もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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海神の鈴、入手

「なんなのだ、あいつは……あれが、アリスフィーズ17世?」

 

 アリスは、困惑が抜けないようだった。

 

「なんだか、凄く親しげだったけど……知り合いって事はないよね……」

 

 ソニアはそう言いながら、ルカを睨みつけた。

 

「初対面だよ!」

「その割には、すごく懐いていたみたいだけど……」

 

 ソニアの目の光は消えて、その瞳にはルカだけをギラギラと映している。

 

 壁際に追い詰められてるルカを横目に、アリスとヴィクトリーは腕を組んでいた。

 

「しかし、あの実力は並外れたものだった……いったい何者なのだ……」

「まさか、本当に17世だったりしてな……それに……」

「ウサギの事か……確かに、それも気になる。奴は、歴史の歪みを修整していたということか……?」

 

 現れては謎を残して消えて……白兎には、翻弄されっぱなしだ。それもシャクなのでどうにか捕まえて吐かせられる限りの情報を吐かせたいものだが……

 

「プロメスティン、アイツに効く自白剤とか作れねぇんか?」

「まずあの白兎がどんな体質なのかを知る必要があるので、生け捕ったらこちらに引き渡してほしいですね」

「このサイコ天使の解剖で死んだら笑えるな」

「きゅきゅ」

 

 話すヴィクトリー達に、離れた所でひたすらソニアに詰められるルカ。

 

「と、ともかく! 宝物庫は目の前なんだ。目的のアイテムを手に入れようよ!」

 

 ソニアに凄い顔で睨まれて至近距離で詰められてるルカは、彼女の胸や顔を腕で押しながらヴィクトリー達に言う。

 

「そうだな、ここで時間を潰していても始まらん。さっさと目的を済ませるとしよう」

 

 そう言いながら、ルカとソニアとアリスは宝物庫へと入っていった。

 

「並行世界……パラドックス……そして、歴史の修正……これらの破片を繋ぎ合わせれば……」

「……きゅ?」

 

 ヌルコは、ブツブツと呟くプロメスティンの顔を覗き込むように見る。

 

「……失礼、少し考え事をしていただけですよ」

 

 プロメスティンはそう言いながら笑い、ヌルコの頭を撫でる。そして、ヌルコと一緒に宝物庫に入った。

 

「そう言えば、おめぇはどうするんだ?」

 

 ヴィクトリーが、七尾に声をかける。

 

「ここで修行を積みます。この私が本物のたまも様を見抜けなかったのは、私が未熟であったという事です。このまま、たまも様には会わす顔がありません……」

「そっか……じゃあさ、今度俺がもっと強くなったら、また手合わせしてくんねぇか?」

 

 七尾は、意外そうな目でヴィクトリーを見た。

 

「……人間族から、そのような発言が出るとは思いませんでした……いいでしょう。何時でも待っていますよ」

「ああ! 今度はぜってぇ負けねぇからな!」

 

 ヴィクトリーは笑って、七尾に親指を立てる。七尾も微笑んで、ヴィクトリーの背中に手を振った。

 

 

「すげぇ……」

 

 宝物庫には、宝箱がたくさんあった。主に水の力を持った武器や防具があり、どれも強力そうだ。

 

 そして、その中には……

 

「……これか!」

 

 古臭いが、不思議な力を感じる鈴があった。ヴィクトリーはそれを取って、じっと見る。

 

「これが、目的の品だな。この道具があれば、嵐でも船は沈まんはずだ」

 

 アリスの言葉を聞いてから頷き、その鈴をルカに投げた。

 

「ん、管理は僕なのね」

 

 ルカはそう言いながら難なくキャッチし、道具袋に海神の鈴をしまった。そして、一応宝箱から使えそうなものだけを回収した。

 

「こんなものか?」

「ああ、出ようぜ」

 

 ヴィクトリーとルカは、来た道をそのまんま引き返そうとする。

 

「待て二人共」

 

 アリスは二人に声をかけた。指してる方には、縄梯子がある。

 

「ここに穴抜けのハシゴがある。これで戻るぞ」

 

 アリスはそう言い、ハシゴを伝って脱出していった。

 

「ああ、そうするか。どっかの誰かがまたミミックに襲われでもしたら面倒だしな」

「うっせ」

 

 ヴィクトリーとルカもアリスに続き、その他の戦士達もハシゴを伝って脱出したのだった。

 

 

 秘宝の洞窟からイリアスポートまでは、割と近い。ハーピーの羽根を使っても良かったが、そこまで億劫では無いので歩く事にした。

 

「所でヴィクトリー」

 

 アリスが、ヴィクトリーに話しかけた。

 

「ん、なんだ?」

「先程、その腰の袋から豆のようなものを取りだして食っていたな。アレは何だ?」

「ああ、僕も気になってた」

 

