もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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■■で■■戦

 ハーピーの集団失踪事件を調べに向かった戦士達。

 

 ネロの情報により、ハーピー達はアルケQ5淫熱という病気にかかっていて、隔離療養のために北の塔にこもっている事が判明した。そのネロからアルケQ5淫熱を治せるという世界樹の実を受け取り、北の塔に向かう。

 

 そこは、淫熱によって凶暴化したハーピーの巣窟だった……

 

「だぁっ!!」

「やぁあっ!」

 

 奇襲してくるハーピー達を、戦士達は次々に叩き伏せながら進む。中にはハーピーだけではなく、スズメ娘も居た。

 

「ヴィクトリー、女王の気は?」

「もうすぐそこだぜ」

 

 そう言いながら進んでいると、それらしい部屋に辿り着いた。部屋の前だと言うのに、大きい気がビリビリと乱れているのを感じる。階下に居た時にも感じてはいたが、まさかここまでとは……

 

 緊張しながら、その部屋に入ると……クィーンハーピーが息を荒くしながら、部屋の中心でうずくまっていた。

 

「おめぇがクィーンハーピーか!」

「大丈夫ですか!?」

 

 ヴィクトリーとルカが、クィーンハーピーに寄ろうとする。彼女はそれを確認するや否や、こっちに羽根を向け、制止してきた。

 

「まさか、人間がここに……私に、近寄ってはなりません……」

「薬を持ってきたんです! これを食べれば、治りますよ!」

 

 ルカはそう言って、世界樹の実を取り出す。それを見たクィーンハーピーだったが……しかし、彼女は首を横に振った。

 

「それは、世界樹の実……しかしそれだけの量では、私の病を癒すには足りません……」

「ちょっと、話が違うじゃない……! 全員に行き渡る量じゃなかったの……?」

 

 ソニアがそう言うと、クィーンハーピーは彼女に向いた。振り向く為に首を動かすのすら、苦しそうにしながら。

 

「魔力が高い者ほど、多くの薬を必要とするのです。その量では、女王を癒すには到底足りません……」

「ああ、なるほどな……」

 

 そういう訳で、クィーンハーピーには治療を施せないらしい。

 

「早く去るのです、人間……私が理性を保っていられる時間も、限界が……」

 

 クィーンハーピーが、そう言いかけた時だった。不意にその体ががくりと脱力し、顔を伏せて止まってしまった。

 

「クィーンハーピー!」

「大丈夫か!?」

 

 ルカとヴィクトリーは、一応距離を取りながら彼女を見る。詳細の分からない病気に罹った彼女なので、何が起きても可笑しくはない……

 

「…………」

 

 クィーンハーピーは、ゆっくりと顔を上げる。その目は淫らな色に染まっており、口の端から涎を垂らしながら笑っていた。

 

「いいえ……ここに残りなさい、人間。その精、私が搾り尽くして差し上げましょう」

 

 見据えるは、ルカとヴィクトリー。二人の、活きがよくて若い男の精。それも、腹が満たされるまで搾る予定のようだ。

 

「くっ、情欲が理性を上回ったか! 応戦せねば、こちらの身が危ないぞ!」

「きゅきゅきゅーっ!」

 

 アリスとヌルコは、臨戦態勢になる。しかし、ヴィクトリーとルカはそれを静止した。

 

「な……?」

「きゅ……?」

「クィーンハーピーの指名は、僕達だ……」

「だったら、俺達でやってやる……ちょっと下がってろ」

 

 ヴィクトリーとルカは並んで、クィーンハーピーに向かって構えた。二人とも、臆している素振りは無い。

 

「今の私の前に現れた、己の不運を嘆くのですね。女王に抱かれ、無限の快楽に悶え狂いなさい……」

 

 クィーンハーピーはそう言いながら、首をゴキゴキ鳴らし、二人に歩み寄る。

 

「来るぞ……!」

「ああ……!」

 

 二人の背後に、アリス達は控えた。

 

「ソニアよ、分かっているな……?」

「うん……大きな力を持ったやつを相手に大勢で戦うと、一人一人の戦いが阻害されて不利になる可能性が高い……だからこういう戦いはなるべく一人か二人……多くても、三人でやった方がいい……ヴィクトリーの提案だったよね」

