もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

27 / 183
まった無しの実戦訓練

 ミダス廃坑の奥……ルカとヴィクトリーが、向き合っている。

 

 誰が金塊を運ぶかで揉め、アリスの提案によって男のどっちか負けた方が運ぶ流れになっていたのだ。ついでにこの機会なので、ルカとヴィクトリーのどっちが強いかを見るとの事。

 

 ソニアとヌルコは、すっかり観戦モードである。

 

「……」

「……」

 

 二人の男が構えて向かい合う。既にアリスからの「始め」の合図は出ている。

 

「だっ!!」

 

 ヴィクトリーが地面を蹴り、突撃する。そして、拳の一撃を放った。それを剣で受け止めるルカ。

 

 そして、凄まじい攻防が超高速で繰り広げられた。剣技と拳が嵐のように入り乱れ、互いには一撃も許さない。

 

「でゃだだだだだだだ……!!」

「うおおおおおおおお……!!」

 

 瞬きの間に飛び交う攻撃の数は3、4、5と増え、まだまだ加速する。

 

「くっ……!!」

 

 剣の刃で切れるのを心配したが、どうやらヴィクトリーは拳に気を纏って斬撃を弾いている模様。ならば、最早ルカに手加減をする理由は無くなった。

 

 暫くの攻防の後、二人は跳び上がって高速移動を繰り返した。

 

 消えてはぶつかり合い、現れては当て逃げ、その度に衝撃波が巻き起こって戦塵が散る。

 

「おおーっ! さっすがルカじゃない!」

「きゅきゅっきゅーっ!」

 

 盛り上がる、ソニアとヌルコ。

 

 目の前で繰り広げられる、まったなしの超バトル。戦う理由が雑用の強制というのは如何なものではあったが、ルカとヴィクトリーは既に頭からそんな事は抜けている。

 

 目の前の男に勝ちたい。

 

 二人の戦う理由は、それだけで充分だった。

 

「ふふ……」

 

 楽しそうに戦う彼らの顔を見て、アリスはつられて微笑むのだった。

 

 ここで、ヴィクトリーが咆哮する。「うぁあぁあああああ──ーっ!!!」と()えながら、両手に全力の気を溜めてからルカを見据えた。

 

「あだだだだだだだだだ──ーっ!!!」

 

 放たれたのは、フルパワーのエネルギー弾。それを、何発も連射してくる。

 

「おおぉおおおっ!!!」

 

 速射砲のように放たれ、己を穿たんと真っ直ぐ迫ってくるそれを相手にルカは剣を振るう。すると、エネルギー弾は弾かれてあらぬ方向に飛んでいく。

 

 そして、剣を一瞬で何度も往復させる事によって次々に迫り来るそれを弾き続けた。

 

 そして、最後の一発を弾いて構え直した時だった。

 

「っ!?」

 

 直前にそれを察知して、しゃがむ。一瞬遅れて気の弾が頭上を掠め、髪の毛一本持ってかれたのだった。

 

「繰気弾……!!」

 

 ヴィクトリーはそう言いながら、左手で二本指を立てている。

 

 繰気弾……ヤムチャの技。気弾を操作し、相手に着弾するまで追尾させる事が出来る技だ。

 

 エネルギー弾の連打の最後の一発にそれを放ち、弾き切ったと油断させておいてから当てるつもりだったが、ルカの勘が勝って避けられてしまった。

 

「……だけど、繰気弾はまだ操れる!!」

「厄介な技を……!」

 

 再び迫ってくる気弾を、ルカは弾く。しかし、これがしつこく纏わりついてくるので、ルカも防戦を強制されることになった。

 

「だりゃあぁあっ!!」

 

 そこに、ヴィクトリーが拳を振りかぶりながら走り出してくる。

 

 しかし、ルカが狙っていたのは彼の接近であった。

 

「はぁっ!!」

「!?」

 

 ルカは繰気弾を思いっきり地面へと弾き飛ばし、ヴィクトリーの足元に着弾させる。すると勢いよく砂煙が巻き上がり、ヴィクトリーはそれに怯んでしまう。

 

「うわっ!?」

 

 怯んでいると、剣の切っ先が砂煙を吹き飛ばしながら伸びてきて、それがヴィクトリーの喉元に滑り込み、彼を打ち上げたのだった。

 

「ぐぁあっ!?」

「魔剣・首刈り……!」

 

 ルカの剣技が決まり、ヴィクトリーは吹っ飛ぶ。

 

 ファーストアタックはルカの方だった。しかし、ヴィクトリーが不敵に笑いながら二本指を振り上げた、その時だった。

 

 地面から弾かれたはずの繰気弾が飛び出してきて、それがルカの顎を打ち上げたのだった。

 

「!!?」

 

 訳も分からないままぶっ飛ばされ、その体ごと打ち上がるルカ。

 

 二人がドシャリと音を立てながら地面に倒れるのは、ほぼ同時だった。

 

「おおっ……!」

「ルカの方が先に当てたが、ほぼ同時直撃か……」

 

 湧くソニアに、冷静に戦況を見るアリス。

 

