もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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事件の陰には……

 ハーピーの塔に乗り込み、淫熱を収めようと奮闘する戦士達。それは順調にはいったものの、クィーンハーピーだけはそうもいかなかった。戦士達はいつかクィーンハーピーの熱も治せるような世界樹の実を持って、ここに来る事を決意した。

 

 

 そしてハーピー達と、ハーピーの集落に帰ってきたのだった……

 

「仲間達を助けてくれて、ありがとうね! みんな、ほとんどは集落に戻ってきたよ!」

「みてぇだな。よかったよかった」

 

 ハーピーの集落はすっかり賑やかさを取り戻しており、活気づいていた。

 

「でも、まだ塔に残ってる仲間達はいるの。淫熱が治りきってなくて、エロエロな気分の子とか……あと、元々エロエロで、淫熱に掛かってるフリしてる子も塔に残ってるみたいね……」

「えぇ……」

 

 不届き者や、治しきれなかった者も居るようだ。クイーンハーピーを治すついでにどうにかしたいものである。

 

「でも、じきにみんな戻ってくるはずよ。それに、きっと女王様も……」

 

 そう言う彼女の声は、明るさを取り繕っているのが丸わかりだ。クィーンハーピーの事が、心配に違いない。

 

「世界樹の実が見つかったら、持ってきてあげる。あんなところで一人っきりなんて、寂しいもんね」

 

 ソニアがそう言うと、アリスが頭を抱えた。

 

「しかし、世界樹ははるか西の孤島にある……外海に船を出す必要がある以上、手の出る場所ではないぞ」

「じゃあ、取りに行くのはだいぶ遅れちまうな……それでもいいんか?」

 

 ヴィクトリーが聞くと、ハーピーは頷いた。

 

「無理は言わないし、急ぎもしないから。私達が交代で、女王様の元に行ってお世話するよ。本当にありがとうね!」

 

 そう言い、深々と頭を下げた。そして顔を上げて、今度は首を傾げた。

 

「でも、なんであんな病気が流行ったんだろ……? 女王様が言うには、太古の伝染病らしいけど……」

「何か心当たりは無いか? 見慣れない者が、集落を訪れたとか……」

 

 ハーピーはアリスの言葉を聞いて、ハッとした顔になった。

 

「あっ……うん、そう言えば! ちょうど感染が始まる前、女王様のところに来客があったの。とっても強そうな淫魔が三体……どれも、異様な雰囲気だったわ……」

「そんな強そうな奴が……?」

「淫魔の訪問者だと……? その時の事を、詳しく聞かせてもらおうか」

「あれは数ヶ月前……」

 

 モリガンとアスタロトとリリスという淫魔が、タルタロスの周辺の事について聞いてきたとの事だ。変なモンスターはいないか、行方不明者はいないのか、異変は起きていないか……しかし、この集落では特にはそんな事は起こってはいない。起こったとしても、クィーンハーピーの耳に飛び込んでくるはずだ。だからその時は異常無しの旨を伝えた。

 

 なんでも、『一人殺っただけであれほどの余波が〜』という不穏な言葉まで呟いていたとか。

 

 そして、気になるそいつらの素性はなんと伝説の……

 

「通りすがりだったみたいね」

「伝説の通りすがり!?」

 

 ソニアはでかく、素っ頓狂な声でそう漏らした。

 

「ドアホか、貴様は。なにか言おうとした所を、押し止めたのだろう」

 

 アリスが言って、ソニアは「あっ、そっかぁ……」なんて間抜けな声で呟く。

 

「リリス、アスタロト、モリガン……聞いたこともねぇけど、何だかヤバそうな奴らだな……」

 

 ヴィクトリーはそう言いながらも、拳を掌でパンッと叩く。(まみ)える前なのに、もうワクワクしている模様だ。

 

「大層な名前を並べたものだが、本名か?」

「知ってるの、アリス?」

 

 ルカが聞くと、アリスは物々しげな表情で頷く。

 

「太古に存在した、伝説の淫魔三姉妹だ。それにあやかり、同じ名をつける親は多いが……まさか、三姉妹にそのまま伝説の名をつけるとはな。どれだけふてぶてしい親なのだ、全く……」

「いいや、俺は多分本物だと思うな」

 

 ヴィクトリーは両の拳を握って、そう言った。アリスはそれに対し、「ほう?」と言って反応する。

 

「その淫熱ってやつは、大昔の病気なんだろ? 伝説の淫魔三姉妹だって、伝説って言うんだから大昔の奴って考えていいと思うし……そうじゃなくても、相当な実力者だと思う」

「先祖返りというものか……確かに魔物は稀に己のルーツに根差した能力が突然変異的に開花する事はあるが……」

「へへへ、それにしても伝説の淫魔の三姉妹か……どんだけつえぇんだろうな……ルカもわくわくしてこねぇか!?」

「い、いや……僕はそこまで戦闘狂じゃないよ……」

 

 ルカが苦笑いする横で、ソニアも微笑んでいた。

 

「……ヴィクトリーって、変な所で子供っぽいのね」

「あははは、未熟者だからさ」

「……とにかく、そういう訳なの」

 

 ハーピーの言葉で、話は元に戻された。

 

「その三人の素性も目的も、全く分からなかったみたいだよ。それから、数日後じゃなかったかな……最初の患者が出たの。時系列的には、ぴったりだよね」

「じゃあ、その三人が伝染病をばらまいたのか……」

 

 ルカがそう言ってから、ソニアはぽんと手を叩いた。

 

「あくまで想像だけど……この件に関して、3人に悪意はなかったんじゃないかな。そういうウイルスが存在してた場所から来たんなら……本人達も、自覚なくウイルスの運び屋になる事もあるわよ。過去に猛威を振るった、伝染力の高いウイルス……かつ、接触した相手に免疫は全くなし。そういう悪い条件が重なって、大感染が広がったんじゃない? 3人の事が分からない以上、ただの推測だけどね……」

「意外に詳しいんだね、ソニア……どこかで勉強したの?」

 

 そう言うルカに、ソニアは顔を赤くした。

 

「あたし、神殿僧侶だって言ってるでしょ! 衛生学の基礎ぐらい学ぶわよ!」

「ふえぇっ、ごめんよーっ!」

「そ、そんなに怒んなくていいだろ……」

 

 ルカを怒る、ソニア……をなだめるヴィクトリー。それを横目に、アリスが考え込んでいた。

 

「伝説の三淫魔と同名に過ぎないのか、先祖返り的な存在か……それともまさか、本当に太古の昔から……まぁ、考えていても仕方ないな。その三淫魔の事は、頭の片隅にとどめておくとしよう」

「そうだな……僕達は、旅を続けよう!」

「ああ、今はまだ情報が少ねぇからな。次に進もうぜ!」

「きゅきゅっ!」

 

 ルカとヴィクトリーが話を纏め、ヌルコが元気よく返事した。

 

 謎を残したまんま、一行は旅を続ける。

 

 モリガン、アスタロト、リリス……果たしてこの三姉妹は、いったい何者だろうか。

 

 そんな事は頭の片隅に置いて、一行はハーピーの集落から発ったのだった。

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