もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ミダス村へ

「あ、そうだ。ポケット魔王城にも宿屋が欲しいな」

 

 ルカは思い出したようにそう言って、止まった。

 

「じゃあ、イリアスベルクのプチラミアでも誘えばいいんじゃねぇか?」

 

プチラミア……あの騒動以来、宿屋で働いているとのことだ。それをきっかけに、宿屋になりたいという事も言っていたらしい。

 

 あまあま団子を作るためにハーピーの集落で作ってる蜜が必要なんだったか。それがあんな事で供給難になっていたが……今は、解決している。

 

問題に着手していたプチラミアも、今ならば誘えるのではないか?

 

「よし、行こう!」

「ああ!」

 

 一行は先に進む前に、イリアスベルクに逆走した。最後の盗賊団員、プチラミアをスカウトするために……

 

 

「……何故だ」

「どうした?」

 

 男とドミグラの二人組が気を消しながら、ルカ達を見て会話を交わしていた。

 

「何故あの時の一撃を見切れたのだ」

「あの時の一撃……?」

「クィーンハーピーの、左足を軸足にしたあの蹴りだ……この体だから分かるが、あれは今の奴では見切れんはずだ……」

 

 男は拳を握り、握力を込める。

 

「奴もサイヤ人だ……サイヤ人の無限の可能性が、マグレでも引き起こしたのだろう」

「……」

 

 男は、黙った。そして三秒ぐらいしてから、笑った。

 

「そうだと、思いたいな……ふふふ……ところで、奴の次の場所は……?」

「ミダス村という所らしい……なんでも、黄金製の武器を造りにいくとか」

「……黄金って、鉄より柔らかいんじゃなかったか?」

「知らん」

 

 男とドミグラは、頭を抱えた。

 

「……ミダス村……この体の記憶には無い場所……何処だ……?」

「……続けようか」

 

 ドミグラはそう言ってカードに戻り、男のカードホルダーに収まった。

 

「……いったい、何が起きている……? 私は、こんな物語は知らない……」

 

 男はそう言いながら、歩いていった……

 

 

「……よし! これでポケット魔王城が本格的に稼働するようになったぜ!」

 

 プチを仲間にした事で、宿屋が出来たのだ。矮小ではあるが、拠点が出来た。

 

 あとついでに、流れでアミラも仲間にする事が出来た。というより、半ば強引に仲間に加わった。

 

 そしてアミラのリクエストで、ポルノフ村の残念なハーピー、ピーハーも仲間にする事になった。こいつ、やたら攻撃を避けるものだからヴィクトリーの修行相手としてもってこいなのだ。

 

 そんなこんなで準備を整えた事で、戦士達は進むのだった。

 

 

 ミダス村……

 

「……」

「……」

 

 ヴィクトリーとルカは、苦笑いをしながら村を見渡した。なんと、ミダス村の所々にナメクジ娘が大量発生しているのだ。

 

「な、何ここ……」

「何だか、ジメジメするぞ……」

「きゅ……」

 

 ソニア達も、引き気味にそう言う。

 

「な、何はともあれ、まずは情報収集だ。黄金装備の事とか、このナメクジの大量発生がどういう事なのか、聞かないとね……」

 

そうはいえども、ジメジメとした空気のせいで着ているものが肌にへばりついてくる。それがたいへん不快であった。

 

「ああ……ひぇえ、ジメジメしててなんかやだぞ……ソニア、カネ持ってねぇか? 上着買いてぇんだけど……」

「我慢しなさいよ。私だってこんな格好で、ジメジメした感触に襲われてるんだから……」

「きゅきゅ……」

「人間というのは、不便だな……始めるぞ」

 

 戦士達は情報を集めに、解散した……

 

 

 この村は、黄金の鋳造と牛の牧畜が盛んだったそうだ。

 

 そして、フローラとかいう伝説のメイドが居るらしい。この世界の賞という賞を受賞した、凄まじいメイドらしい。今ではもう、70の婆さんになっているらしいが……

 

 そして何より、このナメクジ娘の大量発生。いつもこの時期になると、ナメクジ娘が大量発生するらしい。しかし、今年は特に酷いとの話だ。

 

 話によれば、西のナメクジタワーという所がナメクジ娘の巣窟になっており、そこからナメクジ娘がやってくるとの事だ。冒険者がそこに行くも、毎回のごとく返り討ちになるのだ。

 

「それじゃあ、そこに潜んでいる奴は相当につえぇってことか……」

 

 ヴィクトリーは気合を入れ直しながら、そう言った。

 

「あ〜もう、全身ネバネバで嫌になるわねぇ!」

「うん……村の人も困ってるみたいだし、何とかしないとね」

「黄金製の武器の事も忘れるなよ」

 

