もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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人騒がせなスライム達

 ヴィクトリーがこの世界に来てから、三日後……ルカの看病もあり、すっかり元気になった彼は、今やこの宿屋のお手伝いさんのような役割をして馴染んでいた。

 

 そして、今日も今日とて目が覚める。

 

「……ふぁあ……」

 

 窓から差し込む陽光。まず視線に入ってくるのはベッド横のテーブルにある、勉強用に読んでた魔物図鑑やこの世界の物質に関する本。手放しがたいベッドの柔らかな羽毛。前の世界と変わらない朝だ。

 正直、異世界に渡ったという実感が無い──あのソニアという奴を除いては。

 

 そう思いながら、自分の着替えを用意しようとカプセルケースを覗く。すっかり元気なので、いつまでも布の服でいる訳にはいかない。自分には、取っておきの服装があるのだ。

 

 しかし、事件とは起こるものである。

 

「……げっ!」

 なんと、衣服が入ったカプセルが破損し、壊れている。無事なのは、カードケースやら何やらが入ったカプセルぐらいだろうか。

 

 ドラゴンボールヒーローズの戦士にとって、カードというのは命の次に重要だ。それが無事なのは、幸いだったが……

 

「ど、どうしよう……」

 

 これでは、自分の服が着れない。いつまでも情けで奢られた布の服のままでは、戦士として示しがつかない……

 

 ここで、ふとある事を思い出した。オババのくれたカプセルケースだ。「もしもの時のため」と言われ、持たされたのだったか。

 

 迷わずケースを取り出し、中身を見てみる。

 

「ん……こっちは無事か!」

 

 中身は、二個のカプセルだ。その内の一個を手に取り、ボタンを押して起動。そしてポイッと放り投げた。そのカプセルは床に落ちるなり、ボンッと煙を巻き上げた。

 

 数秒で晴れた煙の中から出てきたのはスーツケース。そしてその中身は、衣服だ。黒い半袖の肌に張り付くようなアンダーシャツと、カンフー用のズボンに、赤い胴着に、水色の帯に、丈夫そうな靴……しかし、目を引くものがあった。

 

「何だこりゃあ……」

 

 頑丈でタスキに使えそうな紐と、立派な剣と、仙豆の入った袋があった。剣は、トランクスさんが使ってたものと同じデザインをしている。恐らく、同じ製法で作られたものだろう。

 

「……」

 

 とりあえず、一式を装備してみる。サイズは自分の体に合わされているようで、着るのに苦労はなかった。

 

「ヴィクトリー、何だその派手な格好は……」

 

 部屋に入ってきたルカがヴィクトリーを見るなり、困惑しながらそう言った。まるで、友人のコスプレ趣味を見た時のような反応だ。しかし、困惑しているのは彼だけではない。

 

「し、知らねぇよ……俺だって困惑してんだ」

 

 紐タスキを結び、剣と仙豆の袋も装備する。これで、装備完了だ。

 

「でも、かっこいいじゃないか。似合ってるよ」

「そうかな?」

 

 着ていて、悪い感じもしなかった。派手な格好に反して、動きやすく出来ているようだ。

 

 姿見を見て、自分の格好を確認してみる。見たところ、悟空:ゼノと同じ格好のようだった。

 

「そう言えば、今日は旅立ちの日って奴なのか」

「うん。だからこことも暫くはお別れさ」

 

 何気ない会話を交わしながら、ルカは色々と片付けを始める。ヴィクトリーもそれを手伝いながら、世間話に興じた。

 

「……実は、ここ三十年イリアス様は降臨していないんだ」

「え……!?」

 

 何だと……!? じゃあ、俺をこの世界に連れてきたイリアス様はいったい……!? 

