もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
戦いのさなか、突如として凶悪化してしまったクィーンハーピー。淫熱に侵されている時よりも鋭い気を放ちながら、ヴィクトリーとルカに向かって
二人はそれを前に構え直し、静かに闘気を高める。そして、ヴィクトリーの方が先に踏み込んだ。
「だりゃああ──ーっ!!」
滾らせていた気を全開放し、クィーンハーピーに突撃する。猛スピードで眼前にまで来てから拳を放つものの、それは避けられてしまう。拳を空ぶったことにより彼は無防備を晒し、「しまった」と言うまでもなく腹に蹴りが入る。そして、蹴り飛ばされた。その先にはルカがいる。
「うわぁあっ!」
「くっ!」
ルカは何と、ヴィクトリーの足を掴んで一回転。勢い付けながら、クィーンハーピーへ投げ返した。ヴィクトリーも内心予想外だったが、機転を効かせて突撃する。
「ふんっ!」
そのまま身体を真っ直ぐにして額に集中。自らの石頭を、クィーンハーピーに叩きつけた。
「ぐっ!?」
「だだだだだだっ!!」
更に攻撃を連打し、渾身の蹴りで彼女を揺るがせる。
「ぐぅっ!!」
「くらえぇっ!」
跳びながら一回転からの
「あぐっ……!?」
クィーンハーピーは勢いよく吹っ飛ぶものの、クルンッと一回転して壁に足を付ける。その壁を蹴って翼を広げ、猛スピードで二人に向かって滑空する。そして、ギロチンのようなダブルラリアットがルカとヴィクトリーに炸裂したのだった。
「ぐはぁあっ……!!」
「がっ……!?」
そのまま、ドゴンッと壁にまで叩きつけられる。その衝撃で壁がひび割れ、揺れがこの部屋全体に響き渡った。
「うふふ……二人共、美味しそうですね……どちらから搾りましょうか……」
クィーンハーピーはそう言いながら、舌舐めずりをして二人を見下ろす。今にも食いかかってきそうな眼光に映るのは、苦悶する男達。しかし、彼らはすぐに目を鋭くして睨み返してきた。
「ぐっ……!!」
「ふんっ!」
まずヴィクトリーが、クィーンハーピーに頭突きする。
「ぐっ!?」
「ででででいっ!!」
揺らいでるクィーンハーピーの胸に、ルカの蹴りが連打された。
「だぁあっ!!」
トドメと言わんばかりのヴィクトリーの気合い砲が、クィーンハーピーをぶっ飛ばした。
「きゃあっ!」
クィーンハーピーはぶっ飛ぶが、翼を翻して体勢を整える。そして、ハーピーらしく翼を揺らしながら空中に留まり、不敵な笑みを浮かべた。
その身体に暗黒のエネルギーと風の魔力が滲み、溢れ、混ざり合う。身体を
「ベイクドサイクロンッ!!」
叫びと同時に巻き起こったのは、見上げるほど大きい竜巻。それも暗黒のエネルギーが混ざっており、禍々しい黒に染まっていた。
「な、なんだっ!!?」
「避けるぞっ!!」
見た目は派手だが、正面からゆっくり迫ってくるそれを避けるのは造作もない。なのでそれを難なく避けたのだが……
「くっ!」
「ちくしょっ!」
ヴィクトリーもルカも剣を抜き、斬撃を火花を散らしながらいなしていく。クィーンハーピーはその隙に、二人の背後に現れた。
「しゃあっ!」
「しまっ……」
二人は、羽根の一撃でぶっ飛ばされる。
「くっ!」
しかしヴィクトリーは剣を納めながら持ちこたえ、クィーンハーピーに拳で猛攻しにかかった。
「だぁあああああっ!!」
「あはははははっ! もっと楽しませなさい!」
猛烈な打ち合いが展開され、拳と羽がぶつかり合い、蹴り足が入り乱れる。
「うぉおおっ!!」
なんとそこにルカも割って入り、クィーンハーピーに猛攻した。
「だりゃりゃりゃりゃ……!!」
「うぉおおおおおおお……!!」
「うふっ!」
激しい攻防の最中、クィーンハーピーは不敵に笑う。それと同時に高速移動で二人の背後へ回り込み、肘を落とそうとする。
「そっちか!!」
しかしそれを察知したヴィクトリーの足払いが決まり、クィーンハーピーはすっ転んだ。
「なっ!?」
「だぁあっ!!」