 あの豆を食べた途端、ヴィクトリーの傷が全て塞がってその気も全回復していた。明らかに普通の豆菓子では無いのは確かなようだが……

 

「ああ、これか!」

 

 タスキに付けられた腰袋を持ち上げるヴィクトリー。袋からはジャラジャラと景気のいい音がしている。

 

「こいつは、俺の世界にある仙豆(せんず)っていう有難い豆だ! 食えばどんな怪我もたちまちに治って元気も満タン! しかも、腹もいっぱいになるんだ!」

 

 ヴィクトリーの説明に、皆は「おお」と食いついてくる。この世界には無い便利アイテムに、注目が集まった。

 

「そっちの世界には、すごい豆があるんだな……」

「薬草と霊薬を兼ねたエリクサーはあるけど……お腹まで満タンにしちゃうっていう所は、長旅にも重宝しそうね!」

 

 ソニアの言う通り、傷だらけでピンチな時だろうと、マジで空腹でヤバい時だろうと、この一粒で解決するのだ。薬であるエリクサーよりも吸収が早いため、そこも利点だろう。

 

「それで、気になるお味は……」

「きゅー」

「だーっ!! やめろ!!」

 

 食おうとしてくるアリスとヌルコを前に、ヴィクトリーは袋を取り上げる。背伸びして袋を高い高いするヴィクトリーに、すがりついて強奪しようとしてくる妖魔と謎生物二匹。

 

「貴重品なんだぞ! スナック感覚でポリポリいかれたらやべぇんだ!!」

「ええい、ケチケチするな! そんなにあるではないか!」

「きゅーきゅー!」

 

 必死な様子を見たプロメスティンは、冷静に前に出る。

 

「見た所普通のマメ科のように見えるので、いざとなれば一粒あれば栽培できますが……」

「いや、これは普通の手段じゃ栽培も出来ねぇんだ! 神様の領域でしか育たねぇんだよ!」

 

 ヴィクトリーの言葉を聞き、プロメスティンの目が輝く。何かヤバいスイッチが入ったらしく、ウキウキしてる様子を見せた。

 

「サンプルを三つほど要求します! 研究し尽くして、栽培も適うようにしますのでどうか!」

「お、おお……? そ、それが出来るんならまぁ三粒ぐらいは……」

「栽培も出来るようになったら、今後の冒険もかなり楽になるぞ!」

 

 ルカにも言われるがまま、ヴィクトリーは仙豆を三粒取り出す。そして、プロメスティンに渡した。

 

「ありがとうございます! 早速遺伝子と染色体と、ああそれから栄養価や栽培に必要な栄養……色々調べなければ!」

 

 嬉しそうに仙豆を見つめるプロメスティンに、アリスとヌルコは「ぐぬぬ」と言いたげに歯噛みする。そんな視線を受けた彼女はそちらへ向き、ニヤッと笑った。

 

「あぁ、サンプルは一つあれば充分ですので。お二人とも、どうぞ」

 

 そう言って、アリスとヌルコに仙豆を渡したのだった。

 

「おお、やるな貴様! 感謝するぞ!」

「きゅー!」

 

 二人は、渡された仙豆を口にする。硬い豆を噛み砕く、気持ちいい音を鳴らしながら咀嚼した。

 

「あーっ! おめぇ!」

「あはは、悔しいけど今回はプロメスティンの作戦勝ちね!」

 

 ソニアの言う通り、今回に限ってはプロメスティンが一枚上手だった。これで、仙豆もあと11粒だが……まぁ、11回も死にかける事も無いだろう。エリクサーもあるので、余程の事が無い限りは大丈夫だ。

 

「……まぁいいか! プロメスティンも頑張ってくれるみてぇだからよ!」

「あんたのプロメスティンに対する全幅の信頼は何なのよ……」

 

 ヴィクトリーとソニアがそんな事を言ってるのを横目にルカは、仙豆を食べてる二人に向く。

 

「アリス、おいしい?」

 

 ゴリゴリと歯応えがあって、噛んでて気持ちよさそうではあるが……その顔は、美味なものを食べている顔ではなかった。

 

「……あじしない……なのにお腹いっぱい……」

「きゅ……」

 

 二人はしょんぼりした顔で、仙豆をコリコリ噛んでいた。凄い豆なので期待していたが、どうやら味までは凄くなかったようだ。

 

「わっひゃっひゃっひゃっひゃ! 有難い豆ってのも、そんなもんだ!」

「まぁ、味があると無駄に食う可能性も出てきそうだしな……」

「っていうか、ヴィクトリー並に食うアリスもお腹いっぱいになるのね……食が細い人が食べたらどうなっちゃうの……」

「そこも要研究ですね!」

 

 

 そんな事を話しながら進んでいたら、イリアスポートはもう目の前だった。

 

 船出まで、あと少しだ。

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