もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ミダス村……
そこでは、ナメクジ娘の大発生に困る村人達が居た。
困っている人達を見過ごせない戦士達は、フローラという伝説のメイドの話を聞いてから、ナメクジタワーに行ったのだった。
※
「ここがナメクジタワーか……」
「ひえぇ、じめじめする……」
塔の内部は湿気に満ちていて、草が生い茂っていた。そして何だか、心無しか空気ですらヌメヌメする。どうやら、モンスターのせいで大気にすら影響が出ているらしい。
「はえぇところ親玉をぶちのめしに行こうぜ。あんまりここには居たくねぇ」
「うん……だけど、そうも言ってられないかもよ?」
ルカとヴィクトリーが会話していたら、早速モンスター達が現れた。
「さ、早速かよ!」
「ふん、関係ない……どつき回してくれるわ!」
「よーし、行くわよ!」
モンスターの中から、一筋の攻撃が飛び出してくる。強襲した先は、ヴィクトリーである。
「くっ!」
彼はそれを受け止め、攻撃の主の顔を見る。
「あら、私の攻撃を見切るなんて」
そう言いながらヴィクトリーに笑顔を向けたのはナメクジ娘だが、ただのナメクジ娘ではない。黒いドレスに身を包んだ、ナメクジ娘の上位種だ。
「おめぇはっ!?」
「ハイスラッグ娘……と人間には呼ばれています。あなた、いい顔をしていますね。私に溶かされてください」
「嫌だね!!」
ヴィクトリーはそう言いながら剣を抜き、ハイスラッグ娘を切りつける。
「っ!」
「でやぁあっ!!」
そして前蹴りで彼女を蹴り飛ばし、すかさず走り出した。三歩ほど走った所で跳躍し、剣を振り上げて兜割りを放つ。
「あはっ!」
ハイスラッグ娘はそこに手を向け、ヴィクトリーに勢いよく粘液を叩きつけた。
「っ!!」
空中で攻撃を放とうとしてたものなので避けれず、直撃を許してしまう。だがすぐさま剣を納めながら受け身をとり、体勢を整えようと手を床につけた時だった。
「うわぁあっ!?」
ヌルンッと滑り、ヴィクトリーはすっ転んでしまった。ハイスラッグ娘の放った粘液に塗れたことで、立ち上がる事すら困難になってしまったのだ。
「こ、この……!」
「ヴィクトリーっ!」
ルカ達も、ハイスラッグ娘と戦っているようだ。しかし戦闘力の高さとヌルヌルのせいで、自分のペースに持ち込めずに苦戦している。
「ほら、隙だらけよ」
ハイスラッグ娘はそう言いながら、ナメクジの体でヴィクトリーを打った。重厚な一撃だったが、ヴィクトリーにはそこまでダメージにはならない……はずだった。
「わぁあああ──ーっ!!?」
ヌルヌルで体が滑り、壁に勢いよく叩きつけられてしまった。これには流石のヴィクトリーもこたえ、「いちちち」などと言いながらゴロンと転がる。
「く、くっそ……!」
ここでようやく立ち上がり、ハイスラッグ娘に向く。
「あはっ!!」
ハイスラッグ娘は跳躍しており、グルグルと回転しながらヴィクトリーにナメクジの体を叩きつけた。
「ふんっ!」
ヴィクトリーはそれを腰を落としながら踏ん張り、ガードする。
「なにっ!?」
「でりゃああっ!!」
そして、その顎を気を纏った足で思いっきり蹴り上げた。
「がふっ……!!?」
「くらえぇっ!!」
ヴィクトリーは両手に気を溜めて、ハイスラッグ娘にフルパワーのエネルギー弾を連射する。それが全て直撃し、爆発が連続した。
爆煙が晴れ、ボロボロの彼女が姿を現す。
「く、くやしい……この私が……」
そう言いながら、「べちょっ」と倒れた。戦闘不能になったようだ。
「ふぅ、ヴィクトリーも終わったか……」
「こちらも今終わった」
ルカとアリスを始めとしたメンバーが、既にハイスラッグ娘達をのしていた。多少苦戦はしたものの、何とかなったようだ。
「よっしゃーっ!」
「ふぅ、何とか乗り切ったか……」
「もう身体中ヌルヌル……お風呂に入りたい……」
「面倒な奴だったな……」
「きゅ!」
臨戦態勢を解いて、口々にそう言う。
「よし、先に行こう。早く村の人達の悩みの種を除かないと」
「ああ、レッツゴー!」
ルカとヴィクトリーを先頭に、戦士達はナメクジタワーを進んだのだった……
