もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ハーピーの集団失踪事件を調べに向かった戦士達。
ネロの情報により、ハーピー達はアルケQ5淫熱という病気にかかっていて、隔離療養のために北の塔にこもっている事が判明した。そのネロからアルケQ5淫熱を治せるという世界樹の実を受け取り、北の塔に向かう。
そこは、淫熱によって凶暴化したハーピーの巣窟だった……
「だぁっ!!」
「やぁあっ!」
奇襲してくるハーピー達を、戦士達は次々に叩き伏せながら進む。中にはハーピーだけではなく、スズメ娘も居た。
「ヴィクトリー、女王の気は?」
「もうすぐそこだぜ」
そう言いながら進んでいると、それらしい部屋に辿り着いた。部屋の前だと言うのに、大きい気がビリビリと乱れているのを感じる。階下に居た時にも感じてはいたが、まさかここまでとは……
緊張しながら、その部屋に入ると……クィーンハーピーが息を荒くしながら、部屋の中心でうずくまっていた。
「おめぇがクィーンハーピーか!」
「大丈夫ですか!?」
ヴィクトリーとルカが、クィーンハーピーに寄ろうとする。彼女はそれを確認するや否や、こっちに羽根を向け、制止してきた。
「まさか、人間がここに……私に、近寄ってはなりません……」
「薬を持ってきたんです! これを食べれば、治りますよ!」
ルカはそう言って、世界樹の実を取り出す。それを見たクィーンハーピーだったが……しかし、彼女は首を横に振った。
「それは、世界樹の実……しかしそれだけの量では、私の病を癒すには足りません……」
「ちょっと、話が違うじゃない……! 全員に行き渡る量じゃなかったの……?」
ソニアがそう言うと、クィーンハーピーは彼女に向いた。振り向く為に首を動かすのすら、苦しそうにしながら。
「魔力が高い者ほど、多くの薬を必要とするのです。その量では、女王を癒すには到底足りません……」
「ああ、なるほどな……」
そういう訳で、クィーンハーピーには治療を施せないらしい。
「早く去るのです、人間……私が理性を保っていられる時間も、限界が……」
クィーンハーピーが、そう言いかけた時だった。不意にその体ががくりと脱力し、顔を伏せて止まってしまった。
「クィーンハーピー!」
「大丈夫か!?」
ルカとヴィクトリーは、一応距離を取りながら彼女を見る。詳細の分からない病気に罹った彼女なので、何が起きても可笑しくはない……
「…………」
クィーンハーピーは、ゆっくりと顔を上げる。その目は淫らな色に染まっており、口の端から涎を垂らしながら笑っていた。
「いいえ……ここに残りなさい、人間。その精、私が搾り尽くして差し上げましょう」
見据えるは、ルカとヴィクトリー。二人の、活きがよくて若い男の精。それも、腹が満たされるまで搾る予定のようだ。
「くっ、情欲が理性を上回ったか! 応戦せねば、こちらの身が危ないぞ!」
「きゅきゅきゅーっ!」
アリスとヌルコは、臨戦態勢になる。しかし、ヴィクトリーとルカはそれを静止した。
「な……?」
「きゅ……?」
「クィーンハーピーの指名は、僕達だ……」
「だったら、俺達でやってやる……ちょっと下がってろ」
ヴィクトリーとルカは並んで、クィーンハーピーに向かって構えた。二人とも、臆している素振りは無い。
「今の私の前に現れた、己の不運を嘆くのですね。女王に抱かれ、無限の快楽に悶え狂いなさい……」
クィーンハーピーはそう言いながら、首をゴキゴキ鳴らし、二人に歩み寄る。