更にその顔面に、ルカが飛び蹴りする。
「うぐぁあっ!」
クィーンハーピーはぶっ飛んで、壁に叩きつけられた。叩きつけられた壁が大きな音を立て、ヒビが入る程の威力だった。
「よ、よし……いけるぞ……!!」
「じゃあ、やってみっかぁ!」
「うふふ……」
クィーンハーピーは笑い、二人を見る。そして、不気味に羽根を揺らめかせた。
「さぁ、来なさい……惨めに果ててもいいのならば……」
意味深に構えるクィーンハーピーに、二人は構えて警戒する。
頭の回転が早かったのは、ヴィクトリーの方だった。
おそらくアレは、何らかのカウンター狙いの構え。先攻に接近して攻撃は明らかに不利である。だが……これは、絶好の好機。完璧とは言えなかったあの技を……今までの戦いで培ってきた力を、ここで試すしかない。
「か……め……は……め……!!」
ヴィクトリーは腰を捻りながら左足を下げて踏ん張り、手を合わせてそこへエネルギーを集中させる。
「……!!」
クィーンハーピーは何かを感じ取ったのか、構えを解いてすぐさまヴィクトリーに突っ込む。
カウンター待ちの構えをキャンセルして、突撃してきたのにはヴィクトリーは少し驚いたが……しかし、動じなかった。何故なら──
「だぁあっ!!」
「っ!!?」
──ルカの、矢のような両足蹴りが地面に踏み込んだ瞬間のクィーンハーピーの胸に直撃した。
ぶっ飛んだ彼女はそのまま、壁に叩きつけられた。
「波──ーっ!!」
「!!! しまっ……!!」
壁に叩きつけられたままのクィーンハーピーに、青白い気の奔流が迫り来る。回避の余地を許さない速度で迫り、見事に直撃、爆発が巻き起こった。
「はぁ……はぁ……ここまでですか……くっ!」
晴れる爆煙と共にクィーンハーピーの嫌な気が霧散し、凶悪化が解けた。どうやら、これで彼女を倒したことになったようだ……
「はぁ……はぁ……!」
ヴィクトリーは、辺りを見回す。しかし、すぐに舌打ちをしてクィーンハーピーに向き直した。
周囲に、怪しい気配は無い。なぜ、クィーンハーピーは凶悪化した……?
アリスを始めとした控えのメンバーが、そんなヴィクトリーを横目にクィーンハーピーの前に立った。
「頭は冷えたか、クィーンハーピー? 一時的にだが、情欲も薄らいでいるはずだ」
「ええ……今は、なんとか理性を保っております。しかし、それも長くは続かないでしょう……同胞たちは大丈夫なのでしょうか。あなた達が薬を配ってくれたようですが……」
自分がこんな状態だと言うのに、案ずるのは同胞の事……倒しても尚、感服するばかりである。
心配するクィーンハーピーに、ソニアは答える。
「薬はだいたい行き渡ったみたい。他のハーピー達なら、大丈夫だよ」
ソニアの言葉で、クィーンハーピーはほっとした顔を見せた。
「そうですか、良かった……ならば、私をここに置いて集落に戻るのです」
「そんな、女王様だけ置いてけぼりだなんて……」
「しょうがねぇさ……病気のまんま外に出たら、何が起きるか分かんねぇ」
ヴィクトリーは、冷静にそう言いながらクィーンハーピーに向いた。
「ハーピー達は任せてくれ……おめぇの分の世界樹の実は、いつか持ってくる」
「助かります……その時は、私もここから出ることが出来るでしょう。もちろん、ハーピーの女王としてお礼致します」
クィーンハーピーは頭を抱えながら、部屋の中心に座った。
「さぁ、それでは行ってください。同胞達には、既に思念で指示を出してあります」
クィーンハーピーの治療は、延期になる。世界樹の実が足りないのだから、仕方がない。もう暫く我慢してもらうしかないのが心苦しいが……
「世界樹の実を持って、また来ます」
「きゅ!」
ソニアとヌルコが、並んで言う。
「ああ……行こうぜ、ルカ」
「待っていて下さい、クィーンハーピー……絶対に、助けますから」
ヴィクトリーとルカも言い、この場を後にする。
「……期待していますよ、強き旅人達」
クィーンハーピーは、揃ってこの場を後にする戦士達の背にそう言ったのだった……