※
強襲してくるハイスラッグ娘やナメクジシスターを叩き伏せながら、戦士達は進み続ける。そうしていたら、あっという間にナメクジタワーの最上階に着いた。
「……この階から、すげぇ気を感じる」
「じゃあ、ここに親玉が居るのか……」
ヴィクトリーとルカは先頭でそんな会話をしながら、その気のする方へ向かう。
すると、音が聞こえてきた。粘液が絡まるような音と、消え入りそうになる男の嬌声。それが、歩を進める度に大きくなる。どうやら今は食事中らしい。
「ずいぶん、子種の出が悪くなってきたわねぇ……もう枯れちゃったのかしら……?」
「ふぁぁ……あぁぁぁ……」
現場に着いた時に目にしたのは、青年の体に三体のナメクジモンスターが淫らに絡み付いている光景であった。ぬるぬる、ぬちゃぬちゃと不快な音を立てながらも淫靡に絡みつく姿にヴィクトリーは面食らった。
しかし、ここで怖じけるような彼では無い。
「やいナメクジ共!! おめぇらがここのボスか!?」
「その男の人を離せ!」
ルカも便乗して言うと、ナメクジ娘達はゆっくりと二人の方に向いた。
「あら、こんなところまで人間が……もしかして、私達と繁殖したいの?」
「ふふふっ……良い種を持っているのが分かるわ。元気な子がたっぷり産まれそう……」
「それじゃあ、さっそく交尾しましょう。私達が、天国を見せてあげるわ……」
三体はそう言いながら、青年を解放する。どうやら、このナメクジ娘達は話が通じるタチでは無さそうだ。
「敵は三体ね……」
「余がやろう。貴様らは青年の方を」
「はいはい……」
「きゅ」
ソニアとヌルコは高速移動してから青年を抱え、安全な場所へと運んだ。
「アリス、戦ってくれんのか」
「こういう奴には、魔王である余が直々に罰を与えねば……」
「ああ、心強いよ」
ヴィクトリーとアリスとルカは一斉に剣を抜き、構えた。
「私達はスラグスターズ……」
「そう呼ばれているわ」
「うふふ、かかってきなさい……」
スラグスターズと名乗った三体は、気を解放した。相応の気が噴き上がり、三人を威圧する。しかし、彼らはそんな程度では動揺しなかった。
「にひひ、ナメクジの代表ってだけはあるな……!!」
「いくぞっ!!」
「ふん……!!」
ルカは姉に、ヴィクトリーは次女に、アリスは三女とぶつかり合った。
「でやぁあっ!!」
「うふふっ!」
ヴィクトリーは接近し、牽制に剣を左右に振って乱舞させてくる。しかし次女はそれを余裕の表情で避け続け、隙を見て彼の足元に粘液を放った。
「だっ!」
しかしヴィクトリーは跳んで避け、反撃にその顎を蹴り上げる。
「ぐっ!?」
「だりゃあっ!!」
続けて、舞空術で僅かに浮きながらも腰をギリリッと捻ってから、勢い付けて蹴りを放った。それは命中し、次女の体が後方へ吹っ飛ぶ。
「くっ! あ、あなた……剣よりも拳の方が……」
「正解!!」
ヴィクトリーは剣を納め、持ち直しながら言う彼女の顔をぶん殴る。しかし、瞬時にその顔から粘液を分泌し始める。そのまま彼の拳を、ヌメヌメの粘液で受け流したのだ。
「なにっ!?」
「だっ!!」
そしてナメクジの腹部で、ヴィクトリーの腹を打ち上げる。水袋で思いっきり打たれたかのような衝撃は、腹筋を貫通して内臓に響かせてきた。
「がはっ……!!」
「やぁあっ!!」
更に飛び上がり、上方向にぶっ飛ぶ彼を叩き落とした。
「はぁあっ!!」
そのまんま手を向け、粘液を放つ。ヴィクトリーはそれに直撃し、ヌルヌルになってしまったのだった。
「くっ!? うわぁっ!?」
体勢を整えてから勢い付けて起き上がろうとする。しかし、粘液で足元が滑ってすっ転んでしまった。
「い、いってぇ〜!!」
「あはっ!」
そんなヴィクトリーに、次女は拳を振り下ろしてきた。
「うわっ!?」
しかしヴィクトリーは転がって、それを避ける。目標を外した拳は、地面を粉砕する。早く体勢を整えて反撃できなければ、危ないだろう。
そう思って何とか立ち上がり、地面を蹴り出そうとする。しかし、またヌルヌルによってすっ転び、地面に顔を叩きつけてしまった。
「くそ〜っ!」
「あはっ! 身動きが出来ないわねぇ!」