 

 ヴィクトリーの心中の困惑など、ルカには露知らず。彼は、落ち着いた様子で続けた。

 

「でも、今日はイリアス様の夢を見たんだ。なんて言ってたかは分からないけれど……なかなか幸先のいい夢だったと思うよ」

「それを踏まえて、おめぇは俺の話を信じたんか……?」

「うん、だって……」

 

 ルカがそこまで言いかけた時だった。

 

「大変だよー! 木こりのハンスさんが、さらわれたよー!」

 

 外から、そんな声が響いてきた。この声は、村のスライム娘のものだ。

 

「えっ!?」

「なにっ!?」

 

 ルカは急いで外に出て、ヴィクトリーもそれに続く。

 

「大変だよ、二人とも! ハンスさんが、悪いスライム娘に捕まったらしいんだ。裏山に連れて行かれたとか……」

 

 ペティおばさん──近所の、面倒見の良いおばさんが、飛び出す二人に言う。彼らはそれを聞き、頷いた。

 

「だったら、僕が助けに行くよ!」

「よっしゃあ! 俺もルカに便乗するぞ!」

 

 気合いマンマンの二人に、おばさんは首を振る。

 

「馬鹿を言ってるんじゃないよ。ここは、神殿の兵隊さん達に任せておくんだ。それに、あんたは病み上がりだろう?」

 

「……」

「……」

 

 言われた二人は、周りの様子を見る。兵隊らしき人もここの住民も、パニック状態に陥っていた。これでは、状況は変わらない。ラチがあかない。

 

「ヴィクトリー、付いてこい!」

「おうっ!」

 

 ルカとヴィクトリーはしびれを切らし、村を出て走った。

 ルカの健脚に驚きつつも、ヴィクトリーは走りながら彼の背を追う。

 

「裏山はここからすぐ北だよ」

「ああ、とっとと助けに行かねぇとな!」

 

 そう言いながら、二人は裏山へと向かったのだった……

 

 

 

「はぇ〜……」

 

 イリアスヴィルの裏山……村でも見かけたスライム型の女の子が、たくさんいる。和気藹々(わきあいあい)と、楽しみながら過ごしている模様だ。

 

「ここって、こいつらの巣になってんのか?」

「そうだよ。中にはイリアスヴィルに移住したり遊びに来たりするスライムも居るけど……そういう奴ばかりでも無いんだ」

「ははぁ、中には悪い奴も居るって事か……」

 

 現にその悪い奴が、問題を起こして今に至る訳なんだが……

 考えても仕方ないので、二人は進む。さほど険しくはない山道を踏みながら、問題の場所へと走っている……その最中であった。

 

「わーい! 人間だー!」

「人間の男の子だー!」

 

 急に、二体のスライム娘が道を塞いできた。彼らは立ち止まり、構える。

 

「わっ……な、何だよ……」

「僕達は今、急いでるんだ……」

 

 戦闘態勢に映る二人。そんな彼らの事情など知ったことかと、無邪気に笑うスライム娘たち。彼女らは、ここを通すつもりは無いらしい。

 

「そんな事より、私とあそぼーよー!」

「おちんちん、スライムでぐちゅぐちゅにしてあげるー!」

 

 彼女の台詞を聞いたヴィクトリーは、危うく吹き出しそうになる所だった。

 

「…………」

 

 どういう事だ。なぜ、おちんちんをスライムでぐちゅぐちゅにされなきゃならねぇんだ。

 

「敵か……!」

「じゃあ、とっとと決めてやる……」

 

 ルカは剣を抜き、ヴィクトリーは拳を構える。

 

「……ヴィクトリー、剣は使わないのか?」

 

 ルカは、彼の背にある立派な剣を見ながら言う。その剣は、どう妥協して見ても飾りでは無さそうだが……

 しかしヴィクトリーは、不敵に笑った。

 

「どっちかと言うと俺は素手の方が得手なんだ」

「……そうか」

 

 そうして、構えた二人……そんな彼らを、彼女らは依然として変わらない態度で見ていた。

 

「やる気だぁ〜」

「でも、あたしには勝てないもんね〜!」

 

 彼女らは、同時に攻撃を仕掛けてくる。一体はルカに攻撃を放ち、もう一体がヴィクトリーに粘液を放ってくる。

 

「ふんっ!」

 

 ルカは、その攻撃をかわし、そのすれ違い様に背中を切った。

 

