もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
突如として強襲した、謎の淫魔モリガン。彼女はなんと、両手両足を使わずにルカ達を倒すと豪語した。
「おめぇの目的が何だか知らねぇけど、やるんなら全力でやらせてもらうぜ」
「はははっ、かかって来いよ異世界戦士! てめぇも、一瞬で果てさせてやるからさ!」
モリガンはそんな事を言い、手に纏ってた魔力を更に高める。
彼女の物言いからして、当然の如くヴィクトリーが異世界から来たことを知っている。明らかに只者では無いのは確かなのだが……謎が多すぎる。しかし、そうも言ってられないのもまた事実だ。
「だっ!!」
ヴィクトリーはまず気合いを飛ばしてモリガンの足元に放つ。
「おっと!」
モリガンはそれより速く飛び上がり、遅れて彼女が立っていた場所に気合いが炸裂して吹っ飛んだ。
それを確認するまでもなく、ヴィクトリーに手を向ける。
「おかえしだっ!!」
そして、ドンッという音と共にヴィクトリーに衝撃が叩き込まれた。
「うぐぁああっ!!?」
「なにっ!?」
気合い砲ではない。ヴィクトリーの体だけを、謎の力でぶっ飛ばしたのだ。
「貴様、何を……!!」
「食らってみりゃ分かるさ!」
そう言ってモリガンは、アリスに手を向けた。すると、アリスの体も謎の力でぶっ飛ばされた。
「ぐふっ……!?」
「アリスっ!?」
ルカはぶっ飛ぶアリスを見てから、モリガンに目を向ける。そして剣を構え、突進した。
「てやぁあああっ!!」
「へぇ?」
ルカの猛攻を、軽々と避け続けるモリガン。トップスピードで剣技を連続させるが、モリガンは冷静に残像を残しながらそれを避け続ける。
「あ、当たらない……!?」
「あはっ!」
モリガンはその場で、指をクンッと上げる。すると、凄まじい突風と鎌鼬が発生した。
「うわぁあああっ!」
ルカはぶっ飛び、船の外に投げ出されてしまう。
「あぶねぇっ!!」
ヴィクトリーがルカの足を掴んで、何とか船に引き込んだ。
「あ、ありがとう……!」
「あははっ!」
息付く暇もなく、モリガンは手にエネルギーを纏って二人に突っ込む。それを前にした二人は構え直し、迎撃の体勢を取った。
「やぁあっ!!」
「!!」
しかし、その目の前に棍が突き刺さり、モリガンは静止してしまった。当然、ソニアの棍だ。
「全く、折角の船旅なのにこんな強敵が来るなんて……ちゃっちゃとやっつけるわよ、プロメスティン!」
「はい……!」
ソニアの横にいたプロメスティンの手が電光している。何か魔導科学的な力が、バリバリと音を立てながら充実していき、その手をモリガンに向ける。
「電磁場発生……通電を起こしなさい!」
詠唱しながら指パッチンすると、モリガンの体に電撃が炸裂した。
「っつっ!!?」
「きゅー!」
通電反応に怯んだモリガンにヌルコのデュエルカノンが向けられ、エネルギーが充填されていく。
「!!」
そして、モリガンを爆撃した。衝撃波を伴った旋風が巻き起こり、爆煙が立ち込める。
「やったかな!?」
「油断するなーっ!! 奴の気はちっとも減っちゃいねぇーっ!!」
ヴィクトリーの声にソニア達はハッとして、爆煙の方へ向き直す。
「ちっ……!」
モリガンは爆煙を払いながら出てきて、ゲホゲホと咳き込む。しかしその体には、大したダメージは無さそうだった。
「そんな、直撃のはずよ!?」
「きゅ……!」
「なんだ、そいつは埃を巻き起こすだけのマキナかぁ!?」
モリガンはそう言いながら、魔力を纏った手をソニア達に向けようとする。しかし、ヴィクトリーが彼女の背後から強襲し、長い足を振りかぶり……
「余所見してんなぁッ!!」
その後頭部に、回し蹴りを叩き込んだ。見事に直撃はしたものの、モリガンは揺らぐ事なく、ギロリとヴィクトリーを睨み返す。
「なっ!!?」
「オイオイオイ、何だよそのヘボい蹴りは……攻撃ってのを教えてやるよ!」
モリガンは、お返しと言わんばかりに手を向ける。そこから見えないエネルギーが飛んで、ヴィクトリーに叩きつけられた。
「ぐぁあっ!?」
吹っ飛ぶヴィクトリー。しかし途中で踏ん張り、高速移動でその姿を消す。そして、モリガンの背後に現れたが……なんと彼女の尻尾がヴィクトリーの首を掴み、投げ飛ばしたのだった。
「うわぁああっ!?」
「悪いな! 尻尾を使わないとまでは言ってないぜ!」
モリガンは、投げられているヴィクトリーに手を向けている。
「果てちまいなァ!!」
次の瞬間、ヴィクトリーの全身に凄まじい衝撃と快感が駆け巡った。
「ぐぁあああああっ!!?」
ヴィクトリーは更にぶっ飛んで、船から投げ出される。そして、海へ落ちていってしまった。
「はは、終わったな!」
「ヴィクトリーっ!!」
「よせルカ!! こっちの相手が先決だ!!」
アリスに言われたルカは、海からモリガンへと振り返り、目を鋭くする。
「今はコイツを倒さんと、余達もヤバい!!」
