もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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光と闇の乱入

「なかなかやるもんだね……」

 

 モリガンはそう言って、甲板に着地する。彼女の額には青筋が立っており、目の奥には深い怒りを宿していた。

 

「流石に、遊びが過ぎたか。そろそろ本気出して、干物にしてやるよ……!!」

 

 そして腕をクロスしてから、一気に魔力を解放した。噴き上がる魔力によって旋風が巻き起こり、辺りが揺れ、凄まじいエナジーが波動する。

 

 一帯が震えるほどのエネルギーに、強烈なプレッシャー……戯れの時は、終わったのだ。

 

「だって、あんた達が悪いんだよ! 見逃すつもりだったのに、食い下がってくるからさぁ!」

「お、おめぇ……まだ実力隠してたんか……!!」

「まさか、今まで全然本気じゃなかったのか!?」

「馬鹿な、なんという力だ! 本当に四天王以上だというのか、こいつ……!」

 

 ビリビリと肌に刺さるようなオーラに、規格外のエネルギーにウネる大気。ただならぬ威圧に、ルカ達は押し潰されそうになる。

 

「きゅーっ! きゅきゅーっ!」

「状況は非常に悪いですね……! 船の上だから、退路も無し……詰みでは?」

 

 ヌルコもプロメスティンも、冷や汗を垂らしながら、無駄と思いながらも構えは解かない。しかし、そんな勇気すらあざ笑うようにモリガンは魔力を纏った両手を構えたのだった。

 

「ほ〜ら、とってもキモチいい干物タイムだ! 誰から天国を味わいたい……!?」

 

 干物……もとい、死へのカウントダウン。今度こそ、最早打つ手無しだろうか。

 

 そう思っていた、その時だった。

 

「……!!」

 

 ヴィクトリーが、この状況で上空をキッと見る。気の察知が出来る彼が、真っ先に異変に気付いたようだ。

 

「おお、おお、あたしの前で余所見するなんて、いい度胸だなぁ異世界戦士! まずはお前から……」

 

 モリガンはそう言いながらヴィクトリーに接近するが、途中で何かに感付き、急ブレーキをかけて止まる。そして、彼と同じく上空を見上げた。

 

「……まさか、あたしより先に気付いたってのか……?」

「あ、ああ……おっそろしい気が近付いてくる……!!」

 

 二人の会話で、その場にいる全員が視線を上空に向ける。

 

「何か降ってくるぞ……あれは、旗!?」

 

 天を覆うように、頭上で大きな旗が広がっていく……イリアスが描かれた、神々しい旗だ。その規格外のサイズからして、ただの旗では無いことだけは確かだが……

 

「下手くそなイリアスの絵!? いったい、なんだ……!?」

「あの戦旗……シオン様!!?」

 

 困惑するアリスに、驚愕するプロメスティン。

 

「見つけたぞ、汚らわしい淫魔……!!」

 

 軍服のような格好をした見るからに武闘派の天使が、この場に現れる。そいつはこちらに手を向け、その手にエネルギーを集中させている。どうやら、早々にこっちにエネルギー弾を撃ってくるつもりらしい。

 

「ほぉら! チリになりなァ!」

「熾天使シオン!? あいつ正気かよ、この世界で仕掛けてくるなんて……!」

「吹っ飛べェェェ!!」

 

 突然に飛来した天使は、掌から光弾を放った。

 

「みんなふせろ──っ!!!」

 

 ヴィクトリーの指示で、みんなハッとする。そして、散り散りになって回避に徹した。

 

 しかし、モリガンはシオンに注視しながら回避している。そんな彼女の死角から凄まじい速さで、光弾がモリガンに迫っていた。

 

「バカ、避けろっ!!」

 

 ヴィクトリーはモリガンを蹴り飛ばし、光弾は船に直撃した。

 

「わぁっ! ふ、船が……!」

「異世界戦士、てめぇっ! いや、キ〇ガイ天使! オマエ、何やってるのか分かってるのかよ!? 一人殺っただけでも、どれだけ時流が乱れたか……手出しは間接的に、ってのが大原則だろうが!」

「淫魔風情が熾天使様に説教かァ!? 生滅すべき貴様らに、交渉の余地なんぞないんだよォ!」

 

 シオンは、更に光弾を放つ。今度こそモリガンはそれを避けるが、甲板に直撃して爆発した。それで船がボロボロになり、所々がパチパチと燃え始めた。

 

「ナメやがって、クソ天使……! 決めた、オマエを真っ先に血祭りに上げてやるよ!」

 

 モリガンは魔力を解放し、周囲に凄まじい暴風を呼び寄せる。

 

「うわぁっ!」

「このままでは、船がもたん! 二人共、海に飛び込むぞ!」

「ええっ!?」

 

 アリスはルカとヴィクトリーに言い、それを聞いていたソニアが驚愕する。

 

「賢明ですね……!! それしか手がありません!!」

 