「はぁあっ!」

 

 ヴィクトリーは粘液を素手で弾き飛ばし、走る。そして、勢いつけながら跳び、彼女の顔面に両足蹴りした。

 

「きゃああっ!」

 

 スライム娘Bはぶっ飛び、そのまんま気絶してしまった……

 

「ふんっ!」

「っ!?」

 

 ルカも、相手をしていたスライム娘の腹に剣の柄を叩きつける。彼女は一つ遅れ、ばたんと倒れ、気絶したのだった。

 

「意外とよえぇんだな」

「ここら辺のモンスターなら、ちょっと鍛えれば倒せるよ」

 

 そう会話しながら、二人は先に進んだのだった……

 

 

 

「……ん、なんだこりゃ?」

 

 ヴィクトリーの目に、赤い石が留まった。彼はそれを拾い、コイントスのようにしてからキャッチする。

 

「……」

 

 握ると、まるで炎に晒したかのように熱い。そして、僅かに魔力の様なものを感じる。何か不思議な力を持っている石と見て、間違いなさそうだ。しかし、何処かで確認したような気がするが……

 

「おーい、ヴィクトリー?」

「あ、あぁ……悪ぃ悪ぃ!」

 

 ヴィクトリーはすぐにルカの所に戻り、一緒になって裏山を進む。そして、その中盤に差し掛かった時だった。

 

 ドカーンッッッ!!! 

 

 いきなり、轟音が響いてきた。

 

「なっ……!?」

「な、何だ……!?」

 

 道行くスライム娘も、びっくりしているようだ。

 

「あっちから、何か落ちてきたみたいだよ……?」

「……」

「……」

 

 ヴィクトリーの頭に、ひとつの考えが過ぎる。もしかしたら、自分と同じく異世界に迷い込んだ奴だろうか。自分がこうして来れたのだ。可能性はゼロではあるまい。

 

「行こう、ヴィクトリー」

「ああ、何だか()()()()だ」

 

 二人は音のした方に進む。特に障害もなかったので、あっという間にそこに着いた。

 

「この辺りだな……」

「おい、ルカ!」

 

 早速何かを発見した、ヴィクトリーの指差す先……そこには、例のヤムチャと同じポーズで倒れている天使が居た。その姿や特徴は、何処となくイリアス様に似てるように思える。

 

「イリアス様……?」

「でも何か小さいぞ……大丈夫ですか?」

 

 兎に角、なにかトラブルがあったと見て間違いなさそうだ。声をかけられるのは自分達だけなので、声をかける。

 

「う……うう……ここは……いったい、何が……」

 

 空から落ちてきたであろう天使は、ゆっくりと体を起こした。そうして二人を見て、こほんと咳をついて仕切り直した。

 

「……私は、創世の女神イリアス。この世界を作った神、絶対にして唯一の存在」

 

 彼女の自己紹介に、ルカは驚く。当然か。このような者から、まさかそんな台詞が出てこようとは思っても見なかったのだから。

 

「まさか、本当にイリアス様……!?」

「でも、チビだぞ」

 

 何も察した様子の無いヴィクトリーは、ただ無神経にそう言う。しかしその言葉に、イリアスと名乗った少女は眉を吊り上げた。

 

「ち、チビ……!? 全能なる神に対し、なんと不遜な物言いを……! 神の雷に打たれ、己こそ矮小な存在である事を思い知るのです……!」

 

 彼女はそう言い、ヴィクトリーを指差す。その指先が光り──

 

「づっ……!?」

 

 ヴィクトリーの手が、微かにビリッとした。しかし、それだけだった。

 

「てめぇ、何しやがる!!」

「わーっ! 落ち着いてヴィクトリー!! 相手は子供だぞ!!」

 

 少女をぶん殴ろうとするヴィクトリーを、ルカは止める。冗談ではない。こんな筋肉野郎が少女を遠慮なくぶん殴ったら、殺されてしまう。

 