「分かってる……!」
アリスとルカが剣を構え直し、モリガンに突撃する。またしても剣の猛攻を、モリガンは腕を組んで避け続ける。やはり、圧倒的なスピードに剣技がかすりもしない……そんな時だった。
「はぁあああ!!」
ソニアが飛び出して、棍をぶん投げてくる。高速回転しながらモリガンに一直線に飛ぶが、やはり彼女はそれを後ろ跳びで難なく避けてしまった。標的を外した棍は、斜めになって甲板に突き刺さる。
「小賢しいんだよ、人間ごときがさぁ!」
「どうかなぁッッ!!」
ルカはその場を蹴り、先程のソニアの投げた棍の上を走る。そして、石突を踏み台に高く跳び上がり、その落下エネルギーを利用した兜割り……新技・天魔頭蓋斬を放った。
「うわっ……!!?」
彼女はそれをまた後ろ跳びで避けようとするものの、回避が間に合わずその胸に剣先がカスってしまった。
「はぁあッッ!!」
更にアリスが強襲し、渾身の突きを放つ。ガキンと、金属と金属がぶつかりあうような音が鳴り、モリガンの体は吹っ飛んだ。
「手応えが固いっ……!?」
「……っち……!!」
胸に受けた斬撃に、魔力を込めて防御したとはいえ、額に受けた突き。そこからは僅かに血が垂れており、それがモリガンのプライドを逆撫でした。
「吹っ飛べぇッ!!!」
モリガンは青筋を浮かべながらそう言って両手を向ける。すると、ルカとアリスとソニアの三人に凄まじい突風を伴った鎌鼬が叩きつけられ、吹っ飛ばされてしまった。
「ぐああぁあっ!」
「きゃ……!!」
「な、なんて風魔法……!!」
「テメェら……あたしに血を出させるなんてな……」
指で血を拭い、グシグシと吹き潰す。プライドを傷つけられた彼女は、相当にご立腹の様子だった。
「もう細かい事は気にしねぇ!! この船ごと粉々に、嵐で吹っ飛ばしてやる!!」
「なんだと!?」
モリガンは魔力を解放しながら飛び上がり、上空に浮かぶ。そして、暴風をその身に募らせ、充実させていくのだった。
「あんな空高くに移動されたら、攻撃が届かない……!!」
「今の余の黒魔法もあそこまで距離を離されたら届かん……考えたものだな……!!」
「く……!!」
近距離しか攻撃手段を持たないルカ達は、歯噛みするしかない。
「きゅっ、きゅーっ!!」
ヌルコがマキナで銃撃したり砲撃したりするも、モリガンの暴風の前に弾かれてしまう。
あのまま放っておけば、とんでもない嵐を巻き起こしてこの船諸共吹っ飛ばされるが……何をしても通じず、どうしようもない。
最悪の修羅場。もう、万事休すか──誰もがそう思った時だった。
不意に、海面から何か飛び出してきた。
「っ、異世界戦士か!!? 小賢しいんだよ!!」
モリガンは、そこに風魔法を放つ。三日月状の風の刃は見事にそれを撃ち抜くものの……それは、ただのエネルギー弾だった。
「ちがうっ!?」
動揺していたスキに、別の海面から何か飛び出してきた。
「そっちか!」
すかさず手を向けるモリガン。しかしそれもただのエネルギー弾で、ただ上空に消えるのみだった。
「おちょくりやがって……!!」
モリガンがそう言ってると、背後から何かが迫る気配。
「だっは──!!!」
ヴィクトリーだ。海水で濡れたままの彼が空を飛び、モリガンの背後から両足蹴りを放っているのだ。
「ちっ、飛べんのかよ……だが、この暴風壁を超えることは今のお前じゃ天地がひっくり返っても無理だ!! さぁ、無様に弾き飛ばされなァッ!!」
強さを増す暴風の壁。いくらヴィクトリーの蹴りとはいえ、このままではヌルコのマキナの二の舞になってしまうだろう。
だが、彼には新技があった。
「界王拳ッッ!!!」
不意にヴィクトリーの気が爆発して、赤いオーラにその身を包む。すると彼の戦闘力が跳ね上がり、紅蓮に包まれたその蹴りでモリガンの展開する暴風壁を突き破り、彼女を蹴り飛ばした。
「!!!!」
蹴っ飛ばされたモリガンは、上空から海中へ墜落する。勢いよく水飛沫を上げながら、地形を削るゴリゴリという音を立て、最終的には何か巨大な岩にでもぶつかったかのように、一際大きな衝撃が起こって柱のような水飛沫を立たせた。
ヴィクトリーが、船に着地する。
「ヴィクトリー、貴様……いつから飛べるようになったのだ?」
「例の、気で空を飛ぶ術か? それに、さっきの赤いオーラ……」
アリスとルカは、早速ヴィクトリーの元へ来る。
「へへへ……この超やべぇ状況の中で、ボルテージが上がったのかもな……」
舞空術に、界王拳。ヴィクトリーの新たなる技で、どうにかこの修羅場は切り抜けられたが……
ザバァッと、遠くの海が飛沫を立てる。そこに、ルカ達の視線が殺到した。
「……おい、嘘だろ!!?」
ルカの、絶望した声……その目線に居たのは、モリガン。
彼女はダメージを受けた様子もなく、腰に手を置いて首をゴキゴキ鳴らすだけだった。
「あっちゃ〜〜……めぇったな、新技二つも披露したのにちっとも効いてねぇや……ははは……」