もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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迷いの森にて

 元の世界に戻り、イリアスヴィル……その西にあるという、迷いの森。

 

 不思議なオーラに包まれた深緑の森には、静謐(せいひつ)な雰囲気が漂っており、それが来る者を吸い込むかのよう。しかし名前以上のおどろおどろしさは無く、神聖な感じですら有った。

 

 鳥が鳴き、葉が擦れ、川のせせらぎが聞こえる中……一行は、ずんずんと進んでいた。

 

「この森って、出口が何カ所もあるんだよね。たぶん、エンリカに繋がってるのは一つだけじゃないかな……」

 

 進んでる最中、水を飲みながらルカがそう言う。迷いの森の故は、どうやらそこらしい。その後ろでアリスも周囲を警戒しながら、気を張りめぐらせている。

 

「それにしても、ダークエルフの気配が多いな……なぜ、こんな所にダークエルフが生息しているのだ?」

「ダークエルフですか……数匹捕まえて、標本にしたいですね」

「さらっとこえぇ事言うんじゃねぇよ……」

 

 物騒な事を言うプロメスティンに苦笑いするヴィクトリー。

 

 そんな会話もしながら。迷いの森を進む。道はどうにか整えられているので、迷う事は無さそうだった。

 

 そうやって進んでいたら、聞かされていた以上の事もなくて大した事も無さそう……拍子抜けものであった。

 

 魔物も居ることには居るが、襲ってくるような様子は無い。散歩中のエルフに会釈をしたら、会釈で返してくれて、そのまますれ違う。

 

「ルカ、あれ何だ?」

 

 ヴィクトリーは、羽の生えた小人みたいな魔物を指していた。

 

「あれはフェアリーだよ。ヴィクトリーの世界には、こんなのは居ないのか?」

「あんなのは居ねぇな……どうやって飛んでんだ?」

 

 気ままに遊んでいる妖精に興味津々なヴィクトリー。そんな彼の背後から、ぬっとプロメスティンが現れた。

 

「では、解明するためにもあれもサンプルとして……」

「ダメだっての」

 

 ヴィクトリーがプロメスティンをしばき、進む。

 

 そうして歩いていたら、休憩するには丁度よさそうな拓けた場所に来た。だが……ヴィクトリーの気の察知が、休む事を許さなかった。

 

「おい、来たぜ」

「ああ……!」

 

 草陰から、剣を持ったダークエルフが二体も強襲してきた。

 

「二体か」

「じゃあ僕達だけで充分だね」

 

 ヴィクトリーとルカは他のメンバーを下がらせてから剣を抜き、ダークエルフの一撃を止めた。

 

「へぇ……!」

「ふふ……!」

 

 二人はダークエルフの剣を受け止めながら、鍔迫り合いをする。

 

「はぁあっ!!」

 

 ルカが気合を込めて吠えると同時、競り合っていた刃をかちあげる。その勢いでガラ空きになったダークエルフの腹に蹴りを一閃した。

 

「がふっ!?」

「いくぞ!」

 

 蹴り飛ばしたダークエルフに、間髪入れずに突撃する。どうやら、ルカは好調のようだ。

 

「俺もっ!」

 

 ヴィクトリーは、競り合っていたダークエルフの足を思いっきり踏む。

 

「っ!!?」

「でやぁあっ!!」

 

 そのまま動揺した彼女の腹に、右の手で剣の柄の底を叩きつける。

 

「うぐっ……!!?」

「だりゃあぁあっ!!」

 

 更に左の手で溜めた気をその胸に押し付け、爆破させる。ぶっ飛んだその体は勢いよく木に叩きつけられた。

 

「がはっ……!」

 

 彼女はそのまま地に伏せ、気絶したのだった。

 

「なにっ!? に、人間がダークエルフを倒すなんて……!」

「スキあり……!!」

 

 ルカは、狼狽えるダークエルフの懐に踏み込む。そのまま勢い付けた突き上げ……魔剣・首刈りを決めた。

 

「ぐぇえっ……!!?」

 

 彼女もぶっ飛んで、そのまま地面に伏せた。

 

「よし……!」

 

 ここまでたどり着くまで、かなりのレベルアップを果たした。迷いの森のモンスターなんて、怖くは無さそうだ。

 

「あはは〜!」

「人間の男の子だ〜!」

「いたずらしちゃえ〜!」

 

 戦いの気に惹かれたのか、フェアリーの群れが襲ってくる。あれはさすがに、二人では時間がかかりそうだ。そう覚悟しながら構えようとする二人だったが……

 

「任せてください」

 