「っ、ゲホッ、ゲホッ……おー、いてぇ! おめぇ、その技は俺じゃなきゃ死んでたぞ……」

「あ、頭がぐわんぐわんする……の、脳が揺れてる……」

 

 二人ともヨロヨロと起き上がりながら、真剣な顔になって構え直す。

 

「かめはめ波ぁっ!!」

 

 ヴィクトリーは、いきなりかめはめ波を放ってきた。

 

 ルカはそれを避けるも、かめはめ波の陰からヴィクトリーが拳で強襲してくる。

 

 その拳をギリギリで(かわ)すも、次の拳とその次の拳が矢継ぎ早に連射される。その回避もギリギリで間に合わせ、ヴィクトリーの拳のラッシュを回避し続けるルカ。

 

 そして、ラッシュの勢いが衰えた瞬間を見逃さずにルカは剣を持ってない方の手で張り手を放つ。

 

「ちっ!」

 

 ヴィクトリーはそれを、腕をクロスしてガードする。そして高速移動でその姿を消したかと思えばルカの背後から姿を現し、回し蹴りを繰り出した。

 

 だが、ルカも高速移動で姿を消して回避し、ヴィクトリーの背後から剣を振るう。

 

 しかしヴィクトリーは膝を落として身を(よじ)り、右手で背中にあった剣──トランクスが使っていた剣と、同じ製法の贋作──を僅かに抜き、その刃で防いでみせた。

 

「その剣、やっぱり飾りじゃなかったか!」

「おめぇほど使えねぇだけで、普通に使える!」

 

 ヴィクトリーはそう言いながら勢いよく腰を曲げ、剣を弾く。

 

 ルカは靴を擦らせながら後退するも、踏ん張ってヴィクトリーを睨み返す。すると、彼は左手の二本指を額に押し当て、気を集中させていた。

 

 流石のルカでも、あれの意味は分かる。ヤバい。

 

 そう感じ取った彼は、すかさず剣を構えながら突撃してくる。

 

「っ、魔貫光殺砲ッッ!!!」

 

 ヴィクトリーが放ったのは、魔貫光殺砲(まかんこうさっぽう)。ピッコロの必殺技である。気を二本指へ一点集中し、貫通力に長けたエネルギーを放つ大技だが……彼の技は、不慣れだった。

 

「ッッかぁあぁッッ!!!」

 

 ルカは両手持ちした剣に全力を込め、それを受け止める。そして、力任せに軌道をずらした。

 

 本来の魔貫光殺砲(まかんこうさっぽう)は、かなり長い溜めを要する技だ。付け焼き刃程度の練度で、しかも溜めの長さも中途半端なその技は、今のルカには通用しなかった。

 

「しまっ……!!」

 

 ヴィクトリーの不完全な魔貫光殺砲(まかんこうさっぽう)(しの)いだルカが放つのは、完璧な技。勢いよく踏み込んでから、膝を伸ばして身体のバネを活かした、低空からの剣の一突き──

 

「魔剣・首刈りぃッッ!!!」

 

 その一撃にヴィクトリーは吹っ飛ばされ、再び倒れたのだった。

 

「っ、はぁッッ、ハァッ……!!」

 

 立って肩で息をするルカ。かなり無理な凌ぎ方をしたせいか、剣を持つ手は痺れているらしく、震えている。

 

「……」

 

 倒れながらも静かなヴィクトリーは、喉元の痛みを感じながらも放心している。

 

 立っている者と倒れた者。それが明白になった。

 

「そこまでッ!!」

 

 アリスの声で、決着が着いた。

 

「……くっそーっ!! 負けたーっ!!」

 

 ヴィクトリーが倒れながら、悔しそうに言う。

 

「か、勝った……」

 

 ルカはヘナヘナと腰を抜かし、息を吐く。

 

「やったー! ルカが勝ったー!」

「きゅきゅーっ!」

 

 ソニアはまるで、自分の事のように喜びながらヌルコに抱きついてる。

 

「二人とも、見事だった。多彩な技を操るヴィクトリーに、巧みな剣技のルカ……どっちが勝ってもおかしくない戦いであったぞ」

 

 アリスはルカとヴィクトリーの二人を立ち上がらせ、言う。

 

「しかしまぁ、気弾を操る技もマカンコウサッポーとやらも付け焼き刃だろう。実際の戦いに使うアホがいるか、ドアホめ」

「で、でへへへへ……」

 

 痛い所を突かれたヴィクトリーは、笑って誤魔化す。そんな彼には、やってもらう事があった。

 

「まぁ、これで金塊はヴィクトリーが運ぶ事になったね」

「おおっ! 修行のついでだ!」

 

 ヴィクトリーは快諾してバッと走り出し、その問題の大きな金塊を持ち上げたのだった。抱えるほどあるそれを、難なく持ち上げてしまう。

 

「こ、今度は負けねぇからなーっ! 見てろよーっ!」

 

 そして、ドスドスと先頭を切るように走り出した。

 

「凄い気合いだなぁもう!」

「脳みそ筋肉め……」

 

 ルカ達は、彼に続く形でミダス廃坑を後にしたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。