もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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淫熱の脅威

 道中を進み、北のハーピーの塔の前までやってきた戦士達。

 

「ここか……」

 

 ヴィクトリーはそう言いながら、塔を見上げる。高く聳え立つ塔の中……その中で、嫌な気が充満しているようだ。

 

「ルカ、どうだ?」

「入口が、中から閉じられてるみたいだね……」

 

 まぁ、当然と言えば当然か。そうじゃなきゃ、隔離医療ではない。

 

「ここを開けてくれ! 薬を持ってきたんだ!」

「俺達は敵じゃねぇ! おめぇらを助けに来たぞ!」

 

 ルカとヴィクトリーは並び、扉の前でそう言い放つ。すると少しの沈黙の後、扉が中から開けられた。

 

 開いた瞬間に鼻腔を衝く、獣臭と甘い何かが混ざったような、妙な匂い。奥から僅かに聞こえる、阿鼻叫喚……それが、この塔で起こってる事が只事ではないのを物語っている。

 

「……行こうぜ」

「うん……」

 

 ルカとヴィクトリー気を引き締めて先頭に立ち、ハーピーの塔に入った……

 

 

「……」

 

 迎えてくれたのは、ハーピーだった。ただし息遣いは荒く、目もトロンとしている。

 

「だ、大丈夫か?」

「薬を持ってきたよ。これを飲めば、病気も治るはず……」

 

 ハーピーはルカがそう言いかけた時に、クスクスと笑った。

 

「薬なんて、どうでもいいから……ねぇ、あたしとエッチしようよぉ……」

「あ、ダメっぽいぜ……」

「くっ、既に理性を失っているのか! 仕方ない、とりあえず大人しくさせないと……!」

 

 戦士達は構え、ハーピーに向いた。

 

「うふふ……」

「あら、男の子が二人もぉ……」

 

 ハーピー達はぞろぞろと出てきて、戦士達を睨む。どうやら、ヴィクトリーとルカの気配につられて来たらしい。

 

「こ、こんなに居るの……!?」

「やるしかないか……!」

「きゅきゅー!」

 

 ソニアは棍を構え、アリスはレイピアを構え、ヌルコは触手で銃を構える。

 

「おっしゃあ、やってみっかぁ!」

「ああ!」

 

 ルカとヴィクトリーが気を解放し、ハーピーの集団に切り込む。

 

「うふふ、大人しく犯され……」

「だっはーっ!!」

 

 艶めかしく言いながら襲いかかってきたハーピーを、ヴィクトリーが強烈な回転蹴りで蹴り飛ばす。しかし、迎撃に飛び込んだ所に四方八方から、目を血走らせたハーピー達が迫り来る。

 

「だりゃあぁあぁあ!!」

 

 そんな、圧倒的に不利な状況の集団戦だったが……ヴィクトリーは身体を振り、腰を捻り、多方向からの猛攻を凌ぎながら次々にハーピーを倒していった。

 

「あはぁっ!」

 

 一体のハーピーが、そんな彼の背中に突っ込んでくる。

 

「はぁっ!」

 

 しかしルカが、剣でそれを止める。剣とハーピーの足とで押し合い、睨み合う。ルカは足を地面に踏ん張り、彼女を押し返そうとするが、向こうも中々に力が強い。

 

「もう、邪魔しないでよぉ!」

「っぐ……!! はぁあっ!!」

 

 ならばと、ルカは剣を切り上げる。そうするとハーピーの足が打ち上げられ、ガラ空きのボディを晒す事になった。

 

「なっ!?」

 

 驚いて声を上げるハーピーに、そのまま抜き胴の一閃を叩き込んだ。峰打ちの一撃だったので、彼女は斬られる事無く、意識だけが沈み、そのまま地に伏せた。

 

 そんな彼の背後で、ソニアの声が弾ける。

 

「正気に、戻りなさーいっ!!」

 

 目まぐるしく棍を振るい、ハーピーを翻弄するソニア。彼女達は並走しながら攻防していた。

 

「小賢しいわね……! とっとと退きなさいよぉ! その男の子、私がぐちゃぐちゃに貪るんだからァ!」

「ヴィクトリーは構わないけど、ルカをあんたにやる訳にはいかないっ!!」

 

 サラリと酷い事を言いながら、ハーピーと攻防するソニア。空中から遊撃しては退く、ヒットアンドアウェイ戦法を繰り返すハーピーだが、ソニアの方も攻撃の隙を見てカウンターを的確に叩き込んでいる。

 

「ちぃいっ! 鬱陶しいわね!」

 

 ハーピーは飛び、勢い付けようと後方へ泳ぐ。このまま、矢のような威力の蹴りをお見舞いしてやるという魂胆だ。

 

「これで蹴り抜いて──」

「だ──ーっ!!!」

 

 ソニアは、なんと棍をぶん投げた。高速回転しながら飛翔した一本の棒は、ハーピーの顔面目掛けて一直線に飛ぶ。

 

「はぁ──ーっ!!?」

 

 彼女が驚いていると、その顔面に棍が直撃した。そうして墜落してしまい、「むきゅう」と言いながら頭の上に星を回したのだった。

 

「よし!」

 

 ハーピーを打ち落とした棍は、まるで意思があるかのようにソニアの方へ跳ね返り、彼女もそれを難なくキャッチしたのだった。

 