「……あれっ? なぜ消し炭にならないのです?」

「こんな静電気程度で消し炭になってたまるか!」

「ぐぬぬ……今度こそ、消し炭となりなさい! 炭化した肉体を、村に燃料として振る舞いましょう!」

 

 彼女そう言い、また静電気が走る。しかし、特にそれだけで、ダメージにはならなかった。

 

「っでーな!!」

 

 更に昂るヴィクトリーを、ルカが必死に抑える。そんな二人を横目に、彼女は考え事に耽っていた。

 

「……なぜ、これほどまでに出力が弱いのです? いったい、私の身に何が……」

 

 そうして考えた後、その手に魔力を溜める。

 

「鏡よ鏡。この世で最も尊い私の、現在の姿を映しなさい」

 

 詠唱の後、光と共に鏡が召喚された。宙に浮かんだそれは、彼女の両手に掴まれて初めて重力に従う。

 そうして、彼女は鏡をまじまじ見る。

 

「……ちっちゃい!」

 

 自分の姿を確認した彼女は、そう言って絶句した。

 

「どういうことなのです、これは!? まさか……六祖大縛呪!? うぅっ……記憶さえ断片的とは……いったい何者が、この私にこんな……黒のアリス? プロメスティン? それとも邪神の計略? ああ、思い当たる節が多すぎます!」

 

 イリアスと名乗った少女は、何やら色々言いながら焦っている。どうやら、ただ事ではない様子だ。

 

「……」

「……」

 

 さぁ、どうしたものか。このまま立ち往生していても、状況は変わらない……しかし、どう動けばいいのかも分からない。

 

 閉口する二人を、少女は睨みつけた。

 

「こうしてはいられません、ともかく天界に戻らないと……! ルカ、ヴィクトリー、貴方達との話は後です!」

 

 威勢よくそう言い残し、びゅーんと走っていった。空から墜落したばかりだと言うのに、なんとも元気な事である。

 

「……行っちゃった」

「な、何で俺達の名前を……」

 

 呆気に取られる二人。

 あれは、何だったのだろう。村にはあんな子は居なかった。そして何より、天から降ってきたと考えるのが妥当なところだろうか。もしかしたら、本物のイリアスなのだろうか……

 

「ヴィクトリー、先を急ごう」

「あ、そう言えばハンスさんが捕まってんだったな」

 

 立ち止まったままでは仕方ないので、二人は疑問を胸に残しながら進む事にしたのだった……

 

 

 

 道なりに進み、そして頂上……

 

「うさうさー! たべちゃうぞ〜!」

「わーい、たべちゃうぞー!」

「わ〜い、しぼっちゃうぞー!」

「た、助けてくれー!」

 

 二匹のスライム娘と一匹のバニースライムが、木こりの男──ハンスさんを襲っていた。

 

「なぁにやってんだあいつら……」

「とにかく、助けないと!」

 

 二人は兎に角、三匹のスライムの前に立ちはだかった。

 

「おいコラ! やめとけ!」

「ハンスさんを離せ!」

 

 威勢よく言う二人を、リーダー格のスライム──赤色で、頭には兎の耳とも見える形状の粘液を生やしている、バニースライムが笑う。それに続いて、取り巻きの二体のスライム娘も無邪気に笑った。

 

「へぇ、この村人を守りに来たの……? このヒトよりも、キミ達の方がおいしそうだね。うさうさー! キミ達もたべちゃうぞー!」

「わーい、たべちゃうぞー!」

「わーい、しぼっちゃうぞー!」

 

 どうやら、やる気の模様。ならば二人に残された手段は一つ。

 

「くっ、戦うしかないか……!」

「らしいぜ……」

 

 構え、三匹のスライムに向く。応じるようにバニースライム達も構えた。

 これが、戦闘開始の合図だ。

 

「いくぞー!」

「おー!」

 

 取り巻きのスライム娘達が、ルカとヴィクトリーに掴みかかる。

 

「ちっ!」

 

 ルカは剣を抜き、掴みかかりを躱しながらスライム娘を叩き切る。

 

「きゃっ!」

 

