もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ナメクジのボスを倒して、繁殖を防いだ戦士達。村にはまだナメクジが居るが、フローラさんの話によると来年には平和になるらしい。
そして、なぜかメイド許可証を貰ったのだった。
※
ナメクジ騒動は解決した所で、一行が向かったのはミダス廃鉱だった。整備された跡があり、金はあらかた掘り尽くされているという。となれば、余程奥に入らない限りは金を取ることは出来ないそうだ。
「ここにも魔物は居るのか……」
「でけぇ気は感じねぇ。とっとと終わらせようぜ」
ルカとヴィクトリーは先頭に立ちながら、そんな会話をして進む。道中にはかぼちゃ頭を被った怪人のジャックオーランタン、触手を生やした女体の額に特徴的な一つ目玉があるメーダ娘、全身から触手を生やした化け物のローパー娘と、薄暗い所に出るモンスターが強襲してきた。しかしあの戦慄とも言えるナメクジタワーの、ハイスラッグ娘地獄を乗り切った戦士達にとっては、屁でもなかった……
※
それからは予想外の強襲も無く、廃坑を進む戦士たち。
「……」
進みながら、ヴィクトリーは思っていた。あの頭痛や、既視感にも似た感覚。そして敵の凶悪化や、白兎の『ゼノバース』発言。更には、自分の知らない異世界まで……
間違いない、この世界で何かが起ころうとしている。確証もクソもないが、絶望的とも言える何かが迫っているのは間違いなさそうだ。しかし、それが何だかが分からないのだ。
こんな時ならばタイムパトロールがスッ飛んできて、色々やってくれそうな気はするのだが……どうも、そんな気配も無い。ここがドラゴンボールの世界では無い、完全に別次元の世界だからだろうか。
それにしては、あのクィーンハーピーや魔物盗賊団が見せた凶悪化は完全にタイムパトロールの案件である。
「ねぇルカ、手分けして調べてみようよ」
「分かった。じゃあソニアはあっちを頼む。僕はこっちを調べるから」
ルカと会話している、ソニアという女の子……彼女を見る度に、胸の中の未知感にも似たものが湧き上がってくる。
そして、どういう訳か頭の中に言葉が出てくるのだ。『あんな奴、知らない』と。もう見知らぬ仲でもないのに、何故なのだろうか。考えれば考えるほど、モヤの中をさまようような感覚になってくる。
「……」
「きゅー?」
ヌルコが、ヴィクトリーの手に触手を絡ませて揺すった。
「……ん?」
「きゅ、きゅ」
呆けているヴィクトリーが心配になって、揺すってくれたのだろう。そんな彼女の頭を撫でるヴィクトリー。
「ああ、サンキュ。後で一緒にりんご食べような」
「きゅ」
笑いながら一言だけ返事をするヌルコ。そんな時だった。
「みんなーっ!」
ルカの声だ。
その辺を探索していた戦士達は、ルカの声がする方へ向かう。すると、やけに拓けた空間に出て、その隅に大量の金があった。
「やった! 金を見つけたぞ!」
「貧金じゃねぇな。これだけの金がひとまとまりになってんのはすげぇな」
それは、とても大きな金の塊だった。洞窟内にある炭鉱の名残の照明に照らされ、キラキラと輝いている。
「よし、これをミダスの鍛冶屋に持っていくぞ。金製の装備を造ってもらわないとな」
そう言うアリスの横で、ソニアは目を輝かせていた。
「これだけ大きな金塊、売ればかなりのお金になるんじゃない?」
「洗錬されていないから、そうもいくまい。素材として用いた方が得だろうな」
「なんだ、残念……」
アリスの言葉で、ソニアはガックリと肩を落とした……
「おめぇ、欲望が丸見えだぞ……それで、誰が持つんだこれ?」
ヴィクトリーは、そう言いながら金塊を指す。
抱えるほどあるそれは、一目見れば重いと分かる。そして、運ぶのもしんどいものになるだろうというのは予測するまでもない。だから、なるべく力のある男の手で運びたいものだが……
「さっさと運べ脳みそ筋肉」
アリスが、投げやりに言う。
「俺かよ! ルカも男手だろ!」
「いや、僕はパワータイプじゃないし……なんならソニアの方がパワーあるんじゃないかな」
「何でよ! アンタも手伝えばいいじゃない! なんなら、魔王様にも手伝ってもらったら!?」
「この姿の余にこんなデカい金塊を運べと!?」
「きゅー、きゅ……」
平行線になる四人を、ジト目で眺めるヌルコ。
「まぁ待て、余から提案だ」
このままでは
「ルカとヴィクトリーで勝負して、負けた方がその金塊を持つというのはどうだ?」
「お、おお?」
「どちらにせよ僕かヴィクトリーなのね……」
二人は、力仕事は男手の仕事だと思って何とか納得する。そこまではいいが、問題は勝負の方だ。
「この後は東のタルタロスに突入する訳だが、ここらで二人の実力を見ておきたいというのもある。まぁ、二人もうすうす疑問に感じているのだろう? 目の前の男と自分、どっちが強いか」
アリスに言われた二人は、顔を見合わせる。互いに見たその顔は、「同じ事を思ってた」と言わんばかりの表情だった。
「……まぁな」
「男同士だもんね」
「なら、いい機会だ。この機に確かめてみるといい。立ち会いは余が行う」
アリスに提案された二人は、頷く。そして、距離を取ってお互いに礼をした。
「粋なことをするじゃない!」
「きゅーきゅ!」
ソニアとヌルコは、食料と飲み物を用意している。どうやら、観戦する気マンマンらしい。
「……余も気になっていたからな」
アリスはそう言いながらも、ソニアから観戦用のつまみとドリンクをちゃっかりと受け取っている。
ルカとヴィクトリーは、シリアスな表情で向き合っていた。
「こうしておめぇと向き合うのは、初めてか」
「そうだね……だけど、手加減はしないつもりだよ」
「ああ、俺もだ」
そう言い合ってから、二人は構える。
ルカはいつものように剣を両手持ちし、右足を一歩前に出してから腕を曲げ、刃をヴィクトリーに向ける。剣術で言う所の、霞の構えである。
ヴィクトリーは左足を下げて腰を落とし、右腕を前へ出しながら左腕を後ろへ下げる。これは、あの初めてベジータと対峙した孫悟空と同じ構えであった。
「……準備は良さそうだな。では、始めっ!!」
アリスの言葉で、実戦訓練が幕を開けたのだった。