もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ロストルム村へ……

 黄金を持ってミダス村へと無事に帰還した戦士達。そこで黄金製の武器を手に入れて、遂に山脈越えをしようとしていた。

 

「この山脈洞窟を越えると、ロストルム地方だよね。東のタルタロスがある、無人の地域って話だけど……」

「どんな地方だ?」

 

 ヴィクトリーの言葉を聞いて、アリスが真っ先に口を開いた。

 

「……誰もいない、無人の地方だ。ロストルム村もあったが、大異変から10年ほど後に滅びたという。小さな村ゆえ、生き残りも居なかったと言う事だが……」

「……滅びた原因も、タルタロスに関係あるのかな?」

「その可能性は高いだろうな。何者かの襲撃を受けたと言う事だが……まぁ、それも含めて調べてみるぞ。タルタロスには、大異変の手がかりがあるはずだ」

 

 アリスとソニアが話した所で、ルカも頷く。

 

「よし、それじゃあ……」

「いっちょやってみっかぁ!」

「きゅっ!」

 

 ルカとヴィクトリーに応えるように鳴く、ヌルコ。彼らは気合を入れて、山脈洞窟の中に入ったのだった。

 

 

 あの実践訓練でレベルアップを果たしたルカとヴィクトリーにとって、山脈のモンスターなど雑魚同然だった。しかも、今は黄金製の装備を手にしているので、皆もパワーアップしていた。

 

 ただ、そこそこ長い洞窟とだけあり、越えるには時間と体力を要した。

 

「よ、ようやく洞窟を抜けれたか……疲れた……」

 

 抜けるなり、アリスはぐったりした様子でそう言った。

 

「とりあえず、野宿以外で休めるところを探そうよ。滅びたロストルム村でも、休む場所くらいはあるんじゃない?」

「そうだね……よし、ロストルム村に行ってみよう」

 

 ルカがそう言って先頭に立ち、歩き続けて辿り着いたロストルム村……そこは完全に滅ぼされ、壊された建物とその瓦礫、僅かに残ってる民家、そして枯れ果てた草木が風に揺られている。

 

「ひどい……完全に滅ぼされてる……」

 

 ソニアの言う通り、そして噂通り、ロストルム村は完全に滅びていた。

 

「いったい何者が、ここまで村を破壊したのだ……? ただの盗賊や、ならず者の仕業ではないのは確かだな」

「とにかく、体を休める場所を探そうよ。少し休憩してから、南のタルタロスに乗り込もう」

「きゅーっ!」

 

 アリスやソニアが言うのに応じるヌルコ。

 

「……」

 

 ヴィクトリーはというと、廃墟の一つに目を付けていた。

 

「……どうしたんだ、ヴィクトリー?」

 

 ルカはヴィクトリーの様子に気付き、そう投げかけた。ヴィクトリーは、その廃墟に目をつけたまま口を開いた。

 

「そこから、覚えのある気がする……しかも二つ」

「本当か?」

「ああ……ここの生き残りじゃねぇのは確かだ。行ってみようぜ、面白そうだ」

 

 そう言うと、ヴィクトリーはその廃墟に向かっていった。皆も彼の背に続く形となって歩いていく。

 

「……」

 

 ヴィクトリーは、廃墟の玄関を開ける。そこには、見覚えのある羽根を生やした少女と、スライム娘の二人がいた。

 

「ふぅ、ようやくここで一休みできますね……あたたかいベッドでねむりたいです……」

 

 その正体は、イリアスとそのお供スライム娘だ。

 

「むっ、イリアスではないか……もしかして、貴様もタルタロスに向かっているのか?」

 

 見るなり、アリスが声をかける。

 

「あなた達こそ、タルタロスが何か分かっているのですか?」

「分かってるよ、別の世界線……いわゆる、並行世界へのトンネルだろ?」

 

 ヴィクトリーは真っ先にそう答え、椅子に座った。

 

「ええ……私達の世界とは異なる可能性の存在する世界。何らかのパラドックスによって、発生したと考えられます」

「……ぱらどっくす?」

 

 ルカは素っ頓狂な顔でそう言いながら、首を傾げた。

 

「時空そのものに生じた、ボタンの掛け違いのようなものです」

「話しただろ? 一本の苗木の話。あれが一番分かりやすい例だ。それでイリアス様、原因は分かるんか?」

「いいえ、まだ調査中です……また、タルタロスでは人間が変異するのを見たでしょう。あれは、アポトーシス化現象と呼ばれるもの」

「アポトーシス……!」

 

 ヴィクトリーは、タルタロスの中にあった赤字を思い出した。『みんな、アポトーシスになる』という、不気味な文の事だ。

 

「歪んだ時空間による、聖素と魔素の不規則な生体侵食変異……それが、アポトーシス化の正体なのです」

「……ちなみに、こいつの正体は分かるか?」

 

 ヴィクトリーは、ヌルコを抱っこして持ち上げる。

 

「きゅきゅー!」

「分かりません」

 

 それを見たイリアスは、きっぱりと即答した。

 

「だってよ、ヌルコ」

「きゅーっ」

 

 特に意に介してない様子のヌルコは、ヴィクトリーの膝でくつろぎ始めた。

 

「いったい、なんでそんな事が起きたの……?」

「それは、調査中です」

 

 ソニアの問いにも、イリアスは即答した。

 

「……」

「つまり、まだ何にも分かってねぇって事か……」

 

 とにかく、イリアスの方も頑張っているらしい。収穫無しなのは残念だが、分からない事だらけなのはお互い様である。

 

「じゃあイリアス様、何か分かったら頼むぜ。俺達も頑張るからさ」

「こんな奴、アテにならんがな……」

「何ですって……!? 今のは聞き捨てなりませんよ、魔王!」

「ふん、アテにならんからアテにならんと言っているだけだ! 文句あるか!」

「あーもう、やめろよ! ほら、かいさーんっ!」

 

 アリスとイリアスの喧嘩を、ルカが収める。

 

「べーっ!」

「いーっ!」

 

 この家から出ていくまで、アリスとイリアスは睨み合っていた。

 

 何はともあれ、この村の宿屋……その廃墟で、少しばかり休憩する事になった。みんな山越えで、疲れている。

 

「イリアス様は、あんなスライム娘一人だけでどうやって山越えしたんだろうな?」

「さぁ……?」

 

 

 少し休憩してから、戦士達はロストルム村を南下。そこにあるタルタロスへとやってきた。そこは南のタルタロスとは違い、学者達も居ない。

 

「誰もいない……なんだか、不気味な雰囲気……」

「調査隊はここまで来られないという話だったな。非戦闘員の学者達まで連れて、山脈越えは無理だろう」

 

 人も動物の気配もなく、ただそこに空いている大穴。それは不気味な雰囲気を(かも)し出し、周囲の空気すらも暗く(よど)んでいるような感覚を覚える。

 

「おっしゃあ、いっちょやってみっかぁ!」

 

 そんな暗い空気など知らんと言わんばかりのヴィクトリーが、真っ先にタルタロスへと走り、大穴へと飛び込んだ。

 

「ちょっ!? ヴィクトリーっ!?」

「せっかちな奴め……余達も続くぞ!」

 

 何故かヴィクトリーを先頭に、戦士達は大穴へと降りていった……

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