「きゅーっ!!」

「なんなの、この魔物……!?」

 

 ヌルコが、ハーピーと戦っている。触手を行使した搦手(からめて)に、マキナの銃での攻撃のコンビネーションを得意としたスタイルのようだ。そこら辺の魔物には無い戦闘スタイルに、ハーピーは困惑を隠せない。

 

「きゅきゅーっ!」

 

 鳴き声を上げながら、銃をバンバン撃つ。しかし、相手はハーピー。飛び道具の避け方ぐらいは心得ている。

 

「すぐに片付けて、あの子達を……!」

 

 そう言いながら、滑空蹴りを繰り出してくるハーピー。しかし、ヌルコは地面を蹴って横跳びして避けながら、すれ違い際に羽根への銃撃と同時に触手を絡ませる。

 

「なっ!?」

 

 羽を撃たれ、触手に絡まれたハーピーは、身動きが出来ずに拘束される。ヌルコはと言うと、まるでゴムのように触手を伸ばし、弓の弦を引くように狙いをすまし──

 

「きゅきゅきゅ──ーっ!!!」

 

 ギュルルルルッと螺旋を描きながら、脳天から猛突進した。

 

「きゃあぁああっ!?」

 

 更に回転を早め、勢い着いて来た所に、触手で持った銃に魔力を込める。そして、その回転が最高潮に達した瞬間に銃撃する。次の瞬間、爆発が巻き起こり、ハーピーを吹っ飛ばした。

 

「ふえーっ!?」

 

 ハーピーはぶっ飛ばされ、壁に激突する。そのまんま、「むきゅう」と声を上げながら気絶したのだった。

 

「きゅう!」

 

 ヌルコはというと、華麗に着地する。そして、ポーズを決めて勝利をアピールした。

 

 そんな彼女を横目に、ハーピーと入り乱れる影が一つ……アリスだ。

 

「このような姿になったとて、後れを取るような余ではない……」

 

 そう言いながら、レイピアと魔法でハーピーを圧倒している。

 

「く……! なんなの、このラミア……!」

「ふん、余を見下ろすその無礼……叩き伏せてくれるわ!」

 

 まずは、蛇腹で高速移動しながら、牽制にレイピアでの突きを連続で放つ。当然、ハーピーは後方へ飛んで距離を離そうとするが……

 

「逃がさんっ!」

 

 飛ぶ方向を読んでいたアリスが、偏差撃ちで炎を放つ。すると、吸い込まれるようにハーピーに直撃し、爆発した。

 

「きゃあんっ!」

 

 命中を確認したアリスはレイピアを構え、力を込める。そして、墜落してくるタイミングを見計らい、重く踏み込み──

 

「はぁあぁッッッ!!!」

 

 渾身の一突きで、ハーピーを打ち抜いた。打ち抜かれた彼女は吹っ飛び、後方の壁に激突し、倒れ伏したのだった。

 

 

 そんな戦闘を続けていれば、気付けば取り巻いていたハーピー共は消えていた。みんな地に伏せ、気絶してる状態で、誰も死んではいない。

 

「ふう、落ち着いたか……」

「みたいだね……」

 

 アリスとルカはそう言いながら一息ついて、納刀する。

 

「もしかして、ハーピー族みんな倒しちゃってたり……」

「きゅ」

 

 ソニアとヌルコも、無事のようだ。

 

「あ、あうぅ……つ、強い……」

 

 意識のあるハーピーが、そう言いながらヨロヨロと立ち上がる。

 

「わ、わりぃわりぃ……」

「ごめん……ほら、これを飲んで」

 

 ルカは、そのハーピーに世界樹の実をほんの少し齧らせた。すると、たちまちハーピーの顔色が元に戻り……

 

「ううん……あ、あれ……? いやらしい気分が、無くなっちゃった!」

「よし、効いたみたいだな!」

「きゅ!」

「ありがとう、薬を持ってきてくれたのね。すこし分けてよ、みんなに飲ませるから……でも……女王様も発症しちゃったの。塔の最上階にいるみたいだけど、誰も近寄れないのよ」

「……」

 

 ヴィクトリーは、天井を見上げる。

 

 確かに、感じる。大きな気が、乱れているのが分かる。ここからでも充分にその強さを感じる程のパワーが……こんなにも錯乱するなんて。アルケQ5淫熱は、相当に厄介な病気らしい。

 

「それじゃあ、僕達に任せてくれ」

「女王に、薬を持っていきゃいいんだろ? そんなん、朝飯前だぜ」

「気を付けてね、みんな病気のせいでエロエロだから。表面的な態度は普通だけどら心はエロでドロドロなの。それじゃあ、私はまずここら辺で伸びてるみんなに薬を配ってくるね! 女王様は、頼んだから!」

 

 彼女はそう言い、気絶しているハーピーに薬を与えに飛び回った。たまに淫語を喋る奴も居たが、そいつも蹴って無理矢理薬を飲ませてる模様だ。

 

「それじゃあ、僕達も薬を渡しに行こう」

「あのハーピーの言う通り、それらしき気が最上階にあるぜ」

「やれやれ、世話が焼ける……が、魔王として見過ごすことは出来んな」

「きゅきゅ!」

 

 戦士達はそう話し合いながら、ハーピーの塔を進んだのだった……

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