 そう言って、プロメスティンが前に出てくる。

 

「何だお前は〜!」

「邪魔するなら、いたずらしちゃ」

 

 不意に、プロメスティンの気が膨れ上がる。手の中で何やらボボボと発破する音が鳴ったかと思えば、その手をフェアリー達に向ける。

 

「水素分子開裂……燃焼を巻き起こしなさい!」

 

 プロメスティンはそう言い、指パッチンをする。するとフェアリー達の体が燃焼反応を起こし、勢いよく発火した。

 

「うわ〜」

 

 フェアリーの群れはお尻に火をつけて、逃げ去っていく。

 

 なんと、プロメスティンが意外にも戦闘員として役に立った。

 

「ひゃ〜! すげぇじゃねぇかプロメスティン! フェアリー達の群れをあんな一瞬で! どうやったんだ?」

「この程度なら、造作もありませんよ」

 

 ヴィクトリーに褒められたプロメスティンは、笑顔でそう答えた。

 

 迷いの森を進む戦士達に、モンスターの強襲は続く。男が二人というだけなのに、それ目当てで必死のようだが……それ以上に、襲撃が激しい。

 

「きゅきゅきゅー!」

「はぁあっ!!」

 

 ヌルコとプロメスティンが、ボウガンと化学反応技でフェアリーを蹴散らす。

 

「だぁあっ!!」

「うぉおおっ!!」

「はぁあっ!!」

 

 ソニアとルカとアリスは、剣士のダークエルフを叩きのめしていた。

 

「うふふっ……」

「おめぇ、ダークエルフの魔術師タイプか……」

 

 ヴィクトリーは、ドレスを着た魔法ダークエルフと向かい合っていた。

 

「宜しくね、武道家さん……」

「どうして俺たちをここまで襲うんだ?」

 

 ヴィクトリーに聞かれたダークエルフは、妖艶な笑みからスンッと真剣な顔になる。

 

「この先に居るのは、ただ静かに暮らしたいだけの者達の里……荒し回るようなら、容赦はしません」

 

 ダークエルフはそう言ってスカートをたくし上げ、そこから触手を伸ばしてきた。ヴィクトリーは剣を持ち、それを扇風機のように高速回転させて触手を切り刻む。

 

「悪いが、押し通らせてもらうぜ……こっちは行く宛てがそこにしかないんでな!!」

「なら超えて見せなさいっ!」

 

 ダークエルフは手を向け、フルパワーのエネルギー波を放つ。

 

「だぁあっ!!」

 

 ヴィクトリーはそれを、かめはめ波で迎え撃つ。

 

 二つのエネルギーがぶつかり合い、爆発した。戦塵と爆煙が漂い、視界が悪くなるが……戦いの勢いは、殺されてはいない。

 

「だりゃああっ!!」

 

 爆煙の中、疾走するヴィクトリー。背中の剣に手をかけながら、ダークエルフの気がする方へ突撃する。彼が煙を突き破ったその先には、触手を展開しながら両手を向けて魔法を放とうとするダークエルフ。

 

 超スピードの突撃、迎撃。二人の攻撃が一閃した刹那、気が爆発のように波動して旋風を巻き起こす。

 

「……!!?」

 

 切り刻まれ、飛び散る触手。ダークエルフの顔には会心の一撃の拳が叩きつけられている。そんな彼女の背中を走り抜けている、ヴィクトリー。抜剣しており、振るったであろう拳からは煙が出ている。

 

 ダークエルフはその一撃で膝をつき、倒れた。

 

「悪いな、前に進ませてもらうぜ!」

 

 ヴィクトリーはそう言い、勝利を収めたのだつた。

 

 

 どうにか魔物の強襲も凌いで、進み続けるルカ達。

 

「……あっちから、たくさんの気が感じる……変な気も、魔物の気も……」

「ふむ、変な気か……人間じゃない事は確かっぽいな」

 

 ヴィクトリーとルカはそう話し合いながら、先頭を歩く。

 

「それにしても、君のその能力は便利だね」

「そうか? ルカもスジがいいから、修行すりゃ使えるようになると思うぞ」

「そうかな……気の扱いかぁ……」

「なんなら、俺が使える技いくつか教えてやろうか?」

「機会があればね」

 

 気の察知が出来るヴィクトリーを先頭にしたお陰で、喋り合う余裕が出来るぐらいに迷うことなく森を抜けることが出来た。エンリカとやらは、すぐそこにあるようだ。

 

 マルケルスの言う「ミカエラを頼れ」の意味とは、いったい何だろうか……

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