「きゅ……」

 

 ソニアとヌルコも、大人しく控えていた。

 

「はぁあ──ーっ!!」

 

 クィーンハーピーは突っ込んできて、二人に蹴りを放つ。

 

「ぐっ!!」

「ふんっ!!」

 

 ヴィクトリーは腕を交差し、ルカは剣でガードする。しかし、受けた衝撃が腕にビリビリと伝わり……それが、目の前の敵の強大さを伝えてくる。

 

「……相当の強敵らしいな」

「ああ……! 来るぞっ!」

 

 構え直した二人だが、既にクィーンハーピーは次の行動へ移っていた。

 

「はぁあっ!!」

 

 左足を軸足にして一回転し、ヴィクトリーの腹を目掛けて前蹴りを放ってくる。ハーピーの脚技を目の前に……刺すような痛みが、彼を襲った。

 

「!!」

 

 痛みが炸裂したのは、腹ではなく頭。こんな時に、あの頭痛が来たのだ。見えたのは、あのハーピーの集落、ハーピーの姉妹……そして、目の前のクィーンハーピー。

 

 頭の彼女の攻撃と、目の前の攻撃がシンクロして──初見では見切れぬであろう攻撃を前に、彼は動いた。

 

「はぁっ!!」

 

 挟み止める、肘と膝。彼は見事に、クィーンハーピーの蹴りを、蹴り足挟み殺しで止めたのだった。

 

「え……!?」

 

 ヴィクトリーの人外じみた反射神経を目の当たりにしたクィーンハーピーは、動揺してしまう。そんな彼女の顔面に鉄拳が叩きつけられ、そのままぶっ飛ばされてしまった。

 

「だぁあっ!!」

 

 更に、ルカが走る。クィーンハーピーが吹っ飛んだ方向へ回り込み、大きく剣を振りかぶってから、その頭に叩きつける。すると、凄まじい衝撃と共にクィーンハーピーは地面に伏せることになった。

 

「うぐっ……!?」

「だぁあっ!!」

 

 ヴィクトリーが、起き上がろうとするクィーンハーピーの顔面を蹴ろうと、走ってくる。それを確認した彼女は「ニヤリ」と笑い、一瞬にしてその場から消え失せた。

 

「なっ!?」

 

 動揺するヴィクトリー。そんな彼の背後に、風と共に現れるクィーンハーピー。彼女は、腰を捻り、脚を振りかぶって居る。

 

「はぁあっ!」

 

 そのまま、勢い良くヴィクトリーの背中を蹴り薙ぐ。すると、彼は蹴り飛ばされ、空中を舞うことになった。

 

「うわぁあっ!?」

 

 吹っ飛んだヴィクトリーだったが、彼の先にルカが颯爽と走る。そのまま跳び、宙を舞う彼の体を抱きすくめ、着地した。

 

「さ、サンキュ……!」

「気を抜くな……!」

 

 ヴィクトリーはルカから降りて、クィーンハーピーに向かい直す。既に彼女は突撃しており、ヴィクトリーの顔面を目掛けて頭突きを繰り出している。

 

「だぁあっ!!」

 

 ヴィクトリーはそれを両手で受け止め、間髪入れずにクィーンハーピーの顎を蹴り上げる。見事に直撃し、その体が空中に打ち上げられた。

 

「っ!!?」

「よっ!」

 

 ルカは走り、ヴィクトリーの肩を踏み台にして跳び上がる。そしてクィーンハーピーに向かって、剣を振り下ろした。兜割りは直撃し、彼女は勢い良く床に叩きつけられる。

 

「ぐぁあっ……!!」

「だっは──ーっ!!」

 

 ヴィクトリーは、立ち上がろうとしているクィーンハーピー目掛けて、飛び蹴りを繰り出す。それを前にした彼女は、焦燥の表情から転じて、不敵に「あはっ」と笑う。

 

 翼を仰ぎ、矢のように飛んでくるヴィクトリーに突風を浴びせる。逆風に当てられた彼は蹴りの姿勢から身体を翻し、着地する。

 

「……うわっ!?」

 