 プロメスティンは、迷うことなく嵐の海へ飛び込む。

 

「で、でも……この嵐の中じゃ……!」

「ルカ」

「きゅ」

 

 ヴィクトリーはルカにヌルコを渡してから、海へと蹴り飛ばした。

 

「ちょ、えぇえ──っ!!?」

「きゅーっ!?」

 

 ルカはヌルコを抱えたままドボンと海に落ちて、アリスとソニアも飛び込む準備をする。

 

「よ、よし! 余達も続くぞ!!」

「こ、こ、こここ、こんな海の中飛び込んだら、激しい波と船の破片にシェイクされて挽肉になっちゃうわよ!?」

「そうか、このままあの化け物共の戦いに巻き込まれて、嵐で挽肉にされてから光弾でそぼろにされるのとどっちがいい!?」

「結果はほぼ同じじゃないーっ!!」

 

 何だかんだ言いながらも、ソニアは飛び込む。そぼろより、挽肉のままの方がマシらしい。

 

「ヴィクトリーも、余達に続け!」

「いや、俺には舞空術がある! 先に行ってくれ!」

「わ、分かった……死ぬなよ!」

 

 アリスも海に飛び込み、ヴィクトリーはモリガンとシオンの方をチラチラ見る。二人ともお互いに夢中で、こちらの事など気にしてないように思えた。

 

「よ、よしっ!!」

 

 ヴィクトリーは飛び、その場から離脱しようとする。

 

 いかに舞空術とは言え、習得したばかりのコレは長くはもたない。少しでも嵐から離れられるように、出来るだけうんと飛ぼう……そう思ってスピードを出そうとした、その時だった。

 

「逃がすかぁあっ!!」

「なっ!?」

 

 シオンが声を上げ、高速移動する。そして瞬時にヴィクトリーの前に現れ、左腕を振りかぶってきた。呆気に取られたモリガンは、ただそれを見るしか出来ない。

 

「うわ……!!?」

「貴様だけは死ね、部外者!!」

 

 そして、渾身の拳をヴィクトリーの顔面に叩き込んだ。

 

「うわぁああああ──っ!!!」

 

 なす術なく、ヴィクトリーは海へと叩き込まれてしまう。為す術なくぶっ飛ばされ、海面に叩きつけられて全身がバラバラになりそうな程のダメージを負ってしまった。

 

「ちょっ、マジかあのキチ天使っ……!!」

「はぁああっ!!」

 

 シオンは魔力を解放し、血を吐きながら沈むヴィクトリーに巨大なエネルギー波を放つ。光の波動が彼を撃ち抜かんと、音速を超えて一直線に飛んだ。

 

 しかし、その時だった。

 

 天から黒いエネルギー波が伸びて、シオンの巨大なエネルギー波を弾き飛ばした。

 

「……なんだっ!?」

「そこかっ……!?」

 

 シオンとモリガンは、一緒になって黒いエネルギーが飛んできた方向を凝視する。

 

 彼女らの視線の先……天を覆う雨雲から、黒く巨大な竜巻が海に向かって伸びる。それが海面についたと思えば、凄まじい旋風を伴って弾け飛んだのだった。

 

 その中心に居たのは、黒い胴着に身を包んだ者だった。

 

 その顔を見たモリガンとシオンは、困惑を顕にする。

 

「……異世界戦士!?」

「部外者がもう一人……!?」

「ふっふっふ……」

 

 その顔は、ヴィクトリーと同じ顔だった。そっくりとか、瓜二つとか、そんなレベルではない。完全に、ヴィクトリーの顔なのだ。

 

「その男に死なれては、私が困るのでね……邪魔させて貰いましたよ、熾天使さん……」

「誰だ貴様は……!!」

「あの異世界戦士の、兄弟か何かか?」

「兄弟……まぁ、そんな所ですね……」

 

 ヴィクトリーに似たソイツは、靡く髪をかきあげる。

 

「私は、黒のヴィクトリー……主に尽くすために、究極の力を求める者だ」

「へぇえ……!」

「まぁいいや、異世界戦士はこれ以上いらないよ! ここであのキチ天使諸共オマエを破壊してやる!」

 

 モリガンはそう言って暴風の魔力を解放し、シオンと黒のヴィクトリーに向いた。

 

「懺悔は聞かんぞ、有象無象ども……!」

 

 シオンも光の魔力を解放して、臨戦態勢をとる。

 

「仕方ありません、彼の救助はドミグラにでも頼むとしましょう……はぁあッッ!!」

 

 黒のヴィクトリーはそう言って、気を解放する。オーラの色は、やはり闇のような黒だった。

 

 暴風と淫気を纏って、モリガン。光の魔力を充実させ、熾天使シオン。

 

 そして、闇の気を操る謎の戦士、黒のヴィクトリー。

 

 三人が力を全解放して激突した次の瞬間、辺りに凄まじい暴風雨と神々しい閃光と漆黒の闇が波動したのだった。

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