「来るぞ……!」
「ああ……!」
二人の背後に、アリス達は控えた。
「ソニアよ、分かっているな……?」
「うん……大きな力を持ったやつを相手に大勢で戦うと、一人一人の戦いが阻害されて不利になる可能性が高い……だからこういう戦いはなるべく一人か二人……多くても、三人でやった方がいい……ヴィクトリーの提案だったよね」
「きゅ……」
ソニアとヌルコも、大人しく控えていた。
「はぁあ──ーっ!!」
クィーンハーピーは突っ込んできて、二人に蹴りを放つ。
「ぐっ!!」
「ふんっ!!」
ヴィクトリーは腕を交差し、ルカは剣でガードする。しかし、受けた衝撃が腕にビリビリと伝わり……それが、目の前の敵の強大さを伝えてくる。
「……相当の強敵らしいな」
「ああ……! 来るぞっ!」
構え直した二人だが、既にクィーンハーピーは次の行動へ移っていた。
「はぁあっ!!」
左足を軸足にして一回転し、ヴィクトリーの腹を目掛けて前蹴りを放ってくる。ハーピーの脚技を目の前に……刺すような痛みが、彼を襲った。
「!!」
痛みが炸裂したのは、腹ではなく頭。こんな時に、あの頭痛が来たのだ。見えたのは、あのハーピーの集落、ハーピーの姉妹……そして、目の前のクィーンハーピー。
頭の彼女の攻撃と、目の前の攻撃がシンクロして──初見では見切れぬであろう攻撃を前に、彼は動いた。
「はぁっ!!」
挟み止める、肘と膝。彼は見事に、クィーンハーピーの蹴りを、蹴り足挟み殺しで止めたのだった。
「え……!?」
ヴィクトリーの人外じみた反射神経を目の当たりにしたクィーンハーピーは、動揺してしまう。そんな彼女の顔面に鉄拳が叩きつけられ、そのままぶっ飛ばされてしまった。
「だぁあっ!!」
更に、ルカが走る。クィーンハーピーが吹っ飛んだ方向へ回り込み、大きく剣を振りかぶってから、その頭に叩きつける。すると、凄まじい衝撃と共にクィーンハーピーは地面に伏せることになった。
「うぐっ……!?」
「だぁあっ!!」
ヴィクトリーが、起き上がろうとするクィーンハーピーの顔面を蹴ろうと、走ってくる。それを確認した彼女は「ニヤリ」と笑い、一瞬にしてその場から消え失せた。
「なっ!?」
動揺するヴィクトリー。そんな彼の背後に、風と共に現れるクィーンハーピー。彼女は、腰を捻り、脚を振りかぶって居る。
「はぁあっ!」
そのまま、勢い良くヴィクトリーの背中を蹴り薙ぐ。すると、彼は蹴り飛ばされ、空中を舞うことになった。
「うわぁあっ!?」
吹っ飛んだヴィクトリーだったが、彼の先にルカが颯爽と走る。そのまま跳び、宙を舞う彼の体を抱きすくめ、着地した。
「さ、サンキュ……!」
「気を抜くな……!」
ヴィクトリーはルカから降りて、クィーンハーピーに向かい直す。既に彼女は突撃しており、ヴィクトリーの顔面を目掛けて頭突きを繰り出している。
「だぁあっ!!」
ヴィクトリーはそれを両手で受け止め、間髪入れずにクィーンハーピーの顎を蹴り上げる。見事に直撃し、その体が空中に打ち上げられた。
「っ!!?」
「よっ!」
ルカは走り、ヴィクトリーの肩を踏み台にして跳び上がる。そしてクィーンハーピーに向かって、剣を振り下ろした。兜割りは直撃し、彼女は勢い良く床に叩きつけられる。
「ぐぁあっ……!!」
「だっは──ーっ!!」
ヴィクトリーは、立ち上がろうとしているクィーンハーピー目掛けて、飛び蹴りを繰り出す。それを前にした彼女は、焦燥の表情から転じて、不敵に「あはっ」と笑う。