 正面に向き直した瞬間、風の刃が眼前にまで迫っていた。それを、ギリギリでしゃがんで避け、どうにか旋毛(つむじ)付近の髪が持ってかれただけで済んだ。

 

「うぉあぁあっ!!」

 

 ルカは、何と思いっきり剣をぶん投げた。高速回転する剣が、一直線にクィーンハーピーに迫ってくる。

 

「っ!」

 

 彼女は飛び上がり、それを避ける。剣は、虚しくも床に落ちてしまった。

 

「そこだぁっ!」

 

 ヴィクトリーは拳を握り、踏み込んでからの鋭いアッパーカットを放つ。しかしクィーンハーピーはそれを避けて、サマーソルトキックで蹴り上げた。

 

「ぐぁあっ!?」

「あはっ!」

 

 更に目にも留まらぬ程の圧倒的なスピードで高速移動し、ヴィクトリーに連撃を叩き込む。空中に居る彼は為す術なく、連続で叩き込まれる蹴りや翼の一撃に悶え続ける。

 

「はぁあっ!」

 

 そうしてる内に、不意にその姿を現す。そして、急降下してヴィクトリーの腹に膝蹴りを叩き下ろした。そのまま床にまで突撃し、凄まじい力で彼を叩きつけたのだった。

 

「うぐぁあぁあぁあああっ!!」

「ヴィクトリーっ!」

 

 悶絶し、絶叫するヴィクトリーを凝視するルカ。しかし、そんな暇は無い。

 

「何処を見ているのです?」

 

 背中を、ふわりと風が撫でたかと思ったら、クィーンハーピーの声が耳に飛び込む。そうして振り向いた次の瞬間、腹に蹴りが入った。

 

「ぐはっ……!」

 

 ルカはぶっ飛び、どうにかして着地するも、(ひざまず)いてしまう。そうして倒れまいと地面に張り手したその時……手の端に、何かが当たった。それは、自らの得物である剣だ。

 

「……よし!」

 

 ルカはそれを手に取り、立ち上がる。そして構え直し、気を解放した。

 

「はぁあっ!!」

 

 ここでヴィクトリーも立ち上がり、構え直す。

 

「やるじゃねぇか、クィーンハーピー……俺たちが、こんなに押されるなんてなぁ……」

 

 不敵に笑いながら、そう言うヴィクトリー。しかしクィーンハーピーの方は、最早余裕が無いようだ。

 

「はぁ……はぁ……! もう我慢できない……! 若いオスがっ、私を、囲んでっ……! はぁっ、はぁっ……!」

 

 顔を紅潮させ、息を荒らげながら、身をよじらせるクィーンハーピー。ギラギラした双眸には、二人の若い雄しか映らない。こうしている間にも、淫熱は加速しているのだ。

 

「ヴィクトリー……どうやら、いい加減全力でやらないとダメみたいだ!」

「おお、こっからが本番だぁっ!!」

 

 ルカとヴィクトリーの二人は、揃って気を全解放する。一刻も早く、クィーンハーピーを解放してやらないと……これ以上は、危険だ。

 

 そう思いながら、様子を伺っていたその時……ガクガク震えていたクィーンハーピーが大人しくなったと思いきや、その体から嫌な気が滲み出てきた。

 

「……おい……!?」

「まさか……!!」

 

 この現象は、見覚えがある。魔物盗賊団や、フェニックス娘とドン・ダリアの時と同じだ。となると、その先は──

 

「はぁあっ……!!」

 

 クィーンハーピーの目が紅く光り、嫌な気が波動する。黒い炎のような気が湧き上がっており、ただでさえ強大な力が更に増強されているのが感じられる。

 

「力が……力が、漲って来ます……!!」

 

 凶悪化してしまった、クィーンハーピー。彼女はおぞましい淫気と邪悪な気を立たせながら、二人に向かって闊歩(かっぽ)する。

 

「ちっ……!!」

「クィーンハーピーまで……!!」

 

 しかし、幸か不幸か……やる事は変わらない。凶悪化の解除方法も淫熱の抑え方も……本気の本気で攻撃して、正気に戻すだけだ。

 

「行くぞ!!」

「応ッ!!」

 

 二人とクィーンハーピーは、再び激突したのだった。

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