人が顔を見合わせて、息を吐いた時だった。

 

「……こんな事もあろうかと! 実は私は、世界樹の実を持ち歩いていたのです」

 

 ネロはそう言って、それらしき果実を差し出した。

 

「これを、ハーピー達に飲ませてあげてください。これだけの分量があれば、全員に行き渡る筈です」

「ほんとか! サンキュー!」

「いや、待て! 本当にこれ、世界樹の実か……? 騙して毒を渡したのではないだろうな……?」

「信用がないのですね……私は、そんなに胡散臭いのでしょうか?」

「はい、とても胡散臭いです」

 

 ルカが、即答した。

 

「確かに怪しいとは思うけど、俺はおめぇの事は悪いやつだとは思ってねぇぞ。こんな事をしても、おめぇに得なんてねぇからな」

 

 ヴィクトリーはそう言って、ネロに握手を求めた。

 

「……やはりあなたは、噂通りの戦士だ。会えてよかった……」

 

 ネロはそう言い、ヴィクトリーと握手した。

 

「ともかく、ハーピー達の保護はあなた方におまかせします。さっき言った通り、ハーピーの塔はここより遥か北。おそらく、理性を失っているでしょう。くれぐれも、気を付けて下さいね」

「ああ、おめぇはどうすんだ?」

「私は私で、為すべき用があります。互いに最善を尽くすとしましょう……」

 

 ネロはそう言って手を離し、元の所に戻る。そして湯呑みを片手に、女王の日誌を読み始めた……

 

「……って、湯呑み!?」

「もちろん、私のマイカップです。他人の家のものを無断で使ったりはしませんよ……」

 

 そういう訳で、この世界樹の実をハーピー達に使う事になった。

 戦士達はハーピーの集落から出て、北のハーピーの塔へと向かった……

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