次女は、容赦なくヴィクトリーに攻撃を仕掛けてくる。
「ちっ、しょうがねぇな……!!」
立ち上がっての戦いは無理と判断したヴィクトリーは、倒れたまま足に気を纏う。そして、脚を開いて回転し始めた。それは、ブレイクダンスで言う所のウィンドミルだ。
「な……!!?」
「でやぁあっ!!」
ダンスが加速する。遠心力と、更にナメクジのヌルヌル粘液が潤滑油とやり、さながら高速回転する丸鋸のようになった。そのまま次女に迫り、巧みな足技で滅多打ちにした。
「きゃああぁあああ!?」
「オラオラオラオラオラオラっ!!」
脇腹、顔面、胸、喉、腕、肩などに足技を叩き込んでから、両足を次女の顔面に向ける。
「あ、あぅ……?」
「波っ!!」
そして足からかめはめ波を放って、次女の顔面に直撃させた。
「きゃあああっ!!」
「よっ!」
攻撃を終えたヴィクトリーはダンスを加速させる。すると、足の粘液がスプリンクラーのように飛び散り、ヌルヌルを取り払ったのだった。後は何の問題もなく、立ち上がった。
「そんなっ!?」
動揺する長女。しかし、戦っていたルカはその隙を見逃さない。
「はーっ!!」
「っ!!?」
ルカは余所見をする長女に、魔剣・首刈りを放つ。鋭い踏み込みからの強烈な突き上げは、彼女をぶっ飛ばした。
「あぐっ!?」
「うぉおっ!!」
更に長女の顔面に、後ろ蹴りする。
「あぐぅうっ!!」
「だぁあっ!!」
更に地面を蹴って、長女の顔面に両足蹴りを叩き込む。それで、彼女をKOしたのだった。
「そ、そんな……!!」
「ふんっ!!」
アリスの渾身の二連突きが、三女を穿つ。その二発は見事に会心の一撃で、三女をぶっ飛ばしたのだった。
「きゃあっ!」
「わ、私達が……かなわないなんて……」
これでスラグスターズ達は、戦闘不能になったようだ。
「まさか、私達が負けるなんて……」
「これ以上、悪いことはさせないぞ!」
「分かったら、とっとと繁殖をやめろ!」
すっかり戦意を失ったスラグスターズ。彼女らに詰め寄るルカ達だったが、彼らを止めるものが現れた。
「い、嫌だぁ……」
搾られていた青年だ。彼はソニアとヌルコに押さえられながら、スラグスターズの所に向かおうとしていた。
「ちょっ……大人しくしてなさいっての!」
「きゅ! きゅ!」
「もっと、もっと交尾したいよぉ……」
どうやら、スラグスターズを気に入ったらしい。
唖然とするルカ達に、したり顔のスラグスターズ。
「…………」
「そう言う事なんだけど……どうするの?」
一番ボコボコにされたであろう、次女がそう尋ねる。
「じゃあ、せめて子供産むのはやめてくれよ。もう充分だろ?」
「ナメクジ娘が近くの村に押し寄せてきて、大変なんだ」
妥協案を出されたスラグスターズ達は、しぶしぶといった感じで息を吐いた。
「分かったわ、仕方ないわね……どっちにしろ、そろそろ群れを維持できる数の限界だったし」
「私達が負けたんだから、言うことは聞かないとね……これからは子作りじゃなく、楽しみのために交尾するわ」
「繁殖数も充分だし、しばらく子供は増やさないわ。これでいいのよね……?」
負けた筈なのに、ふてぶてしい態度を取るスラグスターズ。しかし、こちらの提案を飲んでくれる事には変わりないので、頷く事しか出来ない。
「ああ、うん……」
「じゃあ、そういう事で宜しくな」
「なんともしまらないけど……これで解決よね?」
とにかく、これでナメクジ娘が増える事はないだろう。向こうも比較的穏便に済ませてくれたし、これが最善なのだろう。
「それじゃあ、また縁があったら会いましょう」
「交尾したくなったら、いらっしゃい。私達が、好きなだけ相手してあげるから……」
「ナメクジの交尾の虜にしてあげるわ……ふふふっ」
スラグスターズの言葉を聞いて、ヴィクトリーは笑顔になって彼女らに向き直した。
「交尾はしねぇ。だけど、良かったらまた手合わせ頼みてぇ。いいか?」
「ええ、何時でも受けて立つわ……」
「わ、私は勘弁……」
「うふふ……私は考えておくわ」
こうしてナメクジの件は解決したのだった。
青年は再びスラグスターズ達に絡まれ、交尾を始めてしまった。
戦士達はそれに背を向け、村へと帰っていった……