翼を仰ぎ、矢のように飛んでくるヴィクトリーに突風を浴びせる。逆風に当てられた彼は蹴りの姿勢から身体を翻し、着地する。
「……うわっ!?」
正面に向き直した瞬間、風の刃が眼前にまで迫っていた。それを、ギリギリでしゃがんで避け、どうにか
「うぉあぁあっ!!」
ルカは、何と思いっきり剣をぶん投げた。高速回転する剣が、一直線にクィーンハーピーに迫ってくる。
「っ!」
彼女は飛び上がり、それを避ける。剣は、虚しくも床に落ちてしまった。
「そこだぁっ!」
ヴィクトリーは拳を握り、踏み込んでからの鋭いアッパーカットを放つ。しかしクィーンハーピーはそれを避けて、サマーソルトキックで蹴り上げた。
「ぐぁあっ!?」
「あはっ!」
更に目にも留まらぬ程の圧倒的なスピードで高速移動し、ヴィクトリーに連撃を叩き込む。空中に居る彼は為す術なく、連続で叩き込まれる蹴りや翼の一撃に悶え続ける。
「はぁあっ!」
そうしてる内に、不意にその姿を現す。そして、急降下してヴィクトリーの腹に膝蹴りを叩き下ろした。そのまま床にまで突撃し、凄まじい力で彼を叩きつけたのだった。
「うぐぁあぁあぁあああっ!!」
「ヴィクトリーっ!」
悶絶し、絶叫するヴィクトリーを凝視するルカ。しかし、そんな暇は無い。
「何処を見ているのです?」
背中を、ふわりと風が撫でたかと思ったら、クィーンハーピーの声が耳に飛び込む。そうして振り向いた次の瞬間、腹に蹴りが入った。
「ぐはっ……!」
ルカはぶっ飛び、どうにかして着地するも、
「……よし!」
ルカはそれを手に取り、立ち上がる。そして構え直し、気を解放した。
「はぁあっ!!」
ここでヴィクトリーも立ち上がり、構え直す。
「やるじゃねぇか、クィーンハーピー……俺たちが、こんなに押されるなんてなぁ……」
不敵に笑いながら、そう言うヴィクトリー。しかしクィーンハーピーの方は、最早余裕が無いようだ。
「はぁ……はぁ……! もう我慢できない……! 若いオスがっ、私を、囲んでっ……! はぁっ、はぁっ……!」
顔を紅潮させ、息を荒らげながら、身をよじらせるクィーンハーピー。ギラギラした双眸には、二人の若い雄しか映らない。こうしている間にも、淫熱は加速しているのだ。
「ヴィクトリー……どうやら、いい加減全力でやらないとダメみたいだ!」
「おお、こっからが本番だぁっ!!」
ルカとヴィクトリーの二人は、揃って気を全解放する。一刻も早く、クィーンハーピーを解放してやらないと……これ以上は、危険だ。
そう思いながら、様子を伺っていたその時……ガクガク震えていたクィーンハーピーが大人しくなったと思いきや、その体から嫌な気が滲み出てきた。
「……おい……!?」
「まさか……!!」
この現象は、見覚えがある。魔物盗賊団や、フェニックス娘とドン・ダリアの時と同じだ。となると、その先は──
「はぁあっ……!!」
クィーンハーピーの目が紅く光り、嫌な気が波動する。黒い炎のような気が湧き上がっており、ただでさえ強大な力が更に増強されているのが感じられる。
「力が……力が、漲って来ます……!!」
凶悪化してしまった、クィーンハーピー。彼女はおぞましい淫気と邪悪な気を立たせながら、二人に向かって
「ちっ……!!」
「クィーンハーピーまで……!!」
しかし、幸か不幸か……やる事は変わらない。凶悪化の解除方法も淫熱の抑え方も……本気の本気で攻撃して、正気に戻すだけだ。
「行くぞ!!」
「応ッ!!」
二人とクィーンハーピーは、再び激突したのだった。