 取り敢えずは、このナメクジ騒動をどうにかせねば。

 

 そう言いながら向かった先はナメクジタワーではなく、フローラという伝説のメイドの住む家だった。なんでも伝説のメイドの名は伊達じゃなく、腕っぷしまで凄いらしい。前回のこの騒動を収めたのは、この人なのだ。

 

 家の前に、若いメイドがいた。

 

「オッス! おめぇがフローラかぁ?」

「違います」

 

 メイドは半ギレ気味に、ヴィクトリーにそう返した。そこに、ソニアが呆れながら入ってくる。

 

「ヴィクトリー、フローラさんは70歳よ。こんな若い子が70なわけ無いでしょ」

「如何にも。私はフローラ様の弟子メイドである、ケイトと申します。そしてここが私の師匠、伝説のメイドであるフローラ様のお家です。失礼のないようにして下さいね」

 

 ケイトはそう言いながら、頭を下げる。そして、ヴィクトリーの方に向いた。

 

「ところで、あなたもバトルファッカーとお見受けしました。私の家で、勝負しませんか……?」

「バトルふぁっかー……? 何だか知らねぇけど、勝負を売られてんなら買うぞ」

 

 ヴィクトリーはそう言いながらケイトに向き、ニヤッと笑った。その体の中で気が練り上がっていく……その最中、ルカが肩を叩いた。

 

「ヴィクトリー、村の救出が先だ」

「あ、そっかぁ……そんじゃあ、戦うのはまた後でな!」

「そうですか、残念です。惨めな屈辱を与えて差し上げたのに……」

 

 ケイトは嫌な笑いを浮かべながら、ヴィクトリーの背中を見つめるだけだった。

 

 

「オッス! おめぇがフローラさんか!?」

 

 家に入るなり、ヴィクトリーは家の婆さんにそう言った。僕達は、思わずずっこけてしまった。外に居るケイトも、こけそうになったようだ。

 

「ヴィクトリー! さっき失礼のないようにって……」

「いえいえ、良いのですよ。若い内はアクティブなのが一番ですから……」

 

 婆さんはそう言いながら、微笑んでいた。そして、戦士達に茶を淹れる。

 

「こんにちは、旅の方。その少年の言う通り、私がフローラです。長い間、給仕を務めて参りました。伝説のメイド、という評判を聞いていらっしゃったのかしら。こんな年寄りで、がっかりされたでしょう……?」

「いや、そうでもねぇさ……」

 

 ヴィクトリーはそう言って、ふと玄関を見る。その玄関のドアが、いきなり開かれた。入ってきたのはケイト……ではなく、ナメクジ娘だ。

 

「じめじめ……」

「あら、ノックもなしに……レディにあるまじき振る舞いですよ、お嬢さん?」

「ごめんなさい……」

 

 ナメクジ娘はフローラの眼光に当てられ、玄関から出ていった。

 

「まったく、困ったものですね。人は襲わないものの、村の者達も迷惑しております。大発生の源は、西にあるナメクジタワーでしょうね。新しいボスでも現れたのでしょうか……」

「新しいボスって……前にも、ボスが居たんですか?」

 

 ソニアがそう聞くと、フローラは頷き、笑った。

 

「50年ほど前、同じようなナメクジ大発生があったのですよ。あの時は……お恥ずかしくも、私がボスを倒しまして」

「えっ、フローラさんがやっつけたんですか!?」

「あの頃の私は20代、現役の最前線。害虫の駆除もまた、メイドの務めでしたので……」

「や、やっぱりただの婆さんじゃなかった……」

「いいえ、今はただのお婆さんですよ。私では、もうどうにもならないでしょうね……」

 

 フローラは、遠い目でそう言った。

 

 なるほど、この人のこの村への思い入れも半端じゃないらしい。そして、この村の人達も困っているようだ……

 

「分かりました、僕達がナメクジの親玉を退治します!」

「ああ! ナメクジの親玉がどんなつえぇ奴でも、必ずぶっ飛ばしてやる!」

「おや、あなた達が行ってくださるのですか……? 心強いですね……それでは用心のため、これを差し上げましょう」

 

 フローラは、ヌルヌルチェックという防具を差し出した。これさえ装備すれば、ヌルヌルになる事がほとんど無くなるという。

 

「ヌルヌルになると快楽が増大しますし、何より普段の戦い方が出来なくなる……どうかお気を付けくださいね」

「ああ……ありがとう!」

 

 こうして、ナメクジタワーに向かう事になった戦士達。ナメクジの親玉とは、いったい……?

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