 命中。

 哀れ、そのスライム娘は体勢を崩し、膝(正確に言えば、粘液の足部分の中程の所)を、地面について(ひざまず)く。

 そこを追い討ちしようと、ルカが剣を振りかぶった。

 

「うさうさー!」

「っ!」

 

 しかし、横からのバニースライムの体当たりによって邪魔され、ルカは吹っ飛ぶ。そして、二歩ばかり下がってから剣を地面に突き立てて杖代わりにし、何とかダウンを防いだ。

 

「ルカっ! ちぃっ!」

 

 ヴィクトリーは相手をしていたスライム娘の脇腹を蹴る。それで彼女は怯み、その隙にルカに走っていった。

 

「させないぞー!」

 

 しかし先程ルカが切ったスライム娘が道を阻み、攻めてくる。

 

「うわっ!?」

「えーい!」

 

 しかも蹴られたスライム娘まで持ち直し、同時攻撃してくる。

 

 何とかヴィクトリーは彼女らの同時攻撃を両腕で受け止め、地面に踏ん張る。

 

「うっさー!」

 

 しかし、その頭上からバニースライムが跳んできて、ヴィクトリーに頭突きした。どういうわけか彼女の頭だけは硬質化しており、落下の勢いを利用した頭突きは、彼の額に大ダメージを与える。

 

「ぐぅっ……!!」

 

 ヴィクトリーは体勢を崩すが、からくも地面を蹴ってその場から離脱し、スライム達を正面に置く。そうしてから、痛む頭を押さえた。

 

「い、いって〜……!」

「くそぅ……!」

 

 流石に三対二では不利。複数戦など、数が多い方が有利なのは当たり前の事である。

 しかし、相手は所詮スライム。冒険の駆け出しに、いの一番に相手するようなモンスター。こんな所で挫けそうになっている場合ではない。

 だが、不利な状況には変わりない。何とかこの状況を覆せるものが無いだろうか……

 

「……まてよ」

 

 スライムと言えば……村の魔物図鑑の情報によると、火に弱いはずである。そして、火といえば……ある。拾った、火属性の魔力を有した魔石を。

 

「よし……!」

 

 ヴィクトリーは懐に手を突っ込む。そして、熱く、赤い石を取り出した。

 

「! そ、それは……!」

「くらえっ!」

 

 その赤い石を握りこんでから、狼狽えるスライム達に向かって勢いよくぶん投げた。

 

「!」

 

 真っ直ぐに投げられた石が彼女らの正面に差し掛かった、次の瞬間……石が光り、スライム三体を覆う。そして、彼女ら三体の体が急に発火したのだった。

 

「うさーっ!?」

「きゃーっ!」

「あついーっ!」

 

 スライム娘二体は急激なダメージによって悶絶しながら、脱兎のように逃げ、泉に走っていってしまった。これで、残るは主犯格のバニースライムのみ。

 

 ここぞとばかりに、ルカが走り出す。

 

「ち、ちょっ……!?」

「はぁあっ!!」

 

 狼狽えるバニースライムの体を、ルカの勢いつけた抜き胴が一閃する。少しの沈黙の時間の間、彼は剣を肘裏で挟んで引き、刃に着いた粘液を拭い、納剣した。

 

「うさぁ〜……や、やられた〜……」

 

 バニースライムは倒れ、降参したのだった。

 

「や、やった!」

 

 これで、ハンスさんを無事に助け出すことができた。

 

「ありがとう、二人とも! まさか、お前達に助けて貰えるなんてな。それじゃあ、俺は先に村に戻ってるよ。ありがとうな!」

 

 ハンスさんは安心した様子で、山を降りる。怪我もなかったようだし、無事で何よりだ。

 

「……ふぅ、良かった良かった」

「俺達も、村に戻ろうぜ」

 

 ヴィクトリーはそう言ってから今度は、すっかり伸びているバニースライムの方へ振り向く。

 

「おい、また悪さするようだったら今度はコテンパンにやっつけてやるぞ!」

「むぎゅう……もう、悪さしないよう……」

 

 こうして二人の戦士は、いたずら好きのモンスターを